今年で57回目を数えるロンドン国際映画祭がいよいよスタートする。10月9日から20日までの間に、世界57カ国から届けられた235本の長編映画と、134本の短編映画が一挙に公開され、封切り前の新作映画をいち早く鑑賞できるチャンスだ。今回はコンペティション部門に日本から是枝裕和監督の話題作も出品されており、アワード受賞への期待も高まる。まずは気になるラインナップをチェックしよう。
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Opening Night Gala
海賊に捕らわれた船長の4日間
Captain Phillips
10月9日(水)19:00 Odeon Leicester Square
10月10日(木)18:15 Cineworld Haymarket, Screen1

ベテランのフィリップ船長が舵をとるコンテナ船「マースク・アラバマ号」は、ケニアのモンバサに向けて航行中だったが、ソマリア沖に差し掛かったところで突如、4人の海賊から襲撃を受けた。武装した海賊への抵抗は無駄だと考えた船長は、乗組員の解放と引き換えに自ら人質となるが……。
2009年に起きた、ソマリア沖の海賊による米国貨物船乗っ取り事件を描くサスペンス・ドラマ大作。「ユナイテッド93」「ボーン」シリーズなどで知られる英国出身のポール・グリーングラス監督が、同事件で実際に4日間にわたって海賊の人質となった、リチャード・フィリップ船長共著のノンフィクション作品を映画化した。
アカデミー主演男優賞の栄冠を2度手にしているトム・ハンクスが、船長の威厳と人質としての恐怖が入り交じる複雑な心情をリアルに表現。また本作がデビューとなる新人バークハド・アブディは、漁師から海賊に成り果てた青年ムゼを力強い演技で好演している。「リオ・ブラボー」「アルジェの戦い」「狼たちの午後」といった往年の名作アクション・スリラーを随所に彷彿させる多重的な構成で、緊迫感あふれる展開に目が離せない。海軍特殊部隊による迫力の救出劇も見ものだ。
(USA 2013/134分)
監督: Paul Greengrass
出演: Tom Hanks, Barkhad Abdi, Barkhad Abdirahman ほか
Closing Night Gala
「メリー・ポピンズ」誕生の舞台裏
Saving Mr. Banks
10月20日(日)19:00 Odeon Leicester Square

永遠の名作として世界中で愛されているディズニー映画「メリー・ポピンズ」。しかしその製作は一筋縄ではいかなかったー。オーストラリア生まれの英女流作家、パメラ・L・トラバースが自身の子供時代の体験を下敷きにして書き綴った大人気児童小説を映画化する権利を得るために、ウォルト・ディズニーは彼女を20年間説得し続けた。粘りに粘った交渉の末、ようやく了承を得て製作に漕ぎ着けたものの、トラバースは完成した作品が全く気に入らず……。
監督は「しあわせの隠れ場所」のジョン・リー・ハンコック。 英国の新人ケリー・マーセルとオーストラリア出身のスー・スミスが脚本を担当し、名作映画の誕生秘話とともに、ディズニーとトラバースの間で繰り広げられた確執や文化的差異、ものづくりにおける優れた才能の出会いと衝突をコミカルかつ軽妙なタッチで描いている。 ディズニーにトム・ハンクス、トラバースにエマ・トンプソンが扮し、絶妙な掛け合いを展開。ディズニー映画の楽曲で知られる音楽家シャーマン兄弟を演じたジェイソン・シュワルツマンとB・J・ノヴァク、回想シーンでトラバースの父を演じたコリン・ファレルを始め、脇を固める俳優陣の味わい深い演技も印象に残る。
(USA-UK 2013/126分)
監督: John Lee Hancock
出演:Tom Hanks, Colin Farrell, Emma Thompson ほか
American Express Gala
愛する息子を捜して50年
Philomena
10月16日(水)19:15 Odeon Leicester Square
10月17日(木)18:30 Cineworld Haymarket, Screen1
10月19日(土)18:15 Screen on the Green

「クィーン」の製作チームが、英国の記者マーティン・シックスミスのノンフィクション小説を実写化した、生き別れた息子を捜す母の旅を追う奇跡と感動の物語。哀愁と機知をバランス良く取り入れるセンスに長けたスティーヴン・フリアーズ監督が、驚きの実話をユーモラスかつ表情豊かに演出している。1950年代、アイルランドで未婚のまま出産したフィロメナは、親から修道院に入れられ、息子は米国へ養子に出されてしまう。しかし手放した息子のことを片時も忘れなかった彼女は、50年後、ワケありの記者とともに米国へと旅立つ。フィロメナ役のジュディ・デンチと、作者をモデルとした記者に扮したコメディアンのスティーヴ・クーガンによる演技が光る。
(UK-France 2013/98分)
監督: Stephen Frears
出演: Judi Dench, Steve Coogan, Ruth McCabe ほか
Accenture Gala
突然自由を奪われた男の悲運
12 Years a Slave
10月18日(金)20:30 Odeon Leicester Square
10月19日(土)12:00 Odeon West End, Screen1
10月20日(日)17:45 Rich Mix, Screen1

英国の若手実力派スティーヴ・マックイーン監督が、「ハンガー」「SHAME –シェイム-」に続いて手掛けたのは、19世紀の米国で起こった衝撃の実話を基にしたドラマ。 ニューヨークで暮らす黒人ヴァイオリニスト、ソロモン・ノーサップは、ある日、演奏旅行先で拉致され、奴隷として売り飛ばされてしまう。無慈悲な主人の下、プランテーションで強制労働を強いられるはめになったソロモンは、まさに理不尽としか言いようのない仕打ちの連続に強い怒りを覚えながらも、徐々に打ちのめされ、自尊心喪失の危機に陥っていく。 助演のブラッド・ピットが共同プロデュースした本作は、先に開催されたトロント国際映画祭で最高賞に当たるピープルズ・チョイス賞を受賞している。
(USA 2013/133分)
監督:Steve McQueen
出演:Chiwetel Ejiofor, Michael Fassbender, Benedict Cumberbatch ほか
Centrepiece Gala
60年代フォーク歌手への挽歌
Inside Llewyn Davis
10月15日(火)19:15 Odeon Leicester Square
10月17日(木)21:00 Cineworld Haymarket, Screen1
10月19日(土)18:15 Rich Mix, Screen1

コーエン兄弟が1960年代ニューヨークのフォーク・ミュージック・シーンに捧ぐ、ユーモラスでメランコリックな物語。我が道を行く一文無しのフォーク歌手ルウェインは、友人の家を転々としながら、ソロ・アーティストとしての道を模索していた。定期的にライブを行いつつも、ブレイクできずにくすぶっていたルウェインの人生は、浮気相手の既婚の歌手、ジーンが思いがけず妊娠してしまったあたりから暗転する。 いつにも増して個性的なキャラクターが次々と登場し、遊び心満載ながら、随所に鋭い切れ味が光るのは「バートン・フィンク」や「シリアスマン」を製作したコーエン兄弟ならでは。60年代という時代と音楽、そして当時を生きた人々への惜しみない愛を独自の視点から表現している。
(USA 2013/105分)
監督:Joel Coen, Ethan Coen
出演:Oscar Isaac, Carey Mulligan, Justin Timberlake ほか
Festival Gala
ディケンズと愛人ネリーの物語
The Invisible Woman
10月17日(木)18:00 Odeon West End, Screen2
10月19日(土)15:00 VUE, Screen5

「英雄の証明」で監督デビューを果たしたレイフ・ファインズが再びメガホンを取り、主演も兼ねた本作は、クレア・トマリンによる同名著作を基にした、チャールズ・ディケンズの秘密の愛を描く伝記映画。 ネリーの愛称で知られる女優のエレン・ターナンは、18歳のときに45歳のディケンズと知り合い恋に落ちる。夫人との不和が深刻化しつつもモラルを重んじるディケンズは、ネリーとの関係を公にできずにいた。それでも以後、ディケンズが他界するまで13年間にわたり続いた2人の愛人関係の内実とは……。「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を手掛けたアビ・モーガンによる脚本をファインズが絶妙に彩り、文豪と若き女優の愛と苦悩の日々をしめやかに描いている。
(UK 2013/111分)
監督:Ralph Fiennes
出演:Ralph Fiennes, Felicity Jones, Kristin Scott Thomas ほか
Love Gala
同性愛に目覚めた少女の成長
Blue is the Warmest Colour
10月14日(月)19:45 Curzon Chelsea
10月17日(木)18:30 Curzon Mayfair, Screen1

フランスのアカデミー賞に当たるセザール賞を2度受賞しているチュニジア系フランス人のアブデラティフ・ケシシュ監督が、フランス発の話題の同名コミックを実写化し、今年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞した注目作。ボーイフレンドとの関係に漠然とした違和感を覚えていた15歳の少女アデルが、アート・スクールに通う青い髪の少女エマとの直感的で劇的な出会いを通じ、性別を越えて愛し合うことの喜びと難しさを経験しながら成長していく姿を追う。約3時間に及ぶ長編ながら、強く温かいハートの持ち主であるエマと、自分の中に芽生える新しい感情に戸惑いながらも真っ直ぐ向き合おうとするアデルの、リアルで瑞々しい演技に引き込まれる。
(France-Belgium-Spain 2013/179分)
監督:Abdellatif Kechiche
出演:Léa Seydoux, Adèle Exarchopoulos, Salim Kechiouche ほか
エイリアンから見た人間世界
Under The Skin
10月13日(日)18:00 Odeon West End, Screen2
10月14日(月)12:30 Odeon West End, Screen2

「記憶の棘」のジョナサン・グレイザー監督が挑んだダークでミステリアスなSFスリラー。原作はオランダ出身でスコットランド在住の作家、ミッシェル・フェイバーの同名小説。荒涼としたスコットランドを舞台に、ケン・ローチ的なリアリズムとデヴィッド・リンチ的なシュールレアリズムが交錯する奇妙な空間を創出している。美しく妖艶な女性の姿を装い、ハイウェイに立つヒッチハイカーを性的に誘惑して餌食にするエイリアン(スカーレット・ヨハンソン)の目に映るのは、荒廃した風景と人間の渇望。しかしそんな人間の複雑な世界に徐々に惹かれていき……。ミカチュウ & ザ・シェイプスのミカ・レヴィが手掛けた不安を煽るような音楽が、独特の映像世界を引き立てる。
(USA-UK 2013/107分)
監督:Jonathan Glazer
出演:Scarlett Johansson, Antonia Campbell-Hughes, Paul Brannigan ほか
家族とは血縁か、時間か
Like Father, Like Son 「そして父になる」
10月12日(土)15:00 Odeon West End, Screen2
10月14日(月)15:00 Odeon West End, Screen2
10月15日(火)18:10 Curzon Renoir, Screen1

国内外で高く評価され、もはや国際映画祭の常連となりつつある是枝監督が、福山雅治を主演に迎えて新たに贈る家族ドラマ。出生時に病院で子供を取り違えられた2組の夫婦を通し、家族の愛や絆を問う。大手企業に勤務し、都心の高級マンションで妻と息子と暮らす野々宮は、これまで順風満帆な「勝ち組人生」を送ってきたエリート。しかしある日、病院からの電話で、6歳になる息子が実は他人の息子であったことを知り困惑する。妻、そして相手方の夫婦は、これまで育てた子供と別れることに苦しむが、どうせなら早い方がいいと主張する野々宮の意見で、ついに子供を交換することになり……。今年のカンヌ国際映画祭で審査員賞に輝いた注目作。
(日本2013/119分)
監督:是枝裕和
出演:福山雅治、尾野真千子、真木よう子 ほか
爆笑必至の血みどろ娯楽作
Why Don't You Play in Hell? 「地獄でなぜ悪い」
10月17日(木)20:45 BFI Southbank, NFT2
10月18日(金)20:30 Hackney Picturehouse, Screen1
10月20日(日)20:45 Curzon Renoir, Screen1

鬼才、園子温監督が約20年前に手掛けたオリジナル脚本を加筆修正し、自身の自主制作時代の経験を織り交ぜて完成させた、アクション、任侠、コメディー、恋愛、青春と、あらゆる要素が詰め込まれた究極の娯楽作。武藤組の組長、武藤は、服役中の妻のために、娘ミツコを主役にした映画の製作を計画していた。しかし当のミツコは男と製作現場から逃亡。妻の出所まで時間がないため、自主映画を撮ることに決めた武藤は、ミツコを探し出し、駆け落ち相手の公次に落とし前をつけさせようとするが、ミツコから公次が映画監督だと聞き、完成させないと殺すと脅して撮影に踏み切る。しかし公次は、ミツコに騙されて連れて来られた通りすがりで……。
(日本2013/119分)
監督:園子温
出演:國村隼、堤真一、長谷川博己ほか
その夫婦は被害者と加害者だった
The Ravine of Goodbye 「さよなら渓谷」
10月16日(水)18:15 ICA, Screen1
10月19日(土)15:30 Ciné Lumière

「悪人」で知られる芥川賞作家、吉田修一による映像化不可能といわれていた問題作に、麿赤兒を父に、大森南朋を弟に持つ、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」の大森立嗣監督が挑んだ人間ドラマ。尾崎俊介と妻のかなこが暮らすのどかな町で起こった幼児殺害事件は、実母が犯人として逮捕されるが、1本の通報電話によって新たな局面を迎える。それは「夫が、容疑者である女性と不倫関係にある」という内容で、通報したのはかなこであった。一方、現場を取材していた記者の渡辺は、俊介とかなこが、15年前に起こったある事件の加害者と被害者の関係にあることを知り……。主演の真木よう子が愛と憎しみの間で揺れる複雑な心情をリアルに描出。
(日本2013/117分)
監督:大森立嗣
出演:真木よう子、大西信満、大森南朋ほか
言葉と向き合い、人と向き合う
The Great Passage 「舟を編む」
10月11日(金)20:30 ICA Screen1
10月13日(日)13:00 Ritzy, Screen2

出版社の辞書編集部を舞台に、十数年という膨大な時間をかけて辞書づくりに励む人々の姿をコミカルに描いた三浦しをんの同名ベストセラー小説を、「川の底からこんにちは」の石井裕也監督が映画化。玄武書房の営業部に勤める馬締光也は、職場でも変人扱いされるほどのマジメな青年。しかし言葉に対する並外れた感性が認められ、24万語収録予定の新しい辞書「大渡海」の編纂に取り込む編集部に配属される。一癖も二癖もある個性的な同僚たちの熱意と温もりに感化され、言葉の海に浸りきる毎日。そんなある日、下宿先の大家の孫娘と顔を合わせた馬締は、一目で彼女に恋をするが、自分の気持ちを素直に伝える言葉をなかなか見つけられず、思い悩む。
(日本2013/133分)
監督:石井裕也
出演:松田龍平、宮﨑あおい、オダギリジョーほか
チケット入手方法
● オンライン - 公式ウェブサイト(www.bfi.org.uk/lff)から直接申し込む。
● 電話 - ボックス・オフィス Tel: 020 7928 3232(毎日9:30-20:30)
● 会場窓口 - BFI Southbank ボックス・オフィス(毎日11:00-20:30)
● ラスト・ミニット・チケット/スタンドバイ・チケット
前売り券が売り切れになっても、まだチャンスはある。10月3日以降、一旦売り切れとなったチケットが再度売りに出されることがあるのだ。ウェブサイトで確認、またはボックス・オフィスに電話して問い合わせてみよう。新しいチケットは連日出る可能性があるので、毎日マメにチェックすることが肝心。またウェブサイトでアカウント登録しておくと、最新情報が得られて便利だ。それでもダメな場合は、当日、作品上映開始の30分前から各々の会場で販売される当日券を狙おう(Odeon Leicester Squareのみ Odeon West Endのボックス・オフィスから購入)。
チケット料金
● BFI Southbank, Ciné Lumière, Curzon Mayfair, Curzon Chelsea, Renoir, Hackney Picturehouse, ICA, Rich Mix, Ritzy, Everyman Screen on the Green: £12.50
● Vue West End, Odeon West End, Cineworld Haymarket:£16
● ガラ&特別上映:Odeon West End, Curzon Chelsea, BFI IMAX: £20, Odeon Leicester Square: £26
● オープニング&クロージング・ナイト・ガラ: £32
● スクリーン・トーク(イベント):£17.50
*そのほか、会場により異なる場合あり
割引料金
● ウィークデー・マチネ(17:00までに上映開始):全会場£9
学生・高齢者などは£6.50(要ID)
● 子供(15歳以下):£5
ファミリー・ガラの場合は、大人一人の購入につき3枚まで£7



在留届は提出しましたか?




































こぢんまりとした建物と建物の間に、きゅっとむりやり押し込められたかのように納まるさらに小さい真っ赤な家。ここコンウィには、英国で一番小さいといわれる家がある。ギネスブックにも載っているというこの家、間口約1.8メートル、高さ約3メートルという極小サイズ。2階建てで、1階のキッチン & ダイニングには小さなテーブルとイスが2脚にコンロ、2階にはベッドが一つ、窮屈そうに置かれている。閉所恐怖症ならばとても住めないような圧迫感を覚えるが、この家に最後に住んでいた人物は、何と190メートルを超える大男の漁師だったというから驚きだ。


西ヨーロッパにおける最も高いビルとして、2012年のオープン時には大きく話題を集め、新しくロンドンの観光名所の一つに仲間入りした高層ビル「ザ・シャード」。イタリアの著名建築家レンゾ・ピアノが設計した高さ310メートルの建物における事実上の最上階となる72階から、ロンドンの眺めを一望することができる。通常ならば入場に際して24.95ポンドという決して安くない料金を払わなければならないが、オープン・ハウスでは特別に無料。ただしこの特典を得られるのは、先に紹介した首相官邸と同じく抽選の当選者のみ。興味のある人は9月13日の締切日までに、公式ウェブサイトから申し込みを。







毎晩、周辺にまで立ち飲み客が溢れ出る人気店。同店が立つロンドン中心部ホルボーン地区にはかつて「ウィペット犬」と呼ばれる狩猟犬が出場するドッグ・レースの競技場があり、周囲に立ち並ぶインディペンデント系の各店が街の賑わいを支えていたことから、当時の活況を蘇らせたいとの思いを込めて「ホルボーン・ウィペット」という店名が付けられた。小学校の校庭にある水飲み場のように並んだ小さな蛇口から注がれるビールは多種多様で、しかも来店する度にその種類が変わる。最近のお勧めは、バナナのようなほどよい甘味と、清涼感を含み込んだ「ロートハウス・ヴァイスビア」。フルーツ風味のこのビールと、ハーブ入りの挽きの細かいビーフを挟んだ「ブルームズベリー・バーガー」の組み合わせは、パブでの食事とはにわかには信じられないほどに爽やかな口当たりをもたらす。割高な傾向のあるクラフト・ビール店で、食事付きで15ポンド以内に収まるお得な料金設定もうれしい。
週日は露店が軒を連ねるレザー・レーンの北側に位置するパブ。何の変哲もないその外観は、英国中で見かけるそのほかの一般的なパブとさして変わりないが、店内に入ってカウンターの隅から隅まで並べられたビール・サーバーの数を見れば違いは一目瞭然。それぞれのポンプに貼られた目新しいラベルの数々には思わず見入ってしまうはずだ。スナック以外に食事は提供していないが、その代わりメニュー表にはビールの銘柄がずらり。英国人が大好きな樽内熟成の「リアル・エール」から、喉越しの良い味となる傾向の強いケグ式、さらには瓶詰めされたビールまで何でもそろっている。思わず興味をそそられるのが「エレクトリック・ナース」。直訳すると「電撃的な看護婦」となるその不思議な名前が暗示するかのように、キレとほのかな甘みが共存する個性派ビールだ。ロンドン南部ブリクストンや同北部イズリントンにも支店があり、またオンラインでも各種ビールを購入可。

2007年にスコットランド北東部アバディーン出身の20代の若者たちによって設立された醸造所「ブリュー・ドッグ」が運営するパブ。露店として始まり、今や日本を含む世界中に展開するその急成長ぶりは、ビール好きの間では伝説のようにして語られている。ロンドン東部ショーディッチほか各地に店舗を構えているが、スタッフの顔と名前を店内の壁に落書き風に書き出して紹介するファンキーなスタイルは、ロックの聖地と言われるカムデン地区の雰囲気にぴったり。スタッフが「バノフィー・パイ(バナナやキャラメルが入った英国のお菓子)の味に最も近いビール」と独特の表現で勧めてくれたのが「アブストラクトAB:14」。また注文する際に少し照れてしまう名前の「ハロー・マイ・ネイム・イズ・イングリッド」は、飲んだ瞬間にホロムイイチゴの味が口の中全体に広がる。グレープフルーツ、ライム、バジルなどを混ぜ合わせて透明感を際立たせたビールのカクテルもある。

金融街シティからアクセス抜群で、その名の通り赤い牛の絵が店内に飾られたこの店は、仕事帰りの銀行員らしき人々や近隣のオフィスに勤めているのであろう若い女性たちで賑わう。お勧めはドイツ産の「シュレンケルラ・ラオホビア」。ダークな色合いのこのビールを一口飲むと、滑らかな舌触りに加え、ベーコンのような風味にびっくり。ブナの木を燃やした薫煙で乾燥させた麦芽である「スモークド・モルト」を使用しているだけあって、まるで煙を飲んでいるかのような独特の味わいがクセになる。チーズの盛り合わせと一緒に飲めば、より一層深いコクが口の中に広がり、思わずもう一杯頼みたくなること間違いなし。歯ごたえのあるお肉と酸味の利いたソースの相性が絶妙のカモのステーキや、辛味のあるソースととろけるチーズがかかったイカの小皿など料理のメニューも充実。週によって仕入れる種類がガラリと変わるビールについての情報はウェブサイトに随時アップされている。

ロンドン屈指の食物市場であるバラ・マーケット。このマーケットの北側出口付近に設置されたビールの露店を訪れたことがある人は少なくないはずだ。ビール好きなら、実に700種類もの瓶ビールが一堂に並べられた棚を物色するだけで時間が飛ぶように過ぎていく。さて、この露店の運営元はパブの経営も行っている。そのパブの名が「ザ・レイク」であり、立地は何とバラ・マーケットの駐車場内にあるトイレの裏。店内も小部屋のようなスペースしかない、まさに知る人ぞ知る隠れ家的な名店となっている。ほぼ日替わりのような頻度で変わる約10のビール・サーバーが注ぎ出す生ビールも魅力的だが、やはり目玉は130種類にも及ぶ瓶ビール。カウンターのすぐ脇から出入りできる地下の貯蔵室に保管されている種類も多くあるという。露店ではお土産や自宅への持ち帰り用に購入、パブでは買い物の休憩と試し飲みを兼ねての一杯と、ビール党にたくさんの楽しみを与えてくれる店だ。





























ウィリアム王子とキャサリン妃の第1子が誕生した翌日、同妃が入院していた病院から住居であるケンジントン宮殿へと向かう際に、父であるウィリアム王子がベビー・シートを車に取り付け、自ら運転する姿に、王室がまた一つ、新しい扉を開いたと感じた人も多かったのではないだろうか。できる限り自分たちの手で子育てをしたいという意向を持っているとされる2人は、子供に専属の乳母をつけず、子育てを含む身の回りの世話を担当するパートタイムの家政婦を雇った。夫妻は新生児とともに数週間をキャサリン妃の実家で過ごす予定となっており、今後は同妃の両親であるマイケルさんとキャロルさんが子育てに深く関与することになるともいわれている。いずれにしても、英国空軍パイロットとして多忙な日々を送るウィリアム王子と、王室メンバーの一員として海外訪問を含む公務をこなしていくことになるキャサリン妃の子育てには、当人以外の人々の存在が不可欠となることは想像に難くない。ある世論調査では、大多数の国民が、ロイヤル・ベビーは一般的な育児・教育を受けるべきとする一方で、実際のところ実現させるのは難しいだろうと考えていることが明らかになっている。
アトピー対策になる
全身をモコモコに
暖かく優しく
口と目と耳を楽しませる
何でもお子様用の椅子に
床にこぼさず
食べ物アレルギーが
家庭内逆バンジー・
伸縮自在の
安心してプールに行ける
リバティ柄のよだれかけ
母親のキャロルさんと選んだ
英国の著名セレブたち
ケンジントン宮殿の
英王室コレクションの
クマのプーさんの
































1853年、ペリー提督率いる黒船の来航によって、200年以上にわたって鎖国を続けてきた日本は開国を強いられました。それから10年間、幕府の混乱に乗じて列強各国から不平等条約を押しつけられ、さらなる開港を求める外圧にさらされていた日本では、外国を排斥しようとする攘夷思想が燃え上がります。1862年に薩摩藩の行列を横切った英国人を斬りつけた生麦事件、1863年には長州藩士による英国公使館焼き討ち事件が起こるなど、西欧列強対日本という全面戦争の恐れが高まっていったのです。














