ニュースダイジェストの制作業務
Sat, 29 March 2025

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


112
野生動物が好きな人々

野生動物が好きな人々

動物愛護活動が盛んなことで知られる英国。たとえもし特別 動物好きでなかったとしても、日常の暮らしの中で野生動物に 触れる機会は、日本に比べると圧倒的に多い気がします。

都心に暮らしていたせいもあってか、日本では私が普段目にするのはスズメかカラス、どこかの飼い犬や猫くらいでした。そのため、英国で暮らすようになって、ロンドンのような大都会でも、庭にはコマドリ、アオガラといった鮮やかな色をした愛らしい姿の小鳥がやってきたり、キツネやハリネズミまで見ることができることにまずは驚きました。そして、たいていの家庭の庭には、鳥の水飲み場やバード・フィーダーが置かれているのにも!

初めてロンドンの道路の真ん中でキツネを見たときにはさらにびっくり。当時住んでいた下宿先の庭にも、たびたびキツネがやってきては、人間が近づくと、さっと逃げていくのを何度も目撃しました。昔、絵本や漫画で見たような、鼻が突き出て耳がピンとたった赤茶色の動物がこんなに間近にいるだなんて、最初はちょっとうれしいような気もしましたが、夜中に上げる金切り声に驚くことを何度も体験してからは、できれば庭には来てほしくないと思っている今日このごろです。

ちなみにレッド・フォックスと呼ばれるアカギツネが街に現れ始めたのは、第一次世界大戦後らしく、あるデータによると、ロンドンだけでも1万頭以上のキツネが暮らしているのだといいます。


また、日本では滅多に見掛けないハリネズミも、この国では人気者です。ここで知られているのは、ナミハリネズミ(Erinaceus europaeus)という種類で、体長は20~30cmほどのもの。私は義父母の住むデヴォンの街中の舗装道路に、なんとも愛嬌のあるハリネズミが歩いているのを見たのが初めての出会いでした。

実は2020年にハリネズミが絶滅危惧種に分類されたことで、英国ハリネズミ保護協会を中心に「Hedgehog Street」というキャンペーンを通じて、家庭の庭でのハリネズミ保護が奨励されています。庭にハリネズミの通り道を作ったり、殺虫剤や除草剤の使用を控えたり、自然な草地を残しておくことが良いとされ、さらに、水飲み場や、丸太や葉の山で作るハリネズミの巣を作ってあげることも勧められています。

一方で、この国ではラットと呼ばれるネズミの出没率も高いことが知られています。ハリネズミと違い、こちらは駆除の対象ですが、いずれにしても英国では日本より毎日の暮らしにおける野生動物との距離が近いという気がします。

 
<< 最初 < 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 > 最後 >>


マクギネス真美マクギネス真美
在英ライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。ポッドキャスト「The Real You with Mamita」とVoicy「英国からの手紙」のパーソナリティー。英国人義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して
お引越しはコヤナギワールドワイド 不動産を購入してみませんか LONDON-TOKYO Dr 伊藤クリニック, 020 7637 5560, 96 Harley Street 日系に強い会計事務所 グリーンバック・アラン

JRpass totton-tote-bag