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時間通りに来ない修理人たち
「プラマーのジョー、明日の午前9時くらいに来てくれるって」と夫は言っていましたが、翌日10時になっても、シャワーを修理してくれるはずの配管工の姿はありません。
「電話してみたほうがいいんじゃない?」という私に、夫は「来るとは言っていたんだから、あと30分くらい待ってみよう」と言いました。夫の辛抱強さが功を奏した(?)のか、「前の仕事が思ったより長引いてしまって」と、私たちが待ちかねていたジョーは10時25分に到着しました。
作業に取り掛かり始めたジョーに、お砂糖を2杯入れたミルク・ティーとビスケットを持っていきました。そのとき、英国人たちの言葉遣いを真似て、できるだけ丁寧に(遠回しに)、「今度からは、万が一約束の時間に遅れそうなときは、もしできたら、テキスト・メッセージだけでも1本入れてもらえると、とってもありがたいんだけど」とお願いする私。ジョーは「もちろん!」と笑顔で答えてくれましたが、さて、次回はどうなるでしょう。
こんなふうに、家の修理や工事などに、担当してくれるはずの人が遅れてくる、あるいは姿を現さない(!)という経験、英国在住なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
ある知人は、カントリー・サイドに念願の農場を手に入れて、さっそく母屋と納屋を改装しようと思ったのに、カーペンター、プラマー、ビルダーたちとのやりとりに疲れ果てたと言っていました。というのも、誰もが約束の時間(どころか日にちまでも)を守らないし、やっと工事に来たと思ったら、間違った建材を持ってきたり、注文した色と違うペンキを使っていたりと、とにかく物事がスムーズに運ばないというのです。ストレスが限界に来た知人は、プロでないとできないガスや電気関係の部分以外は、自分でやることにしたと言っていました。
この理由は、スケジュール管理がうまくできていない、社内でコミュニケーションがうまく取れていないなど、いろいろな指摘がされています。こうした熟練工の仕事は需要が多い割に、技術や人柄が信頼ができる人が限られているという面があるという説も。また、少々時間に遅れてきても英国の人々は「まぁ、仕方ない」と思えること、また相手に対して面と向かって文句を言わないというこの国の人々のメンタリティーも、修理人の時間管理のゆるさを許容しているともいえそうです。
近ごろではポーランド、ルーマニア、ハンガリーなどの国出身の熟練工が人気という記事もありますが、英国人の中にも勤勉な人はいるので、時間管理や仕事の質はあくまでも個々の人によると思います。問題はその勤勉で信頼できる熟練工を英国内でどう見つけるか、ということですが。