音楽は寝食と同じ
4歳でチェロを始められたそうですが、きっかけは何だったのでしょうか?
母親がピアノの先生だったこともあり、4歳でまずピアノを習い始めました。ただ、姉と兄が2人とも既にバイオリンやピアノを弾いていたので、母に「うちにはチェリストがいないから、チェロを習うと良いわね」と言われて、5歳になる前にチェロを習い始め、兄妹3人で「石坂トリオ」を組むことになったんです。トリオはその後16年間、僕が20歳になるまで続けました。
まさに、音楽一家に生まれ育ったんですね。子供の頃はひたすら練習、練習の日々でしたか?
チェロを習い始めた頃は、母について弓だけを持って動かす練習をしていましたが、しばらくしてから楽器を持って、少しずつ弾いていきました。既に楽譜を読めたので、弾くこと自体はそれほど難しくありませんでした。ただ、一番辛かったのは練習です。母によく「練習しなさい」と厳しく言われたものです。学校から帰ったらまず宿題をし、それが済んだらピアノとチェロの両方の練習、その後はトリオの合わせ、というのが日課でした。そして週末になると祖母の家に行き、ハウス・コンサートを開いていました。そんな半生でした(笑)。学校の友達と遊ぶ時間もなくて……。今思うと、それはやはり辛かったですね。「本当に音楽を続けたいのかな」と自問することもありました。
それでも弾き続けてこられた理由とは?
音楽が好きだからです。音楽は僕にとって、食べることや寝ることと同じ、生活の一部なのです。母親にも「音楽家になる以外、ほかに選択肢はないのですよ」というようなことを言われ、それなら音楽家になるしかないと思っていましたからね。
過去、師事した先生には、どのようなことを教わりましたか?
様々な先生の指導を受けましたが、最も影響を受けたのはボリス・ペルガメンシコフ *1氏です。彼に初めて会ったのは8、9歳の頃。その後1年に1度くらいの頻度で会い、講習会にも行っていました。そして「石坂トリオ」をやめてベルリンに引っ越してから、本格的に彼の下で習い始めました。自ら多くの演奏会をこなし、舞台経験が豊富な先生だったので、彼には絶大な信頼を寄せていました。通常、音楽家は10、11歳くらいでオーケストラと初共演するのですが、僕の場合はそれが19歳のとき。とても緊張していたのですが、「この曲のこの部分はファゴット、ここはクラリネットをよく聴いて」など、とにかく細かく指導してくれました。そんな先生を頼りにしていたので、集中して弾くことができたのです。
また先生は、曲が作られた当時の文化的背景や作曲家が生きた時代の社会・歴史などにも詳しく、楽曲を知るに当たって、どんな本を読めば良いかなども教えてくれました。演奏する際、曲の背景を思い浮かべながら弾けるようにと。

曲の内容を理解し、イメージを創り上げる
1992年、13歳で挑戦した「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」にて最年少で特別賞を受賞したことを皮切りに、その後、数々のコンクールに出場し、受賞されていますね。やはり、コンクールでの勝負が音楽家のその後のキャリアを左右すると思われますか?
音楽家としてのキャリアを積むには様々な方法があり、コンクールを重ねて大物になる人もいれば、コンクールを全く受けない人もいます。コンクールで受賞すれば、演奏会の機会が一気に増えます。例えばフォイアーマン・コンクールで勝てば、その後の20公演は決まりますね。また、コンクールを受けなくても、オーケストラの指揮者から「一緒にやってみないか」と声を掛けられ、そこから段々と演奏機会が増えるパターンもあります。そうして有名になっていきます。
僕自身は、コンクールを受けるのがあまり好きではありませんでした。その理由は、コンクールでは自分の好きなように弾けないからです。勝つために、先生に言われた通りに弾くしかない。でも、そもそも音楽はコンクール(=競争)には向いていないと思うんです。自分で曲の内容を考えて理解し、イメージを創り上げて弾くのがベスト。スポーツのように比べられるものではなく、芸術なのですから。
2004年に日本デビューを飾って以降、NHK交響楽団を始め、数々の日本のオーケストラと共演されていますね。特にビブラートを抑えたピリオド奏法 *2 が好評を博したとのことですが、この奏法を実践されたのはなぜですか。
06年にロジャー・ノリントン *3 指揮でNHK交響楽団と共演したのですが、ノリントンはどのオーケストラに対してもノン・ビブラートで弾くよう依頼する指揮者で、僕もそれに合わせようと思ったのです。その際はエルガーの協奏曲を弾いたのですが、ノリントンと共通のイメージを作ろうと、なるべく彼の意見を受け入れました。演奏自体は上手くいったと思うのですが、自分としてはあまり納得がいきませんでした。
僕自身は、曲によって付けるビブラートの数を決めます。バッハの曲は内向的で、それほど音楽を「見せる」必要はないと思うのでほとんど付けませんが、ロマン派の曲では、やはりビブラートを付けた方が雰囲気を出せると思っています。
自然な状態で、音楽を感じながら弾く
1日にどのくらい練習されるのでしょうか。
必要なときは、1日8時間くらい弾くこともありますね。もちろん、コンサートで移動があるときはそんなに練習できませんが。また、疲れて体力が落ちているときなど、夜まで練習しない日もありますが、そんなときでも「弾かなければ……」「申し訳ない」という思いが心のどこかにあります。
楽器の演奏は、まさに「体力勝負」なのですね。
音楽家だって人間なので、疲れることもあります。弾く気になれなくても練習しなければいけないときは、最も難しい部分だけを集中して弾いたり、逆に調子が良い日は細部まで練習したりします。どのくらい練習が必要なのかは自分が一番良く分かっているので、自然と練習の時間は決まりますね。また、緊張すべきところで力を入れて、そうでないところはリラックスして弾くことを心掛けています。
練習はプログラミングのようなもので、それによって体はもう弾き方を覚えています。ですから舞台では自分を信じ、音楽を感じながら弾きます。自然な状態で音楽を感じることができるときに、一番良い音が出るのです。
楽器の個性を大切に
ハードな練習で、そして本番で、石坂さんが毎日付き合う楽器も気になります。現在使われているチェロの一つは、日本音楽財団から貸与されている1696年製ストラディバリウス *4 の名器だそうですね。
毎年、日本音楽財団に自分のプロフィールや演奏活動スケジュール、デモテープに、楽器を使いたい理由を添えて送ります。それを財団が見て判断し、貸与が決まります。今、貸与されている楽器はもう6年ほど使っています。
楽器との関係は、人間との関係と同じ。楽器には個性があり、自身のプライドもあるようなので、喧嘩っぽくなることもありますね。また日によって、あるいは天候によって出る音が変わってくるので、楽器の調子に合わせて弾くことが大切です。コントロールしようとしすぎると音を潰してしまうので、常にコミュニケーションを図りながら、楽器に対してオープンに接しています。
今使っているチェロとは、仲良しですね(笑)。何より、音が奇麗です。
そんな相性の良いチェロと共に、1年間でどのくらいの数のコンサートをこなされていますか?
昨年はオーケストラ、室内楽、リサイタルで60~70回くらいですね。いつも同じ曲を弾くなら、もっと数を増やせるのでしょうが、演奏プログラムを考えなければならないので、回数的にはそのくらいで十分という感じです。

ロマン派が好き、でも最近はジャズやタンゴも
好きな作曲家、好きな楽曲について教えてください。
ロマン派、特にシューマンが大好きです。彼は妻のクララと付き合い始めた当初、クララの父が厳しかったこともあり、内密な交際をしていました。その間に作られた曲には寂しさや孤独感が表れていて、それがすごく奇麗なのです。ほかには、シェーンベルク *5 の「浄められた夜」。あれは最高ですね。デーメルの詩 *6「浄夜」を基に作られたとてもロマンティックで奇麗な弦楽曲です。
バッハの「無伴奏チェロ組曲」や「ブランデンブルク協奏曲」「バイオリン協奏曲」も良いですね。それから、ペンデレツキ *7 などの現代曲も好きです。今、ミヒャエル・デンホフという現代ドイツの作曲家が僕のためにチェロの曲を作ってくれています。
クラシック以外の曲を聴くことはあるのですか?
以前はクラシック以外の曲は全く聴かなかったんですが、最近、友達に勧められてジャズを聴くようになりました。あと、マイケル・ジャクソンとかも。「Thriller」とか「Bad」とか、踊りが格好良いですよね。彼が天才だったということも分かってきました。
タンゴも好きかな。最近、アルゼンチンのピアニストと、ピアソラ *8 が作曲したチェロとピアノのための曲でタンゴ・デュエットもしたんですよ。いつかはタンゴ・リサイタルもやってみたいですね。
どんな感情も、音楽で表現できる
石坂さんにとって、ずばりチェロの魅力とは何ですか?また、音楽家であることの醍醐味とは?
魅力はやはり、音の美しさですね。チェロの音色は、どこか人間の声に似ている気がします。そして音楽の持つ力。悲しいときに音楽を聴けば落ち着き、苦しい状況のときに聴くと希望がわきます。
例えば、ロシアで市民が国家による圧政を受けていた時代、音楽は人々の望みでした。音楽がなかったら市民は生きていられなかったかもしれません。音楽は人に考えることを促す存在でもありますからね。それほど音楽の力は強く、「Lebenslust(=生きる喜び)」であると言えます。
音楽家の醍醐味は、人間のどんな感情でも表現できることです。チェロの演奏をするとき、僕は自分の感情を表現し、観客と一体になり、音楽を「体感」することができます。言葉では表現できないことを演奏によって表し、また弾くことの中から新たなイメージがわいたりもします。
もちろん日によって感情も体調も異なり、経験から「今日の演奏はこんな感じになるだろう」と予測できるものではありません。あまり集中できないときもあれば、全く期待していなかったのに、自然に良いイメージを膨らませて弾けるときもあります。
常に音楽と向き合っていらっしゃいますが、音楽家であることから離れることはあるのでしょうか?
休みの日は映画を観たり、友達に会ったり、本を読んだり、卓球をしたりして過ごしています。たまにスキーや山歩きもしますね。父が昔、スキーのインストラクターをしていたということもあって。そのほか、リラックスするために最近はヨガもやっています。
音楽がずっと絶えないように……
今後、新たに挑戦してみたいことはありますか?
そろそろ教える立場に立っても良いかなと思っています。これまでは自分のことで精一杯で叶いませんでしたが、教えるからには自分の教え子に責任を持ちたいと思いますね。もちろん、まだ少し先の話ですが。今後も、オーケストラとの演奏や室内楽は続けていきたいです。
最後に、ニュースダイジェストの読者にメッセージをお願いします。
北極の氷が年々溶けているのと同じように、近年人々のクラシック音楽に対する興味が薄くなっています。30、40年後、今と同じようにコンサートを聴きに行けるかどうか、保証はありません。ですから、私たちの後の世代もずっと音楽を聴き続けられるように、音楽がなくならないようにしてほしいと思います。ぜひ演奏を聴きに行ってください。「音楽は(想いを表現する)言葉のようなもの」ということを未来の世代に伝えるために。
「どうも、はじめまして。石坂です」── インタビュー前、そう言いながら満面の笑みを投げ掛けてくれた石坂さん。若き偉才チェリストとして世界が注目する音楽家の気さくさに、緊張で凝り固まっていた体が一気にほぐれた。終始和やかに進んだインタビューだが、投げ掛けた質問すべてに予想通りの回答が返ってきたわけではない。音楽家として悩める姿も包み隠さず言葉にするのだ。褒め称えられる彼の技量・才能は、そんな音楽に対するひたむきで誠実な姿勢に裏付けられているものだと確信した。この先の道のりも決して平坦ではないかもしれない。しかし、音楽への揺るぎない情熱を強力な味方に、彼はこれからも弦を弾き続けるだろう。
石坂さんの演奏情報
www.danjulo-ishizaka.com
- * 1:ボリス・ペルガメンシコフ(1948~2004)。ロシア(旧ソ連)出身のチェリスト。スイス・バーゼル音楽院、ベルリン・ハンス・アイスラー音楽大学などで教鞭を執った。
- * 2:ピリオド奏法:モダン(現代仕様の)楽器で、ピリオド(作曲された当時)の演奏方法に則して演奏すること。
- * 3:ロジャー・ノリントン(1934~):英国の指揮者。1997年からシュトゥットガルト放送交響楽団の首席指揮者を務める。
- * 4:アントニオ・ストラディバリ(1644~1737):イタリア北西部・クレモナで活躍した弦楽器制作者。彼が制作した楽器は「ストラディバリウス」と呼ばれる。
- * 5:アルノルト・シェーンベルク(1874~1951):オーストリアの作曲家。「浄められた夜」は1899年にウィーンで作曲された弦楽六重奏曲。
- * 6:リヒャルト・デーメル(1863~1920):ドイツの詩人。「浄夜」などの代表作がある。
- * 7:クシシュトフ・ペンデレツキ(1933~):ポーランドのユダヤ系作曲家、指揮者。代表作に「ルカ受難曲」「バイオリン協奏曲」など。
- * 8:アストル・ピアソラ(1921~1992):アルゼンチンの作曲家。タンゴとクラシック、ジャズを融合させた。
2月12日(土)19:30
The Sands Centre
Carlisle CA1 1JQ
Tel: 01228 625222
www.thesandscentre.co.uk
| 料金 | £28〜30 |
| 指揮 | 佐渡裕 |
| 演奏 | BBCフィルハーモニック、 石坂団十郎(チェロ) |
| 演目 | ブリテン「歌劇『ピーター・グライムズ』より4つの海の間奏曲」、エルガー「チェロ協奏曲 ホ短調Op.85」、ドボルザーク「交響曲第9番 ホ短調Op.95」(新世界より) |
3月12日(土)19:30
Wigmore Hall
36 Wigmore Street London W1U 2BP
Tel: 020 7935 2141
www.wigmore-hall.org.uk
| 料金 | £12〜26 |
| 演奏 | パベル・ハース・カルテット(Pavel Haas Quartet)、石坂団十郎(チェロ) |
| 演目 | シュルホフ「弦楽四重奏曲第1番」、プロコフィエフ「弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調Op.92」、シューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調 D956」 |



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ロンドンにもある、今はクリスマス・ショッピングで賑わう大型デパート。革新的なデザインを広める建築事務所フューチャー・システムズが設計を手掛けた。 
街の象徴的な存在となっている、エディンバラ随一の観光名所。岩山の上に立っていることから、キャッスル・ロックとの別名を持つ。大晦日及び元日もオープンしている。
最初の建設から約2000年の歴史を誇る古城。19世紀に当時の人気建築家ウィリアム・バージェスが現在のビクトリア様式に改築した。 
売場総面積が10万平方メートル以上あるという、ロンドンで最大の大型デパート。クリスマス時期のイルミネーションと、年末年始のセールはもはやロンドンの風物詩。
英国人の間で最も愛されるクリスマス・ストーリー、「クリスマス・キャロル」などの名作を残した、文豪チャールズ・ディケンズの小説を原作とする心温まるミュージカル。
サウスバンク・センターの裏に、期間限定で特設テントを設置。サーカスとキャバレーが一体となった、大人の遊び。 
現英国王室の開祖と言われるウィリアム征服王によって、12世紀前半に建設された要塞。ロチェスターは、この城を中心としてできた城下町となっている。
欧州で年末年始にかけての恒例行事となっているのが、パントマイムという大衆演劇の観賞。英国の児童作家J.Mバリー作の人気作品「ピーターパン」が上演される。 

















赤ワインにシナモンやチョウジなどの香辛料を効かせた、ドイツのクリスマスには欠かせないドリンク。マーケットを訪れたら、まずはシナモンの香りに誘われて、湯気の立つ屋台でゴクッと1杯いかが?冷え切った体を芯から温めてくれる。グラスはたいていデポジット制だが、地域、年、屋台によってデザインが異なるので、記念に購入するのも良いだろう。
屋台の中でも目を引くのが、凝った細工の施されたツリー用のガラス玉。その昔、飾りとして一般的だったリンゴや卵に代わり、この玉が登場したのは中世の頃。ガラス工芸で知られるテューリンゲンのガラス職人たちが、流行らなくなったネックレスに代わる新商品として考案したのが始まりだった。見ているだけで心ときめくガラス玉、おみやげにどうぞ。
キリスト降誕の場面を表すクリッペは1223年、フランシスコ修道会の創設者、アッシジの聖フランチェスコがイタリアのグレッチョという街で生きた動物を使ってキリスト生誕を祝ったことに由来する。マリア、ヨゼフ、キリストの3人を軸に、受胎告知の天使や羊飼い、羊、雄牛、ロバなどが加わるものもある。
段々重ねのろうそく立ての頭にプロペラが付いたようなクリスマス・ピラミッドの発祥は、18~19世紀頃、エルツ山地の木工職人たちの発案で作られたと伝えられる。ピラミッドの各段には楽園やキリスト生誕、天使などをテーマにした場面が像で表現されている。周りのろうそくが灯されると、像や一番上の輪が回転する仕組み。



世界最高峰のオーケストラ、ロンドン交響楽団の演奏で収録した久石譲のベスト・アルバム。インターネットの人気投票を参考に収録曲を久石氏自身が選んだ。「メロディー+シンフォニー」から生まれたタイトル「メロディーフォニー」の通り、メロディアスな美しい楽曲がラインナップ。昨年発表した現代音楽の作家としてミニマル・ミュージックを強く意識したアルバム「ミニマリズム」の対とも言える作品。

定番料理のフォンデュは、通常2人前が基本だが、ここではメニューのうち3種類が1人前からサーブ可能ということで、チーズ・フォンデュ「モティ・モティ」と、ビーフのオイル・フォンデュにトライ。前者にはパンとジャガイモ、後者には7種類のソースが付いて、量、味ともに飽きないよう工夫されている。 付け合わせにお勧めされた千切りポテトの揚げ焼き、「レシュティ」(3.50ポンド)も自慢の一品で、カリッとした香ばしさが後を引く、危険なおいしさだ。
バラエティーに富んだ肉料理が楽しめるのは、2人前から頼める
主食は、「インジェラ」と呼ばれる厚みのあるクレープ状のパン。右手だけを使って少しずつちぎり、ラムの煮込みや生でいただけるビーフ、ほうれん草のオリーブ・オイル炒めなど、好みのメニューを包んでいただくのが伝統的なスタイル。それらが一同にプレートに盛り付けられた様子は、色鮮やかで見た目にもゴージャスだ。
室内を見渡すと、壁には風刺漫画家による政治家ポートレートが並び、本棚には彼らの自伝本がサイン入りで収められている。食事も長年愛されるメニューがずらり。キャベツの肉包みは、ゆっくり煮込まれた優しい味を、サワー・クリームの酸味とベーコン & ソーセージの塩気が引き立てる。前菜のニシンのマリネ(5.25ポンド)は、脂の乗った大きな切り身がワインと良く合い、すんなり胃袋に収まってしまう。他にも、煮込みシチューの「グヤーシュ」や子牛肉のカツレツなど、東欧のソウル・フードが堪能できる。
イート・インの常連客に一番人気があるのは、ライ麦パンで頂くオープン・サンドだ。トッピングは常時25~30種類ほどが用意され、スモークド・サーモンやニシンといったおなじみのシーフードを筆頭に、野菜やお肉系も揃う。スウェーデン料理として広く知られるミート・ボールやノルウェー産のサラミなど、各国を代表する食材が満載で、気軽に北欧の味を満喫できるのがうれしい。1月からは、野菜やベリー類をふんだんに使った新メニューのブレックファストも登場するので、ぜひお試しあれ。
日中は、グルジア名物の揚げパン風パンケーキが豊富なカフェとして重宝されるが、ディナー・タイムには、前菜と週代わりのメインが楽しめるアットホームなレストランに早変わりする。ずらりと並ぶアンティークの電話やシックなソファー、さりげなく飾られたアートなどは、オーナーがグルジアから買い付けたもの。個性的な空間を作り出していて、地元のアーティストたちが数多く訪れるというのにも納得だ。
串焼きのラムは絶妙の焼き具合で、柔らかくジューシーな仕上がり。締めは、アラブの一口パイ菓子「バクラバ」に、大盛りのフルーツ、コーヒーと、ボリュームたっぷりなので、このセットはゆっくりできる日のランチやディナーにお勧めだ。スタイリッシュなバーや、クッションを重ねた居心地の良いラウンジは夜に立ち寄りたい。
定番メニューは2種類あり、「ダディーD」はブラック・ビーンズを、「ファヒータ」は玉ねぎなどの野菜を使っているのが特徴。それぞれライス、肉の種類(チキン、ビーフ、ポーク)、サラダの内容などをチョイスして好みの一本をカスタマイズすることができるほか、野菜のみの完全ベジタリアン・ブリトーにすることも可能。サルサは3段階の辛さのレベルがあり、辛いものが苦手な人にはライムたっぷりのマイルド・サルサがお勧めだ。できたてをオープン・エアのテーブル席でいただけば、体はポカポカ、お腹はいっぱい。冬の寒さや買い物疲れも吹き飛ぶはず。
ねばねばとした質感が特徴の煮込み料理「モロヘイヤ」(6ポンド)や、ジューシーな骨付きラム肉を堪能できる「スペシャリティ」(6.50ポンド)など、ボリュームたっぷりの料理の数々は、どれもマイルドな味付けで、ライスとの相性も抜群。野菜を使ったメニューも充実していて、特に刻みパセリとミントがいっぱいのサラダやまったりとしたフムスは、軽くても奥の深い味わいに、ついお代わりを頼んでしまったほど。深夜までオープンしている上に、ほぼすべてのメニューが持ち帰り可能というフレキシブルさも魅力だ。


炊飯器で炊く場合は、
形は日本米に近い、丸みを帯びたお米です。粘り気があり、味も日本米に近く、英国ではライス・プディングを作る際に使われます。これを利用すればおいしい雑炊やお粥も作れるので、私たち日本人にとっては強い味方です。お米といえば、糖質やたんぱく質が主な栄養素ですが、実はビタミン、ミネラル、食物繊維なども微量ながら含まれています。


いわゆる蕪(かぶ)のことです。よくスーパーで見かけるのは、上半分が紫色で下半分が白いものが多いですが、お日様にあたった部分が紫色になっています。この根菜、実はビタミンCが豊富。また、蕪に含まれているジアスターゼ(でんぷん消化酵素)のお陰で、蕪の煮物は、胃の調子が良くないときなど、優しく刺激の少ない食べ物として昔から食されています。


大きなマッシュルームです。肉厚で食べ応えがあり、旨み成分(アミノ酸)を多く含みます。ビタミンB群やカリウム、食物繊維も豊富。また、ビタミンDも多く含まれ、調理する前に少しお日様に当てると、紫外線の影響でさらにビタミンDが増えます。日照時間の少ない冬には、体内でのビタミンDの生産量が不足しやすくなり、骨粗しょう症やうつ病などの原因にもなるようですので、これからの季節の頼れる食品と言えるでしょう。


リークはポロねぎとも呼ばれます。日本でもこの頃、手に入りやすくなってきたようなので、ご存知の方も多いのでは? 主な栄養成分としては、カロチン、ビタミンB群、葉酸、カルシウム、鉄、カリウムなどが挙げられます。ねぎの辛味成分は、にんにくや玉ねぎなどにも含まれるアリシンというもので、血行を良くし、体を温め、疲労回復にも役立ちます。


先のとがったキャベツのことです。英国で売られているキャベツの中では、日本のキャベツに一番近いといえるでしょう。トンカツに添えるのにも、このキャベツの千切りでまず大丈夫。キャベツはビタミンCやビタミンU(別名キャベジン)、カルシウムを始め、その他のビタミンやミネラル、食物繊維も豊富です。
バターナッツ・スクオッシュは適当な大きさに切り、皮をむき、ワタと種を取り除く。耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジで7分加熱する。バターナッツ・スクオッシュから出た余分な水分は捨て、水気を飛ばす(電子レンジの代わりに、ひたひたの熱湯で茹でてもOK。その際はしっかり水気を切る)。熱いうちにボールに移し、マッシャー、又はフォークでつぶす。
ひょうたんの形をしたかぼちゃです。日本のかぼちゃに比べて皮が薄いので、包丁が入れやすく、調理がしやすいのが特徴。かぼちゃはその色からも分かるように、カロチンが豊富で、ビタミンEも多く含んでいますので、アンチエイジングにもいいですね。食物繊維も豊富です。


火~日 10:00-17:00(水20:00まで)、月休
火~土 12:00-19:00、日月休
月~土 11:00-翌1:00、日12:00-23:00
月~土 9:00-23:00、 日10:00-23:00
お土産にお薦めなのはカフェオレ・ボウル(13ユーロ~)。たっぷり入ったカフェオレにクロワッサンを浸して食べるのがフランス流!
店内で購入したワインは2階の本格派フレンチ・レストランに持ち込めるので、小売価格でワインを楽しめますよ!
毎朝市場で仕入れる新鮮な食材を使っています。大型船と違い、ひとりひとりの料理にまで目が行き届くので、繊細な味わいを楽しめますよ。
ワイン初心者には飲みやすいMuscadet(ミュスカデ、白)やCahors(カオール、赤)がお薦めだね。
店の主旨に賛同したブランドが、通常よりも安い価格で商品を提供してくれています。随時変わるディスプレーにも注目して!
ソーセージ、豚肉、ジャガイモ料理など、定番のドイツ料理はもちろん、ケルンの伝統的な食文化を伝えるこの店は、他では食べられない郷土料理も充実している。
ポメス(フライドポテト)やカリー・ブルスト(カレー粉がかかったソーセージ)からシュニッツェルまで、お手頃価格で食事も楽しめる。
レーズン・パン(Rosinenbrötchen)や、ずっしりと重い全粒穀物パン(Vollkorn-Roggenbrot)が特に人気。迷ったときは店員さんに希望を伝えて。彼らはパンのプロフェッショナル。
それぞれのお客様の「お気に入りの一足」を作り出すことがTrippenの願い。お客と長いお付き合いをできるようにと、素材には特にこだわっている。



1972年生まれ、京都市立芸術大学、IAMAS国際情報化学芸術アカデミー卒。フランス国際マルチメディア見本市「milia2001」新人賞受賞を機に渡欧。デザイン・スタジオ「Team Chman」(フランス)を経て、ECAL(スイス州立ローザンヌ美術大学)メディア & インタラクション・デザイン科で教鞭を執る。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品賞など受賞。現在、多摩美術大学などで情報デザイン非常勤講師を務めている。 

舞台演出家、俳優、作家。劇団「コンプリシテ」創立者。1957年8月25日生まれ、ケンブリッジ出身。ケンブリッジ大学英文科在籍時に、同大の演劇部「フットライツ」で、スティーブン・フライやエマ・トンプソンといった、後に英国の演劇界で活躍するメンバーと共に演劇活動に携わる。その後パリへと赴き、演劇教育の第一人者ジャック・ルコックに師事。村上春樹の短編小説を基にした舞台作品「The Elephant Vanishes」の演出を手掛けるなど、日本文化への造詣も深い。11月4日より、ロンドンの多文化施設 バービカンにて、「Shun-kin」を上演。 









