開幕まであと半年を切ったロンドン五輪に向けて、英国ニュースダイジェストでは関連情報を随時掲載していく。今回は、52年ぶりの英国統一チーム結成で話題を集めるサッカー男子に注目。同五輪代表を率いるスチュアート・ピアース監督へのインタビューを、2回に分けて掲載する。
取材: 小杉敏之/東京中日新聞
コーディネート: BAREFOOT COMMUNICATIONS LTD
翻訳・編集: 大塚麻里ほか
Stuart Pearce MBE
1963年4月24日生まれ、ロンドン出身。2012年のロンドン五輪サッカー男子監督を務める。ファビオ・カペッロ監督率いるイングランドA代表のコーチと21歳以下の選手で構成されるU-21代表の監督を兼任。現役時代はイングランド代表の主将も務めた。
ロンドン五輪サッカー男子代表選手の選考基準は何ですか。
サッカー男子においては、オーバーエイジ枠の選手3人を含む23歳以下の選手全18人、加えて補欠4人を選出することになっています。とりわけ、今夏開催のUEFA欧州選手権に出場する代表選手を注視しておかなければなりません。
というのも、私たちが抱える課題の一つとして、五輪開催前に行われる欧州選手権の出場選手を、五輪にも出場させるべきかどうかを決める必要があるからです。彼らは、昨年から続く国内リーグにおいて10〜11カ月にわたってプレーした後で、今度は6月いっぱいを欧州選手権に費やすことになります。引き続き7月8日から五輪代表選手団に参加することは、あまりに大きな負担となる可能性があります。
北アイルランド、スコットランド、ウェールズといったイングランド以外のサッカー協会は英国統一チームの構想に反対を表明していますが。
個人的には、それらすべての国が協力してくれることを望んでいます。また五輪に出場するか否かを最終的に決めるのは、個々の選手の五輪に対する意欲や気持ちであるとも思います。イングランド以外の各国のサッカー協会は、確かに英国統一チームの結成について好印象を持っていません。反対理由の一つとして、各協会の持つ独立性が失われてしまうことを恐れているというのがあるのでしょう。加えて、英五輪協会はイングランド・サッカー協会に英国統一チームの監督を選出する機会を与えましたが、それが他国のサッカー協会の反感を買ったのかもしれません。まあ、このあたりは私の憶測に過ぎませんが。各サッカー協会の懸念はある程度は私も理解できますが、一方で今回の五輪を取り巻くサッカー界の状況はやや混乱しているのではないかとの印象を受けています。
私にとっては、政治とサッカーは全く別のものです。この2つは決して混同すべきではありません。大切なのは、五輪で我々のプロフェッショナリズムを見せつけることだと思います。また18人の選手全員と補欠の選手に、満員になった会場でプレーするチャンスを与えることが重要です。選手たちにとって最高の経験となるでしょう。
イングランド、北アイルランド、スコットランド、ウェールズの各国から少なくとも一人選出する予定なのでしょうか?
まず、私は「政治的な理由のために、各国から選出すべきだろうか」と考えを巡らせてみました。しかし、そのような選考基準は、選手たちに対して結局、不公平であるとの結論に達したのです。だから出身国にかかわらず、選手の個々人としての能力を判断していくことになるでしょう。その結果、一国から全選手を招聘したものになっても、あるいは各国出身選手が混在したものになってもどちらでも良いと思っています。可能性としては、2〜3カ国からの出身選手だけで英国代表が構成されることもあり得ます。ただチームの構成がどのようになろうとも、皆同じユニフォームを着た、英国代表の選手であるということには変わりありません。
英国統一チームへの参加を積極的に望む選手を選出するのでしょうか。
現時点では、我々の方から選手に連絡を取って、書類を送り、英国統一チームの選手として選考されることを望むか否かの回答を求める、というのが公式な過程となっています。この作業はもうすぐ開始されるでしょう。その結果、五輪に参加したくないと言う選手がいたとしても構いません。でも、そのような考えを持つ選手はあまりいないのではないでしょうか。皆参加したいと思うでしょう。およそ250人の選手に打診する予定です。
各サッカー協会の要望などに優先して、そうした選手の決断が尊重されるべきだと考えていますか。
こうしたあらゆる大きな大会が巡ってきた際に、監督として私が取り入れる基準は、選手の経験と選手自身にとってのメリットです。そして自分自身に対して、「もし私がまだ現役選手であったら、英国統一チームのメンバーとして、母国で五輪に参加する方がいいか、それとも代わりに所属クラブに留まり、シーズン開幕前に行われるいくつかの親善試合でプレーする方がいいか」と問い掛けるでしょう。自分がどちらの道を選ぶかは明らかです。ご存知のように、私はロンドンで開催された欧州選手権の1996年大会でプレーする幸運に恵まれましたが、それはサッカー選手としての私の人生において最高の経験となりました。代表チームのメンバーのほとんどが若い選手になるかと思いますが、そうした若い選手へ与えられるチャンスを、私も、またどの国のサッカー協会も奪うべきではありません。
ワールド・カップが一大イベントとなっているサッカーにおいて、五輪に参加する意義とは何でしょうか。
第一に、母国でこのような大会に参加できる機会はあまりありません。この国で五輪を開催できるなんて、私たちは本当に幸運に恵まれていると思います。我々は、国民的スポーツであるサッカーを五輪で紹介することができるのですから。できるだけ長く五輪の舞台で勝ち残り、注目を集めることができたらと思っています。
こんなチャンスは、人生で一度しか来ないでしょう。私がこれまで会話を交わした選手の多くは、五輪をワールド・カップやそのほかの主要な大会から独立した、それ自体で楽しむための大会であると見なしています。ワールド・カップや欧州選手権の重要性は分かっています。なぜなら、私はかつてその舞台でプレーしていましたし、また監督としても参加したことがあるからです。ロンドン五輪に関しては、どれほど注目を集める大会になるか、想像すらできません。サッカー男子が英国統一チームとして五輪に参加するのは1960年以来のことですからね。ものすごい注目を集めるのではないでしょうか。
開幕まであと半年を切ったロンドン五輪に向けて、英国ニュースダイジェストでは関連情報を随時掲載していく。今回は、52年ぶりの英国統一チーム結成で話題を集めるサッカー男子に注目。同五輪代表を率いるスチュアート・ピアース監督へのインタビューを、2回に分けて掲載する。
取材: 小杉敏之/東京中日新聞
コーディネート: BAREFOOT COMMUNICATIONS LTD
翻訳・編集: 大塚麻里ほか
Stuart Pearce MBE
1963年4月24日生まれ、ロンドン出身。2012年のロンドン五輪サッカー男子監督を務める。ファビオ・カペッロ監督率いるイングランドA代表のコーチと21歳以下の選手で構成されるU-21代表の監督を兼任。現役時代はイングランド代表の主将も務めた。

イングランドA代表のコーチとして臨んだスペイン代表との親善試合を控えて、主将のジョン・テリー選手(写真左)らに指示を出すピアース氏(同右)
イングランド、北アイルランド、スコットランド、ウエールズの4カ国から選手を集めることで、より強い代表チームができると考えていますか。
チームはより強くなると思います。ただ一つ私たちにとって不利となり得るのは、今夏に開催される欧州選手権の出場選手を、五輪代表としては一切選出しないとの決定が下された場合です。いずれにしても、英国統一チームの結成は、各国から優秀な選手を選抜する良い機会になると思います。現在のスタッフにとっては初めての試みとなりますが、英国統一チームとして団結を図ることができれば、きっと良い結果が得られるはずです。
実際のところ、欧州選手権の出場選手がロンドン五輪にも参加することがあり得るのでしょうか。
その可能性は薄いですね。ただ現段階では最終的な結論を出していません。3月末か4月までには決断する必要があるでしょう。そうでなければ、選手たちは、自分が五輪に向けてコンディションを上げていく必要があるのかどうか、判断がつかないですから。そのころには、出場選手候補を30人程度にまで絞り込めているはずです。そして7月初めに最終的な判断を下し、出場選手が正式に決定することになります。
実際のところ、欧州選手権の出場選手がロンドン五輪にも参加することがあり得るのでしょうか。
その可能性は薄いですね。ただ現段階では最終的な結論を出していません。3月末か4月までには決断する必要があるでしょう。そうでなければ、選手たちは、自分が五輪に向けてコンディションを上げていく必要があるのかどうか、判断がつかないですから。そのころには、出場選手候補を30人程度にまで絞り込めているはずです。そして7月初めに最終的な判断を下し、出場選手が正式に決定することになります。
ただ、欧州選手権に出場する選手は別としても、ほかの選手たちにとって五輪の開催時期は本来であればオフ・シーズンであるだけに、準備を行うのが難しいという問題があります。準備が大変なのは、U-21代表(21歳以下)チームの監督としての業務もこなさなければならない私も同じ。しかし「経験を得る」という意味において、この夏は特別な時間を過ごすことができると思っています。
ベッカム選手が英国統一チームの主将への就任を熱望しています。(現在36歳の同選手が対象となる)オーバーエイジ枠の選手の選出基準は何でしょうか。
私は、デービッドが五輪への参加希望を表明をしたことは、世界のサッカー界に対する素晴らしいメッセージになったと思っています。ですが、ほかの選手と同様に、彼がチームの一員となり得るかどうかは、彼自身のコンディション次第でしょう。五輪では決勝戦までを勝ち抜くために、短期間に6試合を戦う必要があります。我々は、18人の選手すべてがその過密スケジュールに耐えうるかどうかを判断しなければならないのです。
ベッカム選手を代表選手に選んだ場合、単に宣伝目的で彼を引き入れたのだと非難する人もいるかと思いますが。
商業目的云々の話ですね。どんな決定を下したとしても批判されることになるでしょうが、そうした声は別に気になりません。すべての人々を満足させることなどできませんし、チームの構成や商業目的云々、またそのほかの様々なことをめぐって、批判的は見方は必ず出てきます。そして、だからこそ我々は、五輪の舞台で立派に戦えるチームを編成しなくてはならないのです。
五輪での目標は何でしょうか。
金メダルでしょう!強豪国が出場することは分かっていますが、現段階で、各代表がどの程度の仕上がり具合で五輪に臨んでくるかを把握するのは至難の業です。自分たちのチームの長所さえまだ知る由もない段階ですから、対戦国のチームに関しての情報を集めることの難しさはなおさらです。いずれにせよ、母国での五輪開催が、我々にとって有利に働くことを願っています。
チームに与えられる準備期間はとても短いものだと思います。どうやって対処しますか。
準備の進め方については、ほぼ決定済みです。この仕事を担うに当たっての私の強みは、現在受け持つU-21の監督業などを通して、大会に向けた調整方法を熟知しているということです。U-21を率いて既に3つの大会を戦ってきていますし、ワールド・カップには選手としても出場していますしね。
恐らく、(ロンドン五輪の合宿施設が用意された)イングランド中部ラフバラーに集合して準備を整えた後にスペインに飛び、1週間を練習と非公開の親善試合に費やします。それからロンドンの五輪選手村に入り、英国北部でまた親善試合です。五輪の初戦は、7月26日にマンチェスターのオールド・トラッフォード競技場で行われます。準備という観点では、先に述べた2つの親善試合が重要になってくるでしょう。これまでに3度、U-21チームにおける主要大会の準備でスペイン合宿を行っていますから、この方法が上手くいくと確信しているんですよ。
五輪におけるサッカーの観戦チケットの売れ行きが芳しくないようですが。
単に、どのチームがどの日に試合を行うのかが現時点では分からないことが原因だと思います。通常、チケットは、どのチームがどのチームと対戦するかを分かった上で購入するものです。でも今、我々は、一体誰が出るのか分からない試合のチケットを買ってくれと頼んでいる状態ですよね。詳細が発表されれば、チケットは飛ぶように売れるはずですよ!
日本代表について何か特別な印象はありますか。
現時点ではありません。今、我々が注視しているのは、予選ラウンドのグループ分けを決める抽選会です。大きな大会を控えた際、特にサッカーにおいては、自分が誰を相手に戦うのかが分かったときに集中力が一段と研ぎ澄まされますからね。
あとがき
8日に発表されたファビオ・カペロ氏の突然のイングランド代表監督辞任を受けて、スチュアート・ピアース監督は、欧州選手権を控えるイングランドA代表の暫定監督をも兼任することになった。今後、ピアース監督の存在感がますます高まっていくことは間違いないだろう。



在留届は提出しましたか?



料金: 学生£10(一般は£40)
「オリジナル脚本を使った現代の日本映画」をテーマに、2000年以降に製作された作品で、監督が原作/脚本を手掛けた9本を紹介する国際交流基金主催イベントのロンドン上映。周防正行監督の「それでもボクはやってない」などが上映される。
料金: £100(16〜25歳は£45)
今年、英メリット勲章を受勲した画家、デービッド・ホックニーのエキシビション。デビュー当時のポップな色調はそのままに、以前から愛していたというヨークシャー東部の風景を、巨大キャンバスに描いた連作を展示する。
料金: £67(一人ゲストを伴う場合は£97)
料金: £45
ビジュアル・アーティスト、デービッド・シュリグリーの個展。日本の人気アーティスト奈良美智とのコラボレーションや、ロック・バンド、ブラーのためのアニメーション、ジャケットなども手掛けている彼の作品を展示。
料金: £64(一家族£94)
第二次大戦中から戦後にかけて活躍した英国のフォトグラファー、セシル・ビートンが撮影した、若き日のエリザベス女王のポートレートを集めたエキシビション。ダイヤモンド・ジュビリー(即位60周年記念イベント)の一環。
料金: £52(8〜15歳は£20)
ポップでグロテスクな陶芸作品と女装趣味で知られる、英ターナー賞受賞アーティスト、グレイソン・ペリーのエキシビション。彼の新作に加え、ペリーによって選出された大英博物館所蔵の工芸品も併せて展示される。
料金: £13.50(学生・シニア£10)
電気自動車、GPSやインターネットのワイヤレス・ネットワークといった科学技術がロンドンという街を移動する際にどのような変化を与えているかを探る特別展。アーティストたちが描いた未来予想図などとともに展示する。
昨年夏に88歳で死去した、英国を代表する具象画家の一人、ルシアン・フロイドの大回顧展。絵の具を厚塗りする特徴的な画法で、身近な人々をモデルに描き続けたフロイドの未公開作品を含む約100点の作品を展示する。

















6月21日、英国各地で華やかにロンドン2012フェスティバルの幕が開く。スコットランドのスターリング城前では、天才的な若手指揮者として、世界で最も注目されているグスターボ・ドゥダメルが、ベネズウェラ・シモン・ボリバル交響楽団を率いて、1日限りの野外コンサートを開催。湖水地方のウィンダミアでは、フランスの花火パフォーマンス集団「Les Commandos Percu(レ・コマンド・ペルキュ)」が湖畔で花火と音楽が織り成すイベントで華を添え、北アイルランドのロンドンデリーでは、3カ月後に控える「世界平和の日」に向けたカウントダウン・イベントが行われるなど、オープニングにふさわしい光景が各地で見られそうだ。
英国が誇る大作家、ウィリアム・シェイクスピア。今年は「ワールド・シェイクスピア・フェスティバル」と銘打ち、英国各地でシェイクスピア作品を上演する大イベントが繰り広げられる。「グローブ・トゥー・グローブ」は、その一環としてロンドンのグローブ座で行われる演劇イベントだ。シェイクスピアの全戯曲を、一作品ずつ異なる言語で演じようという試みで、全37作品を37のプロダクションが上演する。英語はもちろん、アラビア語やマオリ語、手話なども登場。日本からも三浦基(もとい)率いる京都出身の演劇集団「地点」が、シェイクスピア後期の悲劇「コリオレイナス」に挑戦する(5月21日 & 22日)。
英国中から集まった何千人ものダンサーやパフォーマーたちが、トラファルガー・スクエアに集合 、一斉にダンスを披露するというスペクタクルな光景が展開する。公共の場に多数の人々が集合してパフォーマンスを行うのは「フラッシュ・モブ」と呼ばれ、某携帯電話会社のコマーシャルなどでもその迫力の程が知られている。今回、このパフォーマンスの振り付けを担当するのが、英国のコンテンポラリー・ダンス界に多大な影響力を与えるロイヤル・バレエ団の常任振付家、ウェイン・マクレガーだ。なお、この「ビッグ・ダンス 2012」はトラファルガー・スクエアだけに留まらず、英各地で同趣向のイベントを開催するので、詳細はサイトをチェックして。


ウィリアム王子と結婚する前のキャサリン妃が頻繁に出没したと言われる、高級ショッピング街のスローン・スクエアに位置する高級食材店。近隣地区には無償で配達を行っているので、界隈のマダムたちの台所として大活躍している。店内に併設されたデリでは、ステーキ&キドニー・パイやシェパーズ・パイといった英国の代表的な惣菜を用意。「英国の料理はまずい」との固定観念に縛られた日本人観光客に紹介するには、打ってつけの場所かも。さらに毎週土曜日には、同店前でフード・マーケットが開かれる。グロスター・ロード地区にも支店あり。
2-5 Duke of York Square, Sloane Square, 
青い看板と清潔感溢れる内装が特徴的なイタリア食材チェーン店。店名は、シェフのアントニオ・カルッチオ氏の名前から取られたもの。自然食品ブランドの運営を自ら手掛けるなど、食材に対しては強いこだわりを持つことで知られるチャールズ皇太子のお墨付きだけあって、オリーブ・オイル、パスタ、ハーブ、そして食パンなど、イタリア本場から運ばれてきた健康的な食材がたくさん。併設されたレストランで食事することもできる。上記のコベント・ガーデン店のほかに、高級店が集うボンド・ストリート駅近くなど英国各地に支店あり。
Garrick Street, Covent Garden, London WC2E 9BH
英国に帰化したフランス人チョコレート職人の息子が開業した、100年以上の歴史を持つ高級チョコレート店。最高級のココアを使用した商品は今でもすべて手作りで、その完璧主義を貫き通すために、チョコレート販売に関わる全作業を同店スタッフが手掛ける。顧客リストには、お墨付きを与えたエリザベス女王だけではなく、彼女の母である故クイーン・マザーや、故ダイアナ元妃も名を連ねていたとか。上記の店舗に加えて、ハロッズやロンドン三越などのデパート、またはウェイトローズなどのスーパーでも同社製品を販売している。
14 Princes Arcade, Piccadilly, London SW1 6DS 
ロンドン市内でチーズ販売の屋台を構えていた商人が、店名となったハリー・パクストン氏とチャールズ・ホイットフィールド氏の2人と共同して1797年に創業。1850年にヴィクトリア女王よりロイヤル・ウォラントを授かって以来、エドワード7世、ジョージ5世からエリザベス女王、チャールズ皇太子などに至るまで、歴代の王家メンバーに愛されている。ウィンストン・チャーチル元首相は、「紳士たる者は同店でチーズを買う」という言葉を残したとの逸話も。イングランド中部ストラトフォード・アポン・エイボンや同西部バースにも支店あり。
93 Jermyn Street, London SW1Y 6JE
魚屋としては唯一、2個以上のロイヤル・ウォラントを保持するジェームズ・ナイト・オブ・メイフェア。店名となったジェームズ・アーサー・ナイト氏が100年以上前にこの魚屋を創業し、その後、ホテルへの卸売り業者として事業を著しく成長させたという。店内に並べられた商品の8割は、英国内またはアイルランドから取り寄せたもの。どの魚も新鮮なので、刺身にするのに適しているという点も日本人には大変うれしい。やはり王室御用達として有名なロンドンのデパート、セルフリッジ内に店舗を構えている。
Selfridges Food Hall, 400 Oxford Street, London W1A 1AB
ロウソクの販売店として始まり、今や良質の紅茶を販売するデパートの老舗として広く知られるフォートナム&メイソン。18世紀前半を生きたアン女王の宮殿でロウソクの取り換えを行っていたウィリアム・フォートナム氏と、彼が住んでいた家の家主のヒュー・メイソン氏が1707年に創業した。クリミア戦争時には、ヴィクトリア女王が野戦病院へ同社の食料品を送らせたとの逸話まで残っている。日本人観光客のお土産として人気の紅茶に加えて、英国人が夏の晴れた日に持参するハンパー(ピクニック・セット)の販売店として愛されている。
181 Piccadilly, London W1A 1ER
300年以上にわたり、同じ敷地内にずっと同じ店舗を構えているという、まさに英国人好みの最古参のワインとスピリッツ商。食料雑貨店として始まった1698年の創業当時は、商品の計量のために店内に設置されていた大型の量りで、顧客の体重測定を行うなどのサービスを提供し、話題を集めていたという。19世紀前半から20世紀前半に英国を統治したエドワード7世の時代に王室御用達に指定された。加えて、ナポレオン3世や名優ローレンス・オリヴィエなどそうそうたる面々が同店を贔 屓にしたと伝えられている。日本にも支店あり。
3 St. James’s Street, London SW1 1EG
自然派食品販売の草分けとして知られる、オーガニック食品販売店。英国で少しずつ自然派食品に対する意識が芽生え出した1970年代に、トルコ、インドや中国といった国々から食品を買い付け、英国に輸入するというビジネス・モデルを築き上げたという。ドライ・フルーツ、ナッツ、豆類などの種類が豊富。また昨今、英国を含む欧州各地で健康食として広く認知されている日本食の普及にも取り組んでいて、「Sanchi」というブランドの名の下でインスタント味噌汁、ラーメン、醤油などを販売。注文はオンラインで受け付けている。













イングランドでは古くから各地で女子サッカーの試合が行われていたが、「女性の健康を損なう」ことなどを理由に、同サッカー協会が1921年に女子チームに対してのグラウンドの貸し出しを禁止。71年にこの禁止令が破棄され、96年のアトランタ五輪より五輪正式種目となった。W杯などではイングランド、北アイルランド、スコットランド、ウェールズとして各国が出場を果たす一方で、これまで英国代表チームとしての五輪参加は実現していない。ロンドン五輪において、女子サッカーはその歴史上初めての英国統一チームを形成することになる。


東日本大震災という、未曽有の災禍が発生した2011年。英国という遠く離れた異国の地から、母国が復興を遂げていく過程を見守るという特異な立場に置かれた在英邦人たちは、それぞれ新しい年をどのように過ごしていくのか。林景一駐英国特命全権大使に、昨年を振り返るとともに、2012年の展望を語っていただいた。




4. B スティーブン・ホーキング
3. A エリザベス1世






リヨンは食材に恵まれてはいるものの、庶民の料理は内臓類や淡水魚がベースとなっている。ブションと呼ばれるリヨンの大衆食堂で出てくる代表的な郷土料理は、牛の胃にパン粉を付け焼いた「タブリエ・ド・サプール」、豚の血と脂身の腸詰め「ブーダン・ノワール」、豚などの臓物を詰めたソーセージ「アンドゥイエット」、カワカマスをすりつぶし、卵やパン粉を混ぜて蒸した「クネル」、鳥レバーのムース「ガトー・ド・フォワ・ド・ヴォライユ」、フロマージュ・ブランに調味料を加えた「セルヴェル・ド・カニュ」など。決して高級な料理ではない。
リヨンに「トック・ブランシュ・リヨネーズ(Toques Blanches Lyonnaises)」というシェフの協会があります。私は入会していませんが、ポール・ボキューズを始めとする偉大なシェフが協会を盛り上げてきて、現在はクリストファー・マルガンが3代目の会長です。フランス国内でも最大級のシェフの協会でしょう。私はリヨンでレストランを始めて2年半経ちますが、協会の方々も食事に来てくれ、色々な人を紹介して下さいます。
昔からリヨンは美食の町と言われていますが、高級レストランの数は減少しています。ポール・ボキューズが、なぜ複数のビストロを出したか。レオン・ド・リヨンが、なぜ2つ星をやめてブラッスリーに走ったのか。昔のブルジョワの人たちと今の人とでは、楽しみ方が違ってきているのです。ガストロノミーを楽しむ人がいなくなってきているわけですよ。昔に比べて娯楽に使う金は増えたと思いますが、使う先は車、住居、家具など。それにみんなで食事に行く機会も減っていると思います。昔は週末に家族で食事を取るという習慣がありましたが、今はそれも少なくなってきている。肉屋も大きな固まりの肉を買う人が減ったと言っています。
寒く、暗く、どんよりとした日々が続く英国の冬。
クリスマス・マーケットの本場であるドイツ西部フランクフルトに拠点を置く業者たちが開く市。英国では滅多にお目にかかれないボリュームたっぷりのソーセージに、ドイツ産ビールやグリュー・ワインを合わせるというのが風流な楽しみ。
古くは市場として賑わっていたという大聖堂前広場には、トナカイやソリ道具、大道芸人からフェイス・ペインティングまでがそろっていて、家族で楽しむには最適の場所。冬空の下で行われる提灯行列も必見。
クリスマス・マーケットを街の名物とするイングランド中部の街、ヨーク。最大規模の聖ニコラス祭に続いて開かれるマーケットがこれ。石畳の敷かれた狭い小道が入り組んだこの街には、クリスマス・マーケットの雰囲気がよく似合う。
ドイツ、フランスさらにはそのほかの世界各地の名産品を集めたマーケットが、市内8カ所で開催されるという、まさにクリスマス・マーケットづくしの催し。工業都市マンチェスターに温かみを添える、木組みの小屋が街に彩りを与えている。
ドイツにある姉妹都市ノイシュタットを視察した地元議員の発案によって始められた、たった11店舗のみのマーケットが、現在では240店舗にまで拡大。そんな逸話そのものがおとぎ話のような魅力を持つクリスマス・マーケットだ。
長さ約1キロの距離に193店舗がひしめくという大規模なクリスマス・マーケット。さらにその奥には、地元の職人たちが精魂込めて作り上げたという手工芸品を集めた市場が隣接している。木〜日はバンドによる生演奏も行われる。
1世紀半ばから建設されたというカーディフ城前ほか、市内中心部の数カ所で開かれるマーケット。また市庁舎前にアイススケート場や子供たちが大好きな乗り物が用意された遊園地施設「ウインターランド」は、1月2日まで開催。
英語の「お風呂」の語源となったと言われるローマ浴場跡を持つバース。時間が許せば1泊して、マーケット巡りに加えて、同地のもう一つの観光名所であるスパ施設でもゆったりすれば、文字通り身体の芯から温まることができるはず。
街の中心に立つオックスフォード城の前で開催される。英国を代表する聖歌隊を持つオックスフォード大学を内包するこの街は、クリスマスとなると独特の静謐さを醸し出すようになる。クリスマス・マーケットでは、地元の聖歌隊が合唱を披露。
ご存知ハイド・パークが、巨大な冬のエンターテイメント施設に様変わりする。園内に観覧車やアイススケート・リンクが出現。休憩所で、生演奏に合わせてワイン片手に踊る来場者たちの姿を目にすれば、幸せな気持ちになること請け合い。
歴史的建造物に囲まれた街、ウィンチェスター。この街のランドマークとなっているウィンチェスター大聖堂の前で、今年も毎年恒例のクリスマス・マーケットが開かれる。ライトアップされた大聖堂前の広場の雰囲気は格別。
アルペン小屋に、雪景色をイメージした飾り付け。ドイツ山間部のクリスマスを再現した風景の中に、炭火で焼いたソーセージ、巨大なステーキからナッツまで本格的な食の屋台が並ぶ。また、教会の楽隊も演奏で冬の夜を盛り上げる。






