マロニエがパリの街路を爽やかに彩る春。
暖かい風が吹き始めるこの季節、
マルシェには色鮮やかな食材が並び、
セーヌ川のほとりは、
春の日差しを満喫するパリジャンでにぎわい始める。
そんなパリの旬を味わうべく、
とっておきのアドレスをご紹介!
(フランス・ニュースダイジェスト編集部)
滞在先を決める
自由で便利なアパルトマンに滞在する
滞在しながら料理や洗濯をしたり、友人を招いたり、まるで自宅に居るかのように暮らせる短期貸しアパルトマン。生活必需品も備わっているため、大きな荷物を持ち込まず、気軽に旅行できるのも魅力的だ。アパルトマンに滞在したらマルシェで新鮮な食材を買い込み、料理に挑戦。パリジャンのような生活を体験し、自分だけのパリ旅行記をつづってみよう!
セジュール・ア・パリ
(Séjour à Paris)
仏旅行業ライセンスを保持し、滞在サポートもあるので安心して宿泊できる。法人ご利用の場合、割引あり
www.kurasutabi.net
そのほかの短期貸しアパルトマン
- パリ生活社
www.paris-seikatsu.com - パリシェモア(PARIS CHEZ MOI) www.parischezmoi.com
- パリDEアパート
www.paris-de-apart.com - ジャディス(JaDiS)
www.jadis-paris.com
美食を求めて街へ
食材をマルシェで
パリ市内には約90軒の食料品を扱うマルシェがあり、舌の肥えたパリジャンたちが料理の食材を買い求める。食にこだわり、美容と健康に気遣うパリジャンに人気のビオの食材や製品を専門に扱うマルシェも数軒ある。農業大国フランスを感じさせる種類豊富な食材が並び、元気な呼び声が飛び交い、活気に溢れるマルシェ。この機会に、フランスならではの食材を試してみよう。
エスカルゴ L'escargot
レストランでないと食べられないのでは、と思われがちだが、マルシェでガーリック・バターとバジル・ソースの詰まったエスカルゴを買ってオーブンで温めれば、家庭で本格的エスカルゴ料理が味わえる。
白アスパラガス L'asperge blanche
フランス人に大人気の春の野菜。皮をむいて、軟らかくなるまで蒸し、またはゆで、生クリームと11種類の香辛料の入ったマスタード「サヴォラ(Savora)」、またはムース状のムスリン・ソースを付けて食べると絶品。
イチゴ La fraise "Gariguette"
フランス南西部で多く作られるイチゴ、ガリゲット。春を待ちわびたフランス人が大好きな、この甘酸っぱくて柔らかいイチゴをそのままかじってみよう。
アンドゥイユ L'andouille
豚などの臓物を詰めたソーセージ。地方によって作り方は異なるが、一般的に豚の内臓が約40%詰められている。フランス人を虜にする独特のくさみがあるアンドゥイユは、アペリティフとしてワインのお供に最適。
家禽(かきん)類 La volaille
ジビエの季節は秋だが、ウサギなどは年中マルシェに並ぶ。小バトは、ニンジンやタマネギなどの野菜と一緒に丸ごとオーブンで焼くだけで豪華な一皿となる。
パリ市内の全マルシェ情報
marches.equipements.paris.fr
ニュースダイジェストのマルシェ情報
www.newsdigest.fr/newsfr/guide
/marche.html
うわさのマルシェ

Jöel Thiébaultさん
代々、野菜栽培をする一家の6代目。パリ市から8km西へ行った郊外の畑で1500種類を超える野菜を栽培する。「パリの名店で腕を振るう日本人の料理人も大勢買いに来ます」
16区の高級住宅街にあるMarché Président Wilsonの中でも、ジョエル・ティエボー(Jöel Thiébault)は特別な八百屋さん。できるだけ自然な状態で育てた野菜を売るために、旬のものしか並んでいない。形はふぞろいだが、どれも野菜本来の香りと味がする。また種類も豊富で、世界の野菜が並び、日本の小松菜、春菊なども手に入る。パリの星つきレストランの名シェフがこぞってここの野菜を買いにやって来るほど。
水 7:00-14:30 土 7:00-15:00
Av du Président Wilson 75016 Paris
M: Iéna⑨
3つ星シェフの味を家庭で本格フレンチを学ぼう
史上最年少でミシュランの3つ星を獲得したアラン・デュカスの名を掲げたこの料理学校では、デュカスの料理の真髄を伝えるべく一流シェフによる料理の伝達が行われている。テーマごとに分けられたレッスンは英語でも開催されており、本格的な高級フレンチ料理、気軽に楽しめるビストロ料理、チョコレート菓子やマカロンなどテーマごとに分かれたコースの中から好きなものを選択。レッスンは1回4時間で、事前の予約が必要だ(インターネットでの申し込み可能)。
L'école de cuisine Alain Ducasse
64, rue du Ranelagh 75016 Paris
TEL: +33 (0)1 44 90 91 00
M: Ranelagh⑨
料金: 165€~
www.ecolecuisine-alainducasse.com/fr/cours/111-Cooking-classes-in-English
日本語で買い物できるチーズ屋さん
2006年フランスチーズ鑑定騎士最高位のグランオフィシエ勲章、08年ギルドデフロマジェの最高位メートルを取得した日本人、マダム・ヒサダが熟成させたチーズを販売。食事に合う極上のチーズをアドバイスしてくれる。
Salon du fromage HISADA
11:00-20:00、日月休
47, rue de Richelieu 75001 Paris
M: Pyramides⑦⑭
TEL: +33 (0)1 42 60 78 48
Fromagerie HISADA
火・木~土8:30-13:00/15:30-19:00、日 8:30-13:00
17, rue le Marois 75016 Paris
M: Porte de St-Cloud⑨
TEL: +33 (0)1 42 88 34 30
フランス大統領も食すパン
2011年にパリの最優
秀バゲット賞に輝いた、
パスカル・バリロン氏のお店「オ・ルヴァン・ダントン」は、かわいい雑貨屋がひしめくモンマルトルに位置する。このバゲット賞は、毎年パリで開催され、長さ55~70cm、重さは240~310g の規定をクリアしたバゲットが、味や見た目はもちろんのこと、焼き加減、パンの身の柔らかさ、香りまでが厳密に審査される。優勝者には賞金のほか、フランス共和国大統領官邸、エリゼ宮に一年間バゲットを納める権利を獲得できるため、パン屋にとっては一大イベントだ。
ちなみにオ・ルヴァン・ダントンは菓子パン、ブリオッシュのコンテストでも2位を獲得。食事時は長蛇の列ができるため、確実に購入するためには早めの時間帯がお勧め。
Au Levain d’Antan
6, rue des Abbesses 75018 Paris
TEL: +33 (0)1 42 64 97 63
M: Abbesses⑫
7:00-20:30、土日休
ゆったりパリ観光

掘り出し物を探しに蚤の市へ
掘り出し物を探すのに最適な蚤の市。パリでは同じ場所で行われるものから、各地で不定期に開催されるものまで、週末を中心に様々な市が立つ。定期市の中でお勧めなのが14区にあるヴァンヴの蚤の市「Marché aux Puces de la Porte de Vanves」。18、19世紀、アール・デコ、1950〜70年代の家具やアクセサリー、本や硬貨、絵画などを販売する380店舗がびっしりと道に並び、眺めているだけでも目の保養になる美しい商品がずらり。値段
はやや高めに設定してあるので、値切ることを忘れずに。
Marché aux Puces de la Porte de Vanves
7:00-13:00
Av Marc Sangnier 75014 Paris
7:00-15:00(店によっては17:00まで)
Av Georges Lafenestre 75014 Paris
M: Porte de Vanves⑬
http://pucesdevanves.typepad.com
セーヌ川を行く
パリを東西に横切るセーヌ川。川に架かる35以上の美しく個性的な橋、レストランやバー、ディスコとしてナイトシーンも演出する船ペニッシュ、ポプラの立ち並ぶロマンティックな河岸のプロムナードなど、パリの風景にセーヌ川は欠かせない。
バトービュスで観光スポットを巡る
ストライキで町の交通がまひしたとき、通勤の交通手段としても使われた遊覧船、バトービュス(Batobus)。セーヌ川沿いにあるノートルダム大聖堂やエッフェル塔、ルーヴル美術館など見逃せない観光スポットを、水上を移動しながら巡ってみるのもお勧め。サンジェルマン・デ・プレ、ルーヴル、オルセー、植物園など、8地点が船着き場となっている。
4月6日~9月2日 10:00-21:30(20分間隔)
9月3日~4月5日 10:00-19:00(25分間隔)
1日券15€ / 2日券18€ / 5日券21€
TEL: 08 25 05 01 01(フランス国内から)
www.batobus.com
ブーローニュの森で深呼吸
新鮮な空気が吸いたくなったら、パリの西端に広がるブーローニュの森が最適。かつて貴族たちが狩猟を行っていた846ヘクタールの広大な森には野生植物も茂る。競馬場や人工池などもあり、週末にはサイクリングやボート遊び、ピクニックを楽しむ家族も多い。
バガテル公園
ブーローニュの森の一角にあるバガテル公園には、1905年に設計されたバラ園があり、春から夏にかけて1000種以上、約1万本のバラが咲き乱れる。毎年6月には新種のバラの国際コンクールが行われる。
Parc de Bagatelle
9:00-20:00
入場料5€
Route de Sèvres-à-Neuilly 75016 Paris
M: Porte d'Auteuil ⑩、Porte Maillot ①からバス
TEL: 3975(フランス国内から)
おみやげに
カルーゼル・デュ・ルーヴルに海外初のショップをオープン
DELFONICS PARIS LOUVRE
日本発のデザインステーショナリーショップ。ノート、アルバム、筆記具などの定番商品に加えてデスクトップ小物や旅行に便利なポーチ類も豊富。高感度のデザインと機能性を併せ持った商品は、素材のクオリティーと、美しいカラーバリエーションもあいまってパリジャンやインターナショナルな旅行者たちを既に魅了し始めている。プレゼントに、自分へのご褒美に、ぜひ立ち寄りたいお店。
DELFONICS PARIS LOUVRE
10:00-20:00
Carrousel du Louvre 99, rue de Rivoli 75001 Paris
M: Palais Royal-Musée du Louvre ①⑦
TEL: +33 (0) 1 47 03 14 24
www.delfonics.fr
www.facebook.com/delfonics.france
パリの高級パレスホテル「ジョルジュ・サンク」御用達の厳選茶葉を
寿月堂
1854年創業、海苔の老舗丸山海苔店が始めたお茶ブランド寿月堂。日本人建築家、隈研吾が店舗設計した竹をベースとした和の雰囲気を堪能できるパリ店では、有名高級ホテル「ジョルジュ・サンク」のティー・サロン御用達、100%日本産の厳選されたお茶が数多くそろう。チョコレートの貴公子クリスチャン・コンスタン氏とのコラボレーションによるパリ店限定の抹茶サブレや玄米茶サブレ(各10€)、しょうが紅茶なども人気。ヨーロッパ各国への配送可能なオンライン・ショッピングも可能。
JUGETSUDO
11:00-19:00 日祝休
95, rue de Seine 75006 Paris
M: Odéon ④⑩、Mabillon ⑩
TEL : +33 (0) 1 46 33 94 90
www.jugetsudo.fr
パリの滞在、マルシェ、観光、おみやげ、イベント
パリから足を伸ばして世界遺産を堪能
パリで話題のレストラン



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今回のイベントを主催したのは、欧州のレストランや食料品店などを対象に日本食品の卸業を営むJFC EUROPEグループ。同社は3~4月に掛けて、東日本大震災から1年という節目を機に、日本食のさらなる普及・浸透を通して日本を応援する取り組みを欧州全土で展開している。その一環として、同社が特に販売促進に力を注ぐ地酒と日本食との相性の良さを日欧の人々に実感してもらおうと企画されたのが、この夕食会だ。招待客は、JFCと日頃取引のあるレストランのオーナーを始め、利き酒師、ソムリエ、ホテルのオーナーシェフなど業界通ばかり。日本料理レストラン「NAGAYA」を会場に、同社を通して欧州展開を図る5つの酒蔵が厳選する日本酒を、蔵元直々の説明を聞きながら、長屋佳澄シェフが腕によりを掛けて作る料理の数々とともに味わうという至極贅沢な会となった。






RMK専属メイクアップ・アーティスト
濡れた手でも使えるクレンジングオイルは、潤いを守りつつ、マスカラから皮脂汚れまで素早く落とす頼りになる処方。べとつかないさらさらのテクスチャーと、ミントとダマスクローズが香るさわやかな使い心地で、一日の疲れも一緒にさっぱりと洗い流してくれる。Tゾーンがてかりやすい、毛穴が詰まりやすい、といった悩みを抱えるオイリー肌に。
プルンと弾むヨーグルトのようななめらかなテクスチャーで、肌の潤いをしっかりと守りながらメイクや皮脂汚れ、角質まで取り除くクレンジングミルク。くすみを防いで肌本来の明るさと透明感を引き出してくれる。ふんわり広がるのは、甘酸っぱいハニーレモンの香り。クレンジング力が強めの製品を使うと肌が荒れてしまうという方や、軽いメイクのときに最適。

天然素材のパワフルな力をたっぷり取り入れたブライトニング薬用保湿液。オレンジエキスやラズベリーエキスなどの濃厚な潤い成分が肌にじっくり浸透するとともに、メラニン生成の元凶に直接作用し、シミを防いで明るい肌へと導く。ライトタイプはビターオレンジがさわやかに香るさっぱりとしたテクスチャー。とろみのあるモイストタイプはすっきりしたラズベリーの香り。しっとり潤った、この上なくふくよかな肌へ。
日焼け止めにありがちな閉塞感を全く感じさせない、さっぱりとしたみずみずしい使用感。アロエ、キュウリ、カモミール、ビワの葉など、つける度に潤いを感じるスキンケア成分を贅沢に配合しつつ、日常紫外線を強力にカットするSPF43 PA+++*を実現。むらなく透明になじんで白くならないから、メイクの邪魔になることもない。メイクアップのエキスパートRMKが自信を持って贈る、スキンケア感覚の日焼け止め。








震災発生から3日後に、アテネと北京五輪に出場した女子マラソンのリズ・イェリング選手のご主人から電話がありました。彼自身も陸上選手であることから、自分たちの知り合いやそのほかの陸上選手たちの力を集めて、日本の被災者のために何か支援できないか、という話になって。彼の方から、ウェブサイトを立ち上げ、世界中のランナーたちに呼び掛けて、自分たちの走った距離の分だけ寄付を募り、東北の人々に送ろうという提案が出てきました。そして、この企画のいわば広報大使を務めないかと打診されたのです。私としては、「日本で大変なことが起こっている中、英国で暮らす自分が何か具体的な支援を提供する方法などあるのだろうか」と考えては無力感に苛まれていたときだったので、喜んでこの役割を引き受けることに。震災が発生してから約2週間後にはこのウェブサイトが立ち上がり、私も広報大使としてのメッセージを書きました。主人がこのウェブサイト運営の手伝いに加えて、私が書いた日本語メッセージの表現などに関して、色々とアドバイスをくれたので感謝しています。

東日本大震災の被災地支援のため、世界中のランナーが、走った分だけ寄付、または寄付を募る仕組み。「Virgin Money Giving」というチャリティー運営の送金システムを使って、英国赤十字社を通じ被災地へと寄付金が送られる。マーラ・ヤマウチ選手のほかに、女子マラソンの世界記録を持つポーラ・ラドクリフ選手も広報大使を務めた。ウェブサイト運営開始後の約6カ月間で、延べ990人の走者が参加し、走行距離の総計は1万6975マイル(約2万7000キロ)、3万415ポンド53ペンス(約380万円)を集めた(現在、同サイトは休止中)。
そんなパブに押されて認知度は低めなものの、実はここロンドンには、
王室御用達の老舗デパート「フォートナム & メイソン」。その地階にあるバー「1707」の名は、デパートの創業年を意味する。数々のホテルやバーの設計を手掛けるデービッド・コリンズ氏によるミニマルながら温かみのあるデザインは、伝統を守りつつも常に革新的な姿勢を貫く同デパートの姿に重なる。


















メラニンを含んだ不要な角質を取り除き、透明感のある明るい素肌へと導く薬用固形ソープ。消炎効果のあるグリチルリチン酸とともに、美白成分、小麦胚芽エキス / ハトムギエキスを配合。豊かな泡で包み込みクリアな肌へと洗い上げる。
本誌読者の皆様に、顔筋マッサージから高機能エイジングケアクリームを使ったスキンケア、大人気のファンデーションと最新春夏コレクションを使ったメイクアップ付きのトリートメントへご招待。更に、リフトアップ&透明美肌を実現するフェイスストレッチマスク(10ポンド相当)のご体験付き!



1. 国際放送メディア・センター(IBC / MPC)
この種目に注目を集めようとした、とはガイドさんの弁。五輪後はやロード・サイクル用のサーキットなどを新たに追加し、複合スポーツ施設として運営される予定だ。
五輪パークの開発に当たり、景観保持やクリーン・エネルギー利用への移行のため、敷地内にあった送電タワーをすべて撤去し、地下ケーブルに切り替えた。従来であれば10年はかかると言われていたこの工事、たった18カ月で完了したそう。仕事に緩慢なイメージのある英国人も本気になった?

先日、2012年ロンドン五輪開会式のテーマが、シェイクスピアの「テンペスト」に基づいた「驚きの島々」となることが発表された。オリンピックというスポーツの祭典を芸術で彩ることで、これまでにない独自性を打ち出そうとする演劇大国、英国の神髄を何より表しているのが、4月から始まる「ワールド・シェイクスピア・フェスティバル」。英国が世界に誇る劇作家、シェイクスピアの作品の数々が英国各地で上演されるという、またとない機会だ。ときに舞台を現代に置き換えて、ときに英語という言語から解き放たれて演じられる名作の数々を、一つならず、興味の赴くままにいくつでも鑑賞してみては?
英米で数々の舞台を踏み、1989年にはミュージカル「ミス・サイゴン」のオリジ ナル・キャストとして活躍。マドンナがタイトル・ロールを演じた1996年の映画「エビータ」では、アルゼンチン大統領のフアン・ペロン役を務めた個性派俳優、ジョナサン・プライスが、4大悲劇の「リア王」に登場。 退位を前に上の2人の娘たちに惑わされ、正直者の末娘を勘当したリア王。後に上の娘たちに裏切られ、孤独の淵をさまようリアの壮絶な晩年を、客席数わずか325という小劇場で演じてくれる。
シェイクスピアの本場、英国にあって、シェイクスピア俳優の名を欲しいがままにしている名優、サイモン・ラッセル・ビール。美しい声が紡ぎ出すセリフの数々は、中世の世界を今に甦らせると言われる。そんな彼がこの記念すべき年に演じる作品が、「アテネのタイモン」。他人に気前良く金銭をばら撒くアテネの富裕者、タイモンが、破産と同時に金の切れ目が縁の切れ目とばかりに周囲の人々に疎んじられるようになるという、世界的不況下にある今にあって身につまされる物語だ。
「ロミオとジュリエット」の戯曲を基に1957年にミュージカル化、1961年には映画化もされた「ウェスト・サイド・ストーリー」。当時の米ニューヨークの少年ギャングの抗争を、スタイリッシュな音楽とシャープな踊りで、悲痛ながらもエンターテイメント色あふれる世界へと昇華させた本作が、イングランド北部を流れるタイン川近くの近代的な文化施設、セイジ・ゲイツヘッドで蘇る。振付は、ロイヤル・バレエ団のダンサーにして数々の舞台作品の振付を手掛けるウィル・タケット。
近年まれに見る規模のシェイクスピアの祭典。この機会に、ぜひシェイクスピアの生誕地、ストラトフォード・アポン・エイボンで、彼の作品を観劇してみたい──そんな人にお勧めなのが、喜劇「十二夜」のセリフから銘打たれた「What country friends is this?」シリーズ。難破、悲しみ、笑い、愛、そして再会という共通点を持つ3 つの作品、「間違いの喜劇」「十二夜」「テンペスト」を、一つの劇場で、同じ俳優たちが演じる贅沢な三部作だ。
主君を暗殺し、自らがスコットランド王の地位に就いたマクベス。しかし、元来臆病な気質の持ち主で、気の強い妻に扇動される一面を持ち合わせた彼は、3人の魔女によるお告げに怯え、次第に圧政を行うようになる……。シェイクスピアの4大悲劇の一つ、マクベスの主人公とその妻を、昨年、「アラブの春」の萌芽が見られたチュニジアの独裁者たちに置き換えて上演する。映像なども駆使した、まさに「今」という時代を体現する新しい「マクベス」となりそうだ。
14世紀のイタリアはヴェロナで、敵同士の家の息子と娘が許されざる恋に落ちる「ロミオとジュリエット」。本作は舞台を現代のイラクに移し、イスラム教シーア派とスンニ派が争い、国民が暴力と復讐の連鎖に疲弊する中で生まれた恋物語を綴っていく。演じるのは、バグダッドのイラク・シアター・カンパニー(Iraqi Theatre Company)。同国の伝統的な詩や音楽を取り入れながら、独自色の強い世界観を構築していく。
2002年公開のニュージーランド映画「クジラの島の少女」でマオリ族の族長を演じ、国際的高評価を得た俳優、ラウィリ・パラテーン率いるマオリ族の俳優たちが演じる「トロイラスとクレシダ」。マオリの戦士が戦いの前に踊ったという伝統舞踊「ハカ」や、喜怒哀楽を歌で表現する「ワイアタ」など、マオリの文化をふんだんにちりばめた本作は、世界各国のプロダクションが織り成すシェイクスピアの万華鏡とでも言うべきフェスティバルの幕開けを飾るにふさわしい。
日本からこの大プロジェクトに参戦するのは、京都の劇団「地点」だ。代表/演出の三浦基が率いる同劇団は、言葉、音、身体に焦点を当て、ミニマルな舞台づくりを行うことに定評がある。昨年はチェーホフの作品を本場ロシアで上演し、高い評価を得た彼らが演じるのは、「コリオレイナス」。武勲の誉れ高いローマの貴族、コリオレイナスが、傲岸さゆえに民衆の支持を得られず、身を滅ぼしていく様を描いた同作は、2007年に蜷川幸雄演出、唐沢寿明主演でロンドン公演も行われた。
グローブ座の芸術監督、ドミニク・ドロムグール氏が、「誰にとっても刺激的で冒険的な演劇体験となる」と胸を張るのが、英国手話(BSL)による「恋の骨折り損」。学問に専念するため、女性断ちを誓った国王とその友人たちが恋に落ちてしまうこの喜劇を演じるのは、ロンドンの手話劇団、デフィニトリー・シアターだ。手話を中心に英語も織り交ぜて数々の作品を世に送り出してきたこの劇団が、名言や言葉遊びの宝庫であるシェイクスピアの戯曲をどのように手話で表現するのか、興味深い。5月22日(火)、23日(水)
百年戦争、薔薇戦争と国内外の戦いに明け暮れた、ヘンリー6世統治下の英国の様子を描いた史劇「ヘンリー6世3部作」を、セビリア、アルバニア、マケドニアの国立劇場が一作ずつ演じる、その名も「新バルカン3部作」。多民族が混在したことから紛争が続発し、「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたバルカン半島の3国からやって来るプロダクションが、英国の戦いの歴史をまとめ上げるという、芸術による歴史的作業とも言えるダイナミックな構成となっている。






