タブロイド紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(NOTW)」の
盗聴疑惑の話題で持ちきりの英国メディアでは、
最近盛んに「ルパート・マードック」の名が取り沙汰されている。
ビジネスと生活の拠点を米国に置く、英国人にとってはいわば一介の外国人に過ぎない
企業家の存在が、英国内でこれほどの騒ぎを起こすのは一体なぜなのか。
その相関図を眺めると、彼が誇る英国内での巨大な影響力の実態が垣間見えてくる。
| ビンス・ケーブル ビジネス・改革・技術相 ニューズ社によるBスカイBの買収計画案に否定的と言われている。今年1月には、覆面記者に対して「マードックに宣戦布告する」と発言。この発言が問題となり、現在では同案に関する政府の対応に関与することが禁じられている。 |
ジェレミー・ハント 文化・オリンピック・メディア・スポーツ相 ニューズ社によるBスカイBの買収計画の是非を判断する立場にある。今年3月には、メディア・通信業界の監督機関より提出されていた「(日本の公正取引委員会に相当する)競争委員会に付託すべき」との勧告に従わずに、同案を承認する考えを表明していた。 |

デービッド・キャメロン首相 NOTW紙の元編集長であるコールソン氏を、周囲の猛反対を押し切って首相報道官として雇用。またケーブル・ビジネス相による問題発言の直後に、マードック氏の息子であるジェームズ・マードック氏と食事をともにしていたことが判明している。 |
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アンディ・コールソン 2003〜07年までNOTW紙の編集長を務める。同紙の記者が盗聴取材を行っていたことが発覚し、この責任を取って辞任。その直後に首相報道官となるが、やがて盗聴取材が組織的なものであったとの疑いが強くなったために、今年1月に同職を辞任した。 |

ルパート・マードック オーストラリア系米国人。世界的なメディア・コングロマリット企業ニューズ・コーポレーションの会長兼最高経営責任者。その影響力の大きさから、「メディア王」と呼ばれる。80歳。
マードック氏が保有する持ち株会社。傘下に英国の現地法人「ニューズ・インターナショナル(以下ニューズ社)」を抱え、同会長をマードック氏の次男ジェームズ氏、最高経営責任者を元NOTW紙編集長のレベッカ・ブルックス氏が務める。
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米国
● 20世紀フォックス(映画) ● ニューヨーク・ポスト(新聞) ● ウォールストリート・ジャーナル(新聞) ● ダウ・ジョーンズ(出版社) ● MySpace(ソーシャル・ネットワーク・サイト) |
その他
オーストラリア、ブルガリア、インドネシア、ルーマニア、トルコ、グルジアに拠点を置くメディアを保有 |
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テレビ
ITV 英国最大かつ最古の民放テレビ局。人気オーディション番組「The X Factor」やクイズ番組「Who Wants to Be a Millionaire?」、「UEFAチャンピオンズ・リーグ」のサッカー中継などの人気コンテンツを持つ。BスカイBが7.5%の株式を保有。 |
BスカイB 正式名称を「ブリティッシュ・スカイ・ブロードキャスティング」とする衛星放送局。英国最大の同サービス加入者1000万人を誇る。ニューズ社が現在39%の株式を保有し、残る61%を取得して完全子会社化することを要望している。写真)マードック氏によるBスカイB買収反対運動を行う人々 |
| 出版 | ハーパーコリンズ![]() 19世紀前半にスコットランドの聖職者たちが創設したコリンズ社と、同時期に米国で設立されたハーパー社を起源とする出版社。1987年にマードック氏がハーパー社を買収。続いて89年にコリンズ社を買収後、両社が合併してハーパー・コリンズ社となった。 写真)ハーパー・コリンズが出版するベストセラーの一つ「The Dangerous Book for Boys」 |
新聞
「タイムズ」紙 1785年に創刊という長い歴史を持つ英国の日刊高級紙。保守党支持を明確に打ち出す。戦争報道のために外国特派員を送った世界初の新聞社と言われている。また日本生まれの数字パズル「Sudoku」を英国に広めたのも同紙。2010年からはオンライン版の有料化に踏み切るなど、長い伝統を持ちながらも、常に先手を打って英国の新聞業界を牽引する存在となっている。海外の読者も多い。 |
「サンデー・タイムズ」紙 「タイムズ」紙の姉妹紙となる日曜紙。同紙と同様に保守的な論調を打ち出す。発行部数は、「オブザーバー」紙などのライバル3紙の総計とほぼ同じとなる約130万部。7月11日には、ブラウン前首相の個人情報を不正に入手していたとの疑惑が報じられた。質の高い調査報道や、英国の高所得者番付に相当する別冊「Rich List」などが高い人気を集める。1981年にマードック氏が買収した。 |
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「サン」紙 日刊紙としては英国内最大の280万部の発行部数を誇る大衆紙。芸能人のゴシップから硬派な政治ネタまであらゆる内容のスクープを得意とする。3面には「ページ・スリー・ガール」との称号を持つ女性のヌードを掲載。1963年に創刊。マードック氏によって69年に買収された。現在は月から土まで毎日発行の日刊紙だが、NOTW紙に代わり、日曜版が創刊されるとの憶測が流れている。 |
「ニューズ・オブ・ザ・ ワールド(NOTW)」紙 度続く不祥事を受けて、7月10日発刊号を持って廃刊に追い込まれた日曜紙。過去に、サッカーの元イングランド代表主将デービッド・ベッカムの不倫現場の写真や、イラク市民を英兵が虐待するビデオ映像を公開するなどのスクープを出している。英国内の著名人及び一般市民を含む数千人の電話を盗聴していたとの実態が少しずつ明るみになってきた。1843年創刊。マードック氏によって1969年に買収された。 |
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警察
取材活動に協力した警察官らに対して、「情報提供料」の名目にて、NOTW紙が謝礼金を払っていた可能性が報じられている。ロンドン東部ウォッピングにある同オフィス近くのマクドナルドで現金の受け渡しを行っていた疑い。 |
ボリス・ジョンソンロンドン市長 2006年にNOTW紙による盗聴の対象であるとして警察から警告を受けるも、「労働党議員たちによるでっち上げ」として取り合わず。 |
シエナ・ミラーNOTW紙が携帯電話を盗聴していたことを認め、謝罪。慰謝料や訴訟費用として10万ポンド(約1300万円)を支払うことを約束した。 |
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クリス・タラントITV系で放映の人気クイズ番組「Who Wants to Be a Millionaire?」の司会者。2005年に不倫問題が発覚し、10年以上連れ添った妻との離婚に至っている。 |
ジュード・ロウ2003〜06年頃までシエナ・ミラーと交際。05年には、ロウが、自身の子供の面倒を看ていたベビーシッターと浮気していたとのニュースが話題となった。 |
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へザー・ミルズ元ビートルズ、ポール・マッカートニーの元妻。2006年に同氏と離婚。英国内では当時史上最高額とされた2400万ポンド(約31億円)の慰謝料を受け取っている。 |
ウィリアム王子2005年11月に、ウィリアム王子が膝を怪我したとのニュースがNOTW紙に掲載されたことで王室が盗聴の疑いを持つ。後に盗聴の事実を警察が確認。 |
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| ジョン・プレスコット 元労働党議員 NOTW紙による盗聴の被害者の一人であり、同疑惑の真相解明を訴える急先鋒。2006年には、秘書との不倫関係が報じられている。 |
ヘンリー王子ウィリアム王子と同じく盗聴の対象に。2005年には、ナチス親衛隊の服を着て変装パーティーに参加する同王子の姿を「サン」紙が捉えて一大ニュースとなった。 |
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| ロンドン同時多発 テロ被害者の家族 ロンドン同時多発テロの被害者の遺族も盗聴の被害に。警察からNOTW紙へと、携帯電話番号などの個人情報が流れた疑いがある。 |
戦死した英兵の家族 イラクやアフガニスタンで戦死を遂げた英兵の遺族も盗聴の対象とされていたとの疑いが7月に発覚。大手広告主たちがNOTW紙への広告掲載中止を開始した。 |
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| ミリー・ドウラーさん NOTW紙が依頼した私立探偵が、2002年に誘拐され、その約半年後に遺体となって発見された当時13歳のミリー・ドウラーさんの携帯電話を盗聴。この探偵は、留守番電話の新規メッセージが入ってくるようにするために、古いメッセージを削除するなどの行為を働いていたとされている。 |
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マードックは英国の「影の支配者」か。
NOTW紙が廃刊に追い込まれた理由
組織的な盗聴そして警察に賄賂を提供していた疑惑が発覚した「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(NOTW)」紙は、7月10日の発刊号を持って廃刊となった。ただNOTW紙が、スクープを得るために私立探偵を雇って有名人たちに盗聴を仕掛けていたことは、半ば公然の秘密として長らく知られていた。また警察と新聞社の密接な関係が報じられることも珍しいことではない。では、創刊から168年という長い歴史を誇るNOTW紙が突如として廃刊に追い込まれ、また米国人企業家マードック氏の名が英国でこれほど取り沙汰されるのはなぜか。
社会的弱者までもが盗聴被害に
第一に、一般人、それも誘拐事件や無差別テロ事件の被害者といった社会的弱者が盗聴の対象になっていたと判明したことが挙げられる。これまでは「良き家庭人」とのイメージとは裏腹に不倫関係を結ぶサッカー選手や、王室関係者とのつながりを利用して汚職に手を染める企業家の正体を暴くためであれば、盗聴という犯罪または非倫理的な行為をも許容するような社会的風潮が英国内にはあった。
しかし、社会事件の被害者の家族までもが盗聴されていたことが発覚したことで、世論の風向きが変わった。その変化を察知した広告主たちは、NOTW紙から撤退。またNOTW紙の親会社ニューズ社が39%の株を持つ衛星放送局BスカイBの市場価格は一気に下落した。
ニューズ社の独占支配に危機感
BスカイBは、NOTW紙が稼ぎ出す額の実に100倍に相当する年間10億ポンド(約1300億円)の収益があると言われている。ニューズ社は、目下、BスカイB株の残り61%を取得し、完全子会社化することを計画中。この買収案をめぐっては、同社のメディア独占に拍車を賭けるとして、英国内では早くから警鐘が鳴らされていた。ニューズ社は現在、日刊紙としては国内最大発行部数を誇る「サン」紙に加えて、高級紙では「タイムズ」紙と「サンデー・タイムズ」紙を保有している。世論へ与える影響力の大きさを指して、「ニューズ社が次の政権を作る」とやゆされたことさえあった。
このため、政界の要人たちは、同社との良好な関係を築こうと努めることになる。キャメロン首相は、盗聴疑惑で辞任したNOTW紙のコールソン元編集長を首相報道官に抜擢。ブレア元首相に至っては、イラク戦争の開戦直前に数度にわたりマードック氏と電話会談を行っていたと報じられている。
これらの事実から、2005年頃からNOTW紙が組織的な盗聴を行っているとの憶測が絶えず流れていたにも関わらず、警察や司法による捜査が芳しい成果を出せなかった背景には、権力者たちまでもが隠蔽工作に関わっていたとの見方も出ている。NOTW紙の記者たちが警察に賄賂を渡していたとのニュースは、こうした見立てをより強固にした。マードック氏に対して危機感を募らせる者たちは彼を英国内のメディアだけでなく、立法・行政・司法までをも牛耳る影の支配者として見ているのである。



在留届は提出しましたか?

ニューズ社によるBスカイBの買収計画案に否定的と言われている。今年1月には、覆面記者に対して「マードックに宣戦布告する」と発言。この発言が問題となり、現在では同案に関する政府の対応に関与することが禁じられている。
ニューズ社によるBスカイBの買収計画の是非を判断する立場にある。今年3月には、メディア・通信業界の監督機関より提出されていた「(日本の公正取引委員会に相当する)競争委員会に付託すべき」との勧告に従わずに、同案を承認する考えを表明していた。
NOTW紙の元編集長であるコールソン氏を、周囲の猛反対を押し切って首相報道官として雇用。またケーブル・ビジネス相による問題発言の直後に、マードック氏の息子であるジェームズ・マードック氏と食事をともにしていたことが判明している。

英国最大かつ最古の民放テレビ局。人気オーディション番組「The X Factor」やクイズ番組「Who Wants to Be a Millionaire?」、「UEFAチャンピオンズ・リーグ」のサッカー中継などの人気コンテンツを持つ。BスカイBが7.5%の株式を保有。
正式名称を「ブリティッシュ・スカイ・ブロードキャスティング」とする衛星放送局。英国最大の同サービス加入者1000万人を誇る。ニューズ社が現在39%の株式を保有し、残る61%を取得して完全子会社化することを要望している。
1785年に創刊という長い歴史を持つ英国の日刊高級紙。保守党支持を明確に打ち出す。戦争報道のために外国特派員を送った世界初の新聞社と言われている。また日本生まれの数字パズル「Sudoku」を英国に広めたのも同紙。2010年からはオンライン版の有料化に踏み切るなど、長い伝統を持ちながらも、常に先手を打って英国の新聞業界を牽引する存在となっている。海外の読者も多い。
「タイムズ」紙の姉妹紙となる日曜紙。同紙と同様に保守的な論調を打ち出す。発行部数は、「オブザーバー」紙などのライバル3紙の総計とほぼ同じとなる約130万部。7月11日には、ブラウン前首相の個人情報を不正に入手していたとの疑惑が報じられた。質の高い調査報道や、英国の高所得者番付に相当する別冊「Rich List」などが高い人気を集める。1981年にマードック氏が買収した。
日刊紙としては英国内最大の280万部の発行部数を誇る大衆紙。芸能人のゴシップから硬派な政治ネタまであらゆる内容のスクープを得意とする。3面には「ページ・スリー・ガール」との称号を持つ女性のヌードを掲載。1963年に創刊。マードック氏によって69年に買収された。現在は月から土まで毎日発行の日刊紙だが、NOTW紙に代わり、日曜版が創刊されるとの憶測が流れている。
度続く不祥事を受けて、7月10日発刊号を持って廃刊に追い込まれた日曜紙。過去に、サッカーの元イングランド代表主将デービッド・ベッカムの不倫現場の写真や、イラク市民を英兵が虐待するビデオ映像を公開するなどのスクープを出している。英国内の著名人及び一般市民を含む数千人の電話を盗聴していたとの実態が少しずつ明るみになってきた。1843年創刊。マードック氏によって1969年に買収された。

サッカー選手。マンチェスター・ユナイテッド所属。自身の不倫疑惑に関して、報道を差し止め、さらに差し止めが出された事実を公表することも禁じる「超差し止め」を請求して話題に。盗聴の被害に遭ったとして、NOTW紙を相手取って訴訟を起こしている。
ボリス・ジョンソン
シエナ・ミラー
クリス・タラント
ジュード・ロウ
へザー・ミルズ
ウィリアム王子
NOTW紙による盗聴の被害者の一人であり、同疑惑の真相解明を訴える急先鋒。2006年には、秘書との不倫関係が報じられている。
ヘンリー王子


アンドレアさんにインタビュー
British Fine Foods



英国の日本語学習者たちが選んだお気に入りの日本食ナンバー1は、やっぱりお寿司。酢飯と魚介類を組み合わせたこの日本の伝統的な料理は、いまや世界各国にある大手スーパーマーケットのお惣菜コーナーでも見かけるようになった。押し寿司、ちらし寿司、稲荷寿司といった様々な種類がある中で、回答者の間では江戸前握り寿司が一番人気のよう。英国では、英国人起業家のサイモン・ウッドロフが回転寿司チェーン「YO! Sushi」を始めて成功を収めている。



東を代表する日本食が寿司ならば、西の横綱はお好み焼き。ということで、関西地方及び広島で根強い人気を持つ大衆料理、お好み焼きが第2位にランク・イン。生魚を食べることに抵抗を持つ英国人たちにとって、バーベキューのごとく、鉄板を使って焼き上げるパンケーキに似たお好み焼きには、よりなじみを感じやすいのかもしれない。ちなみに、今回のアンケートでお好み焼きに1票を投じた人の中には、関西地方への滞在経験者が複数名いた。



寿司のように米と一緒に握ったり巻いたりするのではなく、新鮮な魚を生で醤油やワサビに付けて食べる刺身の人気も高い。食感が生々しく、食中毒の恐れがある「Raw Fish(生魚)」であるとして、つい最近までの欧米諸国では刺身料理を敬遠する向きがあった。しかし、健康的なイメージに溢れた魚介類の本来の味を堪能できる調理法として、近年、人気は急上昇。寿司と同様、英国にある多くの日本食レストランで刺身メニューが用意されている。


3位に入ったのは天ぷら。野菜や魚介類など幅広い材料を扱えることへの評価が高い様子。ロンドン市内で開催される日本関連イベントでの立食パーティーなどに頻繁に登場するなどして、英国人の間でも既におなじみのメニューとなっている。ご飯、うどん、そばといった様々な主食とセットで提供されたり、天つゆのほかにもソースや塩といった世界各国で簡単に入手できる調味料との相性の良さから、英国でも大衆料理として認知されつつあるよう。

中国の麺料理に起源を持つと言われるラーメンは、今や日本食としても知られるようになった。醤油、塩、味噌、豚骨といったスープの味付け、チャーシュー、ワンタン、メンマ、海苔といった具、さらには札幌、喜多方、博多といった地域の特色を出したものまで、そのバラエティーの豊かさが様々な好みに応えることができるという点に強みがある。また熱湯をかけるだけで手軽に調理できてしまうインスタント食品として活用している人も。



焼き鳥こそ、最も日本の風流を感じさせる食べ物なのかもしれない。お祭りの屋台で出されるおやつや、サラリーマンが仕事帰りに立ち寄る居酒屋のメニューとして語る回答者が多かった。串刺しにされているので、一口ずつ味わうことができるというのも醍醐味なのだろう。もも肉や胸肉、手羽先、肝臓といった異なる部位に加えて、ひき肉を団子状にしたつくね、ネギと肉を交互に刺したねぎまなどのメニューを熟知した人は、確かに日本通に見える。
第4位のラーメンに続いて、小麦粉を原料とする日本の麺料理であるうどんは、6位にランク・インした。油揚げを入れるきつねうどん、天かすを散りばめたたぬきうどん、生卵を落とした月見うどんにカレーうどんなど、回答者たちは各種類に精通している様子。ちなみにラーメン、うどんと並んで日本の代表的な麺料理であるそばは、ランク外に留まった。そばよりも、歯ごたえがよりしっかりしているうどんの方が好みという声あり。



英国が、かつて植民地であったインドから輸入し、脚気防止に適した栄養食として英国海軍が改良した後、ついには日本の海軍へと伝わったと言われるカレーライス。その歴史を受け継いでとのことなのか、現在でも日本の海上自衛隊は週に1回はカレーを食するという。つまり、カレーライスは日本が英国から受け継いだ大切な食文化と言うわけ。日本では「洋食」と呼ばれるのに、英国では「日本食」と認知されているというのは何とも皮肉。

5位にランク・インした焼き鳥と同じく、日本語学習者たちにとっては、タコ焼きは日本の情景を想起させる食べ物のようだ。とりわけ、関西地方の商店やお祭りの屋台のイメージが強いよう。回答者の中には、タコ焼きの魅力を関西弁で語る人もいた。大勢で、一口サイズに分けあって一緒に食べることのできるおやつとして老若男女に愛されているのは英国でも一緒。日本人宅での日本食パーティーや日本関連イベントに出店する屋台で見掛けるおなじみのメニュー。
本家本元の中国では、紀元前から作られていたとの記録も残っているというほどの長い歴史を持つ餃子。日本では戦後になってから庶民の食卓でも出されるようになったのだが、既に立派な日本食となっている。皮で具を包む作業が分業しやすいことから、日本食パーティーを開く際などには、作る過程をも一緒に楽しむことができるというのも人気の理由。食べておいしいだけではなく、作るのも楽しい、一石二鳥の料理として重宝されているようだ。
意外にも、味噌汁が7位にランク・インした。日本の食卓に欠かせない、最も代表的な副食とでも言うべき味噌汁だが、英国にある日本食レストランでお勧めメニューとして掲げられることは極めて稀。その味噌汁に4票が投じられるとは、日本の家庭料理もそれだけ英国の食文化に浸透してきたということなのかもしれない。味噌と出汁でできた汁の中に、野菜、魚、肉ととにかくどんな材料でも入れることができるので、家庭料理としては便利なメニューなのだろう。
主に醤油、砂糖、日本酒を混ぜて作ったたれを、ブリやサケといった魚や、鶏肉などに塗って焼く照り焼きは、確かに日本ならではの味である。食材に塗られたたれの糖分が独特のつやを出すので「照り焼き」と呼ばれるようになったとの所以も興味をそそるらしい。日本ではお米と相性の良いおかずとして知られるが、英国を含む西欧諸国で最も人気のある照り焼き料理は恐らくテリヤキ・バーガーだ。「Sushi」と同様、「Teriyaki」も既に英語の語彙の仲間入りを果たした。
カツ丼、味噌カツなどの回答を含むと、トンカツへは4票が投じられた。明治時代に英国から紹介されたカツレツに改良を加え、やがて日本食の仲間入りを果たしたと言われている。どうりで英国人の好みに合うわけだ。カツレツよりも肉を厚切りにし、そしてより粗めのパン粉を使った衣で揚げるなどの特徴がある。トンカツの呼称を「勝つ」とかけて、受験生が入試の直前に食べたりするなど、日本では縁起かつぎにも使われることを知っている回答者もいた。


























ウィンブルドン選手権では、生クリームをかけたイチゴを食べながら観戦するというのが恒例となっている。開催期間には、生クリームとイチゴのセットを大々的に売り出すスーパーマーケットも多い。さらには合わせてシャンパンを嗜む人も。大会主催者によると、大会中に空けられるシャンパンのボトルは毎年の平均で1万2500本、さらにイチゴの消費量は2万7000キロ。宮廷スポーツとして始まったテニスの伝統を反映した優雅な習慣とのこと。
試合中に、俊敏な動きでボール拾いや選手へのボールの受け渡しを行うボール・ボーイ & ボール・ガール。ウィンブルドン選手権では、地元の子供たちがこの大役を担う。同地区近郊のワーズワース、マートン、サットン地区の学校から毎年15歳前後の応募者を募り、テニスのルールについての筆記試験や体力測定を実施した上で適任者を選抜。毎年2月頃から週4日のペースでボールの捕球練習やイメージ・トレーニングなどの準備を行うという。


ロンドン在住の歌手、鈴木ナオミが、東日本大震災の被災者に向けて応援歌のCDを制作した。CDが売れ続ける限り、その収益金を寄付するという形で継続的に支援が続けられるという彼女の意見に仲間のアーティストたちが賛同。6月28日・29日には、中ノ森文子(中ノ森BAND)、小柳ゆき、夏木マリ、斉藤ノヴといった豪華ゲストをロンドンに招いてのチャリティー・コンサートを主催する。










































「10代後半という、ものすごく色々なことを吸収できる時期なので、コンクールでは日本の中だけでは吸収できなかった、本当に様々なことを吸収できたと思います。80年代当時は今よりずっと情報量が少なかったですし。その頃は高校生でしたが、例えばカラヤンが日本に来て切符を買おうと電話しても、全くつながらなかったんですね。ベルリン・フィルが来たときに発売と同時に電話をしても、つながったときはもう売り切れで。海外でどんな演奏会が行われているのか、情報が入ってこなかったのと、周りにプロ活動をしている人がいなかったので、プロになるというのが一体どういうことなのかを知りたかった。あとは、言葉が話せなくても、色々な国に行って、出ていくだけで拍手をしてくれて、自分の好きな演奏をして……。そういうことがすごく楽しかったんです」。






