英国におけるファッション業界の今後の流行を占うロンドン・ファッション・ウィークが、いよいよ約1週間後に開幕する。華やかなファッションに身を包んだ一流モデルたちが、多数のカメラの前を優雅に歩くキャットウォークに象徴されるこの華麗な舞台の裏側で、今最も物議を醸しているのが「サイズ・ゼロ」という言葉。そこで今回の特集では、このサイズ・ゼロにまつわる議論を振り返った上で、新しい女性の美の形を模索する人々に焦点を当ててみた。(本誌編集部: 長野雅俊)
サイズ・ゼロとは?
米国における洋服サイズの1つであり、バスト80、ウエスト60、ヒップ86の体型に相当する*。英国ではサイズ2、日本ではサイズ3とほぼ同じ。最近では極端に痩せたモデルを批判的に呼ぶ総称として定着しつつあり、スペインを始めとする欧州各地では痩せ過ぎモデルのファッション・ショーからの締め出しといった運動にまで発展した。ちなみに、英国人女性の平均体型はサイズ14と言われている。
*典型的な「スーパーモデル」の身長は170センチ台後半。それだけの高身長と実際のサイズとのバランスが取れていないことがサイズ・ゼロに関する議論の本質であり、実はごく一般の日本人女性が「サイズ・ゼロ」に当たる場合は意外と多い。
| サイズ対照表 | |||||||||
| 英国 |
2
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4
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6
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8
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10
|
12
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14
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16
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18
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| 米国 |
0
|
2
|
4
|
6
|
8
|
10
|
12
|
14
|
16
|
| 日本 |
3
|
5
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7
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9
|
11
|
13
|
15
|
17
|
19
|
*サイズの基準は服飾メーカーによって異なる場合あり
英国のファッション業界を率いてきたスーパーモデルたち
| ツイッギー Twiggy |
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|---|---|
| 英国サイズ不明 57歳、ロンドン生まれ 170センチ、41キロ |
|
| 16歳の時に、美容院にてスカウトされる。10代にしてスーパーモデルの称号を得て、時代の寵児に。1960~70年代にかけて世界のファッション業界を率いた。 |
| ケイト・モス Kate Moss |
|
|---|---|
| 英国サイズ6 33歳、クロイドン生まれ 168センチ、48キロ |
|
| 14歳の時に米国ニューヨークへ旅行した際に現地でスカウトされる。その後90年代におけるスーパーモデルの「ビッグ6」の1人として現在も第一線で活躍している。 |
| ナオミ・キャンベル Naomi Campbell |
|
|---|---|
| 英国サイズ6 37歳、ロンドン生まれ 175センチ、51キロ |
|
| 15歳の時にロンドンのコベント・ガーデンでスカウトされる。その後ベルサーチ、バレンチノ主催のファッション・ ショーなどに登場し、1980~ 90年代のスーパーモデル全盛期を築いた。 |
| リリー・コール Lilly Cole |
|
|---|---|
| 英国サイズ6 19歳、トーキー生まれ 178センチ、50キロ |
|
| 14歳の時にロンドンのソーホ ーでスカウトされる。10代にして早くも「Vogue」誌の表紙を飾り、スーパーモデルの仲間入り。シャネルやエルメス といった高級ブランドの顔となっている。 |
既存の価値観に抗う英国ファッション業界の動き
2000年秋
大手スーパーマーケットのマークス&スペンサーがサイズ16のモデルを起用したテレビCMを展開。消費者には受け入れられず、同社製品の売上は大幅に落ちる。
2007年2月
家庭用品メーカーのユニリーバ社が展開するブランドDoveが「人生は40歳から始まり、50歳で最も輝く」と謳った「Pro-Age」キャンペーンを開始。同ブランド製品の売上大幅増加に貢献する。
2007年3月
英国ファッション協会の委託によって、ファッション・モデルの健康状態や労働環境の調査を行う独立委員会「モデル健康調査会」が設置される。
2007年4月
大手デパートのジョン・ルイスが2007年夏の水着コレクションにサイズ12のモデルを起用することを発表。
これまでにガリアーノやステラ・マッカートニーといった大物デザイナーを発掘・輩出した、ロンドンで年2回開催されるファッション・ショー。今月15日から開催される「London Fashion Week September 2007」では、2008年の夏物デザインが発表される。キャットウォークなどがあるファッション・ウィークは、ファッション関係者のみ入場可。続いて開催される「ロンドン・ファッション・ウィークエンド」と題されたイベントでは、発表されたばかりの2008年夏物デザインの洋服を格安で購入できる。
London Fashion Week
9月15日(土)~20日(木)
www.londonfashionweek.co.uk
London Fashion Weekend
9月26日(水)~30日(日)
入場料: £10~
www.londonfashionweekend.co.uk
The Natural History Museum
Cromwell Road, London SW7 5BD
「衝撃のヌード写真」で話題になったDoveのモデル
ミリネット・モリソンさん
ぜい肉がたっぷりとついた中年女性のヌードを映した このポスターに見覚えがある人は少なくないだろう。この女性の正体は、ミリネット・モリソンさん、54歳。ユニリーバ社のブランドDoveにおける「Pro-Age」と題されたキャンペーンにおいて起用されたモデルだ。このキャンペーンが功を奏し各方面からの話題を集めた結果、同ブランドの製品は大幅に売上を上げたという。女性の美しさに関する新たな価値観をまさに身をもって提示したミリネットさんに、お話を伺った。
―普段はどのようなお仕事をされているのでしょうか。
ブラジルで生まれたのですが、若くして渡英し乳母として長いこと働いていたのです。今は結婚して主婦になり、26歳、24歳、そして18歳の娘がいます。時々お小遣いを稼ぐためにベビーシッターとしても働いています。
―ミリネットさんの娘さんたちは、お母さんのヌード写真を見て驚きませんでしたか。
最初にあの写真を見た時はさすがに衝撃を受けていたようですね(笑)。でもその後はずっと、理解を示して温かく見守ってくれたと思います。あの写真はまだ今でも家の中で大切に保管しているんですよ。
―今回モデルとして働くようになった経緯を教えていただけますか。
知人から電話がかかってきて、50歳以上の女性を対象としたオーディションをするからあなたも応募しなさいって言われたんです。問い合わせ先の電話番号をもらったのでそこに連絡したら、オーディション当日にバスローブを持ってくるように指示されて。その時点で「これは何か変だぞ」って思ったのですが、ものは試しだと思ってとりあえずオーディションに参加することに決めました。
当日会場に赴くと、早速バスローブに着替えて審査員が集まる部屋に行きました。そこでいくつか質問に答えると、今度はバスローブを脱ぐように言われて。周りに人がたくさんいたのでかなり抵抗があったのですが、とりあえず深呼吸して「私は今、ブラジルの海岸にいるの。服を脱ぐくらい大したことない」と自分に言い聞かせて脱いでしまいました。そうしたらモデルに選ばれてしまった、という具合です。
―ミリネットさんは20代の頃、どんな女性でしたか。
とても痩せていて、まさに今で言う「サイズ・ゼロ」のような体格をしていました。自分が痩せているということをコンプレックスに感じていたので、もっとグラマーな体になりたいといつも願っていましたね。性格は今と変わらずこのまま。自分で言うのも何ですが、ちょっと能天気といってもいいくらい、かなり社交的だったと思います。
―若い時はきっと英国人男性からもてたのではないですか。
はい。はっきり言ってもてましたね。当時はまだ英国にブラジル人、特にブラジル出身の黒人女性があまりいなかったので、何と言うか、需要に対して供給が少なかったんでしょうね(笑)。「君はエキゾチックだね」とよくもてはやされました。
―正直、その頃の持っていた若さやスレンダーな体型が恋しくないですか。
いいえ。だって、今でも私は十分に美しいと思いますから。むしろ若い頃は、もっとふっくらした体型になりたいと思っていたのになれなくて、すごく悩んでいました。ただ年を重ねるに従って、当時の私と現在の私の両方を受け入れることができるようになりました。昔を恋しく思うことが唯一あるとすれば、今は若い頃ほどのエネルギーがなくなってしまった、と感じる時でしょうか。
―サイズ・ゼロの議論に象徴されるように、現代ではよりスリムに、さらにはより若くありたいとする傾向に拍車がかかっているように思いませんか。

Doveのキャンペーンには、
ミリネットさんの他にも
数人の中年女性がモデルと
なって話題を集めた
やはりメディアの影響が強いのでしょうね。テレビや雑誌を見れば痩せこけた有名人が余りに多くいるので、彼らのような体型になりたいと思わされてしまうのでしょう。また歳を重ねることが悪いことだと思わせるような風潮があるから、皆本当に歳を取ることを嫌がっている。サイズ・ゼロに関していえば痩せたいという願望は今になって始まったことではないですが、ここまで極端に、自分の体を壊してまで痩せようとする傾向はやはり現代に特有な現象なのではないでしょうか。流行の先端にいるファッション・デザイナーやメディアが姿勢を変えなければならないのだと思います。
―ミリネットさんにとって、憧れの女性はいますか。
米国のテレビ司会者オプラ・ウィンフリーには憧れますね。思いやりがあって、内面も外見も美しい、素晴らしい女性だと思います。
―日本でも極端なダイエットや摂食障害が問題になっているのですが、こういった現象についてはどう思いますか。また、日本人女性についてはどのような印象を持っていますか。
私が知る限り、日本人女性はとても洗練されていて、内面に独特の自信を秘めているように見えます。極端なダイエットをする人がいるとのことですが、日本人は欧米人女性に比べれば、もともと痩せているではありませんか。
―なぜ女性は皆、美しくあろうと願うのでしょうか。容姿に恵まれない女性は、不幸な人生を送ると思いますか。
自分自身のありのままの姿を受け入れることさえできれば、誰に対しても美しく、そして優しくあり続けられるのだと思います。
―整形手術の是非についてはどう思いますか。
事故で大きな怪我を負った時や病気のせいで体の一部に問題を抱えた際に、一つの選択肢として考えるということはあると思います。でも、お化粧感覚で行ったり、手術でつけたりはったりを繰り返して別人になろうとする行為には賛成できません。結局、歳にしても体型にしても、無理して別の誰かのようになろうとしないことが、美しくあるために一番大切なのではないでしょうか。
サイズ12のモデルを起用して新しい美を提唱ジョン・ルイスPR担当者に聞く
Doveのキャンペーンに続いて、大手デパートのジョン・ルイスも革新的なプロジェクトを始動させた。サイズ・ゼロならぬ、サイズ12のモデルを起用したキャンペーンを発表したのだ。話題を集めることで商業的な成功を実現することに加えて、女性の美をめぐった論議に一石を投じるのが狙い。PR担当のマーク・フォーサイスさんに話を伺った。
―今年になって、サイズ12のモデルを起用するキャンペーンを展開していますね。
4月中旬より、26の支店における水着販売コーナーでサイズ12のモデルを使ったキャンペーンを行うことになりました。マネキンも様々な体型のものを使うようにしています。
―狙いは何ですか。

サイズ12のモデル、
南アフリカ出身の
ローレン・モラーさん
一つに、当社が販売している水着が、普通の体型と合わせた時にどのように見えるかということをお見せする必要があると感じたこと。実際、我々が販売している水着商品の8割はサイズ12か、それよりも大きいものなのです。後は「健康美」や「多様性」といった、新たな女性の美しさを模索したいという思いもありました。「女性の本当の美しさとは何か」という議論を深めるための一翼を担えたら、という気持ちもありますね。
―モデルを見つけるまでの過程で苦労したと聞きましたが。
私達も今回のキャンペーンを始動させる際に初めて分かったことなのですが、通常のモデル事務所ではサイズ12の女性を用意していないのです。「肥満モデル専用の事務所に連絡を取った方がいい」とのアドバイスさえ受けました。「私たちは、肥満モデルじゃなくて一般的なサイズ12のモデルを探しているんです」と説明しても、なしのつぶてだったのが印象的でしたね。結局、サイズ12に相当する英国人モデルは見つからなかったので、南アフリカ出身のモデルを使うことになりました。悲しいかな、これが今のファッション業界の現実なのだと思います。
摂食障害者を支援するチャリティー団体「Beat」チーフ・エグゼクティブ スーザン・リングウッドさん
「サイズ・ゼロ」問題に対して警鐘を鳴らし続けているのが、「Beat」と呼ばれる摂食障害者を支えるためのチャリティー団体だ。「サイズ・ゼロ」の言葉が一人歩きしていることについて危機感を抱く同団体の代表者、スーザン・リングッドさんに意見を聞いた。
―「サイズ・ゼロ」のモデルを認めるか否かをめぐって活発な議論が行われていますね。
この議論に関してはちょっと誤解している人も多いようなのですが、私たちは痩せていること自体は別に悪いことではないと思っています。そうではなくて、無理をして痩せようとする行為に問題があるのです。さらにそういった傾向が若年者の間に浸透しつつあることに、非常に強い危機感を抱いています。特に最近のファッション・モデルたちは、14歳、15歳といったいわゆる成長期にある少女たちです。この世代が無理してダイエットを行うと、骨粗鬆症などといった深刻な病気にかかる危険が高まります。若い体を、まさに酷使している状態ですね。
―でも私たちは、なぜそういったファッション・モデルに憧れてしまうのでしょうか。
「若さ」にやはり強烈な魅力を感じてしまうのだと思います。テレビを見れば、50代の女性なのに顔に皺1つない人が映っている。こういった人たちと自分自身を比較して、若さへの憧憬を膨らませてしまうのでしょう。でもテレビで見るそういった人たちの体は人工的に作られた美であって、本当の人間の姿ではないのです。
―では「若い」とか「スリムである」という以外に、女性の魅力って何でしょう。
健康であること。自信を持っていること。優しさ。ほんの100年程前に使われた「美しい」という言葉の定義には、外見だけではなくて内面や気持ちをも含めた概念が含まれていたんですよ。
―でも男の人は、女性をやはり外見の美しさで判断してしまうのではないでしょうか。
私は違うと思うのです。むしろ、自分の身体の一部に過剰な注意を払ってしまうのは女性の特性でしょう。髪型を変えたのに、恋人や夫が気付かなくて「私に対して興味を持ってくれていない」と嘆く女性がよくいますよね。でもそれは別にあなたに興味がないからではなくて、男の人って鈍感というか、そういった生き物なのです(笑)。言い方を変えると、男の人の方が女の人を全体的に捉えているからこその言動なのだと思います。
―日本人女性に対してはどのようなイメージを持っていますか。
ファッションにとても気を使っていると思います。自分の体の特徴をよく把握していて、そのスタイルに合った服を選ぶのが非常に上手い。欧州の女性が学ぶ部分が非常に大きいと思います。



在留届は提出しましたか?




英国が、世界で最も高級で貴重な香水として生み出した傑作が、その名もズバリ、「No.1 Perfume Collection」。その中でも、1番高価なのがこれ、「No.1 Imperial Majesty」(500ml)だ。お値段は、11万5000ポンド(約2760万円)。どうしてそんなに高いかというと、クリスタルの最高峰、バカラのボトルに、5カラットの天然ダイヤモンドがキラリ。香水そのものは、1オンス1200ポンド(約25万8000円)の超贅沢品が16オンス。高すぎてちょっと手が出ない、という方には、お得な「No.1 Perfume」(30ml 1260ポンド)もございますよ! ということで。
使い勝手が良いのはもちろん、インクを詰め替えれば半永久的に使用でき、経済的でもある万年筆。しか しスイスを代表する高級文具メーカー、カランダッシュが発表した「La Modernista Diamonds」は、書き味を試すのもはばかられるほどのお値打ち品。銀のボディーに5072個のダイヤモンドと96個のルビーが埋め込まれ、お値段はなんと16万4000ポンド(約3940万円)。「世界で最も高い万年筆」として、ギネス・ブックにも掲載されている。世界で限定1本のこの万年筆は、現在ハロッズで販売中。手には取れなくとも、ぜひ本物を見てみたい。
カクテル1杯、あなたならいくら払う?せいぜい10ポンドぐらいではないだろうか。ところが、マンチェスターのハーヴェイ・ニコルズで2005年に発表された「Dazzle Cocktail」は、1杯1万5250ポンド(約350万円)! それもそのはず、ストロベリーとライチのシャンパンの中に浮かぶのは、ピンク・クンツァイトという希少な宝石とダイヤモンドがついた指輪なのだから……。ちなみに、このDazzle Cocktailはシリーズで展開。一番高いのは2カラットのピンク・トルマリン・リングが入った2万7000ポンド(約550万円)の1杯で、なんでもセキュリティに守られながら運ばれてくるとか。ロマンティックな気分にひたっている余裕もなさそう?
みなさんすっかりおなじみのロンドン名物、ダブル・デッカー。縦横無尽に走るこのバスの中で、1番長いルートは、「X26」番。ヒースロー空港からイースト・クロイドン(ロンドン南部ゾーン5)まで、34キロの道のりを約80~123分で結んでいる。始発から終点まで乗ったら、ずいぶん得した気分になりそうだ。ちなみに、まさにずばり「No.1」は、どのルートかご存知?トッテナム・コート・ロードからカナダ・ウォーターを結ぶルートがそれ。といっても、1番最初に開通したルート、というわけではない。
英国一どころか、世界一のものがある。ロンドン・チューブはノーザン・ラインにある「ハムステッド駅」だ。何がかといえば、1番深いところにある地下鉄駅。ハムステッド・ビレッジが急な丘の上にあるため、その麓にある駅は深く、地下58.5メートル。ギネス・ブックにも載っている。考えてみるともっと驚くのは、そのオープンが1907年ということ。日本ではまだみんな着物を着ていた明治時代、そんなところまで掘った英国鉄道マンたちの偉業に拍手!(日本で1番深い駅は大江戸線六本木駅42m)
ロンドンの地下鉄って、日本のそれと比べて、どこもかしこもエスカレーターが長いと思わない?中でも1番長いのが、これまたノーザン・ラインにある「エンジェル駅」。世界一とは言えないけど、西ヨーロッパ最長のその記録は、長さ60メートル。たしかに下から見ると、頂上が見えないほどの長さ!昨年には、ここをスキー板を履いて滑り降りるという無謀な挑戦をして、地下鉄員や警察からかなりの処罰を受けた輩もいるのだとか。アルペンを思い出させるような佇まい、さすがは英国一の長さだ。
英国が世界に誇る「1番」と言えば、こちらもおなじみの「ロンドン・アイ」。1999年に完成した観覧車で、頂点までの高さは135メートルと世界最大!だったはずが、2007年3月、中国にそれを超える160メートルの巨大観覧車が完成、トップの座を奪われた。しかし、英国内ではしばらく1番でいられることは間違いないだろう。また、ロンドン・アイの1 つのカプセルの定員は25人で、これはいまだに世界一!
建築規制が厳しく、「高いビル」なんて存在しなかったヨーロッパ。そこへ1966年、当時の英国人たちの度肝を抜く高さでそびえ立ったのが、117メートルの「Centre Point」。その後15年間、他の追随を許さぬ高さで不動の地位を誇っていた。しかし時代は移り変わり、1980年にはさらに高い183メートルの「NatWest Tower」(現・Tower 42)が完成。そして、1990年には、ついに200メートルの大台を超えた「One Canada Square」が登場。235メートルの高さを誇り、今のところこれが英国一の高いビル。しかし21世紀も迎えた今、2012年にはオリンピック開催を控えていることもあって、ロンドンではスカイスクレイパーの建設ラッシュが起こっている。中でも、2012年完成予定の「Shard London Bridge」は、310メートルの高さで堂々の1番になる予定だ。
たいと
英語
ジョン・グレン
ギネスブック
ルイス・フィリペ
君が代
500円玉
一般に流通しているなかで、世界一額面の高い紙幣が、シンガポールの「10,000ドル札」。 日本円にしてなんと、 これ1枚で75万円超!うっかり落としたり、スラれたりしたら大変!(※2005年時点)
オンラインで申請 4~6週間で審査結果が
鮭の日
ピーナッツの日
電池の日
靴下の日
サッカーの日
下駄の日
配線器具の日
リメンバランス・デー





いまだに古めかしい儀式を行なうのはなぜ?
フリーメイソンの起源

コベント・ガーデンの駅を出て東に歩いていくと、すぐにグランド・ロッジの建物が目に入った。期待と不安を抱えながら建物に近づいていくと、ちゃんと博物館の案内が出ていた。そして、建物に恐る恐る足を踏み入れる。左側から突然声がかかったので振り返ると、そこには老紳士が。ここで博物館に行きたいことを伝えて、受付名簿にサイン。建物内の博物館の場所と、30分後に無料のガイド・ツアーが実施されることを教えてくれる。どことなく語り口も穏やかで、さすがは友愛を信条とするフリーメイソンだと感心する。
ツアー開始を待つ間、博物館の展示を見る。ここには、フリーメイソンの衣装を始めとする様々なコレクションが展示されている。ガイド・ツアーが始まる時間になって、ガイドの老紳士が現れる。ちなみに、ガイド・ツアーは1時間おきにあるようで、この老紳士も「今日3回目で疲れたよ」と冗談交じりに言う。ガイド・ツアーの参加者は意外にも多くて総勢10名。その国籍は米国人の老夫婦が2組4名、ニュージーランドの若者が2人、スペインからの女性が2人、アジア系の女性が1人、そして筆者である。
まずは、簡単なフリーメイソンの概略の説明から始まった。この老紳士はガイド担当だけあって、話もユーモアにあふれていて参加者を楽しませてくれる。いよいよ建物の内部に入ると、最初の部屋には歴代のグランド・ロッジにおけるグランド・マスターの肖像画が。そこには現在のグランド・マスターであるケント公の顔もあった。
続いて両脇にたくさんの部屋が並んだ幅の広い廊下を通ると、床も壁もきれいに磨かれていることに気付く。さすがフリーメイソン、細部まで手入れが行き届いているな、と妙に感心しつつ歩いていくと、Grand Templeと呼ばれるフリーメイソンの儀式が行われる大ホールの前に辿り着く。ここの天井にはフリーメイソンのシンボルを使った装飾が描かれていることを発見。Grand Templeの入口となっている大きなドアに施された彫刻の説明を終えた老紳士ガイドが、ついにそのドアを開ける・・・・・・。

5月17日発行の本誌では、

英国の「知の権威」が語る捕鯨問題 ①
捕鯨活動が最も活発に行われた18世紀には、当時英国の主要港であった英国北部の都市ハルとロンドンが2大拠点となっていました。この2地点から年間何百という単位で捕鯨船が出航し、大きく分けて2カ所に向けて旅立っていったのです。1つはグリーンランドや、カナダ沖のデービス海峡といった北方の海。もう1つは南方の海で、太平洋や南米の海岸部、そしてハワイと日本の中間点となる海域でも捕鯨を行っていました。

英国の「知の権威」が語る捕鯨問題 ②






ゴードン・ブラウン首相(56)

ジャッキー・スミス内務相(44)
アリスター・ダーリング財務相(53)
デービッド・ミリバンド外務相(42)
エド・ボールズ児童・学校・家族相(40)
ダグラス・アレキサンダー国際開発相(39)
ジェームズ・パーネル 文化・メディア・スポーツ相(37)
ジョン・ デナム 革新・大学・ 職業技術相(54)
ショーン・ウッドウォード 北アイルランド相(49)
ハリエット・ハーマン下院院内総務(57)
ヘーゼル・ ブリアーズ コミュニティー・地方自治相(51)



5月末から自然史博物館で始まったこのスペシャル・エキシビションは、入場者全員が南極探検隊の一員となって、いろんなチャレンジをこなしていくというもの。-10℃というレアな世界を体験できたり、実際に南極探検で使われていた道具を見学したり、知っているようで知らない極地に関するクイズやゲームに挑戦したり、始めから終わりまで興味津津!テレビや映画でしか見たことのない南極の世界、果たして何人がサバイバルできるのでしょうか!?
凍ったバナナで釘も打てる
かわいいあの子の離乳食は? 
寒い&怖いは当たり前……?

乗りこなせれば天下無敵!
ここで展示されているのは、実際に南極で使われていたスノー・モービル。しっかりしたシートで、乗り心地バツグンです。運転に特別な免許はいらないそうなので、この機会にコツを覚えてしまっても良いのでは?ちなみに、深く積もった新雪の中を運転するのが一番難しいそう。
リサーチ・ステーションでは、体験隊が実際にどんな部屋で生活し、仕事をするのかが学べます。お店も、テレビも、車も、病院もない、地球で最も孤独な大陸、南極。若き隊員見習いたちは、ここで無事に1年を過ごせるのでしょうか? 
実際に英国陸軍で支給される非常食をもとにつくられたサバイバル・パック。アルミニウムの袋は、直接火にかけることもできる。中身は栄養価の高いエナジ ー・フード、コーヒー・セットなど
アデリー・ペンギンの白と黒を強調したかったのだろうけど……。大胆な発色のこの飴は、クロスグリのフレーバー。もちろん舌や唇にも着色するので、舐める時は気をつけて
ロンドン中心部からさほど遠くない場所に、本格的な遊園地があるのはご存知ですか?500エーカーもの広大な敷地に、25以上もの乗り物やアトラクションがぎっしり詰まったソープ・パーク。ここでは、絶叫系アトラクションを制覇しなくては気がすまない「上級者」や、恐いもの見たさでマイペースに楽しみたい「中級者」、そして小さなキッズたち「初級者」が、皆それぞれ満足できること間違いなし。日ごろのストレスや「なぜ夏が来なかったんだ……」という憤りを、アウトドアで思う存分発散しちゃいましょう!
ほぼ90度!を時速130キロで急降下!


バンジ-&逆バンジ-に挑む 


⑦ Ribena Rumba Rapids
⑧ Mr. Monkey's Banana Ride
⑨ Sea Snakes And Ladders
世界中で愛される人気キャラクター、機関車トーマスとその仲間たち。チビッコなら誰もが、あの青い列車に乗って、シュッポ、シュッポと風を切って走るシーンを心の中に抱いているはず。そんな子供たちのイマジネーションを実際に叶えてくれるのが、このイベント。英国各地のヘリテージ・レールウェイに、サー・トーマス・ハットやファット・コントローラーをはじめ、おなじみの機関車たちが勢ぞろい。トーマスとディーゼルのレースやさまざまなアトラクションが繰り広げられるほか、もちろん、実際に乗り込むのもOK! 本物の蒸気機関車に乗れるなんて、大人もワクワクの新鮮な感動に出会えるはずですよ。
ブロックと言えばレゴ! 何百個、何千個、何万個もの小さなブロックを組み立てて、実にさまざまなモノを造りだしてしまうあのレゴ・ワールドは、お見事!うちの子も、こんな無限の想像力があったらなぁ……。それなら実物に触れるのが一番ということで、ここレゴランドで1日たっぷり遊びましょう。まず、目を見張るのが、約4000万個のレゴを使って再現されたロンドン。ビッグ・ベンもロンドン・アイも実によくできていて、思わずじーーっと見入ってしまう完成度の高さです。ほかにも、レゴでできた電動自動車やローラー・コースターなど「乗って楽しむレゴ」あり、レゴのスタッフの指導に沿って「作って楽し むレゴ」ありの充実ぶりです!
普段は都会の雑踏の中を走らせているマイカーに乗って、そのまま、さまざまな動物たちが暮らすサファリ・パークへ!窓の外、背の高~いキリンに手を振ったかと思いきや、ふと気づけば、あわやライオンが大接近!?はたまた、クマやオオカミが走ってついてきたりして、まさに野生の王国にワープしたかのような感動を味わえます。飼育スタッフの話を聞いたり、実際に動物たちと触れ合ったりできるほか、鳥のフライング・ショーなどさまざまなアトラクションもお楽しみ。また、このサファリ、実はWoburn Abbeyという美しいカントリー・ハウスの付属施設で、他にもゴルフ場や豪華なアコモデーションなども。せっかくなら、泊りがけで出かけたい一大スポットです。
普数あるプラネタリウムの中でも、グリニッジ天文台で繰り広げられるそれは、世界でも随一!最新のデジタル・レーザーでドームいっぱいに映し出される満点の星空は、本物を凌ぐ迫力で、思わずため息ものの美しさ。そこへ現役の天文学者が星の誕生からその死まで、ドラマティックなストーリーの語り部となって、宇宙探検の旅へ連れて行ってくれます。さらに、メイン・プログラムの後には、さまざまな疑問・質問に分かりやすく答えてくれるというおまけつき。キッズの知的好奇心が満たされるのはもちろん、大人にとっても、小さな悩みなんて吹き飛ぶほどの壮大な世界に夢がふくらみそう。
映画に出てくるクールなスパイを見ては、私もスパイになりたい!な~んて憧れてた子はいない?はい、なってくださいスパイに!というのが、サイエンス・ミュージアムで行われているこのエキシビション。まずはスパイ・メーカーに雇われ、暗号の解読法や変装の仕方、嘘の見極め方など、スパイに必須のスキルを修得。そして、本格的なスパイ道具を持たされ、闇の組織の実態を暴くために、いざ出陣!しかし、敵もなかなか手強くて、最新のセキュリティ・ガードをはじめ、あの手この手でスパイの侵入を防ごうとする……。さあ、あなたは無事ミッションを成し遂げ、ファイナル・ステージまで進めるか!?
ガーデンハットやサングラス、プリントTシャツなどのオリジナル・ウェアを作ったり、顔にペインティングをしておちゃめな昆虫に変身したり、顔はガードして 蜂の巣を見学したり、併設のガーデンで採れたハーブでパンやビスケットを焼いたり……。夏休みのキッズたちに、とっておきのお楽しみとなりそうなのが、ここGEFFRYE MUSEUMで開かれている「サマー・ホリデー・アクティビティ」。下は3歳から上は15歳まで、年齢別に考えられたワークショップは、実にさまざま。なかでもアート・クラフト系は充実で、世界でたったひとつのモノをつくれ ば、夏休みの課題にもぴったり。
爽やかな風に吹かれて、パッカ、パッカ、パッカ……。大人でも一度は挑戦してみたいと思う、上品で優雅な乗馬。でもご存知ですか?実はこれ、普段は使わない筋肉を使うので、見た目よりも意外にハードでいい運動になるんです。今年の夏は、天気もパッとしなくて気分も晴れないという人たち、親子そろって挑戦してみませんか?しかも、ロンドンのど真ん中、ハイド・パークでトライできるというのだから、お手軽さも満点。未経験でも、スタッフの丁寧なレッスン(有料)があるので大丈夫。無邪気で純粋なキッズたちは、大人より案外すんなり乗りこなしそうですね。
ロンドンのテムズ河東部から、エセックス、フォートフォードシャーまで50キロ以上にも延びる広大な公園が、ここリー・バリー・パーク。豊かな自然の中、魚 釣りやボートなど、水辺のアクティビティが充実。また、敷地内の散策に出かけたいなら、便利なレンタサイクルがおすすめです。都心の真ん中とは違う新鮮な 空気に、大人の方が気分すっきり癒されそう。また、グリルの貸し出しもあるので、食材を準備していけば、緑に囲まれた公園の中でバーベキューを楽しむこと も可能。大自然の中、思い切り体を動かして、おいしいものを食べて遊べば、親子のコミュニケーションもぐっと深まりそうですね。
1989年7月、BPは陸軍省より、第二次ボーア戦争最中のアフリカに赴く命令を告げられる。豊富な金の鉱脈を巡って南アフリカのトランスバール共和国と争ったこの戦争でBPは、「マフェキングの包囲戦」と呼ばれる戦いに参加。8000人以上の敵軍に、200日以上にわたって包囲されるという事態に見舞われた。

BPは、子供たちを4組のグループに分け、8日間にわたって共同生活を送らせた。キャンプ活動の内容は、テントの張り方や地図の使い方の講習、野生生物の観察、救助法や愛国心の勉強など。それらすべての学習には「体験重視」という方針が貫かれていた。ボーイスカウト運動について述べる際、「すべての子供たちに、彼らの方法でいいから自分で火を起こさせろ。失敗したことが分かったら、今度は正しい方法を教えて、もう1回試させるんだ」と再三にわたって語ったように、BPは子供たちが自分たちで失敗を体験することが重要だと考えていた。そして失敗の中にこそ教育の本質があるというのが、彼の思想であったのだ。
1908年になると、BPは後に聖書、コーラン、毛沢東語録に続く20世紀のベストセラーとなる「Scouting for Boys」という名の本を出版する。6部構成のこの本においては、まずボーイスカウトの心得とでも言うべきものが、騎士道、アフリカ民族の風習など多彩な例を挙げながら説明されている。そして意外にも日本に関する記述も多い。日本の武士道、柔術の思想を称えながら、寒風摩擦の効用などを説いている。文章中では日本人を「Jap」と呼んでいるところに時代を感じる。

エディンバラを訪れた多くの人が知らないうちに通り過ぎている、グレーフライアーズ・カークヤード(Greyfriars Kirkyard)のすぐそばに立つ犬の銅像。グレーフライアーズ・ボビーと呼ばれるこの犬は、実はエディンバラ版の「忠犬ハチ公」なのである。
エディンバラの街の喧騒に疲れたら、ちょっと足を伸ばしてウォーキングに出かけるのはどうだろう。そこでお勧めなのがウォーター・オブ・リース・ウォークウェイと呼ばれる川沿いの遊歩道。エディンバラを経由して海まで続いている長い道になっている。今回取り上げるのは、エディンバラ市街からスコットランド国立近代美術館とディーン・ギャラリーへと向かうルートだ。 ウォーキングはニュー・タウンの北西から始めるのが良いだろう。この遊歩道に足を踏み入れると、石造りの街並みが続くエディンバラ市街とはうって変わり、自然の息吹が感じられる。そして上流に向かって進んでいくと、川沿いに立ち並ぶ古い建物群が視界に入ってくる。ここはディーン・ビレッジ(Dean Village)と呼ばれる、穀物製粉の村として800年以上も続いた由緒ある歴史的な集落。絵のように美しい光景は、格好の写真撮影スポットだ。さらに川のせせらぎを聞きながらのんびり先へと歩いていくと、スコットランド国立近代美術館にたどり着く。川沿いのウォーキングはここで終了。
ハート・オブ・ミドロジアンは、ロイヤル・マイルにあるセント・ジャイルズ教会(St GilesCathedral)の西側のドアのそばにある舗道に施されたハート型のモザイク模様。この場所にはかつてTolbooth of Edinburghと呼ばれる建物があった。ここはかつてエディンバラの政治の中心であった一方で、牢獄もあり、公開処刑が行われたいわくつき場所でもある。
エディンバラというと英国を代表する古都だけに、どうしてもホリールード宮殿やエディンバラ城といった歴史的なスポットに足が向きがちになるのはやむを得ないところ。しかし今、エディンバラは大きく変わりつつある。その変化の一番の象徴として挙げられるのが、スコットランド議事堂だ。この建物は、1997年にスコットランド自治の象徴として議会の開設が認められたことにより建設されることになった。そういう意味では、スコットランドの人々にとって最も重要な建物といえるのではないだろうか。
エレファント・ハウスは、エディンバラにあるカフェ。このカフェを特に有名にしたのは、ハリー・ポッターの作者として知られるJ・K・ローリングが、シリーズの第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」の原稿をこのカフェで書いたと言われているからである。
映画「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台の一つともなったロスリン・チャペル(Rosslyn Chapel)。500年以上にも及ぶ歴史を持つこのチャペルは、他の教会とは全く異なる雰囲気を醸し出している。バラ十字団のシンボルであるバラと十字架で装飾されたこのチャペルで、特筆すべきは、内外に施された彫刻である。キリスト教から異教に至るまで、その彫刻の精巧さ、多様さは見るものを圧倒する。
1861年11月24日、ロイヤル・マイルに面していた築250年の長屋が突然崩れた。その長屋に住んでいた35人の住人が死んでしまうという悲劇だった。ところが、建物の残骸を片付けていたところに崩壊した建物の間から、少年の叫び声が聞こえた。「Heave awa' chaps, I'm no'dead yet".」彼は無事に救出され、崩壊した場所にあたるペイズリー・クロース(Paisley Close)には少年の胸像と言葉が残された。
シャーロック・ホームズの作者コナン・ドイルがエディンバラ出身で、エディンバラ大学で医学を学んだことはよく知られるところ。さて、ロンドンのベーカー・ストリートと同様に、ここエディンバラにもシャーロック・ホームズの銅像が建っている。実はその銅像の建っている場所は、ドイルの出生地のすぐそば。近くには「コナン・ドイル」と名づけられたパブもあり、地元出身の名士を称えている。
例えば、エディンバラ城は、3億年以上前に火山の爆発によってできた丘の上に建てられている。またロイヤル・マイルから見える、標高250メートルのアーサーズ・シート(Arthur's Seat)と呼ばれるこの丘もかつては火山だった。
ツアー観光客が知らない、エディンバラの奥深さを紹介してきた今回の特集。でも夏のエディンバラといったら、誰もが知っているエディンバラ国際フェスティバルはやっぱり外せない。フェスティバルが開催されている期間には、人口が約2倍に膨れ上がるとか。今年も世界中から一流のアーティストがこの街に大集結。約3週間にわたってオペラ、ダンス、クラシック・ミュージックそして演劇などの様々なイベントが目白押しだ。
オーガニックを選ぶ理由
オーガニックを選ばない理由
1946年に創設された英国で最も古い認証団体。EUの規定を上回る独自の厳しい基準を設定しており、国内のオーガニック製品のおよそ80%を管理している。公認チャリティー団体として、個人の寄付や団体の負担金で賄われており、オーガニック農法への転換のサポートや、農場検査、学校給食の見直しプログラムを考案するなど、オーガニックの普及に大きく貢献している。

英国を始め欧米では、オーガニックの概念が普及していて、体や環境に良いものを求めていますが、日本では、オーガニックに対する知識がまだまだ浅く、全体的に品質よりも価格が重視される傾向がありますね。個人主義と集団主義の違いもあるのかもしれません。欧米人は良いと思えば1人でも始めるけれど、日本人はみんながやらないと、なかなか始めないところがありますから。
私は、いつの日か一般の食卓にオーガニック食品が当然のように並べば良いなと思っているんです。需要が増えれば、オーガニック農場も拡大しますし、子孫に美しい自然環境を残すことにつながりますからね
英国では、80年代後半の狂牛病(BSE)、さらには2001年の口蹄病の流行により、食の安全性に対する関心が一気に高まった。2006年の売上高は前年比30%の成長。値段よりも質を重視する消費者の最近の傾向を受け、年々オーガニック専門店が増えている。
英国人歌手スティングの邸宅「Lake House」の約60エーカー(24万平方メートル)の敷地では、オーガニック野菜や果物の栽培のみならず、豚や魚などを飼育し、チーズや蜂蜜も作られているという。約半年は、家族6人が自給自足で生活できるほどだとか。スティング夫妻は、農薬が自然環境に悪影響を及ぼしていること、またその毒性が消費者にほとんど知らされていないことを懸念してオーガニックに興味を持ち始めたという。妻のトルーディー・スタイラーさんは「Cooking from Lake HouseOrganic Farm」という本を出して、自らのオーガニック生活と様々なレシピを紹介している。

1981年に当社が、英国初のオーガニック成分を配合したコスメ商品を販売し始めました。まだその時代は、オーガニックという言葉ほとんど知られておらず、周囲の反応は薄かったですね。1992年に、ソイル・アソシエーションが初めてオーガニックの認定基準を設けましたが、対象となったのはエッセンシャル・オイル(精油)のみ。その後、2002年にようやくクリームなどのコスメも対象とした基準が作られ、商品が認証されると一気に知られるようになりました。他社に関しては、ここ5年以内くらいにできた新しい会社が多いです。
合成の化学薬品には発ガン性物質が含まれているものもあり、実際に見た目には分からない有害性があります。化学調味料と人工添加物だらけの食事と無農薬で作られた安全な食事、どちらを選ぶかということと同じだと思うんです。また、1つ1つのコスメに関しては実験が行われていても、複数を同時に使用した時に人体にどのような影響がでるかは、分かっていないのです。
オーガニック・コスメのお店は、女性客が大半を占めるが、よくよく見てみると、シェイビング・クリームやビタミンを配合した石けんなど所狭しと男性コスメもしっかり並んでいる。何でも、最初は彼女や奥さんに連れられて来店する男性が多いようだが、そのうち1人でも買いに来る人が結構いるそう。ハリウッド・スターたちの間でもオーガニック・コスメは愛用されていて、ジョニー・デップやロビー・ウィリアムズなどがニールズ・ヤードレメディーズのお得意様だとか。

綿花栽培は多くの途上国で、人々の重要な収入源となっています。しかし、一般の綿花の栽培には、大量の農薬が使われ、そのため年々土壌が弱ってしまうんです。収穫量を減らさないためには、さらに多くの農薬を購入せねばならず、そのせいで借金地獄に陥いり、地域によっては多数の自殺者が出ているのです。オーガニック農法を促すことは、そういった人々を救えると同時に、水質汚染なども防いで環境保全にも役立ちます。
日本には、ものを粗末にすることに罪悪感を抱く「もったいない」という概念が根付いていますし、健康や環境に良いライフ・スタイルに移行しつつありますね。一方英国では、この数年、特に環境問題への意識が強く、企業はそうした問題への配慮なくしてビジネスを行うのが難しいほどです。
一般のコットン栽培には、大量の農薬が必要とされると言われているが、それでは農薬を使わず、代わりにどのような手法によってオーガニック・コットンが作られるのか左記の図で比較してみた。
少し前まで、パジャマや肌着、ベビー服と商品があまり選べなかったオーガニック・コットンだが、有名デザイナーとのコラボレーションで発売されたTシャツなどが話題を集め、一般に知られるようになった。例えば、ピープル・ツリーでは、東京、原宿とロンドンのオックスフォード・ストリートにあるTOPSHOPなどで、機能性だけでなくデザインも優れた商品を展開するなど、オーガニック・コットンは新しいファッション・トレンドになりつつある。



ジェレミー・パックスマン






