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Fri, 06 February 2026

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ロンドン・ファッション・ウィーク 2008

London Fashion Week

自信に満ちたアバンギャルド魂がいつだってカッコいい英国ファッション界。そして毎シーズン、流行を刷新しては、その斬新なクリエイティビティで世界を席巻しているのがロンドン・ファッション・ウィークだ。そこで、先日行われた2009年の春・夏コレクションに大接近、有名どころから新鋭デザイナーの紹介、キャットウォーク潜入にバックステージ密着と、英国の最新ファッション情報をお届けしよう。(文: Miki Yamanouchi 写真: Miki Yamanouchi、永見ちえみ、勝見晋一郎)

LFW 2008 Spring/Summer Collection

2009年春・夏のトレンドをチェック

9月14日~19日の約1週間にわたり、ロンドン・ファッション・ウィーク(以下LFW)が開催された。公式のショーとオフ・スケジュールのショーに、それぞれ50以上ものデザイナーが参加した今回。そのなかでも、来年のマスト・アイテムを紹介する。

トレンド・チェック

去年、今年と続いたサロペット人気の次に、またもや着こなしの難しいアイテムが来る予感
Avsh Alom Gur

メンズはパンツもシャツも、ロール・アップ、さらにパンツにタック・インが来るのだそう
B Store

派手に、華美に、幾何学的に。花柄やボーダー、ドットも自由に組み合わせて
House of Holland

多くのコレクションで目立っていたのが、差し色として用いていたオレンジ色
Betty Jackson

首もとや耳に主張のある大きなアクセサリーを着けるだけで、いつものコーディネートがワンランク上に
Issa

Cat walk

美の集結、キャットウォークに潜入

薄暗い会場のなか、くっきりとライト・アップされた1本のキャットウォーク。そしてその先に待ち構えるカメラマンと期待にざわめく観客席からは、独特の熱気がじわりと伝わってくる。さあ、この体験記を読んで、LFW常連気分を味わってみよう。

Day1 Bernard Chandran

場所: ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの別館
時間: 12:30
座席: フロアに並んだベンチの4列目
ランウェイの段差:なし

感想段差のないフロアで後ろの方の席と言えど、意外に見やすい。会場が狭いので、4列目でも十分に迫力があり、目の前を通るモデルたちのバストアップをはっきり見ることが出来る。ランウェイの先端で待ち構えるカメラマンたちの前で立ち止まる様子なども、全体像もじっくり眺められる。
バーナード・チャンドラン
Day2 B Store/Soar

場所: ポートマン・スクエアのレストラン
時間: 10:30
座席: 最前列
ランウェイの段差: なし

感想レストランの裏庭に通されると、ショーの開始時間が過ぎているというのに、みんなシャンパン片手にくつろぎモード。ようやく開場すると、西日を思わせる照明の中、最前列に案内される。一本の糸くずでも見えてしまうような位置から、素材や靴のディテールをじっくり堪能できた。
ビー・ストア/ ソアー
Day3 Issa

場所: 自然史博物館横のBFC特設会場
時間: 16:15
座席: 特設テントの2階、ランウェイの右上
ランウェイの段差: あり

感想さすが公式のショーとあって、ショー・パスのチェックも3回入る物々しさ。この日一番のサプライズは、あのスーパー・モデル、ナオミ・キャンベルの登場だ。その大物の風格は、他のモデルが小さく見えたほど。今では滅多にランウェイを歩かない彼女をキャッチできて、大満足。
イッサ


Fashion People
Fashion People

Back Stage

Todd Lynn のバックステージに密着

1度きりの本番を控え、心地良い緊張感に包まれるバックステージ。キャットウォークを成功させるために、あわただしく働く「美」の職人たちの仕事っぷりを覗き見るため、人気沸騰中のブランド「トッド・リン」のバックステージに、いざ潜入!

バックステージに潜入


The Exhibition at London Fashion Week

LFWの開催に合わせ、世界各国のバイヤーがロンドンに集まるこの1週間。それに合わせ、LFWの主要会場である自然史博物館に建てられた特設展示場で行われるのが、プレスとバイヤー向けのエキシビションだ。新進気鋭のデザイナーたちのブースが200店も並ぶなか、ここでの楽しみはやはり、次の流行発信源として将来が有望なデザイナーを発掘すること。今回は小物に焦点を当て、気になるブランドをピックアップしてみた。

Shoes

MelissaMelissa
ブラジル生まれのラバー・シューズ・ブランドのメリッサ。どんなデザインでも思いのままなうえ、履きやすさも抜群だ。今季の目玉はなんといっても、「建築界の女王」ザハ・ハディッドが手掛けたデザイン。お披露目パーティーでは、自身のクリエーションを履いて登場した。2年がかりで構想が練られたという靴は、まさに歩く建築作品だ。

Thomas Murphy
Thomas Murphy英国出身のシューズ・デザイナー、トーマス・マーフィー。一見、地味であるが、ディテールを見ると実に面白い。例えば金色に輝くコッパー(銅)製のヒールは、年月を経につれダークな茶に変化していくという過程を楽しみながら履くことが出来る。素材は木や金属に皮など、自然の素材を使用。メンズ靴の思考を取り入れ、長く履き込むと味が出るよう計算されている。

Bags & Belts

Paparazzi
Paparazziありそうでなかった、雑誌を丸めたようなクラッチ・バッグ。伊勢丹のバイヤーがサンプルを購入したというから、日本上陸も近いかも。雑誌「バニティ・フェア」の表紙デザインでの特注オーダーも入ったのだとか。

Kate Sheridan
Kate Sheridanプリントからデザインするというケイトのバッグは、ブロードウェイ・マーケットやスピタルフィールズ・マーケットで買うこともできる。カンバス素材のでかバッグは軽くてお手頃価格、普段使いに愛せるタイプだ。プリントものが旬なこのシーズンに、個性を出せる。

Borba Margo
Borba Margoシルクのフリル・バッグに革のヒップ・バッグもフリルと、甘くなりそうなデザインなのになぜか辛口なのは、ブラジルとスウェーデンのデザイナーという対極コンビの賜物かも。ベルトも静かなシャープさで、かっこいい印象。日本では「ビームス」などで取り扱っている。

Hat & Accesory

House of Flora
House of Flora旬のモデル、アギネス・ディーンが雑誌の表紙で被り、一躍注目が集まったベレー帽は、PVC製でどことなくコミック的かわいさがある。長いリボンとメッシュが新感覚のサンバイザーなど、不思議なデザインを涼しい顔で着こなして、目指せ、お洒落の達人!

Babylon Sisters
Babylon Sistersステートメント・ジュエリーは素敵だけど、1日着けると重さで意外に疲れを感じるもの。それを意識し、軽い素材で作られた大ぶりのアクセサリーがこちら。果物の木を彫った黒花モチーフなど、見かけによらない軽さにびっくりだ。

Stephen Jones
Babylon Sistersこちらのブランドでも、レディースではミニ・サイズの帽子が目立つ。リアルなイチゴがついたカクテル・ハットは、「主役は私」を目指したい日のコーディネートにぴったり。アクリルの蛍光色が近未来的なキャスケットは、冒険好きなメンズへの提案だ。

 

ロンドン空港アラカルト

ロンドン空港アラカルト

近年、滑走路拡張問題などでたびたびメディアを騒がせているロンドンの空港。しかし、空港には飛行機の離発着地というだけではない、さまざまな魅力が溢れている。今回はロンドンにある5つの空港に大注目。心地良く空港でのひとときを過ごすためのアドバイスから、各空港の知られざる事実、驚きのサービスの数々までをご紹介。単なる旅の玄関口としての役割を超えた空港の姿に迫ってみた。

空港サバイバル・ガイド

原油高騰に伴う燃料税の値上げ、セキュリティの強化など、空の旅は近年、何かと煩わしくなってきた。ことにロンドンの空港の渋滞は厳しく、飛行機の遅延はかなり頻繁で、ある統計によるとバジェット・エアラインの場合、夏のピーク時期など約半数の便が遅れるというから、空の旅も楽ではない。そこでここではロンドンの空港にスポットを当てて、いかにストレスを軽減し、気持良く、楽しく旅行ができるかを探ってみた。
(三上義一 http://homepage3.nifty.com/ymikami

エアポート・ホテルに泊まる

朝早い時刻の出発なら、エアポート・ホテルを賢く利用したいものだ。確かにホテル代はかかるが、ホテルの中には1泊するだけで2週間、無料で自家用車を駐車させてくれる所もあるので、それを考えるなら決して高い買い物ではないはずだ。なかには両親と同じ部屋ならば、子ども2人まで無料で宿泊できるホテルも。また、ホテルから空港までのシャトル・バス・サービスもあり、これを利用すれば空港までのタクシー代も不要となる。

エアポート・ホテルで是非試してみたいのが、日本のカプセル・ホテルからヒントを得たという「YOTEL」だ。これは「Yo! Sushi」と同じ経営者が始めたホテルで、2007年、ガトウィック空港に第1号ができ、今ではヒースロー空港、そして近い将来にはスタンステッド空港にも登場するというから、かなり繁盛しているのだろう。キャビンと呼ばれる部屋は、10平方メートルほどの広さで、すっきり機能的。薄型液晶テレビ、無料のインターネット接続サービスなどの設備を完備している。数時間単位で利用できるから、乗り継ぎの空き時間や突然の遅延時には最適だと言えよう。

Yotel
清潔感あふれるつくりのYOTEL

・エアポート・ホテルに関する便利なサイト
superbreak: www.superbreak.com
・パーキング、ホテル、ラウンジの予約に便利なサイト
Holiday Extras: www.holidayextras.co.uk
・YOTEL: www.yotel.com
運転手を頼む

エアポート・ホテルを利用したくはないが、自家用車で空港まで行きたいという場合には、どうすればいいのか。自分で空港内の駐車場に停めればよい話なのだが、これが言うほど簡単ではない。駐車場はターミナル・ビルからかなり遠い場所に位置していることが多く、子ども連れや荷物が多いときなどには一苦労だ。こういうときの味方が、ターミナル・ビルの前で待っていてくれて、代わりに車をパーキングに駐車してくれる運転手のサービス。外国から帰ってくる際には、ビルの前で車とともに待っていてくれる。

このような「meet-and-greet」サービスを提供しているのが、BCPという空港パーキング会社。先述の Holiday Extrasもヒースローとガトウィックの双方の空港で同様のサービスを提供しているので、要チェックだ。

ラウンジでチルアウト

空港のラウンジを使用できるのは、ファーストかビジネス・クラスの利用客だけだと思われているかもしれないが、ロンドンの空港には搭乗するエアラインに関係なく、料金さえ払えば誰でも利用できるラウンジがある。料金は3時間で約15~20ポンド、予約なしで利用できるところもある。

空港ターミナルは、時に人で溢れ、座る席もないことがある。そんなときには静かなラウンジに移動し、チルアウトしてはどうだろうか。落ち着いて座れ、テレビや新聞・雑誌、それにフリー・ドリンクやスナックが用意されている。ビールやワインなどのアルコール類もあり、シャンペンだけは有料だが、他は飲み放題。特にフライトが遅れた場合などには、ラウンジでくつろぐのが最適であろう。

ヒースロー空港にあるラウンジ
ターミナル1、2、3
・Servisair Lounge: 朝6時から夜10時まで。ビジネスマンだけで なく、子どもの利用も可。大人1人17.50ポンド。予約が必要な場 合あり。
ターミナル4
・Holideck Lounge: 朝5時半から夜の10時まで。3フロアある、 新しいコンセプトのラウンジ。ビジネスマンから子どもまで楽しめる。電話、ファックス、インターネット、ビデオ・ゲームなどが完備。室内からは空港のパノラマが楽しめる。
ターミナル3には、子供用のラウンジがある。朝8時から夜7時まで営業の「The Jetterz Kids Club」は5~14歳までの子どもが対象。テレビ、DVDプレーヤー、本、コンピューター、オモチャ などが揃い、親がショッピングしている間、子どもを預かってくれるというありがたい場所だ。2時間で子ども1人15ポンド、その後は1時間毎に10ポンドが加算される。
・The Jetterz Kids Club: Tel: 07767 368 600
ショッピング

英国在住の読者の方々ならば、空港でどのようなものを買うことができるかを説明する必要はないだろう。ただ、空港によく行かれるのならば是非ともお勧めしたいのが「WorldPoints」。これは空港内でショッピングをするとポイントがたまり、ポンドのクーポン券がもらえるシステムで、英国内のほとんどの空港で使えるため、非常に便利だ。

また、免税を利用すれば割引とポイントという2つの特典がある。例えば、通常小売店は値引きしないアップル社のコンピューター「Macbook Air Super-Thin Laptop」は、ヒースロー空港内の電気店Dixons なら1020.43ポンド(約19万3800円)と、ロンドン市内のアップル店よりも178.57ポンド(約3万4000円)も安く買えるだけでなく、1020ポイントが加算される。欲しいものがあれば、かなりお得なショッピングができるということになるわけだ。ヒースロー空港のウェブサイトでは、季節ごとに「best offers」が掲載されているので、事前にチェックすれば嬉しいバーゲン品が見つかるかもしれない。

・WorldPointsに関するウェブサイト
www.loyaltydata.co.uk/baa/NewRegistration.aspx
グルメ

さっぱりした魚介類が食べたい方は、ヒースローのタ ーミナル2にある「Caviar House And Prunier Seafood Bar」や、ターミナル1、3にある「Seafood Bar」が日本人観光客には評判がいいようだ。キャビアはちょっと高い、という方には、スモークサーモンかカキで冷えた白ワインというのはどうだろうか。スコットランド産のスモークサーモンやカキは、日本のものとは一味違い、実に美味なので試してもらいたい。

また、今年オープンしたばかりのターミナル5にはレストランがたくさんあるが、なかでも評判なのが「Gordon Ramsay Plane Food」だ。ゴードン・ラムゼイと言えば、英国を代表するセレブ・シェフ。日本にも進出し、ロンドン内にある彼のレストランはなかなか予約が取りにくいというほどの人気だが、このターミナル5のレストランは高級志向だとはいえ、入りやすく、味も評判。懐に余裕があり、一流のモダン・ブリティッシュ料理を試したい方にとっては、トライする価値はあるだろう。

眺望を楽しむ

その昔、まだまだ海外旅行が高嶺の花だったころ、飛行機を見に行くためだけに空港へ赴く人々がいた。現在、わざわざそのようなことをする人はいないだろうが、今日でも空港からの眺望は見る者を魅了するに違いない。ヒースロー空港で眺望が優れているスポットは以下の通り。

眺望
ヒースロー空港の展望スポット ©www.britainonview.com

・ターミナル1: パブ・レストラン「Tin Goose」、カフェ「Caffe Nero」「EstPresso!」「Costa Coffee」
・ターミナル4: カフェ「AMT」「Costa Coffee」「Holideck Lounge」
・ターミナル5: 眺めの良い場所はたくさんあるが、特に素晴らしいのがレストラン「Gordon Ramsay Plane Food」「Wagamama」など
ロンドン空港、ココが違う!
普段、何気なく利用しているロンドン内の5つの空港。規模のヒースロー、利便性のシティ、そして重大な任務を帯びたスタンステッドなど、各空港にはそれぞれの「色」がある。ここではこれら5つの空港の特徴と、ちょっと驚く秘密をご紹介しよう。(本誌編集部)

「世界で最も嫌われている空港」
ヒースロー空港

ヒースロー空港
ヒースロー空港
©Morley Von Sternberg

英国最大にして世界でも有数の規模を誇るヒースロー空港は、1930年、ミドルセックス州ヘイズに開港。取り扱い国際旅客人数は世界一(国内客を含めた旅客全体では世界3位)、今年3月にはターミナル5もオープンと、押しもおされぬ大空港だが、その規模の大きさ故か、トラブルに事欠かない場所としても知られる。新ターミナルのオープン直後にはご自慢の荷物自動処理システムに不備が発覚、毎日平均で900個もの乗り継ぎ客の荷物が紛失し、いまだ解決の目処が立っていないなど、その先行きが案じられている問題児なのだ。

ヒースロー空港のコレ、知ってた?
老舗旅行情報サイトの「TripAdvisor」が今年2月、2500人の旅行者たちを対象に「嫌いな空港」調査を行った。その結果、栄えある(?)第1位に選ばれたのがヒースロー空港(米シカゴのオハラ国際空港が同点1位)。ちなみにこれは新ターミナルのオープン前の話。もしオープン後に行われていたら、単独1位になっていた可能性はかなり高いだろう。

行く末が気になる「蜂の巣」空港
ガトウィック空港

今年で開港50周年を迎える、ウェスト・サセックス州クロ ーリーに位置する英国第二の空港。特定の空港の肥大化を防ぐため、ヒースロー空港に対しては、国際便のチャーター便の乗り入れ禁止や英米便の割当制限など、さまざまな規制が設けられている。その分の負担を一身に背負っているのがこの空港なのだが、滑走路の数はわずかに1本というから驚きだ。拡張工事を行うべきとの声も上がっていたが、騒音公害問題から、2019年までは現行のままということが決定している。つい先日、運営会社のBAA社が同空港を売却する方針を発表、行く末が気になるところだ。

ガトウィック空港のコレ、知ってた?
ガトウィック空港は、世界で初めてサテライト・ターミナル方式を採用した空港として有名だ。「サテライト・ターミナル」方式とは、ターミナル・ビルとは別の建物(サテライト)が駐機場の中央に位置し、飛行機がどの場所にもとまることのできるようになっているシステムのこと。円形をしていることから「蜂の巣」との愛称でも親しまれている。

ハイジャックされたらここへ
スタンステッド空港

スタンステッド空港
スタンステッド空港
©www.britainonview.com
英国第三の空港として知られるスタンステッド空港は、エセックス州のアトルスフォードに位置している。すっきりとしたモダンな建物は、ロンドンのミレニアム・ブリッジを建設したことでも知られる、英国の誇るハイテク建築家、ノーマン・フォスター卿の手によるもの。太陽の光が燦燦と降り注ぐ開放的な屋根のつくりは、空港としては画期的なデザインだと言える。格安航空会社の雄、ライアンエアー社のハブ空港となっているので、利用したことがある人も多いはず。

スタンステッド空港のコレ、知ってた?
スタンステッド空港が、「ハイジャックされた飛行機が英国内に着陸する場合に使用する」という目的のもと、デザインされている空港だということはご存知だろうか。なんでもハイジャック機をターミナル・ビルや滑走路から離れた所に停め、犯人との交渉が行われている最中でも、通常業務を行えるようになっているのだとか。

巨大ハリネズミの住む空港!?
ルートン空港

1938年、ベッドフォードシャー州ルートンに開港したルートン空港は、ボーディング・ブリッジがなく、タラップを使って機内に乗り込むことからも、「地味で小さな地方空港」のイメージがつきまとう。しかしそんな印象とは裏腹に、ここはルートン地区の自治体が所有する一方で、管理運営は民間会社であるTBI plcが行うという画期的なビジネス・システム、「公民連携事業(PPP)」形態を他に先駆けて取り入れた空港なのだ。これにより業績は好調だったが資金面で不安のあったルートン空港が、さまざまな新設工事を行えるようになった。

ルートン空港のコレ、知ってた?
格安航空会社、イージージェット社のハブとなっているルートン空港。同社のスタッフや利用客の様子を追った人気テレビ・ドキュメンタリー番組、「エアライン」のおかげで一躍、脚光を浴びた。また人気テレビ・シリーズの「空飛ぶモンティ・パイソン」では、ピラニア兄弟の一人、ディンズデールが巨大ハリネズミの住む場所としてこの空港について言及している。

まるでジェットコースター!?
シティ空港

ヒースロー空港
シティ空港
©www.britainonview.com

1987年に開港したシティ空港の特色といえば、何と言ってもその立地。近代的なビルが立ち並ぶロンドン東部のドックランズ地区にあるこの空港、実は実際にロンドン内に位置する唯一の空港である。他空港と比べるとまだ利用客数が少なく、長時間セキュリティ・チェックなどに並ぶ必要がないために、近郊のビジネスマンの間で人気を呼んでいる。来年2009年には、ブリティッシュ・エアウェイズ社が、ビジネス・クラスのみの米ニューヨーク行きエアバスA318を出航させる予定になっているなど、今後の発展が注目される空港だ。

シティ空港のコレ、知ってた?
街中にあるが故に、ほかの空港以上にさまざまな規制が課せられているシティ空港。なかでもシビアなのが、5.5°という急勾配での進入が求められていることだ。滑走路が短く、周辺住民への騒音にも配慮する必要があるための措置なのだが、通常の大型ジェット機の進入は3°だから、いかに急降下を余儀なくされているのかが分かるだろう。


Bon Voyage
 

フードマイル再考

フードマイル再考

環境問題の一環として、食物にも気を配る人が増えている。買うのはもっぱらオーガニック・フード。居住地域で生産されたものしか口にしない「ロカヴォア(Locavore)」を名乗るエコロジストまで現れた。彼らの信念の核を成すのが、「フードマイル(food miles)」という考え方。しかし、これって本当にエコなのか?食欲の秋を迎えた今、人と地球に優しい食生活を改めて考えてみよう。(サイトウ・ケイナ)

フードマイル(フードマイレージ) =
食べ物の輸送された総距離 X 輸送された食べ物の重量
日本は、なんと国民一人あたりのフードマイルが第1位。食料自給率が40パーセント以下と低く、多くを輸入に頼るために、自ずとフードマイルは大きくなる。一方、食料自給率約60パーセントの英国のフードマイル個人総量は日本の約半分。ちなみに米国は日本の約8分の1。この計算式から算出されたフードマイルの値が大きいほど環境への負担は大きいとされるが、あくまでも環境問題を考える際の一つの視点と して捉えよう(農林水産省2001、08 年、Defra 08年統計より)。

フードマイルとは

今日のあなたの晩ご飯、一体どのくらいの距離を経てそのお皿までやって来たか、想像できるだろうか。例えば、メインのお肉はニュージーランド、付け合せの野菜はスペイン産で、食後のフルーツは南アフリカから、という具合。スーパーで買う冷凍食品やパブで食べる料理の中には、さらなる長旅を強いられてきたものもあるというから驚きだ。

「フードマイル」はこのように、ある食物がその生産地から消費者の口に運ばれるまでの移動距離に着目した考え方。90年代に、現シティ大学教授で消費者運動家のティム・ラング氏が提唱し、食品製造が及ぼす環境問題や社会・経済問題への影響を、それまで見落とされがちであった輸送距離という観点から単純化して一般に示したことで注目された。以降、マークス・アンド・スペンサーやテスコといった英国の大手スーパーが、環境問題への企業努力として、野菜や果物のパッケージにフードマイルについての表示をするなど、フードマイルは消費者のエコ志向の高まりと共に広く認知されてきたのだ。

フードマイルの落とし穴?!

環境問題を考慮すると、自宅の近くで採れた食材を買うか、究極的には自給自足の生活をするのが一番で、遠く離れたケニアの地で育ったインゲンなんてもってのほか、ということになる。実際にこの考え方を自らの食生活に適用する環境保護活動家もおり、彼らは「ロカヴォア(Locavore)」と呼ばれる。ある土地で生産されたものをそこで消費する「地産地消」こそがエコなのだ、という主張だ。

ところが、何でもかんでも地域農家で育てれば良いのかというと、それは大間違い。トマトを例にとって考えてみよう。英国内で消費されるトマト、英国産とスペイン産ではどちらが地球に「優しい」か ─ はい、答えはスペイン産。フードマイルは確実にスペイン産の方が大きいのに……と疑問に思ったあなたは「偽エコの罠」に要注意だ。

「適地適作」という言葉がある。読んで字の如く、その土地ごとに栽培に適した作物があるということ。というわけで、上の例では、英国の気候条件がトマト栽培に適さないことが鍵だ。英国のほとんどの地域では、トマト作りを温室栽培に頼らざるを得ない。実はこの温室栽培に必要なエネルギーは、スペインからのトラック輸送で消費されるそれよりも、はるかに大きいのだ。同様に、レタスを旬ではない時期に英国内で作ろうとした場合、結果的にスペインから輸入するよりも多くの温室効果ガス(二酸化炭素など)を排出することになってしまう。

トマト以外についても、ぜひ生産方法に注目されたい。なんと英国産の羊肉よりも、はるか1万1000マイル(約1万7700キロ)もの旅路を船でやってきたニュージーランド産羊肉の方が、環境負荷は少ないというのだ。これは、ニュージーランドの農家が英国内の農家に比べてより少ない肥料を用い、より効率良くエネルギーを使って羊を育てているため。それゆえ、その温室効果ガスの総排出量が、結果的に輸送で生じる温室効果ガスの排出量を下回ることになるそうだ。先のケニヤ産インゲンも然り。ケニアの産地では、トラクターなどは使わず昔ながらの手作業で栽培や収穫を行っているため、石油系の肥料やディーゼル・トラクターなどを駆使して作られる英国産の同品よりも、環境への負担は総合的に少なく済んでいる。ところが、栽培にエネルギーを要しない旬の英国産野菜と比べた場合には、空輸されたケニア産の方が20倍もの温室効果ガスを出していることもある。輸送方法もポイントだ。同じ商品でも、空輸した場合の温室効果ガス排出量は、船輸送の約177倍にも上ると言われる。

そして、店頭に並ぶまでの保存方法にも留意する必要がある。せっかく英国内で採れたオーガニックのリンゴであっても、そのほとんどが店頭や倉庫で最長1年間も冷蔵保存されている。冷蔵・冷凍保存には莫大なエネルギーが消費され、温室効果ガスが排出される。それなら旬のニュージーランド産リンゴを船で運んだ方がエコロジカルなのだ。

さらに、ことには立場を変えた視点、人道的、世界経済的な視点も求められる。アフリカには、英国のような先進国に作物を空輸することで、どうにか生活をしている人々が100万人以上いる。フードマイルばかりが強調され、環境のために輸入品の不買運動をすれば良いという単純な考え方が広まると、そうした貧困国の経済を圧迫することにもなりかねないのだ。

食物を「ゆりかごから墓場まで」 で考える

このように、食品消費にかかわる環境負荷を考える場合、フードマイルだけにとらわれていては誤りの元となる。食品の生産から輸送、販売、消費、廃棄、再利用までの、すべての過程で必要とされるエネルギーや材料、排出される温室効果ガスなどの大気汚染物質や廃棄物の量といったあらゆる環境負荷、つまり「ライフサイクル・コスト」を考慮すべきなのだ。この考え方は、限られた資源を効率的に活用しながら人間の活動と地球環境の調和を図る「循環型・持続型社会」を目指したもの。食ベ物に限らず、人間によって作られるすべての製品やサービスに適用され、それぞれのライフサイクル・コストは、温室効果ガスの総排出量などさまざまな観点から専門的に評価される(ライフサイクル・アセスメント)。

しかし、食品におけるライフサイクル・アセスメントは、その複雑さに難点がある。特に加工食品、例えば、さまざまな具が乗ったピザは一つ一つの具材の軌跡をたどるのが難しく、評価は困難を極める。商品にフードマイルを表示していた先のテスコでも、ライフサイクル・コストに視点を移し、近いうちに商品製造で生じた温室効果ガスの排出量の表示に切り替えるよう検討しているというが、やはり表示が可能な商品は限られるようだ。

購入後もライフサイクルのうち

食物のライフサイクルを考える際に忘れてはいけないのが、食材を買って家に持ち帰ってからのこと。その食材の一生は完全に消費されるまで、もしくは廃棄・リサイクルされるまで続くのだ。くどいようだが、新鮮な旬の国産野菜を買っても、自宅の冷蔵庫で不必要に長期保存したり、うっかり腐らせてゴミ箱へ直行させてしまったり……ということでは元も子もない。

それだけではない。食材をどう調理するかも、そのライフサイクル・アセスメントにかかわる大切な部分であることをお忘れなく。例えば煮豆の缶詰。天日干ししただけの乾燥豆の方が、調理済みの缶詰よりも環境に負担をかけずに店頭までやってきただろう。ところが、だ。いざ乾燥豆を買って自宅の台所で煮豆を作ろうとすると、これが意外にたくさんのエネルギーを食う。工場で一度に大量の豆を調理する方がエネルギーは効率良く使われるため、食卓に並ぶ段では、皮肉にも缶詰煮豆に軍配が上がるのだ。

最もエコなお買い物は「地域の旬モノ」「肉・車ナシ」!

さて、私たちの買い物の手段は、食品のライフサイクル・アセスメントに影響を与えないのか。そんなはずはない。フードマイルを考えたら、自宅から近いファーマーズ・マーケットで買うのが良いはずだ。しかし、そこへ自家用車で出掛けたとしたら意味がないのでは……。自分は家から動かずに、契約農家のオーガニック食材を毎週宅配してもらったらどうだろう。買い物に出る回数を減らす代わりに、車でスーパーに行って大量に買いだめしたら?

考え始めると頭がクラクラするが、これまで見てきた通り、食を取り巻く環境問題は非常に複雑だ。あちらを立てればこちらが立たずで、一般消費者である私たちは右往左往。良かれと思ってしていたことが実は逆の結果を招いていた、ということにもなりかねない。

それではつまるところ、地球環境の保護のためには、日常の食生活で何をどう実践するのが一番良いのか。現在のところ、専門家らの意見が一致しているのは「地域の旬のもの(できればオーガニック)を食べる」、「肉や乳製品を控える」(※下記コラム①②参照)、「買い物で自家用車を利用しない」ということだ。

旬のものは複雑な調理をしなくても美味しい上に、栄養価も抜群に高い。これからの季節は根菜類が旬。季節の食べ物を必要なだけ摂るという、昔から当然とされてきたシンプルなスタイルこそが、現代人のための最も理に適った食生活のお手本なのではないか。

(参考資料:農林水産省、英環境食糧農林省(Defra)、欧州委員会、カーボン・トラスト、国連食糧農業機関、BBC、「ガーディアン」紙ほか)

エコ食マメ知識1
お肉と乳製品はエコの敵!

牛肉の生産は、他のいかなる食べ物の生産や輸送方法と比べても、最も大きなダメージを環境に与える。牛から採れる牛乳やそれを加工したチーズも、赤身肉と同様にNGだ。牛のゲップが大量のメタンガス(温室効果ガスの一つ)を排出するというのは有名な話。それに加えて、英国では家畜の飼料をはるばるブラジルや米国から輸入している。しかも、それはもとをたどればケニヤ産だというから、とんでもない。
エコ食マメ知識2
週に1度はお肉を我慢

ある学者の研究によると、1年間で週にたった1回、メイン・ディッシュを牛肉ではなく野菜にするだけで、車が1860キロ走るのに必要なエネルギーを節約できることになるという。野菜が無理なら、チキンに替えるだけでも効果は大きいとのこと。
エコ食マメ知識3
ベジタリアンの食生活はエコじゃない?!

ヘルシーでエコなイメージを持つ菜食主義。でも、同じサラダを一年中食べられるのはなぜか考えて欲しい。そう、その野菜のほとんどが地球にダメージを与える温室栽培や空輸によるもの。英国内で消費される野菜の50パーセント、果物に到ってはなんと95パーセン トが輸入品だという。

ライフサイクル・コストのココをチェック!

フードマイルだけでエコを語るべからず。食物のライフサイクル全体から判断しよう。

生産方法は?
「適地適作」かチェック。温室栽培は国外からの輸送よりもエネルギーを必要とする。農作業は機械、それとも手作業?

輸送方法は?
飛行機より船がベター。空輸は他のどんな輸送手段よりも二酸化炭素の排出量が多く、環境への負担は海上輸送の150~180倍。買い物へは車ではなく徒歩か自転車で。英国に住む成人は、食品の買い物のために年間平均135マイル(217.3キロ)も自家用車を走らせている。スーパーやオーガニック食材店のデリバリー・サービスも考えもの。

保存方法は?
冷蔵や冷凍による長期保存は環境へのダメージ大。

購入後は?
一般家庭での食材の冷蔵・冷凍保存はもちろん、調理時にもエネルギーが使われることをお忘れなく。

ライフサイクル

旬のモノを知ろう!

これからの季節は何が旬?下記サイトのレシピを参考に、英国の野菜や果物を使った料理にもチャレンジしよう!

食に関するウェブサイト

その名も「eat the seasons」。毎週水曜日に旬の食べ物情報を更新する、英国各紙で紹介された有名なウェブサイト。
www.eattheseasons.co.uk

BBCの食に関するページ。レシピも豊富。
www.bbc.co.uk/food/in_season

英国児童のための教育チャリティー団体「The Woodcraft Folk」のウェブサイト。子ども向けに環境問題が詳しく説明されている。
www.sustnable.org.uk

旬の食品カレンダー

9月 ナス、キャベツ、レタス、ケール、人参、カリフラワー、キュウリ、トマト、マッシュルーム、玉ねぎ、ほうれん草、エンドウマメ、サヤインゲン、ピーマン、パプリカ、パースニップ、ジャガイモ、かぼちゃ、スイートコーン、リンゴ、ブラックベリー、ラズベリー、エルダーベリー、ルバーブ、洋なし、 桃、メロン、ブドウ、いちじく
10月 ナス、ビートルート、キャベツ、レタス、人参、カリフラワー、ズッキーニ、かぼちゃ、マッシュルーム、パースニップ、ジャガイモ、リンゴ、ブドウ
11月 キャベツ、かぼちゃ、スウィード、カリフラワー、ジャガイモ、パースニップ、ポロねぎ、ビートルート、栗、クランベリー、洋なし、マルメロ
12月 セロリ、キャベツ、赤キャベツ、カリフラワー、セルリアック、かぼちゃ、ビートルート、かぶ、パースニップ、芽キャベツ、洋なし

(情報は上記各ウェブサイトより一部抜粋)

地元の旬の味をファーマーズ・マーケットで!

細かいことはひとまず置いて、できることからコツコツと。ロンドン市内でもたくさんのファーマーズ・マーケットが開かれている。さっそく足を運んでみよう。

マーケット情報はここでチェック

The National Farmers' Retail & Markets Association (FARMA)
全国規模でファーマーズ・マーケットを運営・進行する協会団体。全国のマーケット主催者が登録しており、スコットランド、イングランド、ウェールズ内の情報がこのウェブサイトから得られる。入り口にFARMAマークがあれば、そのマーケッ トはお墨付き。
Tel: 0845 458 8420
www.farmersmarkets.net

London Farmers' Markets (LFM)
ロンドン市内でファーマーズ・マーケットを主催する団体。市内15カ所で開かれるマーケットの情報を調べることができる。
Tel: 020 7833 0338
www.lfm.org.uk

map

1. Blackheath
駅に隣接した駐車場が会場。地元密着型でのんびりした雰囲気のマーケット。
日曜10:00-14:00
Blackheath Rail Station Car Park, 2 Blackheath Village SE3
最寄駅: Blackheath駅
バス: 54、89、108、202、380

2. Marylebone
オックスフォード・ストリートに近く、出店数も人出の多さもダントツ。
日曜10:00-14:00
Cramer Street Car Park W1
最寄駅: Baker Street駅 / Bond Street駅

3. Pimlico Road
規模の大きさの割に雰囲気は落ち着いており、ゆっくり買い物を楽しめる。
土曜 9:00-13:00
Orange Square SW1
最寄駅: Sloane Square駅
バス: 211、11、239

4. Ealing
ロンドンで唯一の路上ファーマーズ・ マーケット。
土曜9:00-13:00
Leeland Road, West Ealing W13
最寄駅: West Ealing駅
バス:207、607、208、83

5. Islington
1999年、ロンドンで初めて開かれたファーマーズ・マーケットがここ。
日曜10:00-14:00
William Tyndale School, Upper Street Islington N1
最寄駅: Angel駅

6. Notting Hill
ロンドンで最も大きなマーケットの一つ。オーガニック商品を扱うストール が多い。
土曜9:00-13:00 
書店Waterstones裏の駐車場にて
最寄駅: Notting Hill Gate駅

7. Clapham
地域住民による長年の熱い要望に応えてついに開かれたというマーケット。
日曜10:00-14:00 
Bonneville Primary School Bonneville Gardens SW4
最寄駅: Clapham South駅

8. Acton
オーガニック食材や新鮮な魚介類が揃う。ハーブや花類のストールも豊富。
土曜 9:00-13:00
Public Square on Acton High Street King Street W3
最寄駅: Acton Town / Ealing Common駅

9. Twickenham
会場はショッピング街に近く、週末のお買い物に便利。
土曜9:00-13:00 
Holly Road Car Park, Holly Road off King St, Twickenham TW1
最寄駅: Twickenham駅

10. Wimbledon Park
ウィンブルドンの地元住民から愛され続けている、地域密着型マーケット。
土曜9:00-13:00 Wimbledon Park First School Havana Road SW19
最寄駅: Wimbledon Park駅

地球環境に配慮した食品店

週末のファーマーズ・マーケット を逃してしまった!でも環境に優しいお買い物がしたい!それなら、お散歩がてら近所のエコなお店を探してみては?

Cheshire Food
リンゴや、国内最古と言われるチーズで有名な、イングランド北西部チェシャー州で生産された食品だけを揃えている。同州を中心に約20店舗を展開。ウェブサイトにはチェシャーの旬な食材のカレンダーも。
www.cheshirefood.co.uk

The co-operative food
国内最大の「農家」である同店は、フェアトレード商品の取扱数も国内最多。
Tel: 0800 068 6727
www.co-operative.coop

EARTH natural foods
Kentish Town Road沿い、地下鉄Camden Town駅から徒歩5分、Kentish Townからは2分に位置するオーガニック食品店。
Tel: 020 7482 2211
www.earthnaturalfoods.co.uk

Planet Organic
国内最大のオーガニック商品専門店。ロンドンに5店舗を構えている。 www.planetorganic.com

Fresh and Wild
北米と英国に全270店舗を展開する、エコ志向の食品店。
Tel: 020 7368 4500
www.wholefoodsmarket.com

The Grocery
様々な食品からペット・フード、自然療法に基づく医薬品などが揃う。
Tel: 020 7729 6855
www.thegroceryshop.co.uk

 

オープン・ハウス・ロンドン 2008

オープン・ハウス・ロンドン2008

毎年恒例の「オープン・ハウス・ロンドン」が今年も9月20日、21日に開催される。約700の建築物が一般公開されるこのイベントは、ロンドンの街を深く知る絶好の機会だ。至る所で開発が進み、超近代型ビルが街のアイコンとなっていく一方で、環境保護を意識した建物が続々と登場。歴史の面影を色濃く残しながらも、街は未来へ向けて日々刻々と変化している。建築物を訪ね歩きながら、時代の潮流を感じてみてはいかがだろう。(黒澤里吏)

オープン・ハウス・ロンドン公式ウェブサイト
www.openhouse.org.uk

LONDON NOW
ハイテク / モダン建築
街の景色を一変させる圧倒的な存在感で、見る者の想像力を刺激する超近代型高層ビルや、ハイテク建築家が手掛けたアットホームなケアハウスなど、注目の5件を厳選。時代の表情を映す建築物の数々から、ロンドンの今を探ってみよう。

これぞ21世紀型の癒し空間
Maggie's Centre(Hammersmith)

Maggie's Centre

ハイテク建築の巨匠、リチャード・ロジャース卿が「サ ポート・センターというより、もっと親しみやすくて寛 げる、そして心豊かになれる場所に」という発想のもと に、チャリング・クロス病院内につくり上げた、がん患 者のためのケアハウス。非営利団体による運営だけに、 センターの利用は無料で予約も不要。木材を効果的に用 い、採光に気を配った設計が、医療施設とは思えない、 心安らぐ空間を生み出している。

オープン期間 9月21日(日)10:00~17:00
(ガイド・ツアー/最終入場16:30)
住所 Charing Cross Hospital, Fulham Palace Road W6 8RF
最寄駅 Hammersmith / Baron's Court / Putney

息を呑む大胆で緻密なデザイン
Palestra(Southwark)

Palestra巨大な箱を積み重ねたような外観に目を奪われる12階建ての超近代型オフィス・ビル。トップと本体部分の結合は、梁(はり)の両端の一方のみが固定される、「片持ち梁」の構造を用いたハイテク技術の賜物だ。また、ミラー張りの外装に所どころ配された彩りはシリコン・ガラスによるもの。温度調節機能を備えており、優れたデザイン性とともに高い機能性を発揮している。


オープン期間 9月20日(土)10:00~13:00
(ガイド・ツアー / 最終入場12:30)
*公式ウェブサイトより要予約
住所 197 Blackfriars Road SE1 8AA
最寄駅 Southwark / Waterloo

行列覚悟、でも一見の価値あり
Lloyd's of London(City)

Lloyd's of Londonリチャード・ロジャース卿によるこのロイズ保険組合本社ビルを抜きにして、英国ハイテク建築は語れない。空に突き抜けるようなシャープで無機的な鉄骨+ガラスの外観は、1986年の建造当時から20余年を経た今も斬新でユニーク。地上60メートルの高さとなる11階のギャラリーから見下ろす、開放的な吹き抜けのアトリウムの眺めは圧巻だ。

オープン期間 9月20日(土)10:00~17:00(最終入場16:00)
住所 One Lime Street EC3M 7HA
最寄駅 Bank / Monument / Liverpool Street

抜群な環境の最新型オフィス
Portobello Dock(Kensington)

Portobello Dock今年新たにお目見えした、グランド・ユニオン運河を中心に広がる再開発地区。約4平方キロメートルの敷地にショッピング&食、住宅、オフィスの各エリアが点在し、一大ビレッジを形成している。今回は運河に浮かぶ5階建てのオフィス建築「カナル・ビル」の一部を一般公開。排気用の換気装置や巨大な太陽熱温水パネルなど、環境保護も意識したつくりだ。

オープン期間 9月20日(土)10:00~13:00(最終入場12:30)
住所 343 Ladbroke Grove W10 5BU
最寄駅 Ladbroke Grove / Kensal Green

上空から12年後の街の景色を思う
Taberner House & Alsop's Third City Vision
(Croydon)

Taberner House & Alsop's Third City Vision1967年建造のクロイドン行政本部ビル。ロンドン南東部を一望できる最上階には、2020年までに35億ポンド(約7000億円)を投じての開発が予定されている「アルソップのクロイドン都市化計画」の模型展示(写真)も。斬新なデザインで知られる建築家、ウィル・アルソップの未来都市ビジョンを目にするチャンスだ。

オープン期間 9月20日(土)10:00~17:00(最終入場16:50)
住所 Park Lane, Croydon CR9 1JT
最寄駅 East Croydon / West Croydon
FOR THE BETTER FUTURE
エコ建築 / 教育施設
より良い未来への鍵として真っ先に挙げられるのが、環境保護と教育対策。建築の世界でも、ここ数年でエコ・フレンドリーな建物や画期的な教育施設が増加中だ。そんな建築物に触れてみれば、未来のロンドンの姿が見えてくるはず。

こんなオフィスで働いてみたい
One Bishops Square(Tower Hamlets)

One Bishops Square

リチャード・ロジャース卿と並び、英国の2大建築家と言われるノーマン・フォスター卿が手掛ける、スピタルフィールズ再開発地区に立つ最新鋭のエコ建築。オフィス・ビル仕様としてはロンドンで最大の太陽光発電パネルや、自動節電機能付きの照明やエアコンなど、快適な職場環境を実現するためのさまざまな設備が搭載されている。

オープン期間 9月21日(日)10:00~17:00(最終入場16:30)
住所 One Bishops Square E1 6AO
最寄駅 Liverpool Street

低予算が功を奏してアイデア勝ち
Rooftop Nursery(Hackney)

Rooftop Nursery低所得層の居住区に低予算で建てられた保育園だが、国内では他に類を見ない衝撃吸収効果のあるゴム材を用いた屋上の遊び場を持つユニーク設計で、2007年のRIBA(王立英国建築家協会)アワードを始め数多くの賞を受賞。館内のフロアもスライディング・パネルの仕切りによって50パターンの使い方ができるなど、フレキシブルでアイデア満載のつくりになっている。

オープン期間 9月20日(土)13:30~16:30
住所 6 Ottaway Street E5 8PX
最寄駅 Rectory Road

地下鉄車両がアートの現場に
Village Underground (Hackney)

Village Underground閉鎖されたショーディッチの鉄道高架に廃棄処分の地下鉄車両を搬入し、アーティストのスタジオとして再利用。内装に持続可能な建築材を用いるなど、環境保護に十分配慮した設計だ。夏場にはライブやアウトドア・シネマなどのイベントが行われるほか、高架下のウェアハウスでは常時クラブ・イベントやファッション・ショーなどを開催している。

オープン期間 9月20日(土)10:00~17:00
住所 54 Holywell Lane EC2A 3PQ
最寄駅 Liverpool Street / Old Street

子どもの個性を伸ばす児童センター
Golden Lane Campus (Islington)

Golden Lane Campus生後6カ月から5歳までの幼児や児童のために開かれた複合施設。幼稚園、レセプション、養護学校を併設しており、各種アクティビティや母親のためのコースも充実している。異素材を効果的に配した有機的なデザインで、自然光の取り入れ方も見事。子どもたちの発想力を高めてくれそうな空間が実現している。

オープン期間 9月20日(土)10:00~13:00
(建築家によるガイド・ツアーあり)
住所 101 Whitecross Street EC1Y 8JA
最寄駅 Barbican / Old Street

感性を育てる彩り豊かな学校
Westminster Academy(Westminster)

Westminster Academy2006年新設の、生徒数1175人の中等学校で、校舎は翌07年に完成。緑が基調の鮮やかな配色が目を引く建物の内外には、環境汚染の原因となるストームウォーター軽減機能や、自然換気による温度調節を実現するコンクリート材の利用など、数多くのエコ機能が搭載されている。2008年RIBAアワード受賞。

オープン期間 9月20日(土)10:00~17:00
(建築家によるガイド・ツアーあり)
住所 255 Harrow Road W2 5EZ
最寄駅 Warwick Avenue / Royal Oak / Paddington

建物×新市長=エコ効果倍増!?
City Hall(Southwark)

City Hallノーマン・フォスター卿設計のロンドン市庁舎。この、卵とも筍とも見紛う不思議なフォルムが、実は自然の断熱や換気を可能にしている。加えて、コンピューターや照明器具の使用から生じる熱の再利用などで温度調節を図っているほか、節水機能や太陽光発電装置も備えるなど、隅々までエコ・フレンドリー。環境保護対策を公約に掲げている市長も満足に違いない。

オープン期間 9月20日(土)/ 21日(日)9:30~17:30
(最終入場17:00)
住所 The Queen's Walk, More London SE1 2AA
最寄駅 Tower Hill / London Bridge
FUSION OF THE TIMES
個性派スポット
英国では建物の再利用は当たり前。しかし、このハコにこの中身は偶然か必然か。ここでは当初の建築目的とは全く異なる使われ方をしているものを集めてみた。不思議な今昔のコラボレーションによって生じた、内外のギャップを味わいたい。

元は英国最古のジム施設
German Gymnasium King's Cross Visitor Centre
(Camden)

German Gymnasium King's Cross Visitor Centre1861年に創設されたドイツ体操協会の本拠地で、世界で最も古い近代オリンピックの一つとして数えられる1866年大会では、ほとんどの体操競技がここで行われた。木の合板を用いたアーチ状の梁は、キングス・クロス駅の設計の原型として知られる。現在はビジター・センターとして機能しているが、開発が進む周辺地区のなかで、やや異色の存在感を放っている。

オープン期間 9月20日(土)/ 21日(日) 10:00~17:00
住所 26 Pancras Road NW1 2TB
最寄駅 King's Cross / St.Pancras

古き良き時代の残像
Gala Bingo Club(Greenwich)

Gala Bingo Club1930年代に次々と建造された映画興行チェーン、「グラナダ・シネマ」は、伝統的な装飾をふんだんに施した壮麗なインテリアで知られる。1937年建造のこの建物もその一つで、超豪華シネマ、トゥーティングのグラナダと同様、ロシア人の舞台監督兼デザイナー、セオドア・コミサルジェフスキーが館内装飾を手掛けている。現在は娯楽産業チェーン、「ガラ・ビンゴ・クラブ」のホールとして営業中。

オープン期間 9月21日(日)11:00~12:00 *18歳以下は入場不可
住所 186 Powis Street SE18 6NL
最寄駅 Woolwich Arsenal

馬舎からカルトなポップ文化を発信
The Horse Hospital(Camden)

The Horse Hospitalラッセル・スクエア駅からすぐの裏通りに佇む1797年建造の小さな古びた馬小屋は、なんと国内外のアンダーグラウ ンド・カルチャーを発信する、会員制のアート・ヴェニューだった。レアでアヴァンギャルドな映画や音楽、アート関連のイベントを定期的に開催。ヴィンテージ服の宝庫でもあり、膨大なストリート・ファッションのコレクションを誇っている。

オープン期間 9月20日(土)/ 21日(日)12:00~18:00
住所 Colonnade WC1N 1HX
最寄駅 Russell Square / Euston

幾何学デザインが神秘性をプラス
Zoroastrian Centre for Europe(Harrow)

Zoroastrian Centre for Europe優れた建築に与えられる評価基準の一つ、「グレードⅡ」に認定されている、優美なアールデコ建築の元映画館は、現在、ゾロアスター教の欧州本部センターとなっている。ゾロアスター教とは古代ペルシアで発祥し、世界三大宗教にも影響を与えたとされる、世界最古の宗教の一つ。そう聞くと、アールデコの幾何学的なデザインがどことなく神秘的に見えてくるような……。

オープン期間 9月20日(土)10:00~13:00(ガイド・ツアー)
住所 440-442 Alexandra Avenue, Harrow HA2 9TL
最寄駅 Rayners Lane

スペシャル・イベントに参加しよう

夜間ハイキング

毎年盛況、約30キロのチャリティー・ウォーク。今年はCity Hallから出発して主要建築物を巡り、Savoy Placeのテラスで日の出を眺めながらシャンパンで乾杯!参加料はMaggie's Centreに寄付される。

日時 9月19日(金)19:30~(所要約8時間
参加費 1人£37.50(4~6人の場合はグループで£150)
  公式ウェブサイトから要登録

フォト・コンテスト

期間中に訪れた建築物をカメラに収めて、オープン・ハウス事務局に送ってみよう。有名建築写真家や「タイム・アウト」誌のエディターなどプロたちによる選考のうえ、応募作品の中から1~3位が決定。賞品も用意されている。

*応募方法の詳細は公式ウェブサイトを参照

キッズ・イベント

子どもや家族連れのためのイベントも多数。主なものは以下の通り。

City Hall
最上階に設置されたスペースで、未来のロンドンの模型をつくろう。
日時: 9月20日(土)10:00~13:00 * 対象年齢: 5~10歳
Trinity Buoy Whalf
文化とアートの発信地で、創造力を掻き立てるユニークなコン テナ建築づくりに参加。大人から子どもまで楽しめること請け合い。
日時: 9月20日(土)/ 21日(日)11:00~17:00
住所: 64 Orchard Place E14 0JW

建築バス・ガイド・ツアー

オープン・ハウス事務局は年間を通して毎週土曜の午前中に、建築家や建築評論家によるガイド・ツアーを実施している。伝統建築を巡るプランや、ハイテク建築に焦点を絞ったプランなど4種類あり、どのツアーが開催されるかは週によって異なる。建築についてもっと詳しく知りたくなった人は、是非どうぞ。

日時 毎週土曜10:00~(所要約3時間)
料金 £18.50 / 学生£13
要予約 Tel: 020 7383 2131
E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください

*ツアー内容の詳細は公式ウェブサイトを参照

 

ロンドンでHAWAIIに行こう!

ロンドンでハワイに行こう!

気軽に常夏気分を味わいたい!

hawaii貧乏学生だ、まとまった休みが取れない、寒い……。そんな寂しい想いで夏を過ごしている人は多いはず。とはいえ、年に一度しか来ない太陽の季節を満喫するためには、「でも」なんて問答無用。そこで今回は、「キング・オブ・夏の楽園」であるハワイへ読者の皆さんをご招待。ロンドンにあるバーチャル・ハワイをご堪能あれ! (本誌編集部: 國近絵美)

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ハワイ・ブーム再び?

そもそも世界各地で巻き起こったハワイ・ブームの先駆けとなったのは、1950年代半ばの米国でのこと。1959年にハワイが正式に米国の50番目の州となり、本格的にリゾート地として開発され始めたことで注目を集める。そして「キング」ことエルビス・プレスリーが「ブルー・ハワイ」(61年)を始めとするハワイを舞台にした映画に次々と出演。ハワイへの憧れから米国にハワイアン・バーやレストランが流行し始め、そのブームは英国にも波及。60年代は英国ハワイ・ブームの黄金期となった。70年代になって流行の波は去ったものの、現在、また米国と英国でもブームが甦りつつある。米国と英国の50年代半ば~70年代前半を彷彿とさせる、ノスタルジー漂うこのハワイ第2次ブーム、波が去る前に堪能しよう。

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ハワイを数倍楽しむ合言葉

ALOHA

日本で最も知られているハワイ語といえば、「アロハ」。「こんにちは」はもちろん、「ありがとう」、「さようなら」など、様々な日常の挨拶に使える万能の言葉だ。とはいえ、アロハの極意はさらにその奥にある。「Aloha」の「Alo」は共有する、現在の瞬間を心に留める、という意味で、「oha」は幸せや喜び、そして「ha」はエネルギーや魂を表す。これらの意味を繋げると「今、この瞬間の喜びを共に分かち合う」という意味になるのだ。また、アロハは5つの言葉の頭文字から成り立っていて、こんなにもたくさんの意味が込められている。

Aloha

(ハワイ州観光局サイト参照)

TIKI

tiki「ティキ」とは、ハワイの原住民であるポリネシアの神話に登場する、人類を創造した神たちのこと。木や石で造られたティキ像はお守りとして身に付けられているほか、置物やマグカップなどのデザインにも登場し、世界中にコレクターがいる。また、英国や米国では「ハワイアンの」という形容詞として、よく「ティキ」が使われる。例えば「ティキ・カクテル」と言えばハワイアン・カクテルのことだ。

Lomi Lomi Massage

全身をリズミカルに揺らしたりマッサージしたりすることで優しくコリをほぐし、ネガティブな感情を体から開放することでエネルギーを取り戻すというのが、このハワイ式マッサージ「ロミロミ」だ。元々は古代ハワイアンが医療として行っていたという伝統的なもので、ストレスや疲れの基となる、体に染みついた古い習慣や行動を解き放つのが目的とされる。血液とリンパの流れが改善されるため、デトックス効果もばっちりだ。

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バー・クラブ

South Lonson Pacific英国で一番楽園に近い場所
South London Pacific

40~50年代の本格的なレシピを復活させたカクテルが自慢の「サウス・ロンドン・パシフィック」。かつてのティキ・バー・ブーム後も生き残り、ロンドンでのブーム復活のきっかけともなった「元祖ティキ・バー」の人気を支えたのは、言うまでもなくこのカクテルの味だ。「トロピカル・カクテルの女王」と称されるマイタイだけでも7種類を誇り、また、夜10時まではカクテルがすべて3.95ポンドというのも嬉しい。

ドアをくぐるとまさに「アロハ!」な世界で、竹の皮で覆われた壁や花輪を着けた店員はもちろん、テーブル・サッカーの人形たちですらアロハ・シャツを着用しているというこだわりようだ。一歩間違えれば笑いが出てしまうコテコテのインテリアに居心地の良さと愛着を感じるのは、店員も常連客たちも、本当にハワイとこのバーを愛しているから。モータウンや50年代ロックを聴きながら、ロンドンが生み出した「楽園」を堪能しよう。

オープン 3:00まで
住所 340 Kennington Road, London SE11 4LD
Tel 020 7820 9189
最寄り駅 Kennington / Oval駅
Website www.southlondonpacific.com

Mahikiティキ・スピリット満載のセレブ御用達クラブ
Mahiki

「王室御用達」と言っても過言ではないほど、ウィリアム王子とハリー王子のパーティー姿が目撃されているのがここ「マヒキ」だ。ほかにも女優のシエナ・ミラーや歌手のマドンナなどのセレブが常連客として名を連ねているが、彼女たちの心をがっちり掴んでいるのが、遊び心いっぱいのティキ・カクテルだろう。ピニャコラーダは丸ごとくりPineapple抜いたパイナップルにサーブされ、ほかにもフローズン・ココナッツに入った「ココナッツ手榴弾」や、24金の飾りが付けられた宝箱に好きなシャンペンを入れて注文できる 「Armada宝箱」など、容器も中身も凝ったカクテルが勢揃い。1人用はもちろん、8人用の巨大カクテルも用意されているので、カップルでもグループでも楽しめる。

オープン 月~金17:30-3:30 土は19:30から
住所 1 Dover Street, Mayfair, London W1S 4LD
Tel 020 7493 9529
最寄り駅 Green Park駅
Website www.mahiki.com

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レストラン

Blue Hawaiiハワイでエルビスに遭遇?!
Blue Hawaii

いつもの外食では物足りないという人や、ちょっとしたお祝いにもぴったりなのが、エルビス主演の映画「ブルー・ハワイ」にちなんで命名されたこのティキ・レストラン。新鮮なシーフードや肉料理が堪能できるうえ、種類が豊富なカクテルは4ポンドからと、ロンドンではかなりリーズナブルなのも魅力だ。また、土曜日と日曜日の夜には、様々なジャンルの音楽の生演奏が行われ、さらにハワイ気分を盛り上げてくれる。

この店の自慢はなんといっても、何十種類ものハワイアン・ソースでいただく鉄板焼きスタイルのBBQだ。まずはメインとなる肉かシーフードを選び、一緒に炒める野菜、そしてソースを決める。レストランのおすすめを選んでも良いが、2度目からは、ぜひスパイスをブレンドしてオリジナルのソースを作ってみよう。そしてデザートで外せないのは、「Ko Ko Nut Fireball」。ハワイではお馴染みの揚げたアイスを食べることができる、英国では貴重なレストランだ。

オープン 月~土18:00-1:00 日12:00-1:00
住所 2 Richmond Road, Kingston Surrey, KT2 5EB
Tel 0872 148 4885
最寄り駅 Kingston駅
Website www.bluehawaii.co.uk

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カクテルバー

Sugar Cane世界各国のラム酒がずらり
Sugar Cane

至るところにティキ・テイストが溢れるシュガー・ケインでは、アロハ・シャツに身を包んだバーテンダーの笑顔までもが最高にハワイアン。クラシック・レシピにこだわったティキ・カクテルからエキゾチックなビールまで楽しめるが、世界中から集められた上質のラム酒を試さないわけにはいかない。また、「喜びを分かち合う」ハワイの心を体現すべく、ほとんどのティキ・カクテルは2~6人のシェア用を注文できるのだそう。オリジナルのティキ・マグカップも販売しているので、バーで気軽に聞いてみよう。

一方、曜日ごとにジャンルの違ったDJがプレイし、木曜日には80’s、金曜日にはソウルやファンク、スカにレゲエ、土曜日はミックス・ジャンル、日曜日はチルアウト系の音楽が楽しめる。水曜日にはビール2杯で5ポンドになるなど、嬉しいスペシャル・オファーが目白押しだ。

★ 読者プレゼント
本誌の掲載ページを見せると、大人気のカクテル、カイピリーニャとモヒートが2杯で1杯分の値段に(日~木曜日)。さらに、グループ予約を電話かネットで行う時に「ダイジェストを読みました」と言うと、特別なティキ・スタイルでもてなしてくれるという。

オープン 火~木19:00-23:30 金、土20:00-1:30
住所 247-249 Lavender Hill, London SW11 1JW
Tel 020 7223 8866
最寄り駅 Clapham Common駅
Website thesugarcane.co.uk

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マッサージ

Elemis day-spa心と体のコリを芯までほぐそう
Elemis day-spa

本格的なロミロミ・マッサージを セラピスト2人から同時に受けるという、なんとも贅沢な体験が出来る(1時間15分£140)。4本の手がシンクロしてマッサージすることによって、より体のエナジーの流れが改善されるのだとか。このセッションではフランジパニ(ブルメリア)というポリネシア諸島原産の花の香りをつけたアロマ・オイルが使用される。また、熱した石を体の主要なエネルギー・ポイントに置くというハワイ式マッサージ、「アロマ・ストーン・セラピー」(1時間15分£90)も実施中。

オープン 月~土9:00-21:00 日10:00-18:00
住所 2-3 Lancashire Court, Mayfair, London W1S 1EX
Tel 0870 410 4210
最寄り駅 Bond Street駅
Website www.elemis.com/DaySpa

The Hale Clinic癒しの極意を体と心で味わう
The Hale Clinic

100人以上もの専門家により、40種類以上ものマッサージや治療を行っているこのクリニックでは、ハワイでロミロミ・マッサージを習得した米国出身のロザリー先生のマッサージを受けることが出来る。もともと看護婦であった先生は、かねてから人を心身の痛みから解放する方法を探していたが、ロミロミと出会った時に「これしかない!」と習得を決心したという。20年近い経験を経た今では、マッサージを受けに来た人の話し方や動作を見ただけで、大半はどのような治療が必要か分かるのだとか。「すべての動きには哲学がある」と説く先生は、忙しない現代社会に生きる人ほど、心と体をリセットして、ネガティブな考えや感情を開放しなくてはいけないと断言する。1日の体験ワークショップや自宅でのマッサージも行っているので、自分へのご褒美にぜひ。

オープン 月~金8:30-21:00 土は17:00まで
住所 7 Park Crescent, London W1B 1PF
Tel 020 7631 0156
最寄り駅 Marylebone / Euston駅
Website www.haleclinic.com
ワークショップ
個人予約
Rosalie Samet
Tel: 0127 373 0508
www.hawaiianmassage.co.uk

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ダンス

Hula Boogieフラ初心者も安心のダンス・イベント
Hula Boogie

ロンドンではまだ馴染みの薄いフラ・ダンスを楽しみたいのなら、前記「サウス・ロンドン・パシフィック」で月に一度開催されるダンス・イベント「フラ・ブギー」に参加しよう。イベント開始前には30分のジャイブ初心者のレッスン、そしてその後フラ・ダンスのレッスンも行われる。次回のイベント開催は9月21日。ぜひ参加してみては?(写真©www.thecastingcouch.biz)

Tel 020 8672 5972
Website www.hulaboogie.co.uk

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「せっかくの夏、ハワイ以外も体験したい」という欲張りさんのために、ロンドンにいながら異空間に行けるレストランやお店をご紹介。

レストラン

遊び心たっぷりの大人の遊園地
Abracadabra Restaurant

Abracadabra思わず呪文を唱えたくなるような怪しいゴージャスさを持つ「アブラカダブラ・レストラン」は、マハラジャ気分で豪華な食事を楽しみたい人にぴったりだ。ブースはそれぞれ異なるテーマで飾られていて、「自分好み」にするために、テレビ画面やCDが用意されている。ほかにも、ブースが置かれた床が回転する「回転テーブル」や、個室の1つ1つにテレビ画面が設置されている女子トイレなど、仕掛けがいっぱいだ。

住所 91 Jermyn Street, London SW1Y 6JB
Website www.abracadabra-restaurant.co.uk

俳優気分で食事が出来る
Sarastro

Sarastro大のオペラ好きというオーナーが、長年の夢と情熱をそのまま実現させたのがこのレストラン。オペラ劇場とアラビアン・テイストがミックスされた店内には、舞台の小道具や骨董品が至るところに並んでいる。店名の「ザラストロ」は、店長が特にお気に入りという、モーツァルト作曲のオペラ「魔笛」のキャラクターに由来。劇場ならではのボックス席も再現されていて、まるで観劇しているような気分で食事が楽しめる。

住所 126 Drury Lane, Theatre Land, WC2B 5SU
Website www.sarastro-restaurant.com

「野生」との対面でサバンナ気分
Archipelago

Archipelago「多島海(たとうかい)」と称されたレストランの内装は、金色に輝く仏陀やヤシの木などに囲まれたエキゾチックなもの。そしてこの異国情緒溢れる店内で挑戦できるのは、普段は目にすることすら稀な、いわゆる「ゲテモノ」食材だ。ワニやクジャク、カンガルーの肉は初心者向け、そして「心臓に毛が生えてます」という人にはイナゴのチリ&ガーリック炒めやサソリのチョコレート掛けなどのメニューをぜひ味わって欲しい。

住所 110 Whitfield Street, London W1T 5ED
Website archipelago-restaurant.co.uk

暗闇の世界へようこそ
Dans Le Noir

Dans Le Noir「暗闇」という店名の通り、完全な暗闇の中で食事ができる。視覚障害者を支援するためのチャリティー団体が始めた同店は、現在では欧州3カ国で展開する人気ぶりだ。注文を決めたら、前の人の肩につかまって、真っ暗なレストランにいざ入室。後は目の不自由なウェイターがガイドしてくれるのに身を任せよう。ぜひ試して欲しいのはサプライズ・メニュー。味だけで何を食べているか当てるのが、実は意外と難しいことに気付くはず。(関連記事:UKグルメレストラン)

住所 30-31 Clerkenwell Green, London EC1R 0DU
Website www.danslenoir.com/london

ロンドン一の愛されキャラがレストランに
Rootmaster

Rootmasterかつてはロンドンの「顔」として、観光客にも地元っ子にも愛されてきた2階建てバス「ルートマスター」。残念ながら05年に運行が中止されたこの人気者が、なんとベジタリアン・レストランに大変身した。メニューは新鮮なキノコや野菜、チーズなどを使った前菜に、野菜の天ぷらなど。25~30人の団体であれば、食事代+貸し切り代100ポンドで、気軽にパーティー用として貸し切ることができる。

住所 Elys Yard, Old Truman Brewery, London E1 6QL
Website www.root-master.co.uk

クリスタルの氷輝く北極圏に突入
Absolut Icebar London

Absolut Icebar Londonどうせ冷夏を嘆くなら、思い切って氷点下の世界を体験してみては?マイナス5度に保たれた店内は、壁や椅子からグラスに至るまですべて氷で出来ている。欧州3カ国に加え、東京でも展開している人気店だ。また、年に2回がらりと内装が変わるというのも、氷という素材ならでは。現在のバーは、シャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルドのもとでジュエリー・デザインをしていた「デービッド&マーティン」が担当した。

住所 31-33 Heddon Street, London W1B 4BN
Website www.belowzerolondon.com

ショップ

身に着けるだけでハッピーになれる
Black Pearl

Black Pearlアクセサリー・デザイナー兼オーナーのフィオナさんが05年にオープンさせた、アクセサリーとヴィンテージ・ドレスを扱うお店。ハワイアンな内装の店内は、50’sの匂いが漂う品揃え。レトロで上品なコルセットや帽子、そしてロカビリー・ファンには堪らない小物やアクセサリーは、ファッション雑誌でも度々取り上げられるほどの人気ぶりだ。オンラインでも注文できるので、こまめに新作アイテムをチェックしよう。

住所 Unit 2.10 Kingly Court, Kingly Street, London W1B 5PW
Website www.blackpearlboutique.co.uk

ボーリング場

アロハ着用でキメたい
Bloomsbury Bowling

Bloomsbury Bowlingこちらも50’sがテーマとなったボーリング場。当店自慢のカクテルと軽食を楽しみながらプレーできるのが人気の秘密だ。また、「キングピン・スイート」というプライベートのイベント・スペースも隣接していて、貸し切りでパーティーを行うこともできる。40~250人収容可能というこのスペースでは、ラスベガス・スタイルのゴージャスな内装にレーンが5つ完備されている。専用のカクテル・バー2つやカラオケにDJブース、卓球やスヌーカーなどをプレーすることが出来るゲーム・ルームやケータリングも行っているという。

住所 Basement of Tavistock Hotel, Bedfordway,
London WC1H 9EU
Website www.bloomsburybowling.com
 

英国人が愛する地中海の真珠 スペイン・マジョルカ島へ

マヨルカ島
英国人が愛する地中海の真珠 スペイン・マジョルカ島へ

夏だというのに英国の空はどこか憂鬱。「太陽を求めてどこかにバカンスに出掛けたい」そう願うのは日本人だけではなく、英国人も同じこと。そんな彼らが今、大挙してスペインに向かっている。そしてそのスペインのなかでも、特に英国人を虜にしているのがマジョルカ島、「地中海の真珠」とも呼ばれる太陽と海のリゾート地だ。今回は、日本ではあまり知られていないこの島に現地取材を敢行!
三上 義一(http://homepage3.nifty.com/ymikami

マヨルカ地図

英国人が最も愛する外国

近年、英国から海外へ移住する人の数が増え続けている。英政府の公式統計によると、1997年から2006年のおよそ10年間に、英国を去り、海外へ移住した英国人の数は、なんと200万人に上るという。06年だけでも、約20万人もの英国人が海外に去っていった。では彼らはどこへ行ったのだろうか。

人気の移住先の内訳を見てみると、第1位がオーストラリア、第2位がスペインとなっている。これまで、オーストラリアには100万人以上、スペインには76万人以上の英国人が移住した。とはいえ、オーストラリアは英連邦の一部であり、同じ英語圏の国。連邦に属さない非英語圏の移住先となると、スペインに人気が集まる。つまり、英国人が最も愛する外国はスペインということになる。

その人気の理由をまとめると、天候の良さ、海と山の美しい景観、英国から2時間半程度で行かれる便利さ、渡航費の安さ、家族で渡航できる安全性などが挙げられよう。また、欧州連合(EU)域内なので手続きが簡単で、英国にあるものがすべて揃うという利点もある。英国の新聞はもちろん、テレビでプレミア・リーグ・サッカーを観ることもできるのだ。それにアルコール類が英国よりも安く、料理や酒も美味しい。

英国人の「ハワイ」

そしてその人気のスペインのなかでも、特に英国人が愛してやまないのが、バルセロナの沖合、地中海に浮かぶ真珠のような島、マジョルカ島だ。まさにこの島は英国人にとって、日本人のハワイに匹敵する存在だといっても過言ではない。年間300日程度が晴天という素晴らしい気候に恵まれ、「地中海の楽園」とも「地中海の宝石」とも呼ばれている島。日本人には馴染みが薄いかもしれないが、人気の高い、ヨーロッパ有数のリゾート地である。

この地には、セレブの別荘が目白押しだ。元ウィンブルドン・テニス・チャンピオンのボリス・ベッカー、米俳優のマイケル・ダグラス、作曲家のアンドリュー・ロイド・ウェバー、元F1ドライバーのミハエル・シューマッハ、スーパーモデルのクラウディア・シファーなどが邸宅を構えている。

また歴史をさかのぼると、1838年には作曲家のフレデリック・ショパンが結核治療の目的で、恋人の女流作家、ジョルジュ・サンドと共にマジョルカ島に滞在したことがある。2人の「恋の逃避行」は半年で終わり、ショパンの病状は回復に向かうこともなかった。当時彼らが滞在していた修道院があるバルデモサには、ショパンが使用したピアノなどが現在でも展示され、観光の名所となっている。

日本では2004年、サッカー日本代表の大久保嘉人が、この島に本拠地を置くリーガ・エスパニョーラのマジョルカにレンタル移籍したことで一時話題になった。また、今年の全仏オープンとウィンブルドンのテニス男子シングルスで優勝した、ラファエル・ナダルもこの島の出身である。

意外と知られていないのが、日本でも人気の靴ブランド「カンペール」(Camper)の本拠がこの島にあるということ。島の農夫たちが履いていた靴がその発想の原点になっているのだという。島内には愛らしい、アート作品のようなカンペールの店舗がいくつかあり、アウトレット店もある。また、スペインが生んだ大画家、ジョアン・ミロもこの島にアトリエを構え、長年創作活動を続けていた。

マジョルカ写真
上段左)ショパンとサンドが「同棲」していたバルデモサ
the Government of the Balearic Islands and IBATUR Photo: Eduardo Miralles
下段右)Inca という街にあるカンペールのアウトレットの店内
下段左)円形が珍しいベルベル城
the Government of the Balearic Islands and IBATUR Photo: Pere Coll
下段右)趣ある石畳の路地

首都、パルマ・デ・マジョルカ

マジョルカ島の首都は、空港から約20分のところに位置するパルマ・デ・マジョルカだ。パルマは港に面した街で、見どころがいくつかある。その代表的なものが大聖堂。16世紀に完成したものだが、20世紀に入り、スペインが生んだ大建築家、アントニオ・ガウディの設計によって改修されている。

大聖堂の近辺は公園となっていて、そこから街を散策することができる。大通りもあれば、古(いにしえ)の面影を残す石畳の細い路地が続く旧市街地もあり、坂を上ると広場に着く。途中には、バルやカフェやレストラン、おしゃれなブティックや店が並ぶ。店によって異なるが、英国と違い、夏は午後1~2時ごろから夕方4~5時ごろまで閉まっている店が多いので要注意だ。また午後は日差しが強く、かなり暑くなるので、散策をするなら午前中と夕方が無難だろう。

ここでスペイン的時間の流れについて一言。マジョルカ島には、近年、本土では廃れてきたシエスタという昼寝の習慣がまだ残っている。つまり、あまりにも暑いので、ランチの後は店を閉め、昼寝をするのである。店は夕方からまた開き、飲食店は夜遅くまで営業している。週末ともなれば、夜通し朝方まで騒いでいることも稀ではない。また食事も遅く、昼食は午後2~3時から、夕食は夜の10時頃から食べ始めるのが普通だ。また夏と言えば花火大会のシーズン。ここマジョルカ島でも、夏には花火が打ち上げられる。とはいえ、日本なら花火は夜7~8時ごろから始まるだろうが、ここマジョルカ島では午前0時~午前1時ごろから花火が夜空を彩る。

パルマのもう一つの見どころは、円形のベルベル城だ。牢獄として使用されていたこともあるという城だが、丘の上に建つこの場所からは、眼下にパルマの街や港、ヨットハーバーを見下ろす素晴らしい眺望が楽しめる。街全体のイメージを掴めるばかりか、遙々と海を渡り、地中海の楽園に来たのだなという感慨に打たれるはずだ。

パルマの大聖堂とアルムダイナ宮殿
パルマの大聖堂とアルムダイナ宮殿
the Government of the Balearic Islands and IBATUR
Photo: Eduardo Miralles

information
スペイン政府観光局日本語オフィシャルサイト
www.spain.info/JP/TourSpain
観光案内所
Plaza de la Reina, 2   Tel: +34 971 71 22 16
大聖堂
Plaza Almoina, s/n 07003   Tel: +34 971 72 31 30
ベルベル城
Calle Camilo José Cela, 17 07003 Tel: +34 971 73 06 57

自分好みのビーチ探し

パルマの観光は1~2日あれば十分。パルマはハワイで言えばいわばホノルル。その近辺のビーチはワイキキといったところで、この島で最も素晴らしい海岸が首都の近辺にあるわけではない。その辺りの事情はハワイと同様だろう。美しい海岸を求めるならば、是非ともパルマから離れたリゾート・ビーチに足を伸ばしたい。島の最大の魅力は紺碧の海。青い海で泳がなければ、ここまで来た甲斐がないというものだ。

エメラルド色の海
エメラルド色の海に浮かぶヨット
the Government of the Balearic Islands and IBATUR

マジョルカ島というと、どうしても「島」という言葉から、小さいというイメージを持ってしまうかもしれない。だが、実は沖縄本島の3倍もの面積を有していて、かなり広いのだ。到るところにリゾート・ビーチが点在しているので、自分の好みに合ったビーチを探してみることをお勧めする。例えば、釣り、マリン・スポーツ、ダイビング、ヨット遊びなどの趣味趣向、それに予算や滞在日数によっても理想の場所は異なるはずだ。

ここマジョルカ島で、人々は仕事も時間も忘れて、ビーチで潮風に吹かれながらゆったりとくつろぐ。多くの日本人とは違い、この地で過ごす人々は、何もしないことに罪悪感を覚えないのである。短くても10日から2週間はのんびりと休暇を過ごしている。

海
Sa Calobra の海。パルマの北東54キロほどの場所に位置する、
中世の面影を残す街の近くの海岸
the Government of the Balearic Islands and IBATUR

「大胆で開放的」なビーチ・カルチャー

マジョルカ島のビーチ・カルチャーは「大胆で解放的」だ。ご存じのように、ヨーロッパの浜辺では女性のトップレスはごく当たり前。この島でも年齢・国籍に関係なく、ビキニを着ている女性もいれば、トップレスの女性もいる。それは全く個人の自由、本人の勝手なのだ。

だがなかには、さらに「解放」されている人々がいる。下半身も裸の「ヌーディスト」たちである。この島においてヌーディスト・ビーチは公認されていて、わいせつ物陳列罪で逮捕されることはない。ちなみに現在、英国では「ヌーディスト」(nudist)とは言わず、「ナチュラリスト」(naturalist)という。すなわち、神が意図された自然のままの姿を愛する人々のことである。

長い海岸線を歩き進むと、現代の「アダムとイブ」たちに遭遇する。「ここから先はヌーディストの楽園です」という看板が出ているわけではない。自然発生的にそこに裸天国が誕生するらしい。

ヌーディスト・ビーチと聞いて、興奮される方もいるかもしれないが、そこにいるのは大半が40~50歳代の女性たち。失礼だが、なかにはピカソのキュービズム時代の絵画に登場するような、体型がかなりデフォルメされた女性もいる。またはルノアールが描いたような太めの方も……。その姿を目の当たりにすると、ニュートンの引力の法則が正しかったことを再確認させられる。この世の森羅万象は、地面に向かって垂れ下がって行く運命にあるのだ。

それにしても日本人的な感覚からすると、なぜ欧米の人々は体のすべてを太陽にさらすのかと素朴な疑問を抱いてしまう。一説によると彼らは、ヨーロッパの夏が短く、太陽があまりにも恋しくなるため、全身で太陽を満喫したいのだという。まさか直接、「あなたはなぜ裸になるのですか」と聞くわけにはいかないので、ぼんやりとヌーディストたちを眺めていると、ある男性の胸に刻まれた漢字のタトゥーに目が奪われ た。「愛」「友情」そして「温泉」!

なぜ「温泉」なのかは分からないが、その2字に疑問の答えを見出した気がした。すなわち、ヌーディスト・ビーチとは、日本的に言うなら混浴の露天風呂なのではないか。東西を問わず、人間はやはり裸になりたい欲求があるに違いない。仕事や面倒なことも忘れ、ただのんびりと疲れを癒す。裸であれば社会的地位も年収も関係ない。ただの一人の人間に戻れる。その快感を得るために、人は裸になるのではないだろうか。

マヨルカ
上段左)Colonia de Sant Jordi近くの海
上段右)マジョルカ島は魚介類が豊富
下段左)Campos の市でイベリコ・ハムを切る職人
下段右)氷山と見紛う塩田風景。マジョルカ島の塩は世界的に有名

海辺のグルメ

スペインといえば、やはり食事。美しいビーチだけでなく、美味しいスペイン料理も楽しみたいという方にお勧めなのが、パルマから自動車かバスで約45分のエス・トレンク(Es Trenc)だ。コバルト・ブルーの海、遠浅の海岸、美しい砂浜、そしてどこまでも青く澄んだ大空が、観光客を待っている。ここは、マジョルカ島でも最も美しいビーチの一つである。

パルマからは観光客用の直行バスが出ていて、浜辺ではパラソルとデッキチェアーを1日使用して1人7ユーロ。スペイン風の軽食、というかスペイン風B級グルメを出してくれるレストランもビーチ沿いにあるので、丸1日海で楽しめる。

レストランのメニューには写真が付いているので、注文するのはさほど難しくない。ポテトの入ったオムレツ、オリーブ・オイルが効いたイカの丸焼き、生ハムのサンドウィッチなどなど。味付けはさっぱりしていて、日本人の口に良く合う。海を眺めながら飲む、スペインのビールやサングリアも格別だ。

ここで是非注文したいのが、卵の黄身とおろしたにんにく、オリーブ・オイルにマヨネーズを混ぜ合わせた「アリヨリ」と呼ばれる一品。パテのように、バゲットに塗って食べるのだが、それが実に美味しい。それに2ユーロ程度と安い。

実はこの島、「マジョルカ」というのは英語読みで、スペイン語では「マヨルカ」であり、この島の名前がマヨネーズの語源だとする説がある。もちろん、その真偽のほどは定かではないが、そんなことを空想しながらアリヨリを頬張ると、さらに美味しく感じるかもしれない。

パエリアこのエス・トレンクに一番近い街が、コロニア・サン・ ホルディ(Colonia de Sant Jordi)。この小さな街にはホテルが多く、ヨット・ハー バーや海に面したプロムナードにはのんびりとした雰囲気が漂っていて、太陽と海を満喫したい人には最適だ。ハーバー近辺にはレストランやタパス・バーなどが軒を連ねているが、ここで試していただきたいのは、やはり本場のパエリアである。

パエリアは言うまでもなくスペイン風炊き込みご飯で、日本でも人気の料理。サフラン風味が多いようだが、ここマジョルカ島では魚介類をふんだんに使い、トマト・ソースをベースにしたものが好まれるようだ。この地域で抜群のパエリアを出すと人気なのが、「アントニオ」(Antonio)という魚介類専門店。ロブスター・パエリアもあり、通常の魚介類のパエリアは1人13ユーロ、注文は2人前からとなっている。海が見渡せるレストランで地中海に沈む夕日を眺めながら乾杯するのは、まさに人生の至福。なぜ英国人が、この島をこよなく愛するのか納得できるはずだ。

Antonio「Antonio」
C/Alejandro Farnesio, 5 , Colonia Sant Jordi
Tel: +34 971 65 54 05

マジョルカ島では9月でもまだまだ泳げるので、地中海の潮風に吹かれ、ヨーロッパ的バカンスを味わってみてはどうだろうか。英国人のように島に魅了され、移住したいという誘惑に取りつかれるかもしれない。

お菓子風パンとアーモンドの花
左)マジョルカ島特産のお菓子風パン、エンサイマダ。
アンズがたくさん使われていて、実に美味しい
the Government of the Balearic Islands and IBATUR
右)2月に咲くアーモンドの木の美しい花々
the Government of the Balearic Islands and IBATUR Photo: Pere Coll

民族大移動

「民族大移動」……そんな形容がぴったりと当てはまるのが、近年の英国における移民状況である。これは英国にやって来る海外からの移民のみを指しているのではない。英国を去り、海外に移住する英国人たちをも含んでいる。

先述の通り、1997年から2006年までのおよそ10年間に、英国から海外に移住した英国人の数は、約200万人。ある英国人歴史家は、この人数は英国の歴史上、記録的な数であり、世界中に植民地を有した大英帝国時代においても見られなかった現象ではないかと指摘している。現在、海外で生活している英国人の数は550万人以上、英国の総人口は約5975万人だから、およそ10人に1人の英国人が外国で暮らしていることになる。

英国人ジャーナリストのなかには、国土が狭い英国が近年、ポーランドなどの東欧諸国から大量の移民を吸収することができたのは、大勢の英国人が海外に移住していたからではないかと主張する者すらいる。何しろ1997年から2006年の間に英国に来た移民の数は、390万人にも上り、06年だけでも50万人以上もの移民が英国に押し寄せてきているのだ。

近年の英国を舞台にした人々の移動は、まさに現代の「民族大移動」、「21世紀のエキソドス*」だといっても過言ではない。

この数字は、各国に移住した英国人のおよその数。スペインが第2位で、非英語圏では1位。米国よりもスペインに赴く英国人の方が多い。面白いことに気候が良く、スペイン同様イベリア半島に位置するポルトガルは、トップ20位以内にすら入っていない。理由の一つは恐らく、ポルトガルが大西洋に面していて、海が地中海と比較して荒いからではないだろうか。いずれにしろ、非英語圏の国としてはスペイン、フランス、ドイツの順となっており、スペインが圧倒的な人気を誇っていることが分かる。

* 旧約聖書に描かれている、イスラエル人のエジプト脱出

英国人の移住先トップ10
1. オーストラリア
1,300,000人
2. スペイン
761,000人
3. 米国
678,000人
4. カナダ
603,000人
5. アイルランド
291,000人
6. ニュージーランド
215,000人
7. 南アフリカ共和国
212,000人
8. フランス
200,000人
9. ドイツ
115,000人
10. キプロス共和国
59,000人

出典:「Daily Express」紙

ライフスタイル移民

ではなぜ、英国人は大挙して祖国を後にするのだろうか。大勢の移民が英国を目指す理由は明らかであろう。過去10年間、英国は好景気に恵まれ、賃金が他国よりも比較的高く、04年にポーランドなどの東欧諸国がEUに加盟したことにより、移住しやすくなったからだ。

それに対し英国人が海外に移住する理由は、それほど明確ではないようだ。いまや英国人たちは「英国の文化やアイデンティティーはどうなってしまうのか」といった懸念を抱いている。英国人にとって祖国は、もはや魅力的な国ではなくなってしまったのだろうか。国内メディアも特集を組み、その理由を問い掛けてきたが、一つの決定的な理由があるというよりは、多種多様の動機があるようだ。

下の表を見てほしい。これらの理由を総合すると、英国人は自国に対し、何となく暮らしにくさや窮屈さを覚え、現状に不満を感じているということなのであろう。英国人は、より高い賃金を求めて海外に行く出稼ぎ移民ではなく、より快適な生活を求めて外国へ行く「ライフスタイル移民」なのだと言える。


英国人が海外に移住する主な理由
高齢者が定年退職し、引退先として海外移住を好む
ポンドが強いことを反映し、海外での購買力が増大した
英国の憂鬱な天気に嫌気が差した
相続税などの税金が高い
国内に移民が多過ぎる
イラクやアフガニスタンに軍事進攻したため、英国全土がテロの標的になっている
若者による反社会的行動の数は欧州最多
CCTV が到る所で監視の目を光らせる管理社会である
国民健康保険(NHS)などの医療保険に不満がある
グローバリゼーション化に伴う労働市場の広がりが、海外における雇用の確保を容易にした
EU拡大により、域内での移住が容易になった
国内の物価全体が高騰している

(順不同)

 

2007年車椅子テニス4大大会制覇 国枝慎吾選手インタビュー

車椅子テニス4大大会制覇を達成
国枝慎吾選手インタビュー

国枝慎吾、24歳。ここ数年間にわたって車椅子テニス男子の世界王者として君臨し、欧州や米国を中心とする国際大会で活躍する逸材である。彼は車椅子テニスに、一体何を追い求めているのか。2008年北京パラリンピックへの意気込みとともに、話を聞いた。
(本誌編集部: 長野雅俊)
(2008年に行われたインタビューです)

国枝慎吾(くにえだしんご)

国枝慎吾選手インタビュー

1984年2月21日生まれ。麗澤大学に勤務。2004年にアテネのパラリンピックで斉田悟司選手と組んだダブルスで金メダル。2007年に史上初となる全豪、全英、全米、そして日本で開催されるジャパン・オープンの4大大会を制するグランドスラムを達成し、2018年現在世界ランキング1位。2018年7月22日から開催された全英オープンでは圧倒的な強さで優勝した。北京パラリンピックでの金メダルが期待されている。

公式ウェブサイト: https://shingokunieda.com/
twitter: @shingokunieda


つけいる隙を与えない

とにかく、半端なく強かった。

直径7センチ弱の黄色いボールが、頭上に上がる。ラケットを振りかぶった瞬間、国枝選手の下半身を支える車椅子がぐらりと揺れた。倒れてしまうのではないか、と観客が不安になる間も与えず、腹の底から絞り出したかのような唸り声とともに強烈なサーブが放たれる。

ライン際で待ち構えていた相手は、ラケットを片手に握りながら車輪を前方へと転がし、推進力に乗ってそのボールを強く打ち返す。そこからラリーとなれば、ストロークごとに車椅子をくるりと半回転させて横移動。コート奥の深い位置まで下がるときには、中央を隔てるネットに背を向けながらも、首から上をよじることでボールを視界に留め、歯を食いしばり車輪を漕ぐ。

ギャラリー国枝選手が出場した試合には、1回戦から多数のギャラリーが詰め掛けていた

斉田選手とダブルスで金メダルアテネのパラリンピックでは、斉田選手(写真左)と組んだダブルスで金メダルを獲得した©共同

でも、最後に自陣の真ん中辺りまで出てきて一振りを決めるのは、ほとんどいつも、彼だった。

ラファエル・ナダルの全仏に続く2連覇で話題を集めたウィンブルドン選手権から約2週間後。伝説の義賊ロビンフッドの故郷として知られるイングランド中部ノッティンガムで開催された車椅子テニスの全英オープンにおいて、「KUNIEDA」の存在は際立っていた。2007年には史上初となるオーストラリア、英国、米国、日本で開催された4大大会を制するグランドスラムを達成したのだから、無理もないのかもしれない。彼のプレーを一目見ようと、コートの周りには初戦から人垣ができていたほどだ。

「相手選手にマークされているな、と意識し出したのは2006年くらいからなので、その感覚にはもう慣れました。それよりも、他の選手たちが『国枝はまた強くなったのはないか』といった風にコメントしているのを聞くと、その分だけでも自分は精神的に優位に立っているのかな、と思います」。試合終了後に広報室で取材に応じる彼の顔からはもう、コート上で見せた険しい表情は消えている。

握手してもらうと、手の分厚さにまず驚く。しかし、それよりも特徴的だと感じたのが、太い声帯を震わせながら、質問の一つ一つを丁寧に自分の言葉に置き換え直す話し方だ。「相手がつけいる隙さえない、と思ってしまうような試合運びを心掛けているので」と言う彼には既に、一流のアスリートに相応しい言葉と風格が十分に備わっているように見えた。

圧倒的なチェアワーク

テニスは、いわゆる健常者と障害者が共に楽しむこと ができる、数少ないスポーツの一つと言われている。例えばウィンブルドン選手権と、今回行われた車椅子の全英オープンとの間に、ルールの違いはほとんどない。唯一といっていいほどの例外が、前者では自陣コート内で2バウンドする前に打ち返さなければ相手の得点となるが、後者においては2バウンドまで許されるという点。多くの場合、健常者が2バウンド制のルールに適応することで、両者間でも試合が成立する。

ところが国枝選手は、ほとんどすべてのボールを1バウンドで打ち返す。自身は「ツーバウンドで拾うのは、全体の約3割未満」と言うが、この日の試合を見る限りでは1割に満たないのではないかと感じた。対戦相手にとってはボールを待つ時間が半減するわけで、そのプレー・スタイルは脅威となるであろう。現在は世界ランキング3位のマイケル・ジェレミアス選手(フランス)も、「オールマイティな能力を兼ね備えているのは確かだけど、とりわけ秀でているのは動きの速さ。どんなボールでもワンバウンドで対応する身体能力は、現在の車椅子テニスの世界ではずば抜けている」と称える。

全英オープンで優勝全英オープンで優勝し、トロフィーを掲げる

「チェアワーク」と呼ばれる、車椅子を自在に操る能力は青年期から発揮していたようだ。国枝選手が11歳の時から通い続けているという吉田記念テニス研修センター(TTC)理事長の娘であり、選手たちの通訳アシスタントとしても働いている吉田仁子(まさこ)さんは「学生時代から、彼は健常者に混じってプレーしていましたからね。女子の競技選手の練習相手とかも、よく務めていたんですよ」と当時を振り返る。現在でもスピード感溢れるプレーに対するこだわりは持ち続けているようで、昨年にはワンバウンドの処理への慣れをテーマとして掲げながら、健常者のテニス大会にも出場した。

国枝選手に、いつかは健常者が参加する大会でも優勝する自信はあるかと問うと、こんな答えが返ってきた。「そういった戦術、練習をしていけば、できないことはないかな。えっ?それが目標となるか、ですか。目標なのかな……。うーん、まあそこまでいくと、今はまだ夢ぐらいのレベルになりますかね」。

でも、彼であれば、遠くない未来にその夢を叶えてしまうような気がする。

なぜ車椅子テニスなのか

あえて穿った見方をすれば、「とにかく、相手に考える時間を与えない」という彼の攻撃的なプレー・スタイルは、どこかで「健常者」と「障害者」という垣根を取り払う試みの一つであるようにも見える。そう感じたのは、国枝選手が絶大の信頼を置くという丸山コーチが「ルールとしては、確かに2バウンドまで許されているという違いがある。でも逆に言えばそこだけです。車椅子テニスだからって何か指導法を変えている感覚はないし、また妥協も一切していません」と話すのを聞いた後だった。

丸山コーチは、車椅子テニスを障害者スポーツとしては捉えていない。「実はまだ車椅子テニスの指導を始めたばかりのとき、大森康克選手っていう、バルセロナとアトランタのパラリンピックの日本代表選手を指導することになりましてね。彼に『あなたは私の介護者になるのか、それともテニスのコーチなのか』と聞かれたことがあったんですよ。それ以来、僕も車椅子テニスに対する考えを改めました。目が悪ければ眼鏡をかける。歯が悪ければ差し歯をつける。車椅子に乗ってテニスする人もいる。そういう感覚ですね」。

丸山コーチ国枝選手が全幅の信頼を寄せるという、丸山コーチ

全部で19面を数えるこの日の試合会場を広く見渡せば、先の丸山コーチの言葉の意味が自ずと理解できるはずだ。どの選手も、安定性を高めるために補助輪、そしてハの字型になった主輪が付いた競技用の車椅子に自身の体を置きながら、普段使用している生活用の車椅子にラケットやバッグといった荷物を載せ、これを手押し車のように使って移動している。

テニスというスポーツにおいては、どんな選手であれ、自分の荷物は自分の手で持って運ぶことが求められる。また一度コートに立てば、コーチと会話を交わすことさえ許されない。テニスとは、それだけ自立を促されるスポーツなのだ。そして国枝選手にとっては、それこそがこのスポーツの最大の魅力と映る。

「コートに入ったら、すべてが自分一人の問題。勝つも負けるも、自分が練習した分だけ結果に反映される。いかに自分に厳しく毎日過ごせるか、ということを考えるようになるんです。そして、だからこそ車椅子テニスが好きなのだと思います」と話す彼にとって、「強くなること」と「成長すること」は同義なのであろう。

母に連れられて始めたテニス

幼い頃は、少年野球チームに入っていた。「やんちゃな子供だったと思います」と言う彼の身に大きな変化が起きたのは、9歳のとき。突然、腰の痛みが数カ月にわたって続くようになった。その時点では何が原因なのかよく分からなかったが、とにかく寝られないぐらいに激しい痛みだったという。病院でMRI(核磁気共鳴映像法)を使って検査してみると、脊髄に腫瘍が見つかった。そしてちょうど手術日に、足が全く動かなくなる。手術しても、やはり下半身は動かなかった。

それから2年後、母に連れられて、自宅から徒歩30分の場所にあるテニス・コートを訪れた。そこが、これまで数々の車椅子テニス選手を世界へと輩出しているテニス教室であるTTCだった。「ルールも全く知らない状態だったんですけどね。母がもともと、テニスが大好きなんですよ。TTCで車椅子テニスの指導が行われていることを知り合いから教えてもらって、僕を連れていくことにしたみたいです」と、まるで他人事のように話す彼の記憶にはしかし、たくさんの思い出が今も鮮明に残っている。

曰く、回転をかけたり、作戦を練ったり、最初はなんだか難しいスポーツだと感じて、すぐにはテニスを好きになれなかった。1年後に初めて試合に出場して、1回戦で敗退。悔しくて、どうしても勝ちたくなって、それから夢中で練習した。やがて日本の全国大会で優勝。高校1年のときにはもう、オランダで行われた国際大会を制し、世界のジュニア・チャンプに。2004年に開催されたアテネ・パラリンピックのダブルスでは、金メダルを受賞した。

抜群のチェアワーク世界一の速さを生み出す、抜群のチェアワーク

試合後試合後、観客の声援に笑顔で応える

華やかな戦績の裏で、この頃の彼を、人知れず悩ませていることがあった。それは両親への金銭的な負担。国際大会は、主に欧州や米国で開催される。飛行機に乗れば、車椅子を手荷物として認めず、別途料金を徴収する航空会社がある。宿泊費もばかにならない。とにかく車椅子テニスを世界レベルで戦おうとすると、お金がかかるのだ。「アテネのパラリンピックまではまだ学生だったんですが、国際大会に出ると年間200~300万円ぐらいかかるんですね。それを全部親に負担してもらっていたんです。でも父は普通のサラリーマンなんですよ。もうこれ以上の負担を親にかけることはできない、とさすがに思いましたね」。

だから、アテネを最後に、競技生活には幕を引こうと思っていた。ところがこの大会のダブルスで優勝を遂げたことで、「金メダルがあれば、テニスが仕事になるのではないか」と考えを改める。就職活動を開始することを決意し、付属高校から通い続けた麗澤(れいたく)大学に打診すると、大学への寄付金を集める部署に就職することができた。「主な仕事は、テニスをすること」と言い切る彼の言葉は、もうプロ選手としての矜持(きょうじ)を含んでいるように聞こえる。

不利な条件を乗り越える集中力

国枝選手は、毎朝6時から練習を行っている。起床は4時半。「私と彼がやっているのは本当に基本的な練習なんです。傍から見ると本当に地味でつまらない練習だと思いますよ」という丸山コーチの言葉を信じるならば、彼の強さを作り出しているものは何だろうか。国枝選手の答えは「集中力」だった。「練習の質をどれだけ高めることができるか、つまりどれだけ集中できるか。練習が2時間だったら、どれだけの内容をその2時間に注ぎ込めるか。まあ強いて言うならば、自分にはたとえ練習においても、決勝戦を戦っているのと同じくらいの集中力と緊張度を持てる才能があるかな、とは思います」。

そんな毎日の積み重ねが、そのまま彼の強さとなる。「100%の集中力を出さないままこなしても、それは自分の自信にはならないですね。例えば、1回戦で手を抜きながらもなんとか勝ったとする。でもその手を抜いた部分が、次の試合で結果となって出たりするんですよ」と言ったときだけ、声が一際大きくなったように感じた。

彼がそこまでして集中力にこだわるのには、地理的条件も関連している。先に述べたように、車椅子テニスの大会が行われるのは欧州や米国が中心なので、日本人は圧倒的に不利。国枝選手が現在参加しているのは年間11大会で、欧州に拠点を置く他の選手と比べると、これはかなり少ない。彼が日本国内に留まっている間に開催されるいくつもの大会に出場する欧州選手の中には、車椅子テニスでプロとして活動している者が多くいる。そして彼らはそれだけ「真剣度、気迫」に満ちているから、大会自体のレベルが上がっていくという好循環が生まれる。

強くなることで、彼が成し遂げたいこと。それは車椅子テニスの魅力を、もっと広く知ってもらい、日本でもその好循環を作り出すことだ。「車椅子テニスって、なかなか報道されないスポーツじゃないですか。だから自分から発信しないと、誰にも気付いてもらえない」と訴える彼が「ちょうど流行っていたし」という理由で始めたブログは、いつもファンからの温かいメッセージに溢れている。「車椅子テニスの現状を変える」という目標は、少しずつ実現に近付いているのではないか。「うーん、難しいですね。どうなんだろうな。でも自分の活躍によって、車椅子テニスがもっと注目を集めるようになれば、それほど嬉しいことはないですね」。 夢は、また膨らんでいく。

だから、彼は勝ち続ける。「北京パラリンピックの前哨戦」と位置付けていた今回の全英オープンでも、国枝選手はすべての試合でストレート勝ちを収めて優勝を決めた。体調を崩し、大会後半はほぼ絶食状態で過ごす中で見せつけた圧倒的勝利だった。「車椅子テニスをやっている先輩方に出会えたことが何よりの財産になった。車椅子生活においてのヒントや勇気をいっぱいもらった。もし車椅子テニスをやっていなかったら、街を堂々と歩くこともできなかったかもしれない。テニスに、希望をいただいたんです」という気持ちが、彼の強さが湧き出る源泉となっている。

今では希望を与える立場となった彼が、北京のコートに立ち、世界にアピールする日まで、およそ1カ月である。

 

いざ心の休息地、湖水地方へ

いざ心の休息地、湖水地方へ

柔らかな陽光を反射する、穏やかに凪いだ水面。日の光や雨、風や霧とともに刻一刻と表情を変える水と緑の姿に、自然が持つ奥深さを見る。湖水地方は、美しい。「時間」の質を考える暇もない忙しない大都市を離れ、この夏、懐深い自然に身をゆだねてみてはどうだろう。
(本誌編集部: 國近絵美)


ロンドンのユーストン駅からオクセンホルム駅まで約3時間30分

湖水地方ロードマップ&フォト・ギャラリー

未知の魅力を求めて伝統と歴史の 「現在を訪ねる」

湖水地方の列車の玄関口であるオクセンホルム駅に降りた瞬間、冷たく芳醇な空気に癒される。自然の美しさにすでに圧倒されつつも、「未開拓の魅力」を探すため、まずは日本人観光客があまり訪れることのない湖水地方北部の町コッカマスと、西部のマンカスターに向かった。

map1インタラクティブに楽しむ詩人の生家

湖水地方の大自然を愛し、その景観を何よりのインスピレーションとした桂冠詩人、ウィリアム・ワーズワース。英国が誇るこのロマン主義の詩人は、1770年、湖水地方北西部に位置する人口約7000人の小さな町、コッカマスに生まれた。そして観光の中心部であるウィンダミアよりもずっと北に位置し、落ち着いた雰囲気が楽しめるこの町の中心部に、ナショナル・トラストが所有する詩人の生家がある。

ワーズワースが幼少期を過ごしたこの家は、1770年代の生活様式をロール・プレイ式に紹介するという珍しい仕組みと共に公開されている。受付を抜けるとまず来場客を出迎えるのは、キッチンから流れてくる香辛料と油の香り。石炭を焼くべた旧式のコンロには鍋が置かれ、パチパチと油が爆(は)ぜている。「あれはハーブ入りポテトの揚げ物で、テーブルの上にあるのはマジパンのケーキ。でも子どもたちが触ったから、食べないでくださいね」。18世紀当時のメイド服に身を包んだガイドが笑顔で教えてくれる。

台所や家具、寝室や書斎には今でも人が住んでいるかのように日用品が展示されているが、注意書きされている場合以外は触っても良い、というのがこの家のうり。小麦を磨りつぶす石臼の重みを手で確かめられるし、子ども部屋のクローゼットを開ければ、ちゃんと当時の服が吊るされている。しかも、子どもは実際に服を試着することもできるというから驚きだ。

だがこの建物で一番の見所は、なんといっても裏庭にある、丁寧に手入れされたガーデンだ。ハーブの茂みでぐるりと野菜畑を囲んでいるのは、昔から害虫対策として伝わってきた知恵が生きている証拠。「オーガニック」という生き方がそのまま継承されたこの屋敷には、自然を愛したワーズワースの思いとそれを後世に残そうとする人々の情熱が満ちている。

map2地ビールに見る175年の伝統の味

ワーズワース・ハウスから歩いて5分ほどの距離にあるのが、カンブリア地方最大の醸造所、「ジェニングス・ブルワリー」。1828年にコッカマスにほど近い村ロートンで創業し、1874年に同地に場を移して以来、湖の清水と伝統的な製法を使用したエールを製造してきた由緒ある醸造所だ。表には、地ビールの要である新鮮な水が汲み上げられる井戸が設置されている。

観光シーズンの間は1日2回のガイド付きツアーがほぼ毎日敢行されているので、香ばしいホップの匂いを嗅ぎながら、工程を見学してみよう。もちろんツアーの最後には、醸造所見学の一番の楽しみである試飲が待っている。また、ジェニングスでは現在、毎月新作エールを1カ月限定で発表中。地ビールを扱う酒屋であればロンドンでも同社の商品を手に入れることができるが、期間限定のものは今のところ湖水地方でしか手に入らないというから、試さない手はないだろう。

map3景勝と人の温もりが味わえる古城

コッカマスから車で海岸線沿いに1時間ほど下った南西部の町、ラベングラス近郊に位置するマンカスター城。去年は世界各地から9000人もの来客を集めたというこの城は、過去800年以上にわたり、所有者であるペニントン一家が代々住んでいる。1800エーカーにも及ぶ広大な敷地を有するこの城の手前には野趣に富んだ渓谷が広がり、この光景を見るだけでもこの地を訪れる価値がある。

現在でも一家3世代が住む城は一部が開放されていて、古城ならではの重厚な造りをじっくりと見学することができる。おとぎ話に登場しそうな「これぞ貴族」といったインテリアに、歴史的価値の高い絵画や調度品がずらりと並ぶが、見学の途中で見知らぬ老夫に声をかけられても驚いてはいけない。彼こそが、城の名物おじいちゃんにして現城主のパトリック・ゴードン=ダフ=ペニントンさんなのだ。レシーバーでガイドに聞き入る観光客をおもむろに止めては挨拶するパトリックさん。「今日は来てくれてありがとう。楽しかったですか?」最初は訝しげな目を向けた来場者たちも、城主の笑顔に緊張を解き、一期一会の会話を楽しみ始める。

また、ここマンカスター城は、英国で初めて「幽霊教室」なるものを開講したほど、英国では名の知れた「ホーンテッド・キャッスル」なのだそう。少女の幽霊が住むという、いわくつきの寝室「タペストリー・ルーム」では、1日1組(6名まで)限定で宿泊できるので、英国流の肝試しを体験したい方はぜひ参加してはどうだろう。

旅人を惹きつける湖水の魅力

Dry Stone Wall
Dry Stone Wall「ドライ・ストーン・ウォール」とは、自然の形のままの石を計算しながら積み上げていき、壁の外側の重量バランスを中心部に傾けることで、モルタルを一切使用せずに強度を保つという手法で造られた壁のこと。さらに、年月とともに隙間に苔が発生し強度が増すという、まさに人間の知恵と自然の合理が一体となった伝統技術だ。湖水地方では家や塀の建設にも多用されていて、ウォーキング・パスに沿ってどこまでも続く石塀には、旅情をかきたてるなんとも温かな趣がある。

Ginger Bread
GInger Bread一般にジンジャー・ブレッドといえば、人形のかたちをしたサクサクのクッキーを想像しがちだが、湖水地方のそれは味も 姿も似つかぬもの。体がすぐに温まる強いしょうがの味と、ねっとりとした食感が特徴だ。

Herdwick Sheep
Herdwick丘で良く見かけるこのハードウィックという種類の羊は、赤ちゃんの時は真っ黒の毛で生まれ、次に茶色、そして灰色へと、成長とともにお色直しするとても珍しい品種だ。かつては絶滅寸前だったが、絵本「ピーター・ラビットのおはなし」の作者、ビアトリクス・ポターが保護に努めたことでも知られる。雨や厳しい寒さに強く、他種の羊が生息できないような高地でも放牧できるという、湖水地方の環境で飼育するには最適なハードウィック。また、一般の羊肉よりも割高だが、濃厚な味わいは一度食べたら病みつきになるはずだ。

Kendal Mint Cake
Kendal Mint Cakeケンダルという町が発祥地の、ミント風味の砂糖水を棒状に固めたお菓子。ケーキとは名だけで、口に入れるとゆっくり溶ける「砂糖の塊」といった方が近い。ミントがリフレッシュ効果抜群、かつエネルギー補給として最適なので、ウォーキングなどのお供として重宝される。

表情豊かな緑の地、コニストン

ウィンダミア湖の西に位置し、いわゆる「メイン・ストリート」が2本しかないという小さな町、コニストン。とはいっても見所は多く、ここを拠点にホークス・ヘッドやヒル・トップへ足を運ぶこともできる。そしてこの町の魅力は、観光地にありがちないやらしさとは全く無縁な、懐(ゆか)しい、手付かずの素朴な自然が堪能できること。荒涼とした山々を背景に、かつてのスレート採掘場や銅鉱山の跡地を訪ね、同地を愛した偉人たち縁(ゆかり)の地を巡ってみよう。

map5大自然に抱かれたラスキン邸

コニストンを語る上で最も重要な人物は、アーツ・アンド・クラフツ運動の父であり、芸術評論家にして詩人、そして社会思想家として世に多大な影響を与えたジョン・ラスキンだろう。創作活動を行いながら、鉄道が湖水地方に延伸することに反対し自然を守ったラスキンは、ビアトリクス・ポター同様、ナショナル・トラストの設立に大きく貢献した人物でもある。

そんな彼が、1900年に死を迎えるまでの28年間を過ごした邸宅「ブラントウッド邸」が、博物館として一般公開されている。深い森に身を隠すように建つその邸宅の眼下にはコニストン湖が広がり、屋敷からの景観が素晴らしいと聞いたラスキンが、実際に建物を見ることなく購入を決意したというのも頷ける。館内にはラスキンが手掛けた絵画や仕事場として利用していた書斎などが展示され、「自然をあるがままに見ることの大切さ」を説いた故人と同じように屋敷からの景色を見ようと、世界各地からファンが訪れている。

一方、町の中心部にあるラスキン・ミュージアムでは、ラスキンのアート界や社会への影響力、そして急進的な思想を考察することができる。また、故人の墓は観光局付近の墓地にある。アーツ・アンド・クラフツ運動が支えた「職人技」による、凝ったデザインが彫られた墓石が目印だ。

ウォーキングで堪能する自然という至極の芸術

湖水地方の天気は変わりやすい。なのでウォーキングを最大限に楽しむには、防水の上着やトレッキング・シューズが必要となる。とはいえ、雨が降りだしても晴天の時とはまた違う自然の表情を見ることができるし、またすぐに止むことが多いので落胆してはいけない。そしてしっとりとした雨上がりの空気は、懐かしい甘い土の匂い。静謐な美しさに心が洗われる瞬間だ。

さて、無数に存在するコースのなかから「コニストンならではのウォーキングを」と勧められたのが、「大聖堂の洞窟」という、300年以上も前からスレート採石のために掘られた洞窟を通るルートだ。滝を越え、小川や石壁を渡って行くと洞窟の入り口にたどり着く。そして暗く水浸しのトンネルを進んだ先にある洞窟の光景は、まさに別天地としか形容できない美しさだ。高い天井からは8メートルほどものスレートの柱が伸び、地上に空いた穴から差し込む光が洞窟内を照らす。その光は巨大な水溜りに反射し、荒々しい岩盤の天井に光の波を投げかける……。夢現(うつつ)のまま洞窟から出たら、石塀に沿ってさらに歩を進め、湖水地方の絵はがきでよく見かける「スレーターズ・ブリッジ」まで行ってみよう。絵本から飛び出てきたかのようにかわいらしい太鼓橋に、また感動のため息が漏れるはずだ。

map6英国一美しい農場 ユー・トゥリー・ファーム

06年に公開されたビアトリクス・ポターの伝記映画「ミス・ポター」で、ポターが住んだ家「ヒル・トップ」として撮影されたのがこの農場だ。かつてはポターが所有し、後にナショナル・トラストへと寄贈したもので、インテリアの家具はポター自身が揃えたものが多い。また、02年よりナショナル・トラストから委託経営しているワトソン夫婦は、農業の傍ら、ティー・ルームとB&Bも手掛ける。手作りジャムや羊毛、ハードウィックの羊肉やベルティック・ギャロウェイという牛の肉といった食材も販売しているので、地元の品や味をお土産にすることできる。

羽を伸ばすならコテージが一番!

せっかくの休息の旅、宿泊先でも思い切りリラックスしたい──そんな希望を適えるために今回お世話になったのは、良質で趣のある貸しコテージを70軒以上も所有する「コッパーマインズ&レイクス・コテージズ」。ありとあらゆるサイズやロケーションからお気に入りの1軒を選ぶことができるうえ、週単位の滞在しか受け付けない通常のコテージとは違い、週末や短期間の滞在でも利用できるのが嬉しい。

チェックインを済ませスレート葺きの瀟洒なコテージのドアを開けると、まさに「第二の我が家」に帰って来たような、なんともアットホームなリビングが迎えてくれる。ピカピカのオーブンに冷蔵庫、洗濯機にDVDプレイヤーまで完備。好きな時間に起き、ソファに身を沈めてパンをかじりながら窓越しに風景を愛でるもよし、早朝に庭に出て、身が締まるような冷たい霧に烟(けむ)る緑を、熱々のコーヒーをすすりながら楽しむもよし。そんな何気ない日常の行為を、都会では手に入れることのできない贅沢な環境で気ままに堪能できるのも、コテージならではだ。

コテージまた、外食に疲れた、あるいは節約したいという時に自炊できるのも、コテージ利用の大きな魅力だ。というわけで、最終日の夕食は、ユー・トゥリー・ファームで購入したハードウィック・ラムのローストに、地元で採れたポテトとブロッコリーの付け合わせに挑戦。自宅と変わらない環境で料理できることに感動しつつ、ラム肉の芳香に、隣のコテージの宿泊客が「今晩の夕飯はなに?」と聞きに来るという、ほのぼのとした土産話までできてしまった。「冬は地元食材をたっぷり入れた鍋を囲んで、夏は庭でバーベキュー……。」あまりの居心地の良さに、誰しもが次の旅計画に思いを馳せてしまうに違いない。

The Coppermines & Lakes Cottages
The Estate Office, The Bridge, Coniston LA21 8HJ
Tel: 0153 944 1765(24時間)

www.coppermines.co.uk

ローカルinfo

① Wordsworth House
Main Street, Cockermouth, CA13 9RX
Tel: 0190 082 0884
www.wordsworthhouse.org.uk
② Jennings Brewery Castle
Brewery, Cockermouth, CA13 9NE
Tel: 0845 129 7185
www.jenningsbrewery.co.uk
③ Muncaster Castle
Ravenglass, CA18 1RQ
Tel: 0122 971 7614
www.muncaster.co.uk
④ The Pennington Hotel
Main Street, Ravenglass CA18 1SD
Tel: 0122 971 7222
thepennington.co.uk
写真)マンカスター城の近くにあるペニントン・ホテルでは、本格的なメニューが揃う。いちおしのアフタヌーン・ティー(2人分)は、ボリュームも満点
Brantwood⑤ Brantwood
Coniston, LA21 8AD
Tel: 0153 944 1396
www.brantwood.org.uk
Brantwood⑥Yew Tree Farm
Coniston, Cumbria England LA21 8DP
Tel: 0153 944 1433
www.yewtree-farm.com
BrantwoodRuskin Museum
Coniston, LA21 8DU
Tel: 0153 944 1164
www.ruskinmuseum.com
料金: £2~4.25
Tourist Information Centre
Ruskin Avenue, Coniston LA21 8EH
Tel: 0153 944 1533
www.conistontic.org
Steam Yacht Gondola
Coniston Pier
Tel: 0153 944 1288
www.nationaltrust.org.uk/gondola
写真)コニストン湖では、ナショナル・トラストが運営する18世紀・ビクトリア時代の蒸気船に乗ることもできる

湖水地方ロードマップ&フォト・ギャラリー

 

「英国の女たち」シリーズ 第4回 実業界の女たち

「ガラスの天井」を突き破る実業界の女たち

今や「女ボス」は当たり前の時代。特にここ英国では、世界的なビジネスの頂点に立って指揮を執る女性も珍しくない。そこで今回は、女性らしいしなやかな感性と、転んでもタダでは起きない強靭な精神で成功を手にし、今日の実業界を賑わしている英国のビジネスウーマンたちにスポットを当ててみた。(黒澤里吏)

企業家編

ここでは独自の着眼点で英国に新しいアイデアと流行をもたらした、4人の女性起業家たちをピックアップ。会社創業に踏み切った背景やきっかけ、また成功の秘訣を探ってみよう。


talkbackTHAMES、CEO
思いきりのよさは天下一品
業界に新風を吹き込む女ボス

ロレイン・ヘガシー Lorraine Heggessey

出身地不明 51歳

ロレイン・ヘガシー

「X Factor」「Apprentice」などといった大ヒット番組を次々と生み出し、昨今のテレビ業界をリードしている英国最大の番組制作会社「talkbackTHAMES」。現在、そのCEOとして総指揮を執っているのが、業界のパイオニア的存在とも言われるロレイン・ヘガシーである。2005年に現職に就くまではBBC1に20年間にわたって勤務し、そのうち5年間は辣腕ディレクターとして活躍。いまだ圧倒的な男社会であるテレビ業界、それも天下のBBC1でディレクターに就任した女性は彼女が初とあって、就任当時は大きな話題を呼んだ。そして「教育と娯楽を別物として考えるような人たちは、結局どっちも理解していない」との考えから、出来は良くても商品として成り立っていない、お堅い教育番組を大衆化して視聴率を上昇させるなど、時には物議を醸しながらも、業界内でさまざまな改革をもたらした。

BBCからの転職後はまず、携帯の着メロを、BBCで放映する「EastEnders」から「The Bill」(「talkbackTHAMES」社制作のドラマ)の主題歌に変えたというロレイン。現在、あらゆる種類の番組を制作販売し、経営面も含めて優れた統率力を発揮している。「とにかく仕事を楽しむこと!それと、男と対等にやろうと思わないことね。それよりも、女ならではの能力をもっと活用するべきよ」という言葉に、彼女の成功の鍵が隠れているようだ。


バーミンガムFC、MD
自分の道は自分で切り開く
15年を経た今が正念場

カレン・ブラディ Karren Brady

ロンドン出身 39歳

カレン・ブラディ

23歳という若さで、英国のサッカー・クラブ史上初の女性マネージング・ディレクターの座に就いたカレン。昔から話術に長け、エネルギーに満ち溢れていたという彼女は、放送局の広告営業をしていた頃、スポーツ新聞社オーナーのデビッド・サリバンに気に入られ、そのまま彼の下で働くことになる。そしてバーミンガムFCが管財人管理下にあることを知った際にはサリバンを説得して同FCを買収し、現職に就任。以後、15年にわたってクラブの運営に携わってきた。観客動員数や収益率の増加、さらにはスタジアムの活性化と、あらゆる面において経営改善を図った彼女の貢献度は計り知れない。私生活では同FCのカナダ人選手と結婚して2児をもうけているが、第1子出産後、たった3日で仕事に戻ったという逸話も残されている。また2006年には大脳動脈瘤を患い手術を受けるも、術後1カ月で現場に完全復帰。まさに不死身の仕事人と言えるだろう。

しかしFC運営とはある意味、ギャンブルのようなもの。金銭事情や戦績不振などによるストレスからか、近年ではサリバンがクラブ売却の意向を漏らすようになった。さらに今年4月には経営上の不正を疑われ、カレンとサリバンの2人が警察に事情聴取されるという事態に。固い決意と粘り強さが信条のカレン、この窮地をどう乗り越えるのだろうか。


BP 代替エネルギー部門、CEO
仕事と家庭の両立を実現
冷静沈着な理系の才女

ヴィヴィアン・コックス Vivienne Cox

エクセター出身 48歳

ヴィヴィアン・コックス

英国に本拠地を置く国際石油資本、BPの重役として多忙を極めるヴィヴィアン・コックス。オックスフォード大で化学を学んだ後に同社に入社し、以来26年間BP一筋で働いてきた。1987年に同社が完全民営化を果たした際、折しも財政管理部に異動となった彼女は、政府との関わりの中で石油産業の政治的側面を学ぶ。その後、フランスの名門INSEADに留学してMBAを取得。帰国後は石油貿易に関わる金融取引商品の開発部門の設立をはじめ、中央・東ヨーロッパにおける新事業開発に伴いウィーン駐在を経験した。2004年にはガス、パワー、リニューワブルズ部門のCEOに就任。現在は新たに開設された代替エネルギー部門で、水素や風力などを用いた低炭素排出の発電事業という、10年で約40億ポンド(約8000億円)の投資が行われる一大プロジェクトを牽引している。

そんなバリバリのビジネスウーマンは、イングランド南東部バッキンガムシャーにある16世紀のファームハウスに夫と2人の娘と暮らし、仕事と家庭をうまく両立させていることでも有名だ。最低週3日は早めに帰宅して娘たちを寝かしつけ、週末は自家農園で野菜を育てたり、ケーキやジャムを作ったりして、家族との時間を楽しむ。まさに理想の充実ライフ、働く母のみならず全女性の鑑である。


ロンドン証券取引所、CEO
世界経済を動かす
マルチリンガルな3児の母

クララ・ファース Clara Furse

カナダ出身 51歳

クララ・ファース

200年以上にわたるロンドン証券取引所(LES)の歴史を変えた人物、それがクララ・ファースである。オランダ人の両親を持ち、カナダで生まれ育った彼女は、コロンビア、デンマーク、英国で国際的な教育を受け、名門大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学位を取得。華やかな学歴を引っさげて大手証券会社に就職し、そこでコモディティ市場に携わったことから先物取引の世界に関わるようになる。2年後には世界有数の投資銀行UBSの重役に就任。さらに90年代に入ってLESのディレクター、ロンドン金融先物取引所(LIFFE)の会長代理を務め、2001年、43歳でLES史上初の女性CEOに就任した。前任者がドイツ証券取引所との合併に失敗したことを受け、旧体制に縛られ、内部抗争に明け暮れていたLESの組織変革を図ろうという風潮に乗っての大抜擢だった。

以来、ナスダック、ユーロネクストといった各国の取引所との数多くのタフな交渉にあたり、卓越したビジネス能力を顕示しているクララ。3人の子を持つ母でもあるが、時にクリスマス休暇さえ返上して働く多忙ぶりである。まさに男勝りのリーダーだが、女性としてトップに立つことをどう考えているのだろうか。「性別は仕事には関係ないわね。あえて言うとしたら、他人から覚えてもらいやすいってことかしら。良くも悪くもね」。


起業家編

ここでは独自の着眼点で英国に新しいアイデアと流行をもたらした、4人の女性起業家たちをピックアップ。会社創業に踏み切った背景やきっかけ、また成功の秘訣を探ってみよう。


Colourblind Cards創業
3足以上の草鞋を履く若きシングル・マザー

ジェシカ・フイエ Jessica Huie

ロンドン出身 28歳

ジェシカ・フイエ

アフロ・カリビアンに出生のルーツを持つジェシカは、ある日、娘に送るカードを求めてハイストリートの店を回るが、しっくりくるものが全然見つからないことに気付く。それもそのはず、カードに使われているモデルは白人ばかり。その事実に釈然としないものを感じると同時に、この「欠落」はビジネス・チャンスだと直感、7歳の娘をモデルにしてカード制作を開始し、弟とともにエスニック・グリーティング・カード会社設立に乗り出す。

18歳でシングル・マザーとして出産。娘の将来のためにも、との思いからジャーナリズムのBA取得を決意したジェシカは、大学に通いながらBBCラジオや大手PR会社マックス・クリフォード社でインターンを務め、週7日労働の日々を3年続ける。努力の甲斐あってBA取得後は同PR会社に就職、同時にエスニック系読者を対象とした「Pride」誌やタブロイド紙「サンデー・ミラー」に寄稿するなど多方面で活躍。そして2006年、これら全仕事を続けながら前述の「Colourblind Cards」で念願の起業。以来順調に事業を拡大し、今年5月には米国進出も果たした。面白いことに今や「Colourblind Cards」の顧客の6割は白人だという。単純にデザインやメッセージに惹かれる人が多く、人種や肌の色を超えて広く愛されつつあるのだ。ジェシカいわく「色分けされるべきものは洗濯物だけだと思うわ」。


Coffee Republic / Skinny Candy創業
兄と二人三脚で夢を実現
好きこそものの上手なれ

サハー・ハシェミ Sahar Hashemi

イラン出身 40歳

サハー・ハシェミ

弁護士としてロンドンの法律事務所に5年間勤務していたサハー。仕事は順調だったが、より自分らしく生きるための何かを模索していた。そんな矢先、証券マンの兄を米国ニューヨークに訪ねた彼女は、現地で上質なコーヒーの虜になる。英国にもこんなUSスタイルのコーヒー・バーがあったら……。兄妹の間に閃いたアイデアは、たちまち実現化に向けて動き出した。商売の経験など全くない2人だったが、まずは徹底したリサーチを実施。結果、英国人の多くが実は紅茶よりもコーヒーを飲んでいるという事実を知り、ビジネスの余地を確信する。その後、銀行の融資を断られること19回と資金繰りに苦労しながらも、1995年、ついに「Coffee Republic」第1号店をオープン。以後、着々と店舗数を増やし、6年後には国内に110店舗を展開、年商3000万ポンド(約60億円)を達成するに至った。

2001年、経営から退いた彼女は執筆活動を開始。自らの起業体験とノウハウを綴ったビジネス書「Anyone Can Do It」はベストセラーに。さらにその後も糖分ゼロの菓子ブランド「Skinny Candy」を創業するなど、精力的に活動中。「誰でも起業家になるための素質は持っています。自分が心から熱中できて楽しめるものを見つけ出すこと。成功とはお金でも権力でもなく、自分が好きなことをできているかどうかだと思うのです」。


Lastminute.com創業
大事故から奇跡の生還を果たした
元祖ネット・ビジネスの女王

マーサ・レーン・フォックス Martha Lane Fox

ロンドン出身 35歳

マーサ・レーン・フォックス

マーサの名を一躍有名にしたのは、共同創始者ブレント・ホバーマンと1998年に立ち上げた格安旅行情報サイト「Lastminute.com」だろう。ひと味違った巧みなマーケティング戦略で一人勝ちしていた同社はITバブルの波に乗り、UKネット業界のアイコンとして君臨。なかでも若々しく熱意に溢れたマーサに対するメディアの注目度は高く、サイバー・ビジネスの申し子とでもいうべき存在となった。

2001年、バブル崩壊により株価が暴落、一時は同社も大混乱に陥るが、こういうときこそモノを言うのが女の底力。見事な手腕を発揮して不安定な過渡期を乗り越え、会社の信用度および自身の株もアップさせたのである。しかし2003年に同社を退社後、旅先のモロッコで車を運転中、大事故に遭い瀕死の重傷を負う悲劇に見舞われる。幸い一命を取り留めた彼女は、丸一年にわたる療養期間中も、もともと力を注いでいた刑務所の改善を目指す慈善団体の理事活動や、「Marks & Spencer」、Channel4などのディレクター業務、高級カラオケ店経営など多くの仕事に携わり、健在ぶりを示した。後日、事故を振り返って「私自身は何も変わっていないわ。ただもっと人生を楽しんで、自分にできることをしていかなくちゃという思いを強くしただけ」と語ったマーサ。今後も目が離せない存在だ。


Jimmy Choo創業
前夫に三行半をつきつけた
私生活も忙しいセレブ起業家

タマラ・メロン Tamara Mellon

ロンドン出身 41歳

タマラ・メロン

才色兼備でお金持ち、向かうところ敵なしといった感じのタマラ。父は実業家、母は元シャネルのモデルというだけあって、若い頃からファッションとビジネスの両分野に才覚があったという。大手PR会社を経て、高級ライフスタイル雑誌として名高い「UKヴォーグ」誌の編集者として働いていた90年代初頭、ファッション小物にヒットの可能性を見出していた彼女は、中国系マレーシア人の靴職人、ジミー・チュウに話を持ちかけ、起業のチャンスをつかむ。そして1996年、高級靴ブランド「Jimmy Choo」を創設。以来、同ブランドは世界中のセレブに愛されようになり、ファッション関連では数々の賞を受賞してきた。タマラ個人も「サンデー・タイムズ」紙の英国長者番付に毎年ランクインするようになり、現在ではセレブの称号をほしいままにしている。

お金、地位、ビジネスでの成功、結婚……と、すべてが順風満帆に進んでいるかのように思えた彼女だが、前夫との離婚をめぐり裁判沙汰になったお陰でメディアからは嫌といえるほどの注目を浴びたり、実の母親と相続問題で揉めたりと、私生活はなかなかどうして波乱気味。最近は米俳優のクリスチャン・スレーターと交際中で、写真誌にキャッチされるなど、またしても華やかな話題が多くなっているようだが……。

今はテレビ番組の中にもビジネス・チャンスは転がっている時代。その代表格ともいえるのがBBCで不定期に放送している 「Apprentice」と「Dragon's Den」だ。ここでは、この2つの大人気番組に登場し話題を呼んだ女性たちの今を見てみよう。


Apprentice アプレンティス
Apprentice数千人の中から選ばれた16人の候補者男女が、実業界の大物アラン・シュガー卿が与える課題に挑むBBC1の看板リアリティー・ショー。優勝者には年収10万ポンド(約2000万円)の役職が約束されている。

Dragon's Den ドラゴンズ・デン
Dragon's Den日本発「マネーの虎」の英国版。一般人が持ち込んだ新規事業アイデアを、大物起業家の「ドラゴン」たちが査定し、交渉が成立すれば資金援助や投資が受けられる。2005年からBBC2でシリーズ放映中。

Apprentice
懐の深さが垣間見える お茶の間の人気者

ルース・バッジャー Ruth Badger

ウォルヴァハンプトン出身 30歳

ルース・バッジャー

セカンド・シリーズで最終候補に残ったものの、惜しくも敗退したルースは、豊富な営業経験を生かしてビジネス・コンサルタント事務所を設立。またその際立ったキャラを買われ、ケーブル・テレビ局「Sky One」でのビジネス・リアリティー番組「Badger or Bust」がスタート、さらに多くのファンを獲得している。彼女の魅力は、何と言っても表情豊かで自信に溢れたスピーチ。男顔負けの豪傑さの中に覗くお茶目さも人気の秘密だ。


Apprentice
七転八起の精神を持って
不屈のチャレンジを続ける

ジョー・キャメロン Jo Cameron

コヴェントリー出身 37歳

ジョー・キャメロン

自動車会社「MG Rover」(2005年倒産)の営業などをはじめ多くの職務経験を持つジョーは06年、番組終了後に娘を出産するが、早産だったために、不運なことにその子供は生後数時間で息を引きとってしまう。この悲しい経験を通じて決意を新たにした彼女は、自らを「立ち直りの達人」と称し、ポジティブ・シンキングを唱えるメディア・コメンテーター、ライフ・コーチャーに転身。テレビ出演などをこなしながら、各地で講演やセミナーを開催している。


Dragon's Den
仏頂面もご愛嬌、生まれついての実業家

デボラ・ミーデン Deborah Meaden

出身地不詳 49歳

デボラ・ミーデン

歯に衣着せぬ物言いで知られるドラゴンの紅一点。レジャー・パークを経営する両親のもとに生まれ、物心ついたときから起業を志していたという生粋のビジネスウーマン。 19歳の時に陶磁器輸入販売会社を設立したことに始まり、小売・レジャー産業に携わって財を築き、今や推定資産額4000万ポンド(約80億)の富豪に。夫と暮らすイングランド南西部サマセットのジョージアン・ハウスには、犬や猫に加えて馬、鶏、カルガモ、そして食用に4匹のブタがいるんだとか。


Dragon's Den
初の著書出版を通して
起死回生を図れるか

レイチェル・エルノー Rachel Elnaugh

エセックス出身 43歳

レイチェル・エルノー

レコード制作やエアクラフト飛行といった、心に残る「経験系」ギフトを提供する会社「Red Letter Days」を24歳で創設。第1期ドラゴンの一人だったが、番組出演中の2005年に同社が破綻し、出演辞退を余儀なくされた。後日、同社はその他2人のドラゴンに買収されている。現在はコンサルタントとして中小企業の相談役を務めており、紆余曲折の起業体験を綴った初の著書「Business Nightmares」を今年5月に発刊したばかり。5人の息子の母。


Dragon's Den
夢実現に向けてまっしぐらの若き起業家

レベッカ・フィリップソン Rebecca Philipson

ダラム出身 24歳

レベッカ・フィリップソン

「あなたをタブロイド紙のニュースにします」という一風変わったギフト商品、パーソナライズ新聞を提供する「UR-In The Paper」社を21歳で創設。2005年に事業拡大を目指して番組出演するも出資は得られず。しかしその後もウェブを通して集客率を高め、「Tesco」や「WH Smith」と提携するなどして着々と前進、売上高も年々アップ。今、話題の若き起業家ということで首相との対面も果たしたレベッカ、今後の活動が注目される。


Dragon's Den
人生最大のピンチを
働くママはどう切り抜けるか

ジュリー・ホワイト Julie White

出身地不詳 39歳

ジュリー・ホワイト

2005年、長男出産後3カ月でママ& ベビー用品を扱う委託型ビジネス「Truly Madly Baby」の企画を番組に持ち込み、ドラゴンの一人、ピーター・ジョーンズと交渉成立、7万5000ポンド(約1500万円)の出資を得る。その後、オンライン販売などを通して急成長を遂げるが、今年6月に残念ながら事実上の倒産。起業以来、働くママとしてメディアの注目を浴び、またその業績が認められて数々の賞を受賞しているジュリーだけに、復活を期待したい。

 

上川隆也・斎藤晴彦インタビュー「ウーマン・イン・ブラック」

上川隆也・斎藤晴彦インタビュー
上川隆也、斎藤晴彦

上川隆也
1965年、東京都出身。89年に演劇集団キャラメルボックスに入団。95年、NHKドラマ「大地の子」主演で注目を集める。以降、劇団での舞台出演のみならず、映画、テレビの分野でも活躍する実力派。「ウーマン・イン・ブラック」には1999年、2003年と出演、今回が3度目の参加となる。

斎藤晴彦
1940年、東京都出身。劇団青俳、発見の会を経て、黒テントを設立。現在もメンバーとして活躍する一方で、ミュージカルから新劇まで、ジャンルを問わず何でもこなす柔軟さが持ち味。「ウーマン・イン・ブラック」には1992年の初演以来、全公演に出演している。

5年もの間、同じ役者と一対一で対峙する。次々と新しい波が押し寄せるショー・ビジネス界において、このような機会は稀だ。俳優、上川隆也と斎藤晴彦は、そんな稀有な関係を築き挙げている2人である。ロンドン発のゴシック・ホラー演劇「ウーマン・イン・ブラック」。今回は同作の日本版ロンドン公演に先駆けて行われる日本ツアーを間近に控えた両氏にインタビューを実施。心から信頼し合い、でも馴れ合わない……、長年の共演で培ったその不思議な距離感が心地良く感じられる、そんなひとときとなった。(取材・文: 村上祥子)

ウーマン・イン・ブラック  ─黒い服の女─

ウーマン・イン・ブラックとある劇場の舞台上。老弁護士キップスが、若い俳優相手に覚束ない口調で自らの経験を語っている。キップスは若い頃、誰にも語ることのできない恐怖の体験をし、それゆえに悪夢に悩まされる日々を送っていた。彼は家族らにすべてを語ることでそんな記憶から解放されようと決意する。その練習を行うため、若い俳優を雇ったのだが、話のあまりの長さとキップスの語りのつたなさに、俳優はある提案をする。俳優が若き日のキップスを演じ、そのほかの人々をキップスが演じるという舞台の形で、この話を語ろうというのだ。かくしてキップスの恐怖の体験が芝居という形で明らかにされることになった……。

7月3日、朝9時。英国と日本をテレビ電話で繋ぎ行われた今回のインタビューは、画像が出てこないというトラブルから始まった。耳のイヤフォンからは、「これは問題なさそうだし……」と器材をいじる声。そして数分後、すっと映し出された画面には、まるで子供のように目を輝かせて目の前の器材に手を伸ばす、上川隆也の姿があった。前回、1月に本公演のロンドン記者会見に出席したときとは全く異なる、リラックスした表情。そしてその傍らには、鷹揚に構え、あまり表情を崩さぬままに飄々と語り続ける共演者、斎藤晴彦の姿があった。

稽古の仕上がりは「順調すぎる」

─ いよいよ日本公演の初日間近ということで、現在、どの程度稽古は進んでいますか。

上川:今は連日、通し(稽古)を繰り返しているところです。もう順調すぎますね。
斎藤:順調すぎますね。
上川:もう全体はできあがっている形で、細かいところ を詰めて詰めて、微調整を繰り返している感じです。

─ 今回は2008年版ということで、これまでの作品と、演出、演技の面で意識的に変えた部分はありますか。

上川:この芝居の面白いところの一つに、僕らの変化を鷹揚に受け入れてくれる器を持っているという点があるんですよ。2003年から08年という5年間を経て、僕らが何かを変えようと思わなくても、2003年とは違う自分がそこにいますから。この芝居と向かい合うと、2008年版が不思議と立ち上がってくるような感じを、今は受けています。

─ 具体的に「ここが違う」という点はあるのでしょうか。

上川:ここがこう違う、というのではないんですよ。やっている段取りは、イギリスのプロダクションと変わらないと思うんですね。演出家も一緒ですから。パッケージは同じなんです。でも、前回が果汁100%だったら、今回は120%と、より濃密になっているような感じですかね。
斎藤:ロビンさん(演出家、ロビン・ハーフォード氏)の演出っていうのは、言葉が分からないなかでやっているから、普通はそれが壁になるんですよ。でも壁にならないの(笑)。なぜかって言うと、彼は全部丸ごと台本を覚えているって言っているんですね。ロビンさんが僕らの芝居を演出するときには、ずーっとセリフを追っている。それで感情の動きとか、細かいところを観察した上で指示を出してくるから、言われて納得することばっかりなんですね。ですから不思議な稽古場ですよね。言葉っていうのが気にならない……、すごいことだと思います。

─ 今回、「ウーマン・イン・ブラック」での共演は5年ぶりとなります。その間、連絡を取り合ったりはされたのでしょうか。

上川:一切、取っていません(笑)。でもそれが隔たりとして感じられないんですよね、不思議と。
斎藤:役者っていう職業はね、仲良くしていてもしょうがないんです。もちろん、お互いに舞台上では切磋琢磨するんですけど、フリーなときっていうのは、会ったってせいぜい芝居の情報交換をするくらいじゃないですか。僕はむしろ普段は会わないで舞台で会った方が、濃密な関係ができあがるような気がするんですよね。


「ロック」な斎藤さん、「頑固」な上川さん!?

─ それでは役者としてのお互いの印象・魅力を教えていただけますか。

上川:僕はこの芝居を演じるのが3回目で、参加して9年目になるんです。斎藤さんは初演から手掛けていらして、僕が初めてこの作品に関わったときから、すべてご存じなんですよ。なので当時から僕は斎藤さんに頼る、というか、僕の至らない部分を委ねるという形で相対していた部分があったと思うんですね。そしてそれに、ことごとく応えて下さって。ですから僕は安心して舞台に立つことができた。それは今も変わらずにあって、斎藤さんと2人なら大丈夫っていう思いが僕にはとても強くあるんですね。そういう安心感を与えてくれる方です。
斎藤:5年ぶりに会った上川隆也は、著しく大きくなりました。「ああ、僕も頑張ろう」って思いましたよ(笑)。彼にとっての5年間っていうのは本当に大きかったんだなって感じましたね。それは技術的なところも大きいけれども、役者としての人間のスケールの大きさ、それがすごくよく分かりましたね。今回の公演はすごいものになりますよ。上川さんの進化の過程を見られます(笑)。

─ 斎藤さんにとっては、萩原流行さん、西島秀俊さん、そして上川さんと、3人のヤング・キップスをご経験されているわけですが、皆さんそれぞれ、どのような演技をされるのか、ご説明いただけますか。

斎藤:演じている間は、僕自身も変わってきているので、昔のことを今、語るというのは、難しいのね。始めの頃は、僕自身も何も分からず入ってきていますからね。やっぱりその都度の過去の話っていうのは、演劇だとしゃべれないんだよね。映画やテレビと違って、舞台っていうのは消えちゃうじゃないですか。そうするとね、そのことをしゃべるのがすごく不可能だっていう気がするんですね。だから萩原流行さんとやったときのことっていうのはね、忘れてる。変な言い方だけど。忘れてるっていうか、「ない」んですよ。お芝居っていうものはその時間、その場所のものですから。勿論、流行さんも秀俊さんも素敵でした。

─ それでは人間としての互いの魅力というのは?

上川:こうやって回を重ねて思うのは、風貌は穏やかでいらっしゃって、でもその実、内面に持ち合わせているものってロックじゃないかなって僕は思っているんですよ。

─ やはりアングラ出身というだけあって……

上川:ロックなんですよ。それとともに持ち合わせている経験や知識というものがないまぜになって身体の中にあるという感じですかね。

─ どういうところに「ロック」を感じるのでしょう?

上川:今、ロックっていう言葉に押し込めたんですけど……。とにかく、体(てい)の良い収まり方をなさっていないんです。人当たりも良くて、ことさらにそういうことを感じさせる方ではないんですが、物事を捉える時に、一面だけでは決して判断しない。そのものの裏側も絶対見ようとなさっていて……なんていうのかな、言い方を変えると、「やんちゃ」な部分っていうのかな。そういう部分をきちんと裡(うち)に潜ませているような、そんな感じです。

─ それでは斎藤さんから見た、人間、上川隆也の魅力とは?

斎藤:上川さんってこうやって一生懸命、他人のことを考えてくれるでしょう(笑)?自分で一生懸命、言葉を探してね、こうやって語ろうとしているところがいいですね。

─ 確かに上川さんの言葉の選び方にはとても独特なところがありますよね。

斎藤:ね、独特でしょう?ちゃんと自分の言葉でしゃべるんですよ。それはすごい。芝居も、そう。要するにね、自分の芝居をものすごく大切にするんですね。いい意味で、ものすごく頑固な俳優だなと思いますよ。


「役者としての修業ができる」芝居

─ 上川さんは前回のインタビューで、本作ならではの魅力として、「自分が今、どんな状態でいるのかがあぶり出されるような舞台」であると表現されていました。今回はどのような自分があぶり出されている感がありますか。

上川:先程、斎藤さんが評してくれた僕という役者の姿は、「ウーマン・イン・ブラック」っていう土壌の上に置いた時に見えたものだと思うんですね。そして同じようなことを僕自身も感じています。5年間経って、5年前にやった自分の演技が、どこか頭の片隅に残っている。それと比較しても違うことをやっている実感は間違いなくあるんですよ。それをつぶさに説明することはできないんですが、違うことが板の上に今、展開されているんだなって、己の目で己を見ている感覚はありますね。

─ それは自分の成長を実感しているということなのでしょうか。

上川:それを成長と捉えるかどうかっていうのは、なかなか難しいことだと思うんですね。ただ、違いを感じることはできる。感じられている自分が面白いですね。そこに鈍感になっていない自分を発見できるというか。

─ それでは斎藤さんにとって、この作品ならではの魅力とは、何でしょう?

斎藤:役者としての修行ができる芝居だと思うんです。実際にお客さんの前で、稽古しているっていう演技をする作品ですからね。毎回違うことを試すことができて、それでも芝居は崩れない。構造として、とっても役者の勉強になる芝居なんですよ。それが一番楽しい。すごい戯曲だなと思います。

ハーフォード氏(写真右)の指示を受ける上川
真剣な表情で演出家、ハーフォード氏(写真右)の指示を受ける上川(同左)


ロンドンはツアーの「最終地点」

─ 7月10日から日本公演がスタート。そして日本各地での公演が終わるといよいよ英国公演ということで、不安は感じていますか。

上川:稽古すればするほど、不安は薄れていっている感じがありますね。いみじくもロビンさんもおっしゃっていたんですが、「最終地点だと思えばいい」、と。日本でも何カ所か周らせていただくんですが、それと同じように、その先にロンドンがあると。なるほどって思いましたし、そのくらいの気持ちでいようと思っています。
斎藤:ワクワクしてますよ。もちろん、日本語という言葉がイギリスのお客様にちゃんと分かるっていうのはあり得ないことだと思うんです。でもね、やっぱり人間の感情っていうのはそんなに変わらないと思うし。悲しいときには悲しいし、怖いときは怖いわけで。感情っていうものが分かれば、お客様は理解できるだろうっていうのは考え方としてあります。それよりも今は、ロンドンでやるっていうのは楽しいなっていう気持ちが大きいです。

─ 上川さんは前回渡英時に英国版を観劇された上で、自分たちの芝居には「粘り、湿度がある」とおっしゃっていました。斎藤さんはその点についてどう思われますか。

斎藤:さっき、「感情はそんなに変わらない」って言ったけれども、役者の、感情を表現するベースっていうのは当然、違うと思うんです。例えばこの作品はホラーであると謳っていても、僕らの場合には日本人が持っている恐怖感っていうのがあるじゃないですか。霊的なものに対する。やっぱり僕らはホラーというものをシリアスに捉えるんですよね。お彼岸だとかお盆だとか、死んだ人に対する供養の気持ちがある。だから「ウーマン・イン・ブラック」をやっているうちにも、悲しみとか切なさとか辛さといったものが、自ずと出てくるんでしょう。

─ 今回は日本語での海外公演になるわけですが、今後も別の形で、海外公演を続けたいと思われますか。

上川:それはそのときに考えないといけないことですよね。「今回、これができたから、また次ができる」とは考えられないと思うんです、僕は。今回は今回ですね。次のことはそのときに考えたいです。
斎藤:正直でしょ(笑)?上川さんはまた絶対やりますよ。これでなくてもね、やっぱり色々なところでやるのはいいことだと思うんです、僕は。役者にとっては本能的にやりたいことだと思いますよ。

7月10日、大阪のシアター・ドラマシティで、「ウーマン・イン・ブラック」初日の幕が開いた。終演後には、場内総立ちのスタンディング・オベーション。最高の形で、日本版ツアーはスタートしたようだ。この初日を遡ること1週間前に行われたインタビュー、2人は清々しいと形容してもよいほどの気負いのなさで、本作を演じる悦びばかりを語ってくれた。未来も過去も、どうでもいい。海外でやろうが、国内でやろうが、構わない。2人の役者馬鹿は、「ウーマン・イン・ブラック」という無限大の「器」の中で、思う存分に役者としての自分の可能性を試せる今という時間を、何より楽しんでいるのだろう。

演出家、ロビン・ハーフォード氏が語る 日本版「ウーマン・イン・ブラック」
ロビン・ハートフォード氏を真ん中に両脇を上川、斎藤が固める

上川、斎藤両氏のインタビュー終了後には、現在、日本版演出のために来日中の演出家、ロビン・ハーフォード氏に話を伺うことに。ハーフォード氏を真ん中に、両脇を上川、斎藤が固める形でインタビューは行われた。眉間に皺を寄せながらハーフォード氏の一言一言にうなずきながら真剣に聞き入る上川と、相変わらず不動の姿勢で超然と佇む斎藤。そしていつでも楽しくて仕方がないという体(てい)で微笑みを浮かべるハーフォード氏という、実に個性的なトライアングルが、本公演における3人の絶妙な関係を体現していた。

ロビン・ハーフォード
現在、ロンドンで19年というロングランを記録する舞台「ウーマン・イン・ブラック」の制作・演出を手掛ける。以降、海外公演、国内ツアーと本作品すべての演出に携わっている。

─ 稽古は順調に進んでいますか。

ハーフォード(以下、ハ):非常に上手くいっています。予定より早く物事が進んでいるくらい。

─ 上川さんと斎藤さんの調子はいかがでしょう。

ハ:非常に難しいところだね……。
上川、斎藤:(笑)
ハ:というのは冗談として(笑)、彼らに会うのはいつでも本当に嬉しいことだし、今は楽しみながら稽古をしています。

─ 今回のプロダクションは、前回と全く同じものになりますか、それとも意図的にどこか変えようと考えていらっしゃいますか。

ハ:古今東西、すべてのプロダクションには違いがあります。とにかく前回の単なるコピーにならないよう、一生懸命努力しているところです。ただ、具体的にどこをどう変えよう、というわけではないんです。結局我々は、いつも同じ真実を求めているわけですからね。

─ ロビンさんの演出方針について聞かせてください。細かい部分もすべてご自分で決めていくのと、ある程度は役者の自由裁量に任せるのと、ご自身はどちらのタイプの演出家だと思いますか。

ハ:完全に後者ですね。私は自分自身が役者もやっていますから、演出家が一人ですべてを決め、役者を人形のように扱うことには何の意味も見いだせません。役者が自分のアイデアやイマジネーションを取り入れて演技することを、何故否定しなければならないのでしょう?私は役者たちが望む方向性を、さらに膨らませてあげたいのです。その上でもし彼らが、ちょっと違うな、という方向に行ってしまった場合には、軌道修正をしますが。何と言っても毎日、舞台上で作品を演じるのは、役者なんですからね。

─ 斎藤さん、上川さんから見た演出家、ロビンさんというのはどのような方ですか。

上川:僕にとってロビンさんは、所属劇団の演出家以外では、スタッフとして初めて出会った演出家だったんですね。正に大海の広さを初めて知った蛙状態で、その演出方法のあまりの違いに驚いたことを覚えています。ロビンさんは、役者が持ち出してきたものを、まず肯定した上で導いてくれる、それを心地良く感じました。言語が違うのに、しっかり役者を導くことができる、とてつもない方だなあ、と心密かに思っております。
斎藤:ロビンさんってね、テクニカルなことは言わないんですね。彼の演出っていうのは、「人間とは何か」ということをひたすら言ってくれるわけ。現実的な演出をしますね。「芝居ならでは」という演出をなさらないんですよ。普通に生きている人間として役者を捉えている。だから「リアリズムの演出家なんだなあ」と 思いますね。

─ 異なる文化、異なる言語の環境下で演出することに、 苦労されることは?

ハ:私には現場を把握している通訳がついているわけですが、何より、私自身が英語でこの芝居を本当によく知っている……、一言一句全部覚えていますからね。だから彼ら(役者)が今、台本のどこにいるのかが理解できるんですよ。でも外国語でやっているということで、演出家として役者に指示を出す際には、より正確に伝えることを心掛けています。著名演出家のピーター・ブルックは以前、共通言語を持たない多国籍の役者たちを使って芝居をつくったことがあります。外国語でやるときには、舞台上でどうすればもっとドラマチックになるのかということを踏まえて、言葉だけに頼るのではなく、ボディ・ランゲージなどその他の要素を取り入れるようにもしています。だから別の言語でやることは鍛錬でもあるし、刺激的でもあるんです。

─ なぜ今回、上川、斎藤両氏による日本版を英国に持ってこようと考えたのですか。

ハ:私は世界各国、英国国内ツアーも含めて、50組以上ものコンビを演出しています。2人の役者たちの間には、皆それぞれに強いつながりがあるんです。そしてこのサイトウさん、タカヤさんの結束力というのは特に強いので、国際的な舞台に持ってくるには完璧な組み合わせだと思いました。
私は常に文化というものには、国と国を結び付ける力が備わっていると考えているんです。スポーツ交流と同様、文化交流というものは、世界を啓蒙し、人々に国と国の間には共通点だけでなく、違いもあるのだと知ってもらうには非常に有用なのではないでしょうか。今回、この芝居をイギリスに持ってくるということは、日本の文化を英国に持ってくるということにもなります。そういう意味でロンドン公演では、ロンドン在住の日本人の方たちだけでなく、この芝居を既によく知っている英国人にも観てもらいたいですね。

ウーマン・イン・ブラック  ─黒い服の女─

原作: スーザン・ヒル
脚色: スティーブン・マラトレット
演出: ロビン・ハーフォード
出演: 上川隆也、斎藤晴彦
後援: 在英国日本国大使館
企画制作: 株式会社パルコ
制作協力: 株式会社ミーアンドハーコーポレーション

公演日程: 2008年9月9日(火)~ 13日(土)
場所: ロンドン、フォーチュン・シアター
The Fortune Theatre, Russell Street, London WC2B 5HH
www.thewomaninblack.com
最寄駅: Covent Garden
チケット販売: インターネット上(日英)またはBox Officeで 直接購入。上演3週間前からは、The Ambassador Theatre Groupで日本語専用ホットラインを設置予定。

*ロンドン公演では、舞台上部に英語字幕が設置される。
字幕を見る場合には、2階(Dress Circle)、3階(Upper Circle)がお勧め。

 
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