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Fri, 29 March 2024

「本当の英国」を感じる地方の旅 ルイス

ルイス

ロンドンでの暮らしに少し疲れてきたら、晴れ間が覗いた日にふと電車に乗っただけで非日常空間へとワープしてしまうような小旅行に出掛けるのがいい。

今回は、イングランド南東部イースト・サセックス州の街ルイスに注目。日本からの団体ツアーは立ち寄らない、しかし英国の地方ならではの魅力がいっぱい詰まったこの地をめぐる旅を紹介する。

ロンドンからのアクセス:
ヴィクトリア駅から列車で約1時間

ルイスってどんな街?

11世紀にフランスのノルマンディー地方から襲来してイングランドを征服したウィリアム1世(征服王)が、天下分け目の合戦「ヘイスティングスの戦い」で戦功を挙げた義理の兄弟であり忠臣でもあったウィリアム・ドゥ・ウォーレンに報奨として与えたのが、このルイスの土地だった。

13世紀には、国政への権限をめぐって当時のイングランド王であるヘンリー3世と有力諸侯たちが争った「ルイスの戦い」の戦場に。

またプロテスタントを迫害して「ブラディー・メアリー(血のメアリー)」と恐れられたメアリー1世の治世下となる16世紀には、プロテスタント信者たちがこの地で処刑された。その後、街の中心を流れるウーズ川近辺では、ビールの醸造所や造船所が集う港湾都市として栄えたという歴史を持つ。

本特集で紹介した歴史的建造物と数々のアンティーク・ショップは全て徒歩圏内に位置しているため、ロンドンからの日帰りでの小旅行に打ってつけの場所だが、夏季でもそれほど混雑していない。日曜日は多くの店が休業し、平日でも夕刻時を過ぎれば早々と店じまいをしてしまうなど、イングランドにおける典型的な小さな田舎町の趣を残している。

また街の近郊には、白亜の断崖が特徴的なサウス・ダウンズ国立公園や、毎年夏に大規模なオペラ音楽祭が開催される街グラインドボーンなどがある。

ルイスの地図(クリックすると拡大します)
ルイスの地図

1〜3絵葉書のような街並みを楽しむ街歩き

鉄道駅からルイス城へ至るまでには急勾配の坂が続く。道の両脇には個性的なお店がちらほら。遠景には丘陵地帯を切り裂くような白亜の絶壁がそびえ立つ。どの角度を眺めても美しい景色ばかりが目に入る、それがルイスという街の魅力だ。

1〜7掘り出し物を見つけるための買い物歩き

ルイスはアンティークの街としても知られている。街の中心部では毎日蚤の市が開かれ、また至るところにアンティーク・ショップがある。ロンドン市内に乱立する大手デパートやチェーン店では絶対に入手できない、味わい深い家具や置物は眺めているだけでも楽しめること請け合い。※②④移転しました。ご注意ください

 

 

1〜3絵葉書のような街並みを楽しむ街歩き

ルイス城1街全体を見下ろす石城
Lewes Castle ルイス城

ウィリアム征服王の臣下であったウィリアム・ドゥ・ウォーレンによって今から約950年前に建てられた城。高台の上に建てられた塔の上からは、街全体を見下ろすことができるだけでなく、緑に覆われた丘陵地帯と見事なコントラストを成す白亜の断崖などを眺めることができる。ルイスの戦いを前にして、ヘンリー3世の息子であるエドワード王子がこの城に潜伏したと伝えられている。

(写真上)ルイス城の一部を貫通する道は一般道路として利用されている
(写真下)受付で手渡された鍵をかざして門を開錠させると入場できる

169 High Street, Lewes BN7 1YE
(チケット売り場)
Tel: 01273 486290
10:00-17:00(11月以降は開館時間が変更)
£10
http://sussexpast.co.uk/propertiesto-discover/lewes-castle

2ヘンリー8世から元妻への贈り物
Anne of Cleves House Museum
アン・オブ・クレーヴズの家

Anne of Cleves House Museum自身の離婚問題を理由にカトリック教会から離脱したヘンリー8世。彼の4番目の妻であるアン・オブ・クレーヴズに離婚条件の一つとして与えられたのが、この木造の邸宅だった。だがアン元王妃自身がこの家を訪れたことはなかったという。チューダー朝の様式を忠実に再現した庭園には独特の風情がある。16~18世紀にかけてイングランド南東部で盛んだったという製鉄の技術に関する展示も充実している。

写真)街の中心部から若干離れているため、周囲は静けさに包まれている

52, Southover High Street, Lewes BN7 1JA
Tel: 01273 474610
木〜日 11:00-15:00(10月29日まで開館)
£6.60
http://sussexpast.co.uk/attraction/anne-of-cleves-house

3ピクニックするには絶好の場所
Southover Grange Gardens
サウスオーバー・グレンジ・ガーデンズ

Southover Grange Gardens万有引力を発見した科学者アイザック・ニュートンの先祖が所有していた邸宅とその広大な庭が、現在では一般開放されている。ガーデンの中心部には小川が流れ、廃墟のような囲いに仕切られた芝生の上には水仙やダリアが眩しいほどに咲き誇る。ランチを食べたり、お昼寝休憩をしたりするには絶好のスポット。

写真)地元民たちの憩いの場となっているガーデン

Southover Road, Lewes BN7 1TP
8:30-日没, 無料
www.visitlewes.co.uk/things-to-do/southover-grange-gardens-p1096611

 

 

1〜7掘り出し物を見つけるための買い物歩き

1うれしい驚きにきっと出会える
Flea Market 蚤の市

Flea Market毎週数千人単位が訪れるという蚤の市。翼を付けた女性の姿が彫られた戦没者記念碑の近くにある、かつて教会として使われていた建物の中で毎日開かれている。各種の家具を中心に、動物の剥製、アール・デコの置き時計をはじめとする骨董品が並ぶ。思わず悲鳴や笑い声を上げてしまうような変わり種の掘り出し物にもきっと出会えるはず。

(写真上)レンガ造りの教会の建物の中で蚤の市が開かれている(写真下)目印となる戦没者記念碑

14a Market Street, Lewes BN7 2NB
Tel: 01273 480328
10:00-17:00
http://flea-markets.co.uk

2古くて新しいセンスにあふれる店
Closet & Botts
クローゼット & ボッツ

クローゼット & ボッツそれぞれパティシエとディスプレー・アーティストとして働いていた2人が立ち上げたヴィンテージ・ショップ。アンティークなのになぜか最先端の流行を押さえていると感じさせるようなセンスある商品ばかりが並ぶ。経営者の2人は小型トラックに乗って欧州各地の蚤の市を1年中周っていて、「こんなアンティークを探している」という買い付けの要望にも応じてくれる。

写真)心が癒やされるような優しいデザインの商品が並ぶ

37 High Street, Lewes BN7 2LU
(196 High Streetから移転しました)
Tel: 01273 471486
月〜土 10:00-17:00
www.closetandbotts.com


3注射針を製造する工場だった
The Needle Makers
ニードル・メーカーズ

The Needle Makers第一次世界大戦中には注射針を製造する工場が置かれていたという敷地を転用した複合施設。ハンドメイドのジュエリー、ヴィンテージ服、手芸品などをそろえたショップ、ギャラリーに加えてカフェも併設している。レンガの壁、地下にある井戸、そして色鮮やかな雑貨の数々に彩られた店内にいると、童話の世界に紛れ込んでしまったかのような感覚を覚える。

写真)外観は工場跡の趣を残したまま

West Street, Lewes BN7 2NZ
Tel: 01273 480219
月~土 9:00-17:00、日 11:00-16:00
www.needlemakers.co.uk


4黒い建物が目印
No.1 Lewes
ナンバーワン・ルイス

No.1 Lewes手前にインテリアやキッチン用品、店の奥にガーデニング用のアンティーク製品を配置している。カフェやレストランが多数並ぶ通りの入り口に位置しているので、アンティークにあまり興味のない同伴者を近くで休憩させたりする際には好都合。

写真)キッチンやガーデニング関連商品が充実している

19 Cliffe High Street , Lewes BN7 2AH
(1Cliffe High Streetから移転しました)
Tel: 01273 477714
月~土 10:00-18:00、日 12:00-17:00
www.theshoplewes.co.uk


5やっぱり飲みたい地ビール
Harveys Brewery Shop
ハーヴェイズ・ブリューワリー・ショップ

Harveys Brewery Shopルイスの地ビールとして有名なハーヴェイズのビール醸造所に隣接したショップ。創業してから200年以上の歴史を誇る家族経営のブランドで、当代は8代目。醸造所の見学ツアーの予約が2年先まで埋まっているという信じられないほどの人気ぶりを見せている。ショップではハーヴェイズが製造する各種ビールを購入することができるほか、同社が販売を手掛けるワインや蒸留酒もそろえている。

写真)道を挟んだ反対側には
ハーヴェイズ直営のパブもある

6 Cliffe High Street, Lewes BN7 2AH
Tel: 01273 480217
火~土 10:00-17:00 日 11:00-16:00
www.harveys.org.uk


6非日常体験ができる古本屋さん
The Fifteenth Century Bookshop
ザ・フィフティーン・センチュリー・ブックショップ

The Fifteenth Century Bookshopその名の通り、15世紀に建造されたという建物の中にある古書店。児童書や挿絵付きの本を多く取り扱っている。同店の入り口から延びていく小石が敷き詰められた小道の風景と、頭を屈めなければ入ることができないほどの低い天井、そして店内に並んだメルヘンチックな本の数々が非日常体験を与えてくれる。

写真)人通りの少ない平和でひっそりとした場所にある

99-100 High Street, Lewes BN7 1XH
Tel: 01273 474160
土 11:00-17:00 日 12:00-17:00
www.oldenyoungbooks.co.uk


7ポーランドの陶器の里からの贈り物
Baltica バルティカ

Baltica陶器の里として知られるポーランド南西部ボレスワヴィエツから取り寄せた陶器を扱う店。深みのある紺色を使ったデザインは、目に安らぎを与えるような温かな美しさを醸し出している。バター入れやソース差しまでかなり多種の商品をそろえているので、英国の食卓を飾るアイテムが見つかること間違いなし。併設カフェでは、それらの陶器を使ってピエロギやビゴスといったポーランドの伝統料理が供されるという贅沢なおもてなしをしてくれる。

写真)バター入れだけでもさまざまな模様がある

145 High Street, Lewes BN7 1XT
Tel: 01273 483449
月~土 9:30-17:30、日11:00-16:00
www.baltictrader.co.uk


 

ルイスの食

7Bill’s

Bill’sロンドンをはじめとする英国各地で見かけるレストラン・チェーン「ビルズ」の第1号店。最初は果物や野菜を販売する屋台としてスタートしたが、2000年に発生した洪水の被害で営業停止に。翌年にレストランとして開業したところ大ヒットし、全国展開するに至った。気軽なカフェ・スタイルで朝食からディナーまで楽しむことができる。

56 Cliffe High Street, Lewes BN7 2AN
月~水 8:00-22:00、木〜土 8:00-23:00、日9:00-22:00
http://bills-website.co.uk/restaurants/lewes

7Flint Owl Bakery Cafe

自家製造を行うパン屋が、2013年に開業したカフェ。つまり、このカフェではまさに作りたてのパンを味わうことができる。しかもパンの製造には、フランスのアルプス山脈で採取した酵母菌を使っているという本格派。砂を敷き詰めた開放的な裏庭スペースでは、ベビー・カーを必要とするお子様連れのご家族でもゆったりとした時間が過ごせる。

209 High Street, Lewes BN7 2DL
Tel: 01273 472769
月~金 8:30-17:00 土 9:00-17:00 日 9:00-16:00
www.flintowlbakery.com

7Le Magasin

Le Magasinウーズ川を渡る橋の付近にあるカフェ兼レストラン。シチューやパスタといった定番メニューに加えて用意される「本日のお勧め」はいつも美味。テイクアウェイもできて、ほかの多くの独立系店が閉業となる日曜日でも営業しているのがうれしい。

50a Cliffe High Street, Lewes BN7 2AN
Tel: 01273 474720
月~水8:00-17:00、木~土8:00-22:00、日9:00-16:00
www.facebook.com/LeMagasinCafe
※閉店しました

7Lewesiana Tea Room & Florist

ルイス城のすぐ近くにあるので、城の散策を楽しんだ後の休憩にはぴったりのカフェ。花屋を兼ねているため、店内を彩るたくさんの花々が華やかで贅沢な雰囲気を演出してくれる。

85 High Street, Lewes BN7 1TN
Tel: 01273 483085(Tea Room)
月~土8:00-17:30、日11:00-16:00
www.lewesiana.co.uk
※閉店しました

ガイ・フォークス・ナイトの街

ガイ・フォークス・ナイト1605年にカトリック教徒の過激派によるロンドンの国会議事堂を舞台としたテロ未遂事件が発生。以来、11月初旬に平和を願って花火を打ち上げたり、実行犯の一人であるガイ・フォークスを模った藁人形を燃やしたりする習慣が定着した。ルイスは毎年、英国内で最大規模のガイ・フォークス・ナイトを開催。プロテスタント色の強い地域であることや、ルイスの戦いで諸侯が王に勝利したことから民主主義を脅かすテロ事件への強い反発が生まれたなど、ルイスがこのイベントを盛大に祝うようになった理由については諸説ある。


 

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