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Sun, 24 November 2024

第227回 奇抜なシティのビル街は風のせい?

先日、シティ北のハックニー・セントラル駅近く、聖ジョンズ教会にある英国海軍提督フランシス・ボーフォートのお墓を訪れました。墓前にはボーフォートが考案した風力階級表のプラークがあります。風力階級表とは、航海中の風の強さを表すために、0から12までの13段階に区分けされ、各段階の海の状況を記録したものです。やがてそれは陸上でも利用され、1964年に世界気象機関(WMO)の風力標準尺度に採用されました。日本の気象庁もこの風力階級を利用しています。

フランシス・ボーフォート(1774~1857年)フランシス・ボーフォート(1774~1857年)

天気図の風力表記では矢の本数が風の強弱、つまり風力階級の数値を表します。ところで、この風力階級表が近年シティで話題になっています。奇抜なデザインで知られるシティの高層ビルが、この風力階級によって今後さらに奇抜なものに変貌するかもしれないからです。そもそもシティの高層ビルはすでに斬新なデザインのものが多いですが、その理由としては諸説挙げられます。

お墓の前にある風力階級表お墓の前にある風力階級表

理由の第一は景観法です。1937年に導入されたテムズ川南岸から聖ポール大聖堂の景観を保護する条例や、ロンドンの八つの場所から聖ポール大聖堂やロンドン塔などの歴史的建造物の景観を守るため、2012年から施行されたビュー・コリドー条例があります。例えばチーズ・グレーターと呼ばれるレデンホール・ビルの設計当初は四角いビルでしたが、フリート街からの聖ポール大聖堂の景観を守るために三角形に変更されました。

天気図で使われる風力表記天気図で使われる風力表記

二つ目の理由はシティの土地区画です。1666年のロンドン大火後、シティ復興計画では真っすぐな広小路や、円心状の道路の建設が検討されました。ところが原状復帰を急ぐ声が大きく、元の混沌とした細道が復元され、現代でも土地の区画はいびつです。さらに3番目の理由として、建築許可を与えるシティ行政部の姿勢です。地震のない土地柄ですので耐震基準が緩く、高層ビルには人目をさらうような奇抜な設計を推奨するそうです。

直角三角形のチーズ・グレーター直角三角形のチーズ・グレーター

最後の理由はビル風対策。2019年からビル風規制条例がシティで施行されました。50メートルを超える高層ビルには、設計段階から風洞試験やCFD(数値流体解析)の検証が必要です。上述の風力階級表による最大値はビル近くの歩道で5、バス停で4、ベンチのある場所は3と制限されました。そのため上階に行くほど尖ったり、流線形のビルが増えました。この新しい規制によりビルのデザインはさらに奇抜化しそうです。

シティの高層ビルはさらに斬新なデザインに?シティの高層ビルはさらに斬新なデザインに?

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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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