英国の子供ならきっと誰でも知っている、
人気児童小説家ロアルド・ダール。
ダールの作品はどれもユーモアと
温かみに溢れるが、
ブラックな毒も仕込まれており、
それが子供だけではなく
大人にも人気の秘密だろう。
9月13日はそんなダールの生誕100年記念日。
各地で様々なイベントが企画されている。
Roald Dahl
ロアルド・ダール
(1916年9月13日~1990年11月23日)
1916年9月13日、カーディフ生まれ。第二次大戦中は英軍戦闘機パイロットとして従軍し、そのときの経験を基に小説を書くようになった。米ワシントンで駐米英国大使館付き空軍将校として働きながら、英国のスパイとして活躍したとされるなど逸話も多い。また、児童小説だけではなく大人向けに「あなたに似た人」「キス・キス」といった短編や、長編小説「オズワルド叔父さん」なども書いている。007シリーズで知られるイアン・フレミングの友人でもあり、映画「007は二度死ぬ」の脚本も手掛けた。1990年11月23日、オックスフォードで死去。
1
ダールといえば、この挿絵画家
The BFG in Pictures

ロアルド・ダール作品の挿絵でおなじみのイラストレーター、クエンティン・ブレイクがダールの「The BFG」(邦題「オ・ヤサシ巨人BFG」)のために描いたオリジナル挿絵40点が初公開展示されている。ちなみに、この博物館はブレイクによって2014年に創設された。
10月2日(日)まで 火~日 10:00–18:00
£7
House of Illustration 2 Granary Square, London N1C 4BH
020 3696 2020
Kings Cross St.Pancras駅
www.houseofillustration.org.uk
2
シャードでお茶とダールが楽しめる
Roald Dahl 100 Afternoon Tea

欧州一の高さを誇る高層ビル、ザ・シャードの31階で、ダール作品にちなんだメニューのアフタヌーン・ティーが楽しめる。「アッホ夫婦」の鳥のパイ、「ジャイアントピーチ ダールのおばけ桃の冒険」からはピーチ・メレンゲなど。ブレイクのイラスト付きの食器でサーブされる。シャンパン・アフタヌーン・ティーのメニューもあり。
9月30日(金)まで 月~金 13:00–17:00
£45~62
Aqua Shard
Level 31, The Shard, 31 St. Thomas Street, London SE1 9RY
020 3011 1256
London Bridge駅
www.aquashard.co.uk
3
人気のロングランをこの機会に
Matilda The Musical

ダールの「マチルダは小さな大天才」を基に、ミュージシャンで俳優、コメディアンとしても活躍するティム・ミンチンが作詞作曲したミュージカル。天才少女マチルダが、子供の心を理解しようとしない大人たちに立ち向かっていく様子を描く。2012年には英演劇賞「ローレンス・オリビエ賞」で7部門を受賞した。
月~土19:30(水・土は14:30もあり)、日15:00
£20~122.50
Cambridge Theatre 32-34 Earlham Street, London WC2H 9HU
0844 412 4652
Covent Garden駅
http://uk.matildathemusical.com
4
怖いもの知らずの食通さんにぴったり
Dinner at the Twits

ダール作品の「The Twits」(邦題「アッホ夫婦」)の登場人物、意地悪なアッホ夫妻があなたをディナーに招待、という設定で考案された不気味なコース料理が楽しめる。作品中ではミミズ入りスパゲティーを作っていた夫婦。どんなものが供されるかはお楽しみ。コースは90分で、作中人物になりきったキャストたちが盛り上げてくれる。
9月4日(日)~10月30日(日) 火~日 時間はサイトを参照
£76.50~111.50
The Vaults Leake Street, London SE1 7NN
0844 248 1215
Waterloo駅
www.twitsdinner.com
5
ファンだったら訪れてみたい
The Roald Dahl Museum and
Story Centre

ロンドン郊外バッキンガムシャーの小さな街にある、ダールが1990年に死去するまで36年にわたり住んでいた家。ここは現在、ダールの児童文学を紹介する博物館になっている。劇や朗読会など様々なイベントも開催されているので、ウェブサイトで確認を。ショップにはブレイクのイラスト・グッズがいっぱいだ。

火~金 10:00-17:00、土・日 11:00-17:00
£6.60
The Roald Dahl Museum and Story Centre
81-83 High Street, Great Missenden, Buckinghamshire HP16 0AL
01494 892 192
Great Missenden駅(Marylebone駅から45分)
www.roalddahl.com/museum
6
街を挙げてのダール祭り
City of the Unexpected

ダールの生まれ故郷であるウェールズのカーディフでは、市を挙げて2日にわたりダールの生誕を祝う記念イベントが開催され、街はダール一色に染まる。当日は街の各所で様々なイベントが行われるので、ファンの方は泊りがけで訪れても楽しめそう。城や教会、庭園など、思わぬ場所でのブック・リーディングもある。
9月17日(土)& 18日(日) 土13:00-21:30 日10:30-17:00
無料
カーディフ各地
029 2063 6464 (Wales Millennium Centre)
Paddington駅から列車でBristol Parkway駅まで。
以西は週末に工事が行われるため、振替バスを使いCardiff Centralまで。
詳細はサイトを参照
www.cityoftheunexpected.wales
7
ウンパ・ルンパやリスも登場
Charlie and The Chocolate Factory

英国の映画監督サム・メンデス演出による、人気ロングラン・ミュージカルは「チョコレート工場の秘密」が原作。チョコレート工場の社長ウィリー・ウォンカは、チョコレートの包み紙の中に金色の当たり券を見つけた子供だけ、自分の工場に招待するという。偶然にも当たり券をつかんだ貧しいチャーリー少年が工場で見たものは……。
2017年1月7日(土)まで 月~土 19:30(水・土は14:30もあり)
£17.50 ~ 125
Theatre Royal Drury Lane Catherine Street, London WC2B 5JF
08448 588 877
Covent Garden駅
wwww.charlieandthechocolatefactory.com
何冊読んでる?
ダールの代表的な児童小説
Fantastic Mr Fox
すばらしき父さん狐 (父さんギツネバンザイ)
丘の上で暮らす子だくさんなキツネ一家の主人が、残虐な農場主と食糧をめぐって知恵比べ。子供たちにご飯を食べさせるため、父さんギツネが大奮闘する姿を描く。ウェス・アンダーソン監督が「ファンタスティックMr. FOX」のタイトルで映画化。

James and The Giant Peach
ジャイアント・ピーチ
ダールのおばけ桃の冒険
両親を亡くし、2人の意地悪なおばさんと暮らす可哀想なジェームズ少年が、巨大化した桃の中に入り込み、友人になった虫たちとともに大冒険に出掛ける。ヘンリー・セリック監督が「ジャイアント・ピーチ」のタイトルで映画化。

The BFG
オ・ヤサシ巨人 BFG
ある夜、巨人にさらわれたソフィー。巨人の名は、オ・ヤサシ巨人BFG。連れて行かれたのは巨人の国だった。そこでは巨人たちはニンゲンマメ(人間)を好物にしていて……。スティーブン・スピルバーグ監督により今年、映画化されている。

The Enormous Crocodile
大きな大きなワニのはなし
川から出て人間の子供を食べに街へ向かった大きなワニ。ココナッツの木のふりや校庭のシーソーのふりをして、何とか子供に近付き食いつこうとするが、そのたびにカバ、サル、ゾウといったほかの動物たちに邪魔されてしまい……。

The Twits
アッホ夫婦 (いじわる夫婦が消えちゃった!)
意地悪で醜いアッホ夫婦と暮らし、常に彼らに虐待されているサルのマグル=ワンプ氏。英語のできないマグル=ワンプ氏は、庭にやって来た故郷アフリカからの渡り鳥に現状を告げ、ついに復讐のために立ち上がる。

The Witches
魔女がいっぱい
お話好きの優しいおばあさんと住む少年がある日、魔女の集会を見てしまう。魔女たちは、英国中の子供をネズミにしてしまおうと話し合っていた。彼らに気付かれネズミに変えられてしまった少年は、おばあさんと一緒に魔女たちと戦うことになる。



在留届は提出しましたか?


シティ公認ガイド 寅七
旧20ポンド札のシェイクスピア
ウェストミンスター寺院の像(展示会写真より)


ホーリーウェル特別区の跡地
シアター座の跡地


税金未納リストに載った聖ヘレン教会は高層ビルに囲まれた場所
シルバー・ストリートにあるシェイクスピアの住居を示すプラーク


実物大の「ファースト・フォリオ」
オルダーマンベリーにあるシェイクスピアの胸像


旧グローブ座の跡地
王室財産管理府の跡地


ジョージ亭では演劇も行われた
クイーンズ・ヘッド亭はジョン・ハーバードの生家



夏休みは親子連れでにぎわう
空が映りこむような、光を反射する建物
人気アトラクションのジェット・コースター
グロットの内部。何のために作られたのか
左)街角にいきなり現れるチャーミングな館 右)緑の庭が建物に映える
広々とした空の下でのんびりと
カラフルな商品がギッシリ
何個も並べたくなるレトロなデッキ・チェア
おしゃれ男子のための店
目に優しい心地良い空間
元銀行の面影はほとんどない




仏劇作家エドモン・アロクールが「ベニスの商人」を基に執筆した喜劇「シャイロック」のために仏作曲家フォーレが曲を付けた付随音楽が演奏される。強欲なユダヤ人の金貸しの名前が付けられているが、抒情的なメロディーが印象的な作品だ。同プロムでは20世紀初期のパリの音楽に着目。このほか、ストラビンスキーが20世紀初期にパリで人気を博したバレエ団バレエ・リュスのために作曲したバレエ組曲「プルチネルラ」などが披露される。
現在、ウェスト・エンドでケネス・ブラナー・シアター・カンパニーによる舞台版が上演されている「ロミオとジュリエット」。プロコフィエフ作のドラマティックなバレエ音楽はドラマやCMでもよく使われ、クラシック音楽通でなくとも誰もが耳にしたことがあるはず。仏作曲家デュカスによる「ラ・ペリ」は、バレエ・リュスから依頼を受けて作曲された、ペルシャの妖精ペリをテーマにしたバレエ音楽。金管楽器の華やかな音色が耳を楽しませてくれる。
1957年にジャズ界の大御所デューク・エリントンが発表した「Such Sweet Thunder」は、シェイクスピアの「夏の夜の夢」の一節から取られたタイトルからも分かる通り、シェイクスピアの戯曲に着想を得て作られた12曲から成るアルバム。夜10時過ぎから始まるこのレイト・ナイト・プロムでは、ナショナル・ユース・ジャズ・オーケストラ・オブ・スコットランドやサクソフォニストのイアン・バラミーらの演奏による洒脱なジャズの調べでシェイクスピアの世界を垣間見ることができる珍しい機会だ。
ロンドンにおけるシェイクスピア劇の中心地と言えるのがサウスバンクに位置する劇場シェイクスピアズ・グローブ。その一角にある屋内劇場、サム・ワナメイカー・プレイハウスで、王政復古期演劇の音楽を楽しむことができる。「アテネのタイモン」や「テンペスト」、「夏の夜の夢」を基にした「妖精の女王」など、パーセルやロックといった作曲家たちがシェイクスピアの戯曲から想像力を膨らませて生み出した曲の抜粋を、本物のろうそくの火が灯された小さな空間で堪能しよう。
シェイクスピアの舞台や映画に焦点を当てたプロム。前半はウォルトンが音楽を手掛けたローレンス・オリヴィエ監督・主演映画「リチャード3世」の前奏曲を始めとする英作曲家の手による曲が演奏される。後半は「ロミオとジュリエット」を基にしたバーンスタイン作曲の「ウェスト・サイド・ストーリー」から「シンフォニック・ダンス」、劇中劇で「じゃじゃ馬ならし」が使われるポーター作詞作曲のミュージカル「キス・ミー・ケイト」の抜粋など米作曲家の作品が並ぶ。
「ハムレット」において、狂気を装うハムレットに翻弄される恋人のオフィーリア。デンマーク出身の作曲家エブラハムセンがソプラノ歌手バーバラ・ハニガンのために作曲し、作家ポール・グリフィスが戯曲内のオフィーリアの台詞のみを使ってその胸の内を語らせた自身の短編小説を基に作詞したという新作「レット・ミー・テル・ユー」がロンドン・プレミアを迎える。タクトを振るのは、9月からバーミンガム市交響楽団の音楽監督となるミルガ・グラジニーテ=ティーラ。



来年からロンドン交響楽団の音楽監督となるサイモン・ラトルが、自身が現在、音楽監督を務めるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と登場する2夜。プロム64では、今年1月に世を去った仏作曲家 / 指揮者ブーレーズの「エクラ」に続き、マーラーの数ある交響曲の中でも最も先鋭的であるとも言われる「交響曲第7番ホ短調」が、プロム66ではブラームスの「田園交響曲」とも呼ばれる「交響曲第2番ニ長調」やドボルザークの「スラブ舞曲」などが演奏される。
今年はブラジルのリオで五輪が開催されるということで、プロムスでも南米の曲や音楽家をフィーチャー。その中でも特に注目されるのが、ベネズエラ出身の若手指揮者グスターボ・ドゥダメル率いるシモン・ボリバル交響楽団だ。3回目のプロムス参加となる今回は、ブラジル出身で南米を代表する現代音楽家と言われるビラ=ロボスの代表作で、J・S・バッハの音楽様式とブラジルの民族音楽を融合させた「ブラジル風バッハ第2番」や、ベネズエラ人作曲家ドゥゼンヌの作品などが演奏される。
プロムスの常連で、イスラエル国籍を持つユダヤ人指揮者として、パレスチナ問題などの政治問題にも積極的に声を上げる大御所ダニエル・バレンボイムが2夜連続で登場。自身が音楽総監督を務めるベルリン国立歌劇場管弦楽団とともに、モーツァルトとブルックナーを奏でる。今年2月には日本でブルックナーの交響曲全9曲を演奏した彼らだが、プロム69で「交響曲第4番 変ホ長調『ロマンティック』」を、70では「交響曲第6番 イ長調」を披露する。

曲がったバナナは食べられない?
前回大会EURO 2012の覇者スペイン
5月12日、EURO 2016のフランス代表メンバーを発表するディディエ・デシャン仏監督
5月16日、EURO 2016のイングランド代表メンバーを発表するロイ・ホジソン監督

Wigmore Hall







2010年に政権の座に就いて以来、コーヒーのチェーン店スターバックスやインターネット検索大手グーグルといった国際的な企業の課税逃れを徹底的に追及してきたデービッド・キャメロン首相。英国内だけでなく、主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)などを通じて、課税逃れを防ぐ枠組み作りにおける国際協調を呼び掛けてきた。しかし、「パナマ文書」と呼ばれる、パナマの法律事務所が保有していた顧客情報が流出したことにより、亡父が租税回避地に設置したファンドに首相自身が投資していたことが発覚。このファンドを通じて利益を上げ、また両親から計50万ポンド(約7500万円)に及ぶ資産を受け取るために節税対策を取っていたことも判明した。




リチャード・ニクソン米大統領の汚職が暴かれたウォーターゲート事件にちなんで、英語圏では政治スキャンダルに「ゲート」との接尾語を付ける傾向がある。「ジョウェルゲート事件」とは、労働党の重鎮だったテッサ・ジョウェル文化・メディア・スポーツ相の夫が、ベルルスコーニ元伊首相から賄賂を受け取っていた疑いがあるというもの。2006年に立件した伊検察によると、国際弁護士として活動していたこの男性は、裁判において偽証を行った見返りに、当時実業家として活躍していたベルルスコーニ氏から60万ドル(約6500万円)の謝礼を受け取った。またジョウェルと彼女の夫は共同名義で住宅ローンを組んでいたが、このローンは夫が受け取った賄賂の資金洗浄に使われていたとの疑いが。騒動の最中に夫婦は別居を決断。収賄疑惑に関しては裁判所が時効との判断を示して夫は無罪となった。ちなみに夫婦は現在は関係を修復している。
保守党と労働党の2大政党制が定着した英国政治において、第3党である自由党の人気を取り戻したジェレミー・ソープ党首は、ある秘密を抱えていた。それは、同性愛者であるということ。彼が議員としての活動を始めた1960年代の英国では、同性愛者間の性交渉は違法だった。この状況に付け込んだ男性の元恋人が、長年にわたり秘密を守ることと引き換えに金銭を要求するなどしていたのである。同性愛が合法化された1970年代になっても恐喝は続き、やがてその事実は広く知られるようになって、76年にソープは党首を辞任。しかし、これだけでは話は終わらなかった。この元恋人は、ある男に飼い犬を射殺された上に自身も殺されかけたという経験を持つのだが、この一件はソープがお金を払って依頼したものであると容疑者が告発。ソープは殺害の共謀及び扇動の嫌疑で起訴されるも、最終的には無罪となった。
英国では2009年より約1年にわたり、下院議員による経費不正請求の実態が次々と暴露された。保守党と自由民主党が連立政権を樹立した際、新内閣に入閣したデービッド・ローズ主席財務相も、この不正請求を追及された一人。ローズは、地方の選挙区出身の議員がロンドンの国会議事堂に通う際の拠点作りを支援する別宅手当を通じて、総計4万ポンドを経費として請求していた。ところが、この住居の持ち主が、半同棲状態にあった同性愛者の恋人であったことから問題に。法律上では、パートナーから借り受けた住居に議員経費を充てることは禁止されていた。ローズは金銭的な利益を得ることを目的としたわけではなく、自身が同性愛者であることを知られたくなかったがために住居の持ち主との関係を明かさなかったと釈明した上で、辞任。新内閣入りした直後のスキャンダルだったため、在任期間はわずか17日という記録的な短さだった。






