チーズ・スコーン
Cheese Scone
英国のロックダウンもすでに1カ月を過ぎ、人々の間には少し「外出規制疲れ」が出てきている感じです。でも、そんなときこそ、家でホーム・ベイキングを楽しむのはいかがでしょうか。私も、2日に一度は子どもたちとベイキング。ロック・ケーキにいたってはすでに3回も作りました。そろそろちょっと目新しいものが作りたいな、と思っていたところに、ワッツアップで義母から写真が送られてきました。
「こちらでは、卵が手に入りにくくなっているけど、そちらはどう? この『チーズ・スコーン』は、卵を使わないレシピだから、試してみたら?」メッセージに添えられていたのは、ケーキー・クーラーの上に載った、表面がきつね色で、ぱっくりと口をあけたおいしそうなスコーン12個。
義母の言う通り、地元のスーパーでも、いまだに卵はいつも品薄です。一人2パックと買える数に制限があるうえ、たいてい残っているのは6個入りパックのみ。なので、毎回ベイキングに卵を使うと、他の料理には使えなくなるので、卵のいらないレシピは大助かりです。ということで、今回は、ロックダウン中にお勧め、卵いらずの「チーズ・スコーン」をご紹介します。
義母によれば、このスコーンは、毎週日曜日、教会のミサに出かけた後に、お母さんが作ってくれていたものだそうです。普通のスコーンと違うのは、卵と砂糖を使わないことと、チーズが入ること。さっそく子どもたちと作ってみると、オーブンから取り出す前からチーズのよい香りがキッチンに広がります。待ちきれずに、焼き上がったスコーンをすぐに口に入れた子どもたちは「グラニーのスコーン、おいしい!」と満足そうです。
作り方は卵を使う普通のスコーンと同様に簡単。チーズ風味の甘くないスコーンなので、朝ごはんにも良さそうです。
ところで、もともとはスコットランドが発祥といわれるスコーン。実は議論好きの英国人の間で意見の分かれていることがあります。それは発音について。日本語(カタカナ)で表記するのは難しいのですが、英国人によれば「スコン」または「スコウン」という2通りの発音があるのです。「『スコウン』というのは、ポッシュな人たちが使う言葉。普通の人は「スコン」と発音する」という意見を信じている人も多いようですが、「ジ・オックスフォード・コンパニオン・トゥ・フード」によれば、スコットランドやイングランド北部では「スコン」で、南部では「スコウン」と、地域によって発音が分かれる、という考えかたが優勢のようです。いずれにしても、日本式の「スコーン」はイギリス英語ではないようです。
チーズ・スコーンの作り方
(6個分)
材料
- セルフ・レイジング・フラワー...235g
- バター(またはマーガリン)...59g
- チェダー・チーズ...74g
- セミ・スキムド・ミルク...142ml
作り方
- ボウルに入れたセルフ・レイジング・フラワーにバターを入れ、指先を使ってそぼろ状になるまで混ぜる。
- チーズ削りで細かく削ったチェダー・チーズを❶に混ぜる。
- ❷にセミ・スキムド・ミルクを少しずつ様子を見ながら混ぜ、やや軟らかめの生地になったら、打ち粉をしたまな板の上に置く。
- 生地を軽くこね、2センチメートルくらいの厚さにして、直径6センチの型で抜く。
- 220℃に予熱したオーブンで約10分焼く。表面がきつね色になり、生地がよく膨らんでいたら出来上がり。
memo
表面にも卵液を塗らないので、ツヤはありませんが、それがかえって英国のカントリー風スコーンという雰囲気になります。余ったミルクがあれば、焼く前に表面にそれを塗っても。