第22回 ダンサーの「踊りたい精神」
8 March 2012 vol.1342
皆さんも一度はお耳にしたことがあるでしょう。スイスのローザンヌと呼ばれる小さな町で、年に1度開催されるローザンヌ国際バレエ・コンクールのことを。
このコンクールは、15歳から18歳までを対象としており、才能豊かな若いダンサーをプロの道へと進めるようサポートするため、入賞者には奨学金と、世界の著名バレエ学校への1年間の留学やバレエ団への研修が副賞として与えられます。
今年はその創設40周年を記念して、世界各国のバレエ団からゲストを招き、コンクールの後日に過去の受賞者たちを中心としたガラ公演が行われました。
ローザンヌ国際バレエ・コンクールの後日に行われたガラ公演にて
そしてそのガラ公演に、過去の受賞者であり審査員を務めたこともある主人と一緒に私も招かれ、踊る機会に恵まれました。
うれしいことに、ガラ公演前日のコンクールでは日本人の出場者が1番でスカラシップ賞を受賞したのに加え、ガラ公演では出演者の4分の1が日本人と、日本人が大活躍! バレエの世界はとても狭いので、日本人出演者とは全員顔見知りです。留学生時代の同級生や、以前所属していたバレエ団で一緒だったダンサーたちなど、旧 知の仲間との舞台はとても活気があるものになったと思います。
プロフェッショナルのバレエ団に入団する第一歩として、バレエ界でとても大きな意味を持つこのコンクールには、毎年何百人もの応募があります。書類とDVD 審査で通った応募者の中から最大80名が選抜され、次にその中から決勝への進出者20名を5日間かけて選考。そして最後に受賞者が選ばれるという、とても厳しいものです。
今年は特別に審査員全員が過去の受賞者でしたので、出場者と同じ立場を経験している彼らにしてみると、ダンサーたちの将来が自分たちの手に掛かっているという思いから、かなりのプレッシャーがあっただろうと思われます。
そのせいでしょうか、ガラ公演の後に行われたパーティーで、審査員の方ほぼ全員(2名を除く)が、狂った様に踊り出したのです……。
もちろん審査員の方々の中には、まだ現役で踊っていらっしゃる方もいますが、半数は引退してからかなり時間が経っている方々。やはりダンサーの「踊りたい精神」は、いくつになっても変わらないものだなあとしみじみ思いました。
ガラ公演の出演者たちとモナコ公国のプリンセス・カロリーヌを囲んで
それにしても、審査員の方々のエネルギッシュな踊りはこちらが呆然としてしまうぐらい素晴らしいもので、普段の真面目そうな顔とは大違い……。もしかしたら、ガラ公演よりもおもしろいのではないかと思うぐらいでした。