日本経済新聞社が23日に「フィナンシャル・タイムズ(FT)」紙を親会社の英出版大手ピアソンから買収することで合意したとの報道を受けて、英各メディアはこの買収案件の展望について論じた。
「ガーディアン」紙は24日付の社説において、この買収が「失敗する可能性と同じくらい成功する可能性がある」との持論を展開している。同紙は、日本の大手紙が「腐敗はしていない」ものの、日本の文化の特徴として「(他者または権力に対して)敬意を表する」傾向があると指摘。一方でアングロ・サクソンのジャーナリズムの伝統は「何に対しても敬意を示さない」という違いがあると伝えた。ただそうした課題を鑑みた上でも、資本を持つ日経新聞と世界的な読者層を持つ英語媒体で専門的な知識を持つFT紙が組めば、「デジタル時代においても質を確保することで利益を上げるメディア事業を構築することができるかもしれない」と結んでいる。
また「タイムズ」紙は、かつてオリンパスの社長を務めていたマイケル・ウッドフォード氏の見解を掲載した。自身が同社の粉飾決算を告発した際に、FT紙はその事実をすぐに報道したのに対し、日経新聞は「オリンパスの広報室のように振る舞った」と主張。今回の買収によって、FT紙は日本企業に対して批判的な記事の掲載に消極的になるのではないかとの懸念を示している。
さらにBBCの看板記者であり、かつてFTにも勤務していたロバート・ペストン氏は、FTがもはや英国のものでなくなり非常に悲しい」とのコメントをツイッター上で発表。「デーリー・メール」紙のアレックス・ブラマー記者は、本買収に関するオンライン上での記者会見において「日本の記者からは質問が一つも出なかった」と指摘した上で、日経新聞の経営陣たちは果たしてFT紙の価値を理解しているのかと疑問を呈している。
Fri, 08 November 2024