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Wed, 20 November 2019

小林恭子の
英国メディアを読み解く

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi 在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社)など。

気候温暖化に反旗を翻す Extinction Rebellion 思い切ったデモ運動で注目を集める

ここ数カ月、ロンドン市内で派手な抗議運動を行っている人たちが目に付くようになりました。俳優エマ・トンプソンやベネディクト・カンバーバッチが支援していることでも知られている、気候変動の危機を訴える「ExtinctionRebellion(絶滅への反抗)」(略称「XR」)という運動の活動家たちです。

今年4月には、11日間にわたってウォータールー橋、国会議事堂前のパーラメント広場、オックスフォード・サーカスの路上に夜通し居座り、道路を占拠。駐車中のトラックの車体に自分の身体をチェーンで固定したり、首相官邸の外では偽の血液をバケツでまいたりしました。10月のデモでは地下鉄の電車の上に乗ったり、補修工事中の時計台ビッグ・ベンにボリス・ジョンソン首相の扮装で登ったりした男性もいました。

皆さんの中にも、路上で活動家のパフォーマンスを目撃した方、あるいはデモに参加した方がいらっしゃるかもしれません。交通麻痺で不便な思いをした方もいらっしゃるでしょう。4月、筆者自身も抗議デモに出くわしましたが、当時警察はデモを静観している様子で、和やかな雰囲気を感じました。でも、次第にデモが過激化・長期化してくると、日常生活に支障をきたすことを理由に市民の不満も高まってきます。ロンドン警視庁によると、これまでの警備費用は3700万ポンド(約52億円)を超え、今秋のデモだけで1828人が逮捕されたそうです(164人が起訴)。

XRは昨年結成された運動で、各国政府が「気候および生態圏の緊急事態」を改善するためにすぐに行動を起こすことを求めています。ウェブサイトによると、「暴力を使わない、直接的な行動」が基本です。具体的な要求は3つです。政府が、①気候および生態圏が緊急状態にあると宣言し、真実を伝える、②生物多様性の損失を停止させ、温室効果ガスの排出を2025年までにゼロにする、③気候及び生態圏の正義についての市民会議を立ち上げ、その決定の下に行動すること。

BBCの見立てによると(BBC ニュース、10月7日付)、②の実現は相当厳しいようです。空の旅に大きな制限かかることになりますし、食事習慣の変更や再生エネルギーの大規模な拡充が必要とされます。現在、政府によるゼロ排出の目標年は2050年です。

日常生活に支障が出るほどのデモを実行するXRに対し、一部では不満が出ていますが、支持は若い層ほど高いようです。調査会社「YouGov」の4月の調査によれば、18歳〜24歳の若者の47%がXRの過激デモを支持したのに対し(賛同しないは42%)、50~65歳では36%、65歳以上では28%になっています。

若者の環境活動家と言えば、著名なのがスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)ですよね。9月23日、米ニューヨークで開催された国連気候行動サミットでのスピーチが大きな注目を浴びました。トゥンベリさんは、「あなたたちを注視している。私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない」と涙ながらに地球温暖化対策の強化を指導者たちに訴えました。

その演説の前後となった9月20日〜27日にかけては、世界185カ国で760万人以上が参加した「グローバル気候ストライキ」が行われています。きっかけはトゥンベリさんの「気候変動のための学校ストライキ」。トゥンベリさんは、2018年8月、地球温暖化に対する政府の無策に抗議するために、学校を休みスウェーデンの国会議事堂前に座り込みました。スウェーデンの総選挙が始まるまでの3週間、毎日座り込みをしましたが、選挙後は毎週金曜日にストを続行。これが世界中に広まって、「未来のための金曜日」のストが各地で行われるようになりました。

私たちは今、「自分には何ができるか」を考える時にきているようです。

キーワード

UN Climate Action Summit(国連気候行動サミット)

2019年9月23日、国際連合(UN)加盟国の各国首脳らが地球温暖化対策について議論するため集まった会議。77カ国が2050年までに、温暖化の原因とされる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げた。主要排出国である米国、中国、インド、ロシア、日本は含まれなかった。日本政府は、今世紀後半のできるだけ早期の実現を目標としている。

 
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