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Tue, 22 October 2019

小林恭子の
英国メディアを読み解く

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi 在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社)など。

異例の暑さで水利用に制限、ホースの使用禁止も
- 水道管の水漏れはどうなる?

この夏、世界各地で異例の暑さが記録されるなか、英国では、「いつ散水用ホースが使用禁止になるか」が国民の大きな関心事になりました。

もし禁止になった場合、例えば、庭で育てている植物や野菜にホースを使って散水ができなくなります。また、子供用ビニール・プールに水を入れる、車庫の前や路上での洗車、家の外壁や窓ガラスの洗浄などにもホースは大変便利ですが、これが禁止となれば、夏ならではの様々な活動が制限されてしまいますね。

でも、ホースを使うことでどれだけの水が流れるかを知ると愕然とします。ホースを1時間使ったときの水量は540リットルに上るそうですが、これは4人家族が1日に使う量と同じだそうです(「ガーディアン」紙、7月17日付)。また、スプリンクラーを使って一晩中芝生に水をまいた場合は、4人家族の1週間分の水使用量に相当します。「英国水道業界調査」によると、ホースの使用禁止により水の使用量を5~10%減少させることができるそうです。実際に、今年これまでにホースでの散水が使用禁止になった地域は、北アイルランド地方(6月末~7月末)、アイルランド半島南部のアイルランド共和国(7月~8月末)、英領マン島(8月)など。イングランド地方でも北西部で禁止となるはずでしたが、これは辛うじてまぬがれました。

バケツを使わず、ホースでジャージャーと水を流しながら洗車をするのは英国でよく見る光景ですが、こうした習慣が生まれた背景の一つには、水道料金が定額だったからということもありそうです。家屋資産評価を基準に水道料金の請求額を決めていたので、メーターの設置は不要でした。どんなに使っても水道料金が変わらないのであれば、気にせず使ってしまいますよね。ただ現在はメーターを設置する家庭が年々増えており、イングランド・ウェールズ地方に限ると40%に上っています(同地方の水道サービス規制庁「オフワット」調査)。

では、ホースでの散水使用が禁止された場合、全体でみるとどれほどの節約効果があるのでしょう? 「エネルギー節約トラスト」の調べによると、国民一人が1日に使う水の量(約142リットル)のうちで、庭にまかれる水はほんの1%、洗車に使う場合も1%に過ぎないそうです。

実は問題は別のところにありました。英国国内で公共利用のために供給される水の23%が水道管からの水漏れが原因で無駄になっているのです(BBC ニュース、8月6日付)。英国を含む欧州29カ国との比較でみると、英国の水漏れ率は高くも低くもなく、最も比率が高いのはアイルランド(45%以上)、10%以下はデンマーク、ドイツ、オランダでした(「Eur Eau」調べ)。水漏れが生じるのは、水道管の老朽化、急激な気温の変化や交通量の多さによって路上にかかる圧力などが原因で、水漏れを防ぐことが水道業者の課題の一つになっています。

「オフワット」の調べによると、現在イングランド・ウェールズ地方の水道管から漏れている水の量は、計測開始の1994年から1995年の1年で比較すると38%も減少しているそうですが、水漏れがあること自体が問題ですので、「オフワット」は各水道会社に水漏れ減少目標を作らせています。

同地方の水道会社20社の中で、特に成績が悪いのがテムズ・ウォーター社です。目標に達しなかったことを理由に、「オフワット」に1億2000万ポンド(約172億円)の罰金を科せられました。同社は3年間で2億ポンドを投入し、ビクトリア朝時代に敷かれた水道管を新しくするなど、水漏れを防いでいくと約束しています。

最後に「オフワット」による、水節約のためのアドバイスをあげておきましょう。「歯磨きの際に水を流しっぱなしにしない」、「洗濯機や食器洗浄機は汚れ物がたまってから使う」、「水漏れしている蛇口は修理」、「雨水をためる」などです。

キーワード

水道サービス規制庁「オフワット」
(Ofwat - The Water Services Regulation Authority)

イングランド・ウェールズ地方における水道料金・サービス水準を監督・規制する組織。1989年、同地方の水管理公社が民営化された際に発足し、高い水質と効率的なサービスが適正価格で利用者に提供されるよう活動している。スコットランド地方と北アイルランド地方では水道事業は公営となっている。
 
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