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Fri, 29 March 2024

小林恭子の
英国メディアを読み解く

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi 在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社)など。

The Times
「タイムズ」紙 3月16日

ロシアは代償と向き合うべき

親露派の地滑り的勝利に終わったクリミアでの住民投票の結果は事前から予期されていた。しかし、その結果に法的な妥当性はなく、投票前からクリミアを掌握したロシアの行為を正当化するわけでもない。ありもしない脅威からロシア系住民を守るという口実の下で、武力で一方的に東欧に新たな国境線を引いたのだ。その過程で国際法の基本的な原理を侵害し、ウクライナの統合性を守るという自らの公約をも反故にした。ロシアはその代償と向き合わなければならない。


The Guardian
「ガーディアン」紙 3月16日

無意味であると同時に重要

クリミアの住民投票は、無意味とも、重要であるとも捉えることができる。住民投票がウクライナの法律に適合せず、軍事占領下で実施され、国際社会もその結果を尊重しない見込みであるという点においては無意味だ。しかし、プーチン露大統領の本性を垣間見せたという点では重要である。メルケル独首相は、プーチン大統領が方針を変更しない限り、ロシアは甚大な経済的及び政治的損害を被る恐れがあると警告している。新たな東西分裂の危機が迫っているのだ。


The Independent
「インディペンデント」紙 3月16日

ロシアの衰退は不可避

衰退期に入った大国の支配者は、名声を取り戻すために、ときに短期的かつ印象に残る戦争を仕掛けようとする。普仏戦争に敗れたナポレオン3世然り、ボスニアを併合したオーストリア=ハンガリー帝国然り。クリミアに対するロシアの脅威も、強国の虚栄心の表れであり、望む結果を達成できない見込みが高いという点において過去の例と同様である。今回の行動によって、ロシアが刻一刻と差し迫る衰退への道をたどることは不可避であるように見える。


 
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