物件購入に関する注意事項

英国で家を購入するに当たり、頭金はどれだけ用意しなければならないのか。
準備にはどれぐらいの期間を見ておけばよいのか。
弁護士と相談する上で気を付けなければならないこととは？
── 英国で不動産を購入する際の注意事項を以下にまとめた。

英国では、物件を探し、購入し、内装を施し、お住まいになるまで3～4カ月位はかかります。

購入者がファースト・タイム・バイヤー（初めて家を購入する人）であり、また購入物件にご自分でお住まいになる場合、物件の価格にもよりますが、最低購入価格の20%位のデポジット（頭金）が必要です。

投資家がBuy to Let（賃貸目的）で購入する場合は、購入価格の30％以上のデポジットが必要になります。

レジデント（英国の永住権・市民権保持者）の方には、銀行が年収の3～4倍の金額に相当する住宅ローンを貸します（ただし、最低3万ポンドの年収が必要です）。英国在住のノンレジデントの方も、年収や残りのビザの期間にもよりますが、住宅ローンを受けることが可能です。

日本在住のノンレジデントの方には、英国の銀行がローンを貸しませんので、現金購入しかありません。

住宅ローンの期間は50歳位の方で25年間、50歳以上の方で20年間位が一般的です。

審査条件は、最低2年間以上、同じ会社で勤務していることに加えて、十分なデポジットがあることを最近3カ月間のバンク・ステートメント（銀行の取引証明書）で証明する必要があります。

日本在住及び英国在住の自営業の方に対しては審査が厳しく、過去2年間に十分な収入があることを証明しなければローンを受けることは困難です。

物件を探す前に、英国の銀行に対し、十分な資金があることを証明し、銀行からのローンの確約を取り付けてください。日本にお金があっても購入資金とは見なされません。

購入目的にもよりますが、投資を目的とされる場合は、最低10年間は購入物件を保有することを考えてください。

最初に予算、エリア、目的を決め、エージェントに登録し、物件を探してください。

銀行は購入価格ではなく、彼らが査定した評価価格の90％位しかローンを貸しません。

気に入った物件を見つけたら、エージェントを通してなるべく早くオファーをして、交渉を開始してください。

価格が同意されたら、エージェントがメモランダムを作成し、売主、買主双方の弁護士に送り、購入手続きが始まります。

たとえどのような理由であれ、購入できなかった場合でも、実施された購入手続きに関しては弁護士費用が発生します。

売主と買主の弁護士が所有権の確認などを手紙のやり取りで手続きしていきますので、購入手続きには予想外に時間がかかります。

購入者は不動産鑑定士に依頼して、物件の状態、購入価格が適正か否かといった点を調べます。こうした点を調査した「ホームバイヤー・レポート」は、調査日から10日後位に送られてきます。

購入価格の10％を頭金として支払う仮契約（exchange of contract）をするまでに、早くても6週間以上はかかります。

仮契約前の手続き中には、物件に関して予想外の色々なことが起こりますので、注意してください。

英国は契約社会なので、双方が契約書にサインするまでは安心できません。ときにはより高いオファーを出した買主に横取りされる「ガザンピング」が起こることもあります。

仮契約終了後、一般に現金購入者は2週間以内に、ローン購入者は4週間後位に残金を支払います。

残金支払い終了後、1週間後位に弁護士から購入にかかった「コンプリーション・ステートメント（経費明細書）」が送られてきます。登記所からは6週間後位に新しい登記原本が届きます。