「X」占拠のポップス界
「ハレルヤ! アイム・オン・トップ・オブ・ザ・ポップス」。「ガーディアン」紙が、「Xファクター」ファイナルの翌々日に、丸ごと1ページ割いて、勝者アレクサンドラ・バーグ(20)を紹介したタイトルがこれだ。中身を読んでいくと、この国民的 オーディション番組に対して皮肉を込めて題したのではなく、「ワールド・クラスのスター誕生!」と肯定的に捉えたものだったから、二重の驚き。
なんでも、1200万人が視聴し、そのうちの800万人が投票したというから尋常じゃない。記事によれば、04年スティーブ・ブルックシュタイン、05年シェイン・ウォード、07年レオン・ジャクソンら、視聴者の判断ミスで勝った輩とは違って、アレクサンドラの優勝は、06年のレオナ・ルイス同様、業界、メディアもろとも万々歳ということらしい。因みに、「X」のパロディー番組「Peter Kay's Britain's Got the Pop Factor……」(全19単語あって書ききれない)で、コメディアン、ピーター・ケイ扮する性転換者ジェラルディーンがリリースした偽優勝者曲が、昨年同時期に出たジャクソンのシングルを抜いて全英2位。まだ、英国にも良心はあった。
アレクサンドラに対しては、既に「16歳で既婚者と不倫し、相手の家庭を壊した」「元カレによるセックス・テープ流出!?」といった、タブロイド恒例の汚点ばらしがあったが、「そんな記事は読まないことにしている。読んでないことには、傷つかないから」という真偽を避けた模範解答で、今のところはなんとなくうやむや。そりゃそうだ、メディアだって、彼女に投票した延べ数百万人を敵に回したくはないもの。いつまで効力があるかは別だけど。