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Sun, 24 November 2024

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

持続可能な選り抜き移民制度

キャメロン政権に移行して以来、政府は厳しい移民削減政策を敢行しており、欧州経済領域(EEA)国の出身でない私たち日本人は、その政策に多大な影響を受けています。

そして先月2日には、ダミアン・グリーン移民担当閣外相が、新たに「持続可能な選り抜き移民制度」を構築していくことで、最も優秀な人材だけが移民として英国に受け入れられるよう、今後も移民削減政策を推し進めていくと改めて明言しました。

同相はこの席で、移民関連の討論がさらに盛り上がりを見せることを望んでいるとともに、移民制度がどういった形でなら英国の国益となり得るのか、といった議題について、世論がますます形成されていくべきだとしました。

さらに、英国が必要としない移民の流入を制限すると同時に、英国が望む優秀な人材を引き付けるため、彼らにさらなる選択肢を用意できるよう改革を進めていくとし、次のように話しました。

「我々は、適切な数の移民を受け入れていくということだけでなく、どんな人々が入国してくるのかを常に把握していなければなりません。これは、英国で生活することで自らの益を得る移民たちについてだけでなく、英国の国益となる移民についても言えることです。

我々は、移民数を削減した上で、今後もこの数をさらに縮小していくことが可能なシステムの基礎を構築しました。移民政策を、英国のためになるものへと変えるときが来たのです」

政府は現在、移民の年間総数を10万人単位から1万人単位に減らすための政策を推し進めています。最近発表された四半期の統計では、EEA諸国以外からの労働者と学生らに対しとった削減政策の結果が、既に出ているとされます。

そして今後まもなく、扶養家族に関するビザにも変更を加えるほか、短期滞在者と永住者の明確な差別化を図る目的で、定住権についての改革も行うとしています。

さらに、学生ビザの悪用を完全に払拭する方針であるほか、高度技能移民の年間総数についても再検討中であるとのこと。また、この政策を長期的に推し進めていくとともに、現在の「ポイント・ベース制」は、今後、英国への「貢献度ベース制」に改められるべきだとしました。

こういった新たな改革は既に始まっています。既に存在する、エンターテイナー、研修生、リサーチャーなど向けのルートと同様に、企業家、投資家、類まれな才能を持つ人材向けには、さらに選択的なルートが考案されています。

また同相は、海外からの留学生向けに、新たなルートを開設することも認めています。このルートは、在学中に革新的な活動を行い、卒業後もその活動を続けることでビジネスを展開していきたいと願う学生たちのためのものです。このほかにも、世界トップクラスのビジネス・パーソンを英国へと誘致するため、短期の就業者及び企業家についても同様の改革を実施するとしています。

移民削減政策によってますます狭き門となる渡英への道。しかし、確固たる目的を持ち、心から渡英を望む人たちにとっては、またとないチャンスとも言えます。準備不足や理解不足でせっかくの機会をふいにすることがないよう、申請手続きは専門家と二人三脚で、着実に進めることをお勧めします。

 

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

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