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Sun, 24 November 2024

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

英国人、またはEEA諸国民との離婚

今回は、英国人、もしくは欧州経済領域(EEA)の国籍保持者との婚姻(パートナー)関係を結び英国に滞在していたにもかかわらず、何らかの理由でその関係を解消せざるを得なくなり、離婚してしまった場合について見ていくことにしましょう。

英国人、もしくは英国に永住している配偶者、
または市民パートナーとの関係を解消した場合

もし2人の関係が、現在2年間とされている「配偶者ビザから永住権を申請できるまでの期間」内に解消された場合、その事実を英国国境局に知らせる必要があります。現在の状況と、今後も英国に滞在を希望するのか、それとも帰国するのかを報告すると、滞在許可をそのまま有効とするか、それとも無効とするかを、英国国境局が検討します。

ここで一つ気を付けたいのは、関係が解消された場合、スポンサー側である英国人や英国に永住している元配偶者 (パートナー)にも英国国境局への報告が推奨されているため、「黙っていれば分からないだろう」といった考え方は通用しないということです。元配偶者(パートナー)が通達したにもかかわらず、当人側からは何の音沙汰もなかった場 合、国境局側に不審な点があると見なされ、滞在許可を無効とされる可能性もあります。配偶者(パートナー)との関係が壊れてしまった場合には、いち早く専門家の判断を仰ぐのが賢明でしょう。

また、現時点で2年間とされている「配偶者ビザから永住権を申請できるまでの期間」は、現在その有効期間の延長が検討されています。今後、政府の判断によっては5年間になる可能性も出てきており、制度変更のタイミングにも注視が必要です。

短期滞在許可を得て英国に滞在している配偶者、
または市民パートナーとの関係を解消した場合

上記の場合で、当人が「短期滞在者の配偶者、またはパートナー」という形で短期滞在の許可を得ていた場合、残念ながら、即刻の国外退去が求められます。

欧州経済領域(EEA)諸国民である配偶者、
または市民パートナーとの関係を解消した場合

もし上記の関係が、英国外で取得した場合6カ月間(英国内取得の場合は5年間)有効とされる「EEAファミリー・パーミット」の保持期間内に解消された場合、即刻の国外退去が求められます。ただし、自立した生活を送ることができるのを前提として、5年間有効のレジデンス・カードや、その後10年間有効とされるパーマネント・レジデンス・カードを既に取得している場合、また離婚協議に入る以前に3年間以上の結婚生活を送り、そのうち少なくとも1年間は同居していた場合、そのほか、子供の親権を持っている場合などにおいては、「Retain right of residence」、即ち、英国に引き続き滞在する権利を獲得することができます。また、家庭内暴力によって離婚を余儀なくされた証明ができる場合も、状況に応じて滞在許可が下りる可能性があります。

渡英移民にとっては酷な政策を政府が推し進める昨今、英国民やEEA諸国民との関係を解消した移民には、厳しい現実が立ちはだかっています。しかし、英国が既に第2の母国となっている状態で強制退去を促されるというのは、全くもって理不尽というもの。将来を自分の手で構築するためにも、専門家と相談して最善の道を選択することをお勧 めします。

 

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

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