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Thu, 21 November 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

ウーリッチ地区での英兵刺殺事件


The Times
テロは無益と知らしめよ

世の理解を得られないからこそ、テロリストは劇的な効果を好む。反イスラムを掲げる過激派が反応を示せば、結局はテロリストたちの思うつぼとなってしまうのだ。若き父親が惨殺された際に冷静沈着でいるというのは難しい。しかし事件現場で被害者の遺体を見守り、犯人と対峙さえした数人の勇敢な女性たちは、沈着に振る舞ったではないか。テロが悪であるのは明白だ。加えて私たちは、テロ行為が無益であることをテロリストたちに思い知らせる必要がある。(5月24日)


The Observer
容易に説明がつかない事象もある

事件直後こそ人々の間には共通の怒りが芽生えたものの、時間が経過するにつれてその結束は崩れた。そして過激派の聖職者、警察、左翼、右翼、諜報機関、メディア、インターネットの責任を追及する声が高まったのである。しかし、非難はそれほど役には立たない。事件の背景を探ろうとする向きもあるが、現実の世界では容易に説明のつかない出来事が起こり、大義なくして罪を犯す者 がいる。不屈の精神を保ち、用心する以外には解決策がないこともあるのだ。(5月26日)


Independent
自由が損なわれてはならない

うんざりした気持ちを抱く一方で、法を破らない限りは一定数の極右たちが意見を表明する自由は確保されるべきである。この事件によって英国を分裂させたり、不寛容な国へと変えてはならない。陰惨な事件現場に居合せた目撃者たちの行動に象徴されるように、大部分の一般市民たちは驚くべき勇敢さと人間性を示した。本事件の恐怖ときちんと向き合えるようになった際にも、私たちはこの勇敢さと人間性を最も大切なものとして心の中に保ち続けるべきだ。(5月23日)

 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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