カンパニーハウス(企業登記局)によるシステムの全面的な見直し
私は自分の経営する会社が、財務諸表を以前よりずっと早く提出することが必要になると聞いていますが。政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は最近、ほかのさまざまなことと併せて、公開企業の財務諸表提出期限を6カ月から3カ月に、非公開企業の提出期限を9カ月から6カ月に、それぞれ短縮する提案を含めた意見公募を実施しました。
まだ何も確定していませんが、今後数年以内に変更される可能性がかなり高くなっています。
これにより、法人税申告の期限も変更されますか。歳入関税庁(HMRC)は最近、法人税申告の提出日を財務諸表の提出日に合わせる提案を含めた別の意見公募も実施しています。両方の提案が実施された場合には、法人税申告の提出期限もそれぞれ3カ月と6カ月になります。この期限は現在、どの企業でも12カ月のため、非常に大きな変更になります。
意見公募での「ほかのさまざまなこと」とは何ですか。いくつかのなかで重要なのは、デジタル提出です。この変更は、将来的に企業がカンパニーハウス、HMRC、そのほかの当局に別々に財務諸表を提出するのではなく、政府に1回提出するだけになる可能性があります。全ての企業は、機械読み取り可能なフォーマットで、カンパニーハウスにデジタルで財務諸表を提出することになります。タグ付けの基準を拡大して財務諸表の比較と一括分析を簡単にできるようにし、統計的な数値と分析の数値を向上させるために追加情報が求められる可能性もあります。また、提出に際して中小企業が利用できる選択肢も検討中で、これまで中小企業が提出していなかった損益計算書(P&L)の提出義務が始まる可能性が高まっています。
/ほかに重要なことはありますか。カンパニーハウスをよく利用する方なら、時として質の悪い情報や明らかに虚偽の情報でさえ登記簿に簡単に入り込むことに驚いているかもしれません。今回の提案には、カンパニーハウスの権限を拡大し、登記簿への記載前に情報を照会して確認し、虚偽または不正確な情報を調査して削除する大きな権限を導入することが含まれています。
この提案の一つとして、取締役はその身元が確認されるまで任命できなくなります。同時に、企業が取締役について独自の登記簿を保持する必要はなくなり、企業の公的登記簿が取締役に関する唯一の確認済みの情報源となります。カンパニーハウスの情報の透明性と品質を向上させる取り組みですが、適切なバランスが取られることを望みます。
非常によく分かりました。では、そのほかに何か提案がありますか。さまざまな点がありますが、なかでも不透明な企業の構造に対処する提案がたくさんあります。 現在の法律では、企業の取締役会では最低1人の取締役が「自然人」つまり実際の人であることを義務付けているだけで、「法人取締役」と呼ばれるほかの企業または法人の取締役の数は自由です。政府は、ドイツや米国のように、英国企業が取締役会にこうした「法人取締役」を任命することを禁止すべきかどうかを検討したいと考えています。
ジョン・フィッシャー
パートナー
Ernst & Young、野村證券を経てグリーンバック・アランへ。会計技術はもちろん、高度なビジネス日本語を操り、日系顧客から大きな信頼を寄せられる。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。