FRS102におけるのれん以外の無形資産
無形資産は複雑な会計上の問題となることがあります。FRS102(財務報告基準102号)は、セクション18で「のれん以外の無形資産」を扱っています。
無形資産とは何ですか。
FRS102では無形資産を「物的な実体のない識別可能な非金銭的資産」と定義しています。このような資産は、次の場合に識別できます。
- 分離可能である。単独または関連する契約や資産、負債などとともに事業者から分離または分割され、売却、譲渡、ライセンス供与、賃貸、交換される可能性がある
または、
- 契約上の権利またはそのほかの法的権利から生じるもので、それらの権利が譲渡可能であるか、または事業者あるいはほかの権利や義務から分離可能であるかは関係ない
FRS102では、事業者が無形資産を認識するのは、予想される将来の経済的便益が事業者に流入する可能性がある場合、および資産の費用または価値を信頼性をもって測定できる場合に限ると述べています。
無形資産に対する全ての支出を資産計上できますか。
無形資産の開発プロジェクトに着手する事業者は、支出を研究段階と開発段階で区別する必要があります。全ての研究費については、将来の経済的便益を生み出す無形資産がこの段階で存在することを事業者が証明できないため、発生時点で損益計算書に償却費として計上する必要があります。
開発費は無形資産として資産計上できますが、事業者には引き続き発生時点で費用を損益計算書で償却費として計上する選択肢があります。事業者は、次の全てを示すことができる場合に限り、開発から生じる無形資産を認識できます。
- 無形資産を完成させて、使用または販売できるようにするための技術的な実現可能性
- 無形資産を完成させ、それを使用または販売する意図
- 無形資産を使用または販売する能力
- 無形資産が将来見込まれる経済的便益の生み出し方
- 開発を完了し、無形資産を使用または販売するための適切な技術的、資金的、およびそのほかのリソースの利用可能性
- 開発中の無形資産に帰属する支出を測定する能力
研究段階と開発段階の活動の例はありますか。
FRS102は、内部プロジェクトの研究段階で発生した支出と見なすものについて、次のように有用な例を示しています。
- 新しい知識を得るための活動
- 研究成果やそのほかの知識の探求、評価と最終選択 、応用
- 材料、デバイス、製品、プロセス、システムまたはサービスの代替の探索
- 新規または改良された材料、デバイス、プロジェクト、プロセス、システムまたはサービスのために可能な代替の選択肢の策定、設計、評価および最終選択
FRS102は、開発活動と見なす例を次に示しています。
- 生産または使用前のプロトタイプとモデルの設計、建造、試験
- 新しい技術を使うツール、治具、金型の設計
- 商業生産用として経済的に実現可能な規模ではないパイロットプラントの設計、建設、運用
- 新規または改良された材料、デバイス、製品、プロセス、システムまたはサービスのために選択された代替の設計、建設、試験
イアン・ロウ
パートナー
会計監査部署に所属。25年以上の経験を様々なビジネスにて駆使し、また財務会計に関して企業の立場からアドバイスを提供する姿勢から、多くのクライアントの信用を得ている