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Sun, 21 July 2019

第116回 パブの看板とお雛様の位置

パブの看板は多種多彩、見ていてとても楽しいです。もともと中世のパブの入口にはワイン提供の目印としてブドウの葉のリースが掲げられていました。まるで日本の造り酒屋が、新酒が出来たことを知らせる杉玉を掲げるのとそっくりです。しかし1393年、リチャード2世が徴税のために、店名の看板を掲げるように命じます。彼の紋章は「白鹿」なので「ホワイト・ハート(White Hart)」の看板が流行。以降、王家に関連する「レッド・ライオン」や「ロイヤル・オーク」はパブ名の常連になりました。

ホワイト・ハート
リチャード2世の 勅令後、「ホワイト・ハート」という名前のパブが流行

その後、ヘンリー8世の宗教改革以降は、聖書や聖人にちなんだパブの名が「キングズ・ヘッド」に置き換わりました。また、ヘンリー8世は狩猟好きで、かつ王の祖母方のボーフォート家の紋章がグレイハウンド(猟犬)だったので、犬に関連するパブ名も増えます。産業革命時代は運河や鉄道、戦時中は軍隊の英雄たち、現代はスポーツや音楽関連が人気に。いずれも皮肉屋の英国人らしいパンチの利いたパブの看板が多いです。まさしくパブは世につれ、世はパブにつれ、世相そのもの。

宗教改革でパブ名も影響を受けた
ヘンリー8世 の宗教改革でパブ名も影響を受けた

さて、シティの勤務先近くのパブ「キングズ・アームズ」の看板は、ヘンリー8世の紋章。紋章を支える動物は向かって左にイングランドの象徴であるライオン、右にウェールズの象徴、ドラゴンです。紋章の盾の右左の位置は重要で、盾を持つ側から見て右(向かって左=デキスター)が夫の紋章、左(向かって右=シニスター)が妻の紋章を表します。右が優位とされるのは、騎士が武装したとき剣を右、盾を左に持ったことが由来のようです。

キングズ・アームズ
ヘンリー8世の紋章を配した看板「キングズ・アームズ」

紋章に限らず、国際儀礼では上位の者が右側に立ちます。3人の場合はスポーツの表彰台の通り、金メダルが真ん中、銀はその右、銅はその左です。英国で来客を迎える場合も、会議室の座り方も右上位。英国の国会運営も正面に議長が座り、その右側に与党、左側に野党が対峙して議論します。

英国会
英国会では、中央の議長席の右に与党、左に野党が座る

ところが日本の伝統では左が上位。天皇の玉座は北極星を背にして南に向かい、日が昇る東、つまりその左側が上位、右側の西が下位です。左大臣は右大臣より偉く、国会議事堂の左に参議院、右に衆議院。能や歌舞伎も落語も舞台からみて上手(かみて)は左。漫才のボケ役は下手(しもて)に立ちます。京都雛が左(お雛様に向かって右)に男雛を置くのも納得です。ところが昭和以降、国際儀礼を取り入れて逆配置が増え、お雛様も世につれています。

国際儀礼
右(向かって左)に男雛、左に女雛は、国際儀礼を取り入れた逆配置

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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