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Mon, 21 October 2019
キャビネット 山中朋子さん ファッション・ブランド
「キャビネット」デザイナー
山中朋子さん

[ 後編 ] ブランド「ルベックセン・ヤマナカ」を経て、個人で「キャビネット」を立ち上げた山中朋子さん。数々のコレクションを行う一方で、ニット製品の生産に関し、疑問を感じるようになってくる。そんなとき、とある偶然が一筋の光を与えることに……。全2回の後編。
プロフィール
やまなかともこ - 神奈川県相模原市出身、ロンドン在住。ご主人の仕事の都合で渡英。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインのテキスタイル科でニッティングを学んだ後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのニットウェア科で修士号を取得。その後、2002年にノルウェー人デザイナーとともに「ルベックセン・ヤマナカ」ブランドを立ち上げる。2009年には個人ブランド「キャビネット」を設立。ロンドンのリヴィングストン・スタジオのほか、アーツ & サイエンス始め日本各地のセレクト・ショップでの取り扱いあり。
www.cabinetbyty.com
Livingstone Studio
36 New End Square, London NW3 1LS

 

新たな道を切り拓いたアルパカ

アルパカ ユニット・ブランド「ルベックセン・ヤマナカ」を軌道に乗せていた山中さんとヒルダさん。しかしヒルダさんが、父の死を経て、母親のいるノルウェーへ。相棒を失った山中さんは、個人ブランド「キャビネット」を立ち上げる。

初めての一人立ち。それまではニットがメインだったが、布製品を担当していたヒルダさんとの共同作業を経て、布に対する知識と経験を得ていたので、何とかブランドを回すことができた。しかし数年を経て、ニットの生産に関する疑問が生じてくる。「エコとか持続可能とか言いますが、オーガニックの糸を使いさえすればそれでいいのかな、と」。そんなときにまた、「たまたま」電話がかかってきた。キャビネットのウェブサイトを見たというその男性、アルパカを飼っているが、毛を使わないかと聞いてきたのだという。しかしコレクション準備で多忙を極めていた山中さんは、「毛を糸にしなければニットにはできない」と言って切ってしまう。

心残りに感じていたその3カ月後。休暇で訪れたコーンウォールで編み物屋さんを覗いていたとき、一人の婦人が毛を売り込んでいるのを目にした。近隣の農家と共有でアルパカを飼っているというその女性に、今度はすかさず「私に売ってください」とアピール。コテージに赴いてみれば、延々と草原が広がるダートムーアにある由緒正しい農家だった。その女性、ダイアンさんと意気投合した山中さんは、毛を糸に撚る工場探しをスタート。だが手間のかかるアルパカの糸作りを行っている工場はなかなか見つからず、結局スコットランドの夫婦経営の工場を探し当てた。そしてここで終わらないのが山中さんのすごいところ。そのころ、また一本の電話が。何と以前電話してきた男性が、「糸を作ったから見てくれ」と言う。「彼のファームにはアルパカが350頭ほどいるって。お金にもならないのに、なぜそんなにって聞いたら、オーナーがジェームズ・ヤングさんだと言うんです。全国各地にパブを展開して、ビールの醸造所も持っているあの『ヤング』。アルパカは趣味なんですって(笑)」。その後、彼らとのビジネスも始まった。

2シーズン目となる今年は、ウェールズにある、ヴィクトリア時代の紡績機を使う工場にサンプル作りを依頼。ダイアンさんの地元からは、近所のニッターさんたちが手作りした作品が持ち込まれ、山中さんのアドバイスを基に磨きがかけられる。「何から何まですべてローカル」と目を輝かせる山中さん。日本人の彼女を始点に、小さくでも着実に、メイド・イン・UKネットワークの輪が広がっている。

キャビネット2012秋冬ルック
2年秋冬のルック。左のニットはアルパカ柄がキュート

内を掘り下げ、外を広げる

これまで、自分の店を持ったことがない。「大きくすると制約が増える」から、今後も店舗を出すつもりはないと言う。「コレクションでは、自分の好きなものをつくる。その代わり、プロの方へのコンサルテーション業務をすることでビジネスのバランスを取っています」。

コレクションと並行して、日本の子供服ブランドやイタリアのニット会社などにロンドンのトレンドや次シーズンのコンセプトなどを提案・紹介する日々。英国内でローカルにこだわり、国外に英国ファッションの息吹を伝える彼女の今後の目標は、「今まで通り、自然に」。「たまたま」ばかりと恐縮する一方で、情熱と努力でチャンスをものにしてきた彼女が次に出合う「たまたま」は何だろう。

キャビネット2012秋冬ルック
同じく2012年秋冬物。
ボリューミーなものからすっきりデザインまで

 
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