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Sun, 24 November 2024

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

Life in the UKテストについて

7月1日付の「ガーディアン」紙は、欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ人が英国で市民権や永住権を取得する際に必要な「Life in the UK」テストの内容を、今年の秋に一部変更する予定であるという、テリーザ・メイ内務相の見解を報道しました。「Life in the UK」は政治や宗教、生活など様々なジャンルにおける英国についての一般常識テストで、2005年11月から市民権申請者を対象に、2007年4月からは永住権の申請をする際にも必須とされている試験です。

新テストの内容は、ウィンストン・チャーチル元首相や詩人のバイロン卿、近代看護教育の生みの親とも言われるフローレンス・ナイチンゲールといった英国の偉人に関する記述や、英国国歌「God Save the Queen」(女王陛下万歳)の最初の一節に言及するなど、これまでよりいっそう英国史に関する設問が増える予定です。これは、市民権や永住権を希望する以上、基本的な英国の歴史を知り、英国に対し愛国精神を持つのは当然である、という考えに基づいているのではないでしょうか。その代わりに、現在のテストに含まれている人権擁護法についての基礎知識のほか、福祉手当の受け取り方、区役所への連絡方法といった、実践的な事柄についての設問が削除されると言われています。英国国境局のスポークスマンはこの変更に関し、「英国人」として英国で生活していくつもりならば、この国の文化や歴史の基本を知るのは当たり前で、ガスのメーターの読み方などという日常生活に関することよりずっと重要なはずだと主張。しかし一部では、英国の歴史に関する内容にかなり偏りがあるという批判も聞かれるため、今年秋の変更実施までにいくつかの見直しがある可能性も高いと思われます。どちらにせよ、英国滞在を希望する移民に対しハードルを高くするための措置であることに違いはなく、受験者は心してテストに望むべきだと言えるでしょう。

この「Life in the UK」と呼ばれるテストは、2005年に当時の労働党政府によって導入され、以来、毎年約8万人が受験しています。設問は、146ページからなる公認ハンドブックから出題され、24の質問に対し二択あるいは四択で解答するスタイル。75%正解すれば合格ですが、「合格=永住権 / 市民権の取得」ではなく、このテストに合格することで、申請の権利の一部が得られるということなのでご注意ください。多くの移民関連の法律改正が行われていることに加え、「Life in the UK」テストの制度自体にも数々の変更がなされています。申請を考えている方は、早めに専門家に相談することをお勧めします。また、テストを受けた結果、不合格となり、再試験が必要となった場合には前回受験したときから少なくとも7日間が経過していなければならないなど、留意すべき点も多くありますので、ビザ申請の時期を考慮した上で受験の計画を立てる必要があります。こうしたことなども、専門家のアドバイスを受けながら進めていけば後になってあせることもなく、安心できます。

ここ数年、移民法案は改正を繰り返しています。英国国境局によって現在も大小の様々な変更がなされており、EEA以外の国籍を持つ人にとっては厳しい時期であるといえるでしょう。確実なビザ取得のためにも、手続きは専門家と二人三脚で、取得のタイミングなどを熟慮しつつ、計画を立てて着実に進めることをお勧めします。

 

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

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