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Fri, 22 November 2024

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

RBSのCEO賞与辞退


The TimesThe Times
ビジネス界への最悪のメッセージ

RBSのCEOであるスティーブン・へスター氏への賞与支給の是非をめぐる論争を通じて、英国は起業家たちなどに対し、次のようなメッセージを送ったことになる。「巨額の給与を得る者に対して我々は怒りを覚える。契約上 の義務なんて考慮に値しない。テレビの一般視聴者による公開討論や街頭調査で耳にした国民の意見を汲む形で給与は決められるべきなのだ。万が一、給与論争で自身が非難の矢面に立たされることになったら直ちに屈服せよ。その後で、あなたの同僚や部下までもが標的となるであろう」。そんな国で、一体誰がビジネスをしようと思 うであろうか。(1月31日)


The GuardianThe guardian
主要株主としての責任はどこへ

へスター氏は正しい決断を下した。しかし、政府の方針が混乱状態にあることに変わりはない。英国の納税者たちは、RBSが発行する株式の実に5分の4を保有していることになるのだから、政府は主要株主としての責任を果たすべきなのだ。主要株主ならば、銀行がどのように運営されるべきで、また賞与の支給はいかに行われるべきかといった条件を設定すべきであった。しかし閣僚たちも、また政府保有の株式を管理するために財務省が設立した機関も、この作業を行わなかったのである。(1月31日)


The IndependentThe Independent
むなしい騒動が繰り返されるだけ

保守党のオズボーン財相とヘイグ外相はヘスター氏の賞与辞退を歓迎し、さらに労働党のミリバンド党首は「正しい行為」であると評価した。大きな間違いである。閣僚たちは本件を政治的に問題視しようとする動きから逃れる ことができたから歓迎したのであり、また野党はこの問題を追及することで得点稼ぎに成功したから評価しているに過ぎない。ヘスター氏が賞与受け取りを辞退したところで、英国の財政問題は解決せず、金融界の悪しき慣行は改善されず、納税者たちがRBSから何らかの見返りを得られるようになるというわけではない。これから毎年、同様の騒動がむなしく繰り返されるだけであろう。(1月31日)

 

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

「フィナンシャル・タイムズの実力」(洋泉社)
日本経済新聞社が1600億円で巨額買収した「フィナンシャル・タイムズ(FT)」とはどんな新聞なのか? いち早くデジタル版を成功させたFTの戦略とは? 目まぐるしい再編が進むメディアの新潮流を読み解く。本連載で触れた内容に加えて、FTに関するあらゆることが分かりやすく解説されている一冊。

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