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Sun, 24 November 2024

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

スポンサー・ライセンス

● スポンサー・ライセンスとは

英国において、日本人を始めとする欧州連合(EU)以外の国籍を持つ外国人労働者を雇用する場合、雇用者は「スポンサー・ライセンス」と呼ばれる資格を内務省へと申請し、これを取得する必要があります。このライセンスを申請するに当たっては、税務に関する申告書の提出や、取得したライセンスを管理する担当者の決定など、様々な要件を満たさなければなりません。

● ライセンス取得後の管理

スポンサー・ライセンスは、一度取得してしまえば終わりではありません。むしろ、ライセンス取得後の管理の方が重要と言っても過言ではないでしょう。スポンサー・ライセンスの有効期間は4年間。その間は、内務省による監査の対象となります。近年では当局による取り締まりが強化されており、ライセンスを取得した企業や商店への監査がいつ入るかといった情報は直前まで通知されることはありません。場合によっては、事前連絡が一切ないままに、いきなり監査が入るということも決して珍しくないのです。このとき、適切な管理が行われていなければ、ライセンスはただちに剥奪されます。

そこで雇用者側は、急に監査が入ったときでも落ち着いて対応できるよう普段から必要書類の整備をしておくことが大切です。必要書類は、パスポートやビザ関連を始め、雇用契約書、勤怠及び給与支払い、受け取り情報など多岐に渡ります。また監査の際には監査官が任意に選んだ被雇用者と面接を行うことがあるので、普段から模擬面接などを行うなどの準備も必要です。

● 監視や取り締まりの強化

近年では内務省による監視や取り締まりが強化されており、法律を遵守していないと見なされた企業には、理由の如何を問わず、厳罰を科すようになってきました。また駐在員として日本から英国へと派遣された方々の多くが、Tier2と呼ばれる滞在許可証を取得しているかと思います。10月16日に発表された移民法の変更では、このTier2で充当される職の正当性を今後は一層厳しい目で確認する旨が定められています。

スポンサー・ライセンス制度が開始された直後には、各企業の管理職が、新社員の採用の検討を始めた段階から日常業務の空き時間を使って関連書類の用意を始め、ライセンスを申請して無事に取得したという例が多くありました。ただ雇用主に対する監視の強化が本格化している現在では、普段から万全の準備をせずにライセンスを取得または維持できない状況となっています。監査で提出を求められる書類は何か。被雇用者に関する情報はどのように保管そして更新すべきなのか。面接ではどんな質問をされ、どういった回答をすべきか。こうした一連の確認作業を、ほかにも大量に日常業務を抱える従業員が片手間で行うのはもはや不可能です。

スポンサー・ライセンスを失った企業は、英国において日本人を始めとする非EU国籍者を雇用できなくなり、その後の事業計画に大きな影響を与えます。また被雇用者の不安を増大させれば社内の士気が下がり、業績の悪化にもつながりかねません。UKビザでは監査立ち会いのサービスなども提供しています。スポンサー・ライセンスを申請する際には専門家と二人三脚で、できるだけ早い段階から準備を始めることをお勧めします。

 

 

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

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