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Sun, 12 July 2020

ロンドン妊婦のつぶやき

第20回 ベビー・ブルー

第20回 ベビー・ブルー

妊娠中は、無事に出産できれば、後はすべてハッピーで、悩むことなんて何にもない! と思っていた。出産前の両親学級で、postnatal depression(産後うつ)について長々と講義を受けたのだが、他人事のように聞き流していた。

ところが、実際に出産を終えた直後の数日間は、まさに涙、涙の日々だった。第一の打撃は、母乳が出なかったこと。お腹を空かせて泣いている子供がそこにいるのに、母乳を与えられないという劣等感に圧倒された。産後5日目にしてやっと母乳が軌道に乗り始めたが、今度は赤ちゃんの吸う力に負け、ひりひりと胸が痛くなり、1~2時間おきに繰り返される授乳が苦痛以外の何物でもなくなってしまった。

そして、1日20回はあるかというオムツ替えに疲労困憊。男の子なので、オムツを替えている途中で「小」がぴゅーっと飛び、私の服がぐっしょり、なんてことも少なくなかった。

極めつけは、夜間、授乳とオムツ替えと寝かしつけにてんてこ舞いでろくに睡眠がとれなかったこと。それに英国では、出産当日から母子同室なので、出産の疲れを癒す間もないまま、眠れない日々が襲ってくるのだ。

料理はおろか、歯を磨く暇さえないのに、母乳のためにまともなものを食べなくてはいけないというプレッシャーもストレスだった。カフェインは避けた方が良いから眠くても強いコーヒーも飲めないし。

産後、感情的になったり涙脆くなることをベビー・ブルーと呼ぶが、育児書によると、60~80%の人が出産直後にベビー・ブルーとなり、10~20%がそれより深刻な産後うつにかかるのだそうだ。特に最初の1~2カ月が辛いのだが、私は、周囲の先輩ママからの、「3カ月経てばいくぶん楽になるわよ」との励ましの言葉を自分に言い聞かせて何とかこの期間をしのいだ気がする。

子供を産むまでは、子育ては皆がしていることなので、そう大変なはずはないと思っていたが、大間違いだった。人が育つって、自然なことのようだが、絶え間ない労力を必要とするという意味では、非常に人工的なものだと思う。

赤ちゃん

 
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Mcleod 和子
英国の大学院に留学後、日本で会社員生活を送る。日本で出会った英国人と4年の交際を経て結婚。夫の転勤に伴いロンドンに移住した直後に妊娠が判明する。現在30歳。
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