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Fri, 18 October 2019

英国ニュース解説

最終更新日:2012年9月26日

「アーツ・カウンシル」の制度変更 - 公的助成金受給の芸術団体が発表に

「アーツ・カウンシル」の制度変更
公的助成金受給の芸術団体が発表に

英国では、演劇やミュージカル、コンサートや美術展などの芸術活動が盛んだが、こうした文化を支える大きな柱となっているのが政府からの助成金である。今回は、最近、政府の外郭団体が、芸術関連団体への助成金配分方法を変え、大きな話題になった件について取り上げる。

「アーツ・カウンシル・イングランド」の
「ナショナル・ポートフォリオ助成金」制度について

新たに助成金支給対象となった団体の一例

  • 「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル」(マンチェスターで開催されている音楽、演劇、コメディーなどの文化イベント)
  • 「オペラ・グループ」(ロンドンを拠点とするオペラ劇団)
  • 「レッド・アース・シアター」(ダービーシャー州にある劇場)

「定期助成金」制度では助成金が支給されていたが、
今回は支給対象から外れた団体の一例

  • 「リバーサイド・スタジオ」(ロンドン西部ハマースミスにある劇場)
  • 「ポエトリー・ブック・ソサエティー」(T.S.エリオットが設立した詩の愛好家の会)
  • 「ティンダル・ストリート」(バーミンガムを拠点とする出版社)

継続して助成金を支給されるが、
助成金額が大幅に減額された団体の一例

  • 「インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アーツ(ICA)」(ロンドン中心部にある文化施設)
  • 「アルメイダ・シアター」(ロンドン・イズリントン区にある劇場)
  • 「ニュー・シアター・ロイヤル」(ポーツマス市にある劇場)

継続して助成金を支給され、
かつ助成金額が大幅に増えた団体の一例

  • 「バービカン・アーツ・センター」(ロンドン中心部にある文化施設)
  • 「パンチドランク」(ロンドンを拠点にする劇団)
  • 「イングリッシュ・ペン」(文学、作家の支援団体)

アート
左) ロンドン中心部にあるICA
右)マンチェスター・インターナショナル・フェス テバルでの一コマ

「 アーツ・カウンシル・イングランド」が
助成金を配分している団体の分野別内訳(2009年度)

分野 助成金配分対象の団体数 全体に占める割合
コンバインド・アーツ* 153 18%
ダンス 70 8%
文学 59 7%
音楽 98 12%
演劇 214 26%
視覚芸術 183 22%
その他 59 7%
  836 100%

*「 コンバインド・アーツ」の項には、文化施設やフェスティバルなど、複数の芸術分野にまたがる団体など が分類されている。

Source: Arts Council England


ACEの予算は4年で3割減

「アーツ・カウンシル・イングランド(ACE)」は、3月末、2012年4月より同団体による助成金配分の対象となる芸術関連団体の名前と助成金額を発表した。ACEは、文化・メディア・スポーツ省(DCMS)の外郭団体であり、DCMSからの補助金及び国営宝くじの収益金を、イングランド内の芸術関連団体に助成金として配分している。これまでACEが配分する助成金のうち主たる位置を占め ていたのは、「定期助成金(Regular Funding)」と呼ばれる制度であったが、ACEは昨年11月、これを「ナショナル・ポートフォリオ 助成金(National Portfolio Funding)」と呼ばれる制度に変更することを発表。従来とは異なり、助成金受給を希望する団体は、自らACEに申請を行うことになった。

助成金支給対象の団体数減る

ACEは、助成金に関する制度変更の背景には、同組織が昨年11月に発表した10カ年計画のほか、「厳しい財政事情」があるとしている。連立政権は昨年10月、政府各省の歳出計画などを示した 「2010年支出見直し(Spending Review 2010)」を発表したが、その結果、ACEの予算は、2011〜2014年度の4年間で29.6%削減されることになった。  

制度変更発表後、合計1300を超える団体から「ナショナル・ポートフォリオ助成金」の受給申請が提出され、3月末の発表によると、うち約半数にあたる695団体に助成金が配分されることが決まった。現在の「定期助成金」制度下での助成金支給対象団体は800を超えており、これよりかなり減ることになる。なお、新制度では、これまでと同様、3年単位で助成金が支給され、これら団体は、2012年度から2015年度までの助成金が保証された。

従来の制度では助成金支給対象ではなかった110の団体が新たに助成金の支給資格を得た一方、支給対象から外された団体も数多くあった。例えば、2007年からマンチェスターで開催されている文化イベント「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル」などに新たに助成金が配分されることが決まった一方、西ロンドンにある劇場「リバーサイド・スタジオ」などが支給対象から 外れた。また、助成金受給の継続が決まった団体でも、受給額が増えた例もあれば、ロンドン中心部にある文化施設「ICA」のように、大幅に減額されたケースもあった。

長期的視点に立った支援求める声

連立政権による文化関連支出の削減策に対しては、他の分野と同様、批判の声が上がっている。例えば映画制作への助成金配分などを業務としていた「英国フィルム・カウンシル」の廃止などは、メディアでも厳しく糾弾されていた。

今回のACEによる発表を機に、芸術関連団体の関係者からは、演劇や音楽などの芸術活動による英経済への貢献を認識し、長期的視点に立った公的支援を行うよう訴える声が改めて聞かれている。しかし、国のみならず、財政難に見舞われている各地の地方自治体にも、芸術関連の助成金交付を取り止めているケースが相次いでいる現在、しばらくのところ、見通しは明るくないというのが現状であろう。

The Department for Culture, Media and Sport
(DCMS)

文化・メディア・スポーツ省(DCMS)。1997年、ブレア労働党政権が、国家文化遺産省に代 わって設置。政策分野は、芸術、放送・通信、インターネット、歴史的建造物、文化遺産、建築、図書館、美術館・博物館、国営宝くじ、観光、レジャーなど。また、2012年オリンピックの準備、運営の監督も責務の一つである。同省の外郭団体には、「アーツ・カウンシル・イングランド」のほかに、大英図書館、大英博物館、英国観光庁、戦争博物館、テート・ギャラリーなどがある。現在の文化・メディア・スポーツ相は保守党の ジェレミー・ハント。www.culture.gov.uk
 
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