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Fri, 06 December 2019

第150回 宮殿の時計塔より全国に駅時計を

グリニッジ天文台の玄関口にあるシェパード・ゲート・クロックはグリニッジ標準時刻を初めて公衆に示した時計で、天文台長のジョージ・エアリーによって1852年に設置されました。製造者はシティ、レドンホールの時計職人、チャールズ・シェパードです。実はこの時計が1880年の英国の時刻の統一に関係しています。

シェパード・ゲート・クロックシェパード・ゲート・クロック

話は1834年、ウェストミンスター宮殿が焼失したことにさかのぼります。政府は国家の威信をかけて宮殿を再建しようと、著名な建築家チャールズ・バリーを選出しました。それから20年以上の歳月をかけて荘厳なヴィトリアン・ゴシック様式の建物が再建されますが、当時、最も関心を集めたのがその時計塔(通称ビッグ・ベン)。時計塔にどんな時計を据えるべきか議論が続き、天文台長のジョージ・エアリーが呼ばれます。

第7 代天文台長ジョージ・エアリー第7代天文台長ジョージ・エアリー

エアリーは国家の象徴になる時計だからと、グリニッジ時刻と報時を統一し、かつ最先端の技術を有する時計を理想にしました。そこで1837年に電信機を発明したチャールズ・ホイートストンに意見を求めます。しかしホイートストンの答えは「予算制約や塔内の空間の狭さで、電信技術を巨大な時計に応用するのは難しい」でした。

ホイートストンの電信機(科学博物館蔵)ホイートストンの電信機(科学博物館蔵)

一方、1851年のロンドン万博に冒頭の時計職人シェパードが電信式親子時計を出品します。それを見たエアリーは、これだ! とシェパードに依頼し、早速その翌年同じ仕組みで天文台の観測室に親時計、入口に子時計を導入します。さらに天文台を親とする子時計をウェストミンスター宮殿に設置しようとしますが、シェパードの時計は特許を巡る争いに巻き込まれてしまいます。エアリーは問題解決には時間がかかるとして、宮殿に据える時計を諦めました。シェパードの特許認定は後のことで、現在、天文台の親時計の文字盤をよく見ると「シェパード・パテンティー(シェパード特許保有)」と記されています。

ウェストミンスター宮殿の時計塔ウェストミンスター宮殿の時計塔

エアリーが悩んでいた頃は、ちょうど鉄道時代が幕を開けた時期でした。それまで地域ごとの天文台が観測した南中時刻を正午としていたため地方の時刻は統一されておらず、正確な時刻に基づいて全国を走る鉄道は困っていました。エアリーは宮殿の時計より、全国の鉄道駅にグリニッジの子時計を据えることがその問題解決になると考えます。こうしてグリニッジ時刻を伝える子時計が全国の鉄道駅に配備され、グリニッジ時刻が全国に普及。これが、英国の国内時刻の統一につながりました。

駅の時計がグリニッジ時刻を全国に広めた駅の時計がグリニッジ時刻を全国に広めた

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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