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Tue, 12 November 2019
西田宗平TOTOヨーロッパ 
UK営業部 部長
西田宗平さん

[ 前編 ] 日本を訪れた英国人の多くが、感激とユーモアを交えて語る温水洗浄便座トイレ、ウォシュレット。この商品を生み出した日本の代表的な住宅設備機器メーカーのTOTOは近年、世界展開に乗り出している。ショールームの運営を通じて様々な英国人とトイレについて語り合ってきた西田さんの目に見えてきた日英の違いとは何か。全2回の前編。
プロフィール
にしだそうへい - 1979年生まれ。2002年に住宅設備機器製造メーカーのTOTOに入社。08年から12年まで香港に駐在する。日本の本社で勤務していたころから出張を通じてロンドンにおける営業サポート業務に関わり、13年4月より現職に。現在は、同社のヒット商品である温水洗浄便座トイレ「ウォシュレット」を含む様々な機能を持つトイレ、浴槽、シャワー、洗面器具といった一連の水周り商品の英国での販売活動に従事。ロンドン中心部クラーケンウェルにある直営ショールームの運営や、同社商品販売店スタッフの研修などに携わっている。
http://eu.toto.com

 

英国ではトイレの話題はタブー

「ざっくり言って、1割以下じゃないですか」。温水洗浄便座トイレの草分けであるTOTOのヒット商品「ウォシュレット」を知っている英国人の割合を尋ねると、TOTOヨーロッパのUK営業部部長を務める西田さんはそう答えた。米国で医療製品として開発された温水洗浄便座を、TOTOが家庭用として販売を始めたのが1980年。以来、ファックスやインターネットに匹敵する速さで日本国内に普及し、今や寿司、着物、カラオケなどと並ぶ日本文化の一つに数えられるまでになった温水洗浄便座の代表格であるウォシュレットの認知度としては、あまりに低いのではないか。「あくまでも現地の様々な方々から伺った話に基づく私の推測です。ロンドンの街中でトイレについての意識調査を行うわけにもいかないので、正確な数字を把握することができないんですよ」。

西田さんが言うように、英国においては、公の場でトイレについて何か話すという行為がほぼタブー視されている。英国人は自宅の庭やインテリアなどについて語り合うのが大好きだが、トイレの話となると急に口をつぐんでしまう。だから、口コミを通じてトイレ商品を世に広めるのが難しい。

また英国人はトイレを含む水周り製品のデザインには一定のこだわりを見せる一方で、トイレの機能にはほとんど関心を払っていないように思える。日本人と英国人では、トイレに対する価値観とでも言うべきものが全く異なるのだ。さらには、破損やいたずらの被害を受ける可能性を考慮すると、公共トイレに温水洗浄便座を取り付けづらいという社会的な事情もある。人々の話題に上らず、実際に使用する機会が少なければ、ウォシュレットの認知度が極端に低いという現状も致し方ないのかもしれない。

しっかり伝えて、体験してもらう

こうした現状を打破するため、2010年、TOTOはロンドン中心部クラーケンウェルにショールームをオープンした。西田さんは、この立地を選んだ理由を「設計事務所や建築家を始めとするデザイン業界の人々がこの一帯に多く集まっているから」と説明する。TOTOが手掛ける水周り製品を広めるためには、建築や空間設計に関わる人々と深く連携する必要があるからだ。

ロンドンのクラーケンウェル地区にあるTOTOのショールーム
クラーケンウェル地区にあるTOTOのショールーム

当然のことながら、ショールームの運営に際しては様々な工夫が求められる。トイレや風呂といったプライベート空間を扱うのであれば尚更だ。食品店であれば試食で味を、服飾店なら試着で着心地を確かめることができる。だが、トイレの使い心地を試してみることはなかなかできない。

そこで重要なのが、TOTOの現地社員や、販売店スタッフのコミュニケーション能力。「英国人が豊富な語彙を使って自らの感覚を表現した方が説得力がある」というのが西田さんの考えだ。「日本人スタッフがウォシュレットの機能について一生懸命話したところで、『日本独特の文化なんですね』と返されて終わりということが何度もありました。一方で英国人スタッフが対応すれば、『本当に日本人というのは変なことを考え付くよね』と共感を示してから、話を発展させることができます」。

またショールームの地下では、ウォシュレットを備えたトイレを実際に使用できる。トイレの出口には「ウォシュレット初体験」と題した掲示板があり、利用者の感想を貼り出しているという。「驚いた」「素晴らしい」「なんか変な感じ」といった様々なウォシュレット体験談までもがショールームの一部と化しているのだ。

ウォシュレット初体験の感想を記した掲示板
ウォシュレット初体験の感想

ウォシュレットという、大多数の英国人にとっては未知の商品について、言葉で伝えた上で、体験そして表現してもらう。そうした地道な作業を経ながら、TOTOは英国での地盤を固めつつある。

*ウォシュレットはTOTOの登録商標です。

 
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