しかし、春先頃から様々な問題が浮上し始め、地元住民とホームレスの関係に亀裂が生じてきた。
まず、ホームレスのテントが増え続ける一方で街の景観を汚しているとの指摘が浮上。これに対して、テントを供給した世界の医療団は「冬場は寒いので地元住民は皆雨戸を閉めているが、暖かくなるにつれて窓を開ける機会が多くなり、路上の様子が目に入るようになっただけ。テントは、確かに目立つが、実際に路上で暮らしているホームレスの人達の数は変わっていない」としている。
次に指摘されているのが、ゴミ問題。テントのおかげで拠点の出来上がったホームレス達の生活ゴミが街にあふれ、暑さと相まって、異臭を放っているのである。
地元住民が様々なクレームや署名運動を行なった甲斐があり、パリ市長もついに重い腰を上げ、ホームレス撤退の交渉役として慈善事業団体エマウス(Emmaüs)を抜擢した。しかし、仮にホームレスの人たちをクレームの出ている地区から立ち退かせたところで、彼らの受け入れ先が決まらなければ何の解決にはならないのである。
連日真夏日の猛暑が続くフランス、お役人の悩みはつゆ知らず、ホームレスは今夜もセーヌ川で冷やしたビールで宴会をするのであった。
7月19日付「Libération」紙"L'idée, c'est de virer le SDF d'ici à lasemaine Prochaine"ほか
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