マンガがキリストの「救世主」となるのか!?
シクの名で知られるナイジェリア出身の男性が手掛けたこの聖書マンガは、創世記から旧約聖書、黙示録、そして新約聖書に至るまでの膨大な内容をたった200ページで網羅。その中身はと言えば、聖書にまつわるストーリーが若者好みのストリート・カルチャー風に仕立てられ、キリストが軽い文体の口語で話すのはもちろんのこと、洗礼者ヨハネに至っては、コンピューター・ゲームから飛び出した戦士のように扱われている。
マンガ聖書など、真面目なクリスチャンからは眉をひそめられそうな印象があるが、英国国教会はこのマンガを大絶賛。「大切なのはどう伝えるかでなく、何を伝えるかだ」と述べ、どのような形であれ聖書のメッセージが多数の人々に伝わることを歓迎している。さらには、カンタベリー大主教からも「聖書を新たな視点から捉えた傑作」というお墨付きまでもらっているのだとか。それもそのはず、近年では聖書離れが急速に進んでおり、それを食い止めるために若い世代にも受け入れられる「新」聖書の登場が切望されているのだ。
このようにキリスト教関係者からは大歓迎されているマンガ聖書。ところがマンガ関係者からは「マンガなのに文字数が多すぎる」という辛らつな批評を浴びているというから皮肉なことだ。ともあれ、シリーズ化される予定のこのマンガ版聖書、作者は既に次の作品に着手している。気になる次回作は、キリストの生涯を300ページに収める「マンガ・キリスト」。作者は「キリストはバットマンのようにクセのあるキャラクターなので、ヨハネやペテロをうまく使いユーモアを取り入れていくのがこれからの課題」としている。マンガが、若者へのアピール力が薄れつつある宗教の救世主となり得るのか!? 乞うご期待。
「タイムズ」紙 "Religious superheroes come back fighting in a Manga comic Bible"
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