かわいいのがボクたちの取り柄
細長ーい胴体の両端に頭としっぽがくっつき、短い足でぽってりしたお腹を支えながらチョコチョコ歩く姿がとびっきりキュートで、外国では「ソーセージ犬」なんて呼ばれて可愛がられているダックスフント。もちろん本国ドイツでの人気はこれまで不動のものだった。
例えば、皇帝ヴィルヘルム2世はその昔、愛犬のダックスフント、エアトマン君が死んでしまった時、カッセルにある公園にお墓を造ってあげたほど溺愛したというし、作家のフロリアン・ランゲンシャイト氏は、自著「私たちの国を愛する250の理由」でダックスフントの存在を挙げている。1972年のミュンヘン・オリンピックでは、ダックスフントの「ヴァルディ」も大会マスコットとして活躍した。
しかし時は流れた。ある飼育業者によると、72年当時はいわゆる「ベビーブーム」の真っ只中で、年間2万8000匹の子犬が誕生していたというが、1996年にはその数が1万2000匹と半分以下に減り、2005年にいたってはわずか7300匹というさびしい状況に陥っている。「ダックスフント、プードル、シェパード」という、かつてドイツ中を支配した人気トリオはなりを潜め、今や街では、道路中のほこりを集めて回っているような毛むくじゃらのモップ犬(可愛いことは可愛いけど)やゴールデン・レトリバーなど、ライバルたちが幅をきかせている。
一方、犬の専門家たちは、現在の「少子化」傾向にも冷静だ。「あまりに人気が出すぎると、周りに流されて大して好きでもないのにダックスフントを飼い、大事にしない人が増える」とし、現況はかえってありがたいという。
どちらにしても、ダックスフントが絶滅してしまうほど切羽詰った状況ではないので、「ソーセージ犬」を愛して止まない飼い主のみなさん、どうぞご心配なく。
「Kölnische Rundschau」紙 “Waldi kriegt weniger Welpen”
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