「メトロ」紙によれば、フランス国民のおよそ60%は、テレビの政治討論番組に参加してみたいと思っているそうだ。そんな、国民の願望を知ってのことかどうかはわからないが、民放局のTF1に市民参加型の生放送の政治討論番組が誕生した。その名もズバリ、「J'ai
une question a vous poser(あなたに質問したいことがあります)」。
パトリック・ポアーブル=ダボールが司会進行役を務めるこの番組は、毎回注目の政治家を招き、スタジオに招待された市民100人の疑問に答えてもらうというスタイル。初回は、今をときめく大統領選最有力候補のニコラ・サルコジ内相(通称サルコ)が登場した。
弁舌の巧みさにかけては定評のあるサルコジ氏だけあって、大統領になったあかつきには誰を首相にするかという素朴な疑問や失業者対策、物価問題などに関する定番クエスチョンは難なくクリアし、レベル1を突破した。
レベルアップして、人種と同性愛にテーマが移ったところ、ホモセクシャルや外国籍の参加者がサルコジ氏を糾弾し、一時はスタジオのムードも加熱気味に。「サルコの形勢危うし!」と思ったら(この局面はレベル3というところだろうか)そこはどっこい、「私を差別者呼ばわりすることは許さない。私は内相として職務を全うしており、何よりもこれまで内務省がこの国のムスリムに対して様々な計らいを行ってきた」と持ち前の冷静さで相手をねじぶせて、これもまたまたクリア。なかなかやるなサルコ。さらに回答の随所で、賛同の拍手も起こり、サルコジ圧勝といった感じで番組はゲームオーバー。
ライバル、ロワイヤル女史への盗聴疑惑や息子のバイク盗難事件で内相の職権乱用を糾弾されるなど、支持率は明らかに低下傾向にあったサルコジ氏。しかし、今回の番組出演でみせた対応ぶりに各メディアは高い評価を与え、名誉挽回となった形だ。
「J'ai une question a vous poser」の次回の出演者は、まさに同じ時の人、ロワイヤル女史。サルコ同様、難なく100人斬りをこなし、一気に人気を抜き返せるか。いえいえ、市民もパワーアップして政治家をお待ちしております。
「Le Figaro」紙ほか
Le grand oral de Sarkozy
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