10月3日付けの「メトロ」紙によれば、パリ12区の「パレ・ドゥラ・ポルト・ドレ」で、2007年4月に開館予定の国立移民史博物館の工事が着工した。
この学校は、戦火を逃れて英国へとやって来た海外の子供たちを数多く入学させていることで知られている。全校生徒1300人のうち、550人は訪英当初、英語をまったく話せなかったという。中には今まで学校そのものに通った経験がないという子供もいる。
「アフリカ・オセアニア美術館」(パレ・ドゥラ・ポルト・ドレ)は、1931年に行われた国際植民地展を期に誕生した。しかし、今年エッフェル塔の近く、セーヌ川沿いに、「人類博物館」と「アフリカ・オセアニア美術館」の貯蔵美術品をひとまとめにした、パリ最大の美術館「ケ・ブランレー美術館」が開館したことで「アフリカ・オセアニア美術館」は閉館した。
国立移民博物館のジャック・トゥボン館長は「これは、閉館した旧アフリカ・オセアニア美術館を再利用しているので、建築プロジェクトとしては大きなものではないが、大衆の関心を高めるという意味においては重要なプロジェクト」とコメントしており、ドンヌデュー・ドゥ・ヴァーブル文化大臣は「この施設は移民史を正しく理解していく為の、重要な歴史的建造物となるであろう」と付け加えている。この博物館は来年4月から常設展を一般公開し、2009年までに全展示室の工事を完了させる予 定となっている。
移民博物館の特徴は「活きたミュージアム」として展開してゆくという部分にあり、移民者個人の所有物や移民にまつわる歴史的資料の展示の他に、芸術家などを招き様々な企画展を行うことで、単なる資料館としてではなく芸術性も兼ね備えた施設として活動し、移民問題を身近に感じてもらえるような工夫がされている。同博物館の学芸員主任のエレーヌ・ラフォン=クチュリエさんは「ここでは、出来るだけ『活きた移民の情報』を紹介したいので、家族写真や日記、パスポートなどの資料を寄贈してくれる方を募集しています」(受付は10月10日まで)と「メトロ」紙にコメントしている。
開館までの工事期間中は芸術家や作家を招き、「植民地政策と移民の関係」や「移民に対して、受け入れ国の視点」などの講演会や、館外での活動として「移民による演劇上演」などが予定されている。
「メトロ」紙 "Un musée vivant de l'immigration"
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