ロンドンの名物観覧車であるロンドン・アイに乗ろうと行列に並んでいたある家族が、アラビア語で会話をしたため、列から外さ れるという目に遭った。 サイエド・フセインさん(62)は北ロンドンに住む、滞英30年のアラブ人。ドバイからホリデーのため英国を訪れていた妹夫婦と共に、ロ ンドン・アイに来ていた。並ぶ前に金属探知機 による検査を受けた3人がいざ行列に加わり、 フセイン氏の妹サイダさん(60)がアラビア語で話し始めた途端、警備員の1人が彼らに対する態度を変えた。その警備員は、フセイン氏が 持っていたミネラル・ウォーターとオレンジ・ジュースのボトル入りの袋に目をつけ、ロンドン・アイの中に持ち込まないよう注意。さらに手荷物をウォータールー駅のロッカーに預けてくるよう指示したため、フセイン氏が戻ってくるまでの間、妹さん夫婦は列を外れて彼を待つ羽目になった。その後、彼らが再び列に並んだところ、先程と同じ警備員がまたまたやってきて、今度は 「ナイフを持参しているか?」と聞いた。持っていないと答えたのにも関わらず、警備員はフセイン氏の着ていた洋服のポケットに手を突っ込みナイフの有無を確認。その後、無事3人をロンドン・アイに乗車させた。
5月に起きたこの出来事について、フセイン氏は「行列から外されたのは実に恥ずかしく、ショックでした」と振り返る。「なぜこんな目に遭ったのか。妹がアラビア語を話していたという以外に理由が見当たらない。行列に並ぶ人達の目の前で侮辱され、私達を不審な目つきで眺める人達もいた。きっとアラビア語を話す人は皆テロリストだと思っているのでは。妹のホリデーが台無しになった」と憤る。
この一件についてロンドン・アイ側は無料パス2枚と共に詫び状をフセイン氏に送付。「弊社の従業員は、国籍、宗教、文化などあらゆる背景を持つ者ばかり。社内方針や規定に反しない限り、ご利用を断ることはありません」という声明を発表している。
8月22日付「Evening Standard」紙ほか"Banned from the Eye because we'd spoken in Arabic"