Clockwise
時計じかけの校長先生(1986 / 英)
時間に厳しい几帳面な校長先生が、出張先へ向かう列車に乗り間違えたことから次々と災難に遭うはめになり……。ジョン・クリーズ主演のドタバタ・コメディー。
監督 | Christopher Morahan |
---|---|
出演 | John Cleese, Penny Leatherbarrow, Howard Lloyd-Lewis ほか |
ロケ地 | Wenlock Priory |
アクセス | ロンドンから車で3時間 |
- 今週はいかにも英国的なドタバタ・コメディー映画です。
- おなじみモンティ・パイソンのジョン・クリーズ主演作品ですな。
- ずいぶん前に捜査した1980年代のクリーズ脚本・主演作品「ワンダとダイヤと優しい奴ら」の2年前に公開されている作品ですね。ちょうどクリーズがモンティ・パイソンとしての活動から、映画でのソロ活動にシフトしていた頃です。本作はいま一つ知名度が低いんですが、コアなファンからは「過小評価されている作品」などと言われて支持されているようです。
- クリーズ扮する本作の主役スティンプソン校長先生は、名作TVシリーズ「フォルティ・タワーズ」のオーナー、バジルを真面目にしたようなキャラですね。
- クリーズはこういうおカタイというか、権威的性格を持った役柄ならおまかせの感があるよね。ケンブリッジ大学で法学を学んだ経験が生かされてる(笑)。
- はい、このスティンプソン校長は、とにかく几帳面で、特に時間にはとっても厳しいんですね。その上、態度も高圧的で説教くさいので、生徒や教師たちから疎まれています。この人物のモデルとなったのは、クリーズの実娘が通っていた学校の校長先生らしいですよ。
- ちなみにオープニングに使われたのは、ウエスト・ミッドランズ州のWest Bromwichにある「Menzies High School」です。
- そんなある日、学校長たちが集う年次コンファレンスの栄誉あるチェアマンに選出された同校長は、演説の準備も万端に、列車で会場となるノリッチへ向かおうとするのですが、人の話をロクに聞かない性格が災いして、乗るべき列車を逃してしまいます。それが災難の始まりでした。
- これはイースト・ヨークシャーの Kingston-upon-Hullにある「Hull Station」です。
- 列車を逃した校長は、駅まで車で送ってくれた妻を慌てて捕まえようとするが、妻はそれに気付かず走り去ってしまうんだな。しかしもはや車でノリッチに向かうしかない校長は、諦めずに彼女を追い掛けるんだが、なかなか追い付けない。
- そうこうしているうちに学校をサボって車を運転していた生徒の一人、ローラとバッタリ会い、結局彼女にノリッチまで運転してもらうことになるんですね。しかしガソリン・スタンドで給油しているときに、たまたま妻が運転する車がやって来て……。
- 電車でノリッチに向かったはずの夫が女子生徒と車で逃避行しようとしていると勘違いした妻は、気が動転して2人に声も掛けず、その女子生徒ローラの家へ直行しちゃうんだな。一方ローラの家では母親が「車が盗まれて娘が誘拐された!」と大騒ぎ。そんでもって実はローラは音楽教師と不倫してるので、その教師も現れちゃうという……ドタバタ劇の始まりですな。
- 道中で偶然昔の彼女パットに会ったり、緑地帯のぬかるみにはまって僧院に助けを求めるはめになったりと、彼の行き先を阻む出来事が立て続けに起こります。
- パットがローラに「彼って昔から遅刻魔だったのよ」と暴露する場面では思わず苦笑しましたけどね。彼らが出会う電話ボックスはシュロップシャー州の町、MuchWenlockにあるBarrow Streetに立っているものです。また僧院にはイングリッシュ・ヘリテッジの一つでもある、シュロップシャー州の「Wenlock Priory」が使われています。
時間に厳しい校長が主役だけに、学校名も英国時計製作の父トーマス・トンピオンにちなんで「Thomas Tompion Comprehensive School」ときたもんだ。しかしこういう話ってケータイ以前の時代だからこそ成立するよね。昔は一瞬タイミングがズレただけで人に会えなかったり、はたまた何時間も待つはめになったりしたもんな。不便だったけど、その分ドラマティックなことが起こる確率も高かったような(笑)。
< 前 | 次 > |
---|