Bedazzled
悪いことしましョ(1967 / 英)
食堂で働くスタンリーはウェイトレスに片想い中。しかし何一つうまくいかず、自殺を試みるがそれも失敗。するとそこに悪魔が現れ、魂を売れば 願いを7つ叶えてやると言う。
監督 | Stanley Donen |
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出演 | Peter Cook, Dudley Moore, Eleanor Bron ほか |
ロケ地 | BTタワー |
アクセス | 地下鉄Warren Street駅から徒歩 |
- 妖精が現れて「あなたの願いを叶えてあげる」と言ったら、何を願いますか?
- うーんまあ、目下の願いは宝くじに当たることぐらいかのぅ。
- 夢があるんだかないんだか……。人気女優とデート! 的な色気はないんですか。
- うん、女優とデートは疲れそうだからな、スクリーンで観てるだけでいいや。
- 珍しく草食中年的な発言ですね。そんなデカ長には本作のジョージのような悪魔がつけ入る隙なしですね。
- 悪魔が取り憑くのは強い願望を持つ者に限るからな。欲望や願望が大きければ大きいほど、そそのかされやすいもんだ。
- というわけで今週は60年代の傑作コメディー・ドラマです。当時TVで大人気を呼び、現代の英国コメディー界に最も強い影響を及ぼした一人でもある、コメディアンで作家のピーター・クックと、同じくコメディアンで作曲家でもあり、クックの相棒的存在ダドリー・ムーアが共同で脚本を手掛け、2人ともに主演しています。
- エリザベス・ハーレーが悪魔に扮した2000年の同名米国映画の方を知っている人が多いかもしれませんが、実は本作がオリジナルですね。
- こっちを観ちゃうと2000年版が霞むね。英国在住なら絶対こっちがお勧め。
- 食堂で働くサエないコックのスタンリーは、思いを寄せているウェイトレス、マーガレットにも相手にされず、みじめなあまり自殺を図るのですが、未遂に終わります。この食堂「Wimpy Bar」はハートフォードシャー州南部Borehamwoodという町のハイストリートの一店舗で撮影されました。
- するとそこにジョージ・スピゴットと名乗る、ひどくナンパな悪魔が現れて、彼に魂を売れば願いを7つ叶えてやるって言うんだな。そこでスタンリーはマーガレットを手に入れるために、みじめな今までとは違う自分に成り代わろうとするんだ。
- ジョージが嘘くさい魔法の呪文「ジュリー・アンドリュース!」を唱えた途端、スタンリーは口が達者な似非インテリうんちく男に早変わり。しかし彼が変化すると、マーガレットの性格も変化します。最初は悪くなかったけど、最後は下心アリアリで 見かけ倒しなのがバレちゃうんですね。
- 成り代わった自分とその状況が嫌になったら「Blow his raspberry」、つまりブーブー野次れば一瞬にして元の世界に戻れます。しかしそれで一つ目の願いは終わってしまう。スタンリーは、気付けば高い塔の上で作業しているジョージの下に瞬間移動していたのでした。この塔はCleveland Streetに立つおなじみ「BTタワー」ですね。
- その後、あれやこれやとシチュエーションやキャラクターを変えてはマーガレットに迫るスタンリーだが、ツメが甘くて毎回成功には至らないんだな。その上、悪魔のジョージもいつも何かに扮して出てきて、結果的には邪魔してるし。
- 僕は当時の音楽シーンをパロった、ロック・スターになる回が好きですね。やはりジョージが人気を横取りしますが(笑)。
- 私は、やっと学習して細かいキャラ設定をしたのに、性別指定を忘れたために尼になっちゃう回が一番可笑しくて好きだ。
- そして最後、悪魔のジョージが「神」に審査される場面は、ミドルセックス州のBrentfordにあるステートリー・ホーム「Syon Park」内の温室が使われています。多くの映画のロケ地になっている場所ですね。
英国版「笑ゥせぇるすまん」とでも言いたくなる一本。ピーター・クックはあのスティーブン・フライをして当時「現存するコメディアンで最も面白い」と言わしめた人だね。スタンリーとジョージの会話がまたいちいち可笑しい。「神って英国人なんでしょ?」「うん、もちろん。超アッパークラス」とかね(笑)。最後、審査に落ちたジョージが神に対して吐く捨て台詞が、現代社会への風刺って感じでキマッてるね。
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