Born Romantic(2000 / 英)
恋はサルサで!
ロンドンのサルサ・クラブで知り合った6人の男女が織り成す恋模様を、英国らしいユーモアを絡めて描くロマンティック・コメディー。
監督 | David Kane |
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出演 | Craig Ferguson, Ian Hart, Jane Horrocksほか |
ロケ地 | Ronnie Scott's Club |
アクセス | 地下鉄Tottenham Court Road駅、 又はLeicester Square駅から徒歩 |
- すっかり寒くなって人恋しい季節になりましたねえ。みなさん最近、恋してますか? というわけで今週はロンドンを舞台にした恋愛ものです。
- 恋愛ものって言ってもロマンティック一辺倒じゃない、いかにも英国的な、正直で不器用でちょっとおマヌケな人々が主役のロマコメですね。
- キャッチフレーズは「ロマンスは死んじゃいない。ただちょっとうまくいかないだけだ」だったっけ。
- 人はもうロマンスを信じなくなっているけど、心のどこかではまだ信じているし、信じたいんだ! っていう感じですよね。だけど気持ちをロマンティックな状態にもっていくのって、気恥ずかしいじゃないですか。よっぽどのことがない限り、なかなかそういうスイッチが入らなかったり。
- タロウは意外と草食系ってやつか。
- あーまぁ、そうなのかもしれません。
- そんな方々には、セクシーなラテン・ダンスなんかは格好の促進剤になるんじゃないでしょうか。このストーリーの基点になっているのもサルサ・クラブでして、一見「英国映画でサルサ?」と思うんですが、シャイで理屈っぽい英国人だからこそ、サルサで熱いダンスを踊って大団円、といった展開が意外にハマるような気がします。
- ちなみにそのサルサ・クラブはかつてBrixtonに実在していました。Loughborough Road 39番地にあった「Loughborough Hotel」のボール・ルームで、最近まで実際にサルサ・ナイトが開催されたり、レッスンも行われていたそうです。現在は残念ながら閉鎖されてしまったようですが……。
- それにしても本作に登場する男たちときたら、見事に冴えない奴らだよなあ。
- はい、まず8年前に捨てた元婚約者、モーを捜し求めて、地元のリバプールからロンドンに出てきたファーガス。モーが大英博物館好きということで、博物館のシーンが所々に登場しますね。いつも同じ展示フロアなんですが(笑)。
- お次は認知症のお父さんの面倒を見ているケチでドジな泥棒エディ。僕はこのエディの恋愛模様が一番好きでしたね。
- 墓地で働いている、やっぱりちょっと変わり者の女の子ジョスリンとの恋だね。
- 彼女が働いている墓地のシーンは「Greenwich Cemetery」で撮影されています。また、エディの最初の登場シーン、夜のキャッシュ・ポイントでの強盗に失敗する場面ですが、こちらはセント・ポール大聖堂の向かいにあるATMです。
- そしてエディがお父さんと住んでいる家は、イースト・ロンドンはBrick Laneからちょっと入ったSclater Streetの97-99番地のフラットですね。
- 私は、ロマンティックなダメ男フランキーと、一見クールだけど意地っ張りのエレノアの2人が良かったぞ。フランキーの元嫁との関係も、切れそうで切れない縁っていうかさ、ああいう英国人カップルって、いっぱいいそうだよな。そうそう、フランキーがエレノアに歌で口説くシーンなんて、こっ恥ずかしく思えるけど、実際のところ結構ああいうのに女性は弱いんじゃないかね。
- あのシーンは、ソーホーのFrith Street 47番地にある1959年創業の老舗ジャズ・クラブ「Ronnie Scott's Club」で撮られています。しかしああいうのは絶対、できないなあ僕は。映画で観るだけでお腹いっぱいですわ。
サルサに興味がなくても、むしろさほど興味がない方が楽しめるかもしれない恋愛映画。登場人物はみんな、うんざりするほど自分のことをよく分かっている大人たちで、恋に失望しながらも、やっぱり期待している人々なんだよね。彼らを客観的に見つめる哲学者みたいなタクシー・ドライバーのジミーや、自称女嫌いで蘊蓄(うんちく)を述べまくる年配のドライバーなど、脇を固めるキャラクターもなかなかいい味出してるよ。
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