交通労組ボブ・クロウ委員長が死去
ロンドン地下鉄ストライキなどを先導
2010年4月1日、英国の鉄道網ネットワーク・レールでの
ストライキに対する差し止め命令を受けた後に
高等裁判所を退廷するボブ・クロウRMT書記長
今年2月にロンドン地下鉄のストライキを実施した交通労組RMTのボブ・クロウ委員長が3月11日、死去した。52歳。BBCなど国内メディアが一斉に報じた。
クロウ委員長は、死去のわずか1日前にBBCのラジオ番組に出演したばかりだった。死因は心臓発作と報じられている。
1961年生まれのクロウ氏は、16歳のときにロンドン地下鉄での勤務を開始。2002年に交通労組RMTの委員長に就任した。
RMT所属メンバーの権利の確保などを目的として、英国の鉄道やロンドン地下鉄のストライキをこれまで何度も先導してきた同委員長を「ガーディアン」紙は「闘志にあふれる労働者の擁護者としての評判を次第に高めていった」と紹介。死去のニュースを受けて、かつて同委員長との対決姿勢を露わにしていたロンドンのケン・リビングストン前ロンドン市長は、「RMTメンバーのために根気強く戦った」と評価した上で、より多くの人々が、クロウ委員長のように労働者階級の環境改善のために闘争すれば、英国はより良い国となるはずであると語った。
また交通ジャーナリストのクリスチャン・ウォルマー氏は、しばしば「武闘派」と形容された外見的なイメージに反して、実際に交渉相手となった鉄道関係者たちからは柔軟な対応を行うことで知られており、メディア関係者の間での評判も良かったと述懐。労働組合活動を制限する法律に抵触しないよう物事を進める周到さも持ち合わせていたと述べている。
ボブ・クロウ氏の横顔
● 年収(ボーナスなど込み):14万5000ポンド(約2400万円)
● 愛犬(テリア)の名前:
キューバの社会主義者の名にちなんで カストロ
● オフィスに置いていたもの:
ロシアの共産主義を先導した レーニンの胸像
● RMTに加入する運転士の基本給与(年):5万2000ポンド(約900万円)
参照: Economist、BBCほか