VATの申告・納付遅延の罰則と利息
英歳入関税庁(HMRC)が付加価値税(VAT)の罰則制度を変更したと聞きました。
この制度は、VAT申告書の提出遅延およびVATの納付遅延に対する罰則制度を全面的に見直したものです。新しい制度はポイント制で、繰り返し遅延する重大な違反者に科す罰則を増やすことにより、一貫して行動を改めるよう促すことが狙いです。2023年1月1日以降に始まるVAT期間から適用されます。
「ポイント制」とはどのような仕組みですか。
一定の期間から遅れて提出したVAT申告書1件につき、提出遅延ペナルティ・ポイントの1ポイントが納税者に科されます。一定基準のペナルティ・ポイントに達すると、納税者に200ポンド(約3万3000円)の罰金が科されます。以降、提出が遅れるたびに200ポンドの罰金が科されていきます。これはVATのゼロ申告や還付申告にも適用されます。ポイントは、一定基準に達していない場合は、24カ月後に自動的に失効します。基準に達している場合は、納税者は定められた「遵守期間」の期日までにVAT申告書を提出し、過去24カ月分のVAT申告書を全て提出していることを確認する必要があります。「一定基準」と「遵守期間」は、VAT申告書の提出頻度によって以下のように異なります。
提出頻度 | 一定基準 | 遵守期間 |
---|---|---|
年1回 | 2ポイント | 24カ月間 |
毎四半期 | 4ポイント | 12カ月間 |
毎月 | 5ポイント | 6カ月間 |
期限内に申告書を提出したものの、VATの納付が遅れた場合はどうなりますか。
納付遅延についても新たな罰則制度が設けられています。
• 15日以内の遅延: 1日目から15日目までに納めるべきVATを全額納付するか、納付計画に合意した場合は、罰金はなし
• 16~30日までの遅延: 16~30日目までにVATを全額納付するか納付計画に合意した場合、15日目に納めるべきVATの2%分の金額を1回目の罰金として支払わなければならない
• 31日以上の遅延: 15日目に納めるべきVATの2%分に、30日目に納めるべきVATの2%分を加えた金額を、1回目の罰金として支払う。その後、2回目の罰金も発生する。これは、VATが未納の期間について、未納分に年率4%の日割りで計算する。2回目の罰金は、未納分のVATを全額納付するか、納付計画に合意した時点で発生しなくなる
HMRCは、納税者を新しい制度に慣れさせるため、納付遅延が30日以内の場合、2023年中は1回目の罰金を科さないと表明しています。
利息はどうなりますか。
2023年1月1日以降、HMRCはVATの納付や還付の遅延に対する利息を請求、または支払います。延滞利息は、納税者が延滞しているVATの納付額に対して、遅延した日から納付の完了日まで、イングランド銀行の基準金利に2.5%を加えた利率で計算した金額が請求されます。
還付利息は、納付期日または提出日(いずれか遅い方)の翌日からHMRCが還付すべき全額を全額支払う日まで、イングランド銀行の基準金利から1%を差し引いた利率(最低でも0.5%を適用)で計算した金額が納税者に支払われます。
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ジョン・フィッシャー
監査・会計 パートナー
Ernst & Young、野村證券を経てグリーンバック・アランへ。会計技術はもちろん、高度なビジネス日本語を操り、日系顧客から大きな信頼を寄せられる。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。