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Sat, 23 November 2024

ロンドンで開催の車いすテニスのマスターズで準優勝
国枝慎吾選手、約2年ぶりの敗戦を語る

「来年戻ってきたときに、より強い自分でありたい」

上位8選手で争う車いすテニスのマスターズは6日、ロンドンで男子シングルス決勝を行い、日本の国枝慎吾選手はベルギーのヨーキム・ジェラード選手に5‐7、6‐2、3‐6で惜敗。大会4連覇を逃した。ジェラード選手とは1次リーグでも対戦し、敗北。国枝選手が2014年1月から続けていた連勝記録は「77」で途絶えていた。決勝戦終了後、思いのほか晴れ晴れとした表情で共同取材に応じた国枝選手に話を聞いた。

ジェラード選手と国枝選手
表彰式で記念撮影を行う今大会の優勝者ジェラード選手(写真左)と国枝選手(同右)
Photo: The Tennis Foundation

国枝選手にとって決勝はかなりタフな試合内容となりましたが、自身の印象は?

今日に関しては、むしろフル・セットまでよく行ったな、という内容だったと思います。こちらの出来もそれほど良くなかったですし、相手が素晴らしいプレーを続けていました。今日は完敗だったかなと思います。

自身でも苦しい展開だと感じていましたか。

球足が恐らく世界で一番速いこの特殊なコートでプレーするという点において、今回は彼に分があったかなと思いますね。彼のサーブと、特に今日はリターンもすごくキレていたので。その部分を打ち破るようなサーブを自分は打つことができませんでした。

前後に揺さぶりをかけてみたり、色々と試合中も試行錯誤を繰り返しているようにも見えましたが。

自分側は「なんとかかわしている」という戦術になってしまいました。真っ向勝負で打ち合って、勝てている場面は僕の方が少なかったと思います。

(弊誌質問)ジェラード選手には今大会の1次リーグでも対戦。この試合で約2年ぶりの敗北を喫しました。同選手との再戦を迎えるに際して、どのような課題を持って決勝には臨みましたか。

今週に関しては、自分自身のプレーが不十分なものだったので、この調子の中でどうまとめ上げていくか。1次リーグにおけるジェラード選手との試合だけではなくて、ほかの選手との対戦でもちょっと苦労していましたから。その中で何とか決勝戦まで自分自身で何とかまとめ上げたんですけれども、まとめ上げるレベルが僕の中では30%ぐらいだったかなと思います。色々な要因があるんでしょうけど、ともかくコンディショニングの面で、今回は上手くいきませんでした。

決勝での国枝選手
決勝での国枝選手
Photo: The Tennis Foundation

(弊誌質問)決勝で敗れた直後から笑顔が見られましたが。

これから悔しさがじわじわくるのかもしれないですけれども、終わった瞬間はそれほどの悔しさを感じていなくて。まず完敗だったので、「惜しかった」と思えるほどの内容でもないかなということ。また勝ち続けることはもちろん大切にしていますが、負けることで刺激を得られるというのも確かです。実際にこのマスターズでは2011年の大会でも負けましたが、その翌年の2012年はより強い自分になれました。今回の敗戦を受けて、また強くなれたらいいなと思います。

ジェラード選手は今後、意識する選手となりますか。

今年の彼は調子良かったんですよ。ずっと良いパフォーマンスをしていて、今年は各大会の決勝でも何度か対戦しました。そうした状況の中で、自分に分があるのはやはりラリー、一方の彼に分があるのはサーブ。ジェラード選手をどう攻略していくかという点については自分の中では答えは出ていたんですけれども、その戦術は今大会のサーフェスには合わなかったのかもしれない。なかなかラリーをさせてくれないコートなので。どうしても強力なサーブを持っている方が強いかなという気がしますね。自分の持ち味がなかなか出しづらいというか。もちろん、ジェラード選手があれだけ良いパフォーマンスをしているからこそだと思いますけれど。自分のプレーをさせてくれなかったかな、という感じはします。

とりわけ日本以外の国からは、今後もビッグ・サーバーが次々と出てくる可能性がありますが。

例えば健常者テニスにおいても、同じく球足が速いサーフェスのコートで行われるATPツアー・ファイナルではやはりビッグ・サーバーが強さを発揮していますよね。その辺は実は自分の中で少し慰めになっている部分もあります。違うコートだったらここまでやられはしないだろうなっていう。ただ慰めになる一方で、そこを言い訳にしてしまうと伸び代がなくなってしまいます。大事なのは、来年またこのコートに戻ってきたときに、より強い自分であることです。

決勝での国枝選手
決勝での国枝選手
Photo: The Tennis Foundation

国枝慎吾
1984年2月21日生まれ。9歳の時に脊髄腫瘍のため車いす生活に。パラリンピックにおいては、2004年の アテネ大会における男子ダブルス、08年の北京大会と12年のロンドン大会男子シングルスで金メダルを獲得。現在、世界ランキング第1位。09年より車いすテニスでは日本初となるプロ選手として活動している。。
https://www.facebook.com/KuniedaShingo
 

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