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Sat, 23 November 2024

NHS 現役看護師が語るコロナ時代の医療

本記事に掲載の内容は執筆者個人の見解であり、組織の公式的な見解を示すものではありません。


ピネガー由紀
ピネガー由紀
大学病院で働く現役NHS看護師、フリーの医療通訳者。日本での看護師経験はなく、成人してから義務教育(GCSE)を経て、2013年マンチェスター大学看護学部卒。正看護師として、外科部門で病棟、手術前アセスメント、入院管理、学生指導などを担当。2020年4月から感染状況により新型コロナウイルス感染病棟に招集をされている。自身のYouTubeチャンネルでは医療英語や看護師の日常を発信。
YouTubeチャンネル:イギリス現役看護師Yuki

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「年内にブースター接種完了せよ!」大混乱のワクチン接種会場

新年おめでとうございます。オミクロン株の出現とともに新型コロナ感染が急拡大を続けるなかで年末年始を迎えました。「クリスマス・パーティーは中止しないように」と、当初は余裕を見せていたジョンソン首相も「18歳以上のブースター接種を2021年内に完了する」と、当初の予定を1カ月早める方針を突然12月半ばに打ち出したことは、記憶に新しいかと思います。今回は急な方針変更で大混乱のワクチン接種現場の様子を書いてみます。

私は本業の大学病院勤務の傍ら、ワクチン接種会場でのバイトをしています。年末までのブースター接種完了のために接種会場では受け入れ態勢を拡大し、大量のワクチン供給計画が発表され、接種者の予約もギッシリ入れられましたが、看護師の配置率は低いままでした。小規模な会場と違い、大規模ワクチン接種会場ではスタッフの大半は登録制のバイトだからです。特に12月後半の平日は看護師の配置率が5割前後で、予約制にもかかわらず会場で3時間待ちになったこともありました。毎日のようにバイト先から「シフトに入れないか?」と連絡が来ましたが、私のように本業がある人も多く、勤務にも限界があります。ところが昼間の看護師不足が問題化しているのに、複数の会場で24時間オープン接種まで始まりました。私のバイト先は週末などのみ24時間体制で、予想外に深夜の接種来場者があったのですが、肝心の昼間の混雑はその後も続きました。

大規模ワクチン接種会場では、問診、希釈と充填(じゅうてん)*、注射の三つの完全分業体制を取っています。このうち注射の打ち手は非医療従事者が担当、これは英国在住の方には広く知られているかと思います。最近は冬休みのバイトとしてワクチン接種のバイトを選ぶ学生も増えて、先日のシフトで組んだ注射の打ち手は、法学部の学生さんでした。しかし現状のスタッフ不足から、希釈と充填にも非医療従事者が業務に入ることが認められました。正看護師の監視の下という条件ですが、正看護師も自分も作業をしながらの監視で負担は少々増えました。日本の接種会場では希釈と充填は薬剤師が協力担当をしているほどで、決して責任の軽い仕事ではありません。もちろん希釈と充填、注射の作業を担当している非医療従事者のスタッフは学科、実技ともに研修を受けて合格をしているので、安全性については心配しなくて大丈夫です!

結局ブースター接種の年内完了はできずに、接種会場では1月も拡大体制のままです。接種予定者がコロナ感染などでブースター予約を延期するケースが多々ありました。コロナ感染したら、ブースター接種まで28日間の間隔を置いてもらいます。接種会場には海外で1回目、2回目までを接種している人が来場することもありますが、海外での接種記録が英国内のオンライン・システムに反映されるまでに時間がかかるようで、空欄の人が目立ちました。記載の方法が分からない人もいて、119に電話をして指示を受けるように、接種会場でアドバイスをしています。海外で接種したコロナ・ワクチンの種類と接種日付の証明があれば、英国のオンラインでの記録が空欄でも2回目とブースター接種は可能です。

*ワクチン現場での希釈はファイザーのワクチンを生理食塩液で薄める作業。充填は正しい量のワクチンを注射器シリンジに入れる作業

 

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