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雨でもやりでもウォーキング!?
英国の11月といえば、晩秋というよりは冬と呼ぶのがふさわしい時期。時計も冬時間になり、夕方4時すぎには真っ暗になることも。その上、そぼ降る雨もたびたびで、地面はいつもジメジメしています。そんななか、週末は娘と二人で、家から5分のところにある丘までウォーキングをしてきました。
今でこそ、冬でもほぼ毎週末のように、こうして近くの自然保護地域や森林公園などにウォーキングに出掛けている私。でも、渡英後すぐのころは、英国の人たちが、寒い冬に、それも小雨が降っていても(!)わざわざウォーキングに出掛ける意味が分かりませんでした。
英国の人々のウォーキング好きを実感したのは、義父母のところで初めてクリスマスを過ごしたときでした。クリスマス・ディナーを食べ終えてから、ソファに座ってテレビを見たり、プレゼントにもらった本を読んだりと、それぞれがリラックスしてしばらくたったとき、「マミ、フレッシュ・エアーを吸いに行かない?」と義母が言いました。そして、家族皆でウォーキングに出掛けたのです。することといえば、遠くの丘に羊の姿が見えるカントリー・ロードをおしゃべりしながら歩くだけ。往復1時間くらいの道のりを、のんびり歩いて家に戻り、そのあとはもちろんマグにたっぷりの紅茶をいただきました。
翌日のボクシング・デーには、車で30分ほどの海に出掛け、髪が逆立つほどの海風に吹かれながら、ビーチを延々と散歩しました。そして家に着いたらまたティー・タイムです。
最初は、こんなに寒い中ウォーキングに出掛けるのは夫の家族だけの伝統(習慣)かと思っていたのですが、どこに行っても、同じようにレインコートにマフラーにウールの帽子に長靴という装備をした人々が大勢いて、どうやらこれは全英国民の習慣なのだと気付きました。
それにしても英国の人々は、雨が降っていたり、すこぶる寒い日になぜわざわざウォーキングに出掛けるのでしょう?「英国の天気を知っているでしょう? 晴れるのを待っていたら永遠にウォーキングになんて行けない」「われわれ英国人は『天気に自分の人生を決められてたまるか』と思っているから、どんな天候だろうが散歩に行くと決めたら行くのさ」。友人たちはこんな風に言っていました。また、「英国に就て」の中で、吉田健一が「寒い田舎道を威勢よく散歩した後は紅茶も旨く、それで英国人は冬でもよく田舎道を、お茶の時間の前に何の用もないのに散歩しに出かける」という記述をしています。英国暮らしが10年を超えたころからは、どの理由にも納得がいくようになりました。