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英国に伝わるお正月の言い伝え
明けましておめでとうございます。皆さん、2021年の幕開けはいかがですか。
例年なら1月2日には平常営業に戻る英国ですが、今年はリモートで仕事始めという企業も多いので、なんとなくクリスマス・ホリデー気分を引きずっている方もいるかもしれませんね。
とはいえ、通年通りだったとしても、元日はさすがに英国人ものんびりモードです。というのも、たいていの英国人は大みそかから友人たちとパーティーで騒いで、元日の朝は二日酔い、というのが珍しくないから。今年は新型コロナの影響で、パーティーをした人は少ないとは思いますが。
さて、毎年、元日になると私が必ず思い出すのが、英国人義母から教えてもらった面白い言い伝えです。それは「1月1日にはパンツを洗ってはいけない」というもの。といっても実はこれ、生真面目な義母にしては珍しいジョークです。正確には「洗濯をしてはいけない」です。
子どもたちが幼いころは、クリスマス前からお正月過ぎまで私たちが2週間ほど義父母の家に滞在するのが恒例行事でした。滞在中はいつも、上げ膳据え膳でお世話になっていたのですが、さすがに洗濯までは頼めません。
「洗濯機も乾燥機も好きなときに使っていいからね」。そう義母に言われていたので、双子の幼な子が生み出すたくさんの汚れ物を、せっせと毎日洗濯していました。
英国では、なぜかキッチンに洗濯機がある家が多いのが日本人からすると不思議な感じ。義父母の家もやはりキッチン・カウンターの下に設置されていました。
いつも通りに洗濯機にスイッチを入れた大みそかの朝、義母に「マミ、明日はパンツを洗っちゃダメよ」と言われました。突然のことに笑いながら理由を尋ねると、義母の母から「この日に洗濯をすると、身内の人が亡くなる」と教えられたからだと言うのです。義母はこの言い伝えの起源は知らないそうですが、お母さんからの教えを結婚してからもずっと守っているのだそうです。
ネットで検索してみると、確かに英国ではこの習わしに従っている人も少なくないようで、義母の家庭にだけ伝わるものでもないようでした。身内が亡くなる以外にも「その年の幸運を洗い流してしまう」というのもありました。
「郷に入っては郷に従え」。以来、私も義母の言いつけを守って、元日には洗濯はしないことに決めています。次世代の子どもたちがこの言い伝えを受け継ぐかどうかは分かりません。でも、元日の家事が一つ減ってラクになるのですから、今後もこれに倣うのではないかと予想しますが、さてどうでしょう。