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Sat, 24 August 2019

育自の時間。親と子を育てる英国の学校

2002年に画家の夫とともに当時7歳の息子を連れてイングランド南西部コッツウォルズ郊外に移住。現地の小学校から大学受験までを実体験した母親の目から英国教育を見つめます。


第01回「子連れ旅行で知った教育格差」プロローグ

今から17年前、当時4歳になる息子を連れて画家の夫と3人、およそ3カ月にわたる英国旅行を敢行しました。旅の目的は、英国最大の環境保護団体ナショナル・トラストの保護地をスケッチする夫とともに、出発前の段階で既に出版が決まっていたナショナル・トラスト紀行本のために取材することにありました。

こうした長期の海外旅行は、子供が就学年齢になると、日本でも英国でも学校の出席日数に影響を及すためとても難しくなります。そこで息子の学齢も考慮し、「就学前の今しかない!」と思い立ったのが1999年のことでした。

そしてその3年後の2002年秋、息子はイングランド南西部、グロスターシャーのチェルトナムという街の外れにある、小さな現地校へ転入しました。今風に分かりやすく言うと「コッツウォルズ郊外の小さな村にある小さな小学校」への転校です。

今でこそ、湖水地方に次ぐ人気の観光地として有名なコッツウォルズ地方ですが、当時はまだ日本でようやくその名が少しずつ認識されだしたころで、移住の際、日本の方からも英国在住の方からも「なぜロンドンではなく地方に?」と不思議がられたものでした。

実はその第一の理由は「教育」でした。1999年の取材旅行では、イングランドからスコットランドまで東西南北およそ5000キロを、現地の知人が格安で手配してくれたレンタカーで走り、58カ所のナショナル・トラスト地を巡りました。ロンドンで過ごした日数はわずかに1週間ほど。残りはすべてカントリーサイドです。そうした旅で、不思議なほどたくさんの英国人から声を掛けられました。

中でも印象的だったのは、子供の年齢を聞かれ「4歳です」と答えると、必ずといって良いほど「もしあなたたちが英国に越してくるのなら、ロンドンなどの都会ではなく、カントリーサイドにしなさいね。それが子供の教育には一番よ」とアドバイスを受けたことです。

90日間の旅で、一体何人の英国人から言われたことか。当時はとても不思議でしたが、今思えば非常に納得できます。イングランドにおける4歳というタイミングは間近に迫る小学校入学への準備期間に当たると同時に、教育の地域格差が大きく、さらに深刻な問題も抱えているからです。

旅の最中には「家族で英国へ移住」などという無謀(!)なことは考えていませんでしたが、旅を終え2年後の2001年に英国ナショナル・トラストで初めて夫の展覧会が開催され、少しずつ私たち家族の軸足が英国へと移っていくことを実感しました。

そして、真剣に移住を考えたとき頭に浮かんだのは「子供の教育はカントリーサイドよ」という、親切でおせっかいな英国人たちのアドバイスだったのです。

Beningbrough Hall ベニングバラ・ホール北ヨークシャーにあるナショナル・トラスト「Beningbrough Hall」。カントリーサイドには小さな子供たちものびのび遊べるマナー・ハウスが数多くあります
www.nationaltrust.org.uk/beningbrough-hall-gallery-and-gardens

 
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小野まり小野まり NPO法人ナショナル・トラストサポートセンター代表。2002年、画家で夫の小野たくまさ氏とともに当時7歳の一人息子を連れコッツウォルズ郊外へ移住。現地の小・中・高等学校、大学受験を母親の立場として体験。教育関連の連載エッセイやナショナル・トラスト関連の著書多数。最新刊に「図説 英国ナショナル・トラスト (河出書房新社)」がある。
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